- 2024 . 11 «
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
- 7
- 8
- 9
- 10
- 11
- 12
- 13
- 14
- 15
- 16
- 17
- 18
- 19
- 20
- 21
- 22
- 23
- 24
- 25
- 26
- 27
- 28
- 29
- 30
- 31
- » 2025 . 01
Category : ミリタリー
新中国での報道では、知っているけど正規で書けないので、推測記事にするような例は多い。さらにそれを香港に流して「香港報道によると」と出来レースをやる例も多い。
香港誌『鏡報』1月号に「国産第二代AIP潜艇曝光」※ といった推測記事がある。梁天仞さんの記事だが、元級の発達型と呼ぶべき新型潜水艦が出たといった内容になっている。
この記事は、真実を伝える出来レース記事の可能性がある。(もちろん完全な推測で、スカ記事の可能性もある)梁さんの記事は「新中国でのインターネット情報によると」という推測記事の体になっている。
梁さんは「039Cとでも呼ぶべきスターリング方式AIP潜水艦が登場した」と述べている。
梁さんによると、元型として知られる039A以降には、今まで2つのサブタイプがある。スターリングエンジンを本格搭載した5番艦以降が039AG「改元級」であり、さらに外殻を改良して26ktだせるようにしたのが039B「新元級」である、と述べている。
そして、新型の039Cが登場したとしている。梁さんによれば「今までの039Bからさらにセイル形状を改め、中国国産の燃料電池AIPを搭載したタイプと推測される(大意)」といった内容になっている。本当ならば超元級とでも呼ぶのだろうか。
ただし、このあたりが全部本当であるかどうかは分からない。
まず新型であるという証拠は、ネット上のセイル基部形状の写真しかない。バージニア級に倣って立ち上がりにアールがついた感じなのだが、これで新型艦であるとまで言い切るのは、難しいだろう。
さらに、燃料電池式の新型AIP云々については「新型艦だからスゲー、最強」といった願望である可能性も高い。
国産新兵器については、推測に願望は混じるものである。日本の戦車崇拝者がいい例だが、巨視的に見れば90式と大差ない10式を万邦無比の新戦車であり、90式では戦争に負けるが、10式では負けないといった珍妙な理屈を振るっていた。F-2とF-16でも似たような願望の走出もあったことは、ご存知のとおりである。
中国の兵器マニアも、同じようなものだろう。梁さんの記事によるとまず、セイル基部の形が違うだけで、新型と断じ、新型ど断じただけで、それで日米に勝てるようなことを述べている。
梁さんの記事で引用された3D想像図でも、マニアの願望が結実した中身になっている。
まず、構造的に奇妙である。3D想像図は、潜水艦の耐圧船殻と外殻の区別がついていない。さらに、セイル後方に耐圧船殻と辻褄の合わないYJ-83のVLSセルを密集して書き込んでおり、しかも発令所から機関部へのアクセスが閉ざされているのである。
3D想像図に付された性能も、理屈から奇妙な数字になっている。ネット想像図のキャプションではAIPで「水中24節/250海里」と、24ktで10.5時間すっ飛ばせるとか「6節/3000海里」6ktで3000nmといった数字が並んでいる。まず、その数字が怪しいがそれはさておく。同時に「通気管状態:続航力6節/12000海里」とあるのが不思議である。
水中6ktで3000マイルも航走できるAIPがありがら、わざわざついでにディーゼルや補機、燃料をつけるだろうか? それほど高性能な燃料電池AIPなら、ディーゼルや軽油タンクの部分もAIP燃料に充てて、AIPだけで水中6kt/15000nmを達成するだろう。
もちろん、梁さんが紹介した潜水艦が、実際に第二世代AIPを搭載している可能性もある。最初に述べたように、新中国での報道では、知っているけど正規で書けないので、香港に流して「香港記事によると」と出来レースをやった可能性もあるのである。第二世代AIPを搭載している証拠を出せないから「セイルの形状が違うだろ」とやっていても不思議もない。
実際に、梁さんは新型弾道弾搭載通常潜水艦、清型の存在をスクープしている。だから、一概にある程度の高性能燃料電池AIPの存在も否定できないのである。
ただし、その話を聞いて喜んだ中国にもいる国産兵器崇拝者が作った図や性能推測は、あきらかにオカシイと切って捨ててよい。
※ 梁天仞「国産第二代AIP潜艇曝光」『鏡報』438(香港,鏡報文化企業有限公司,2012.1)pp.63-64.
なお、『鏡報』は新中国系メディアであり、意図して情報をリリースするにはちょうどいい媒体である
※※ 1日発売なので、多分その中身がつたわったのが、年末年始の039C関係の報道ではないのかね?
香港誌『鏡報』1月号に「国産第二代AIP潜艇曝光」※ といった推測記事がある。梁天仞さんの記事だが、元級の発達型と呼ぶべき新型潜水艦が出たといった内容になっている。
この記事は、真実を伝える出来レース記事の可能性がある。(もちろん完全な推測で、スカ記事の可能性もある)梁さんの記事は「新中国でのインターネット情報によると」という推測記事の体になっている。
梁さんは「039Cとでも呼ぶべきスターリング方式AIP潜水艦が登場した」と述べている。
梁さんによると、元型として知られる039A以降には、今まで2つのサブタイプがある。スターリングエンジンを本格搭載した5番艦以降が039AG「改元級」であり、さらに外殻を改良して26ktだせるようにしたのが039B「新元級」である、と述べている。
そして、新型の039Cが登場したとしている。梁さんによれば「今までの039Bからさらにセイル形状を改め、中国国産の燃料電池AIPを搭載したタイプと推測される(大意)」といった内容になっている。本当ならば超元級とでも呼ぶのだろうか。
ただし、このあたりが全部本当であるかどうかは分からない。
まず新型であるという証拠は、ネット上のセイル基部形状の写真しかない。バージニア級に倣って立ち上がりにアールがついた感じなのだが、これで新型艦であるとまで言い切るのは、難しいだろう。
さらに、燃料電池式の新型AIP云々については「新型艦だからスゲー、最強」といった願望である可能性も高い。
国産新兵器については、推測に願望は混じるものである。日本の戦車崇拝者がいい例だが、巨視的に見れば90式と大差ない10式を万邦無比の新戦車であり、90式では戦争に負けるが、10式では負けないといった珍妙な理屈を振るっていた。F-2とF-16でも似たような願望の走出もあったことは、ご存知のとおりである。
中国の兵器マニアも、同じようなものだろう。梁さんの記事によるとまず、セイル基部の形が違うだけで、新型と断じ、新型ど断じただけで、それで日米に勝てるようなことを述べている。
梁さんの記事で引用された3D想像図でも、マニアの願望が結実した中身になっている。
まず、構造的に奇妙である。3D想像図は、潜水艦の耐圧船殻と外殻の区別がついていない。さらに、セイル後方に耐圧船殻と辻褄の合わないYJ-83のVLSセルを密集して書き込んでおり、しかも発令所から機関部へのアクセスが閉ざされているのである。
3D想像図に付された性能も、理屈から奇妙な数字になっている。ネット想像図のキャプションではAIPで「水中24節/250海里」と、24ktで10.5時間すっ飛ばせるとか「6節/3000海里」6ktで3000nmといった数字が並んでいる。まず、その数字が怪しいがそれはさておく。同時に「通気管状態:続航力6節/12000海里」とあるのが不思議である。
水中6ktで3000マイルも航走できるAIPがありがら、わざわざついでにディーゼルや補機、燃料をつけるだろうか? それほど高性能な燃料電池AIPなら、ディーゼルや軽油タンクの部分もAIP燃料に充てて、AIPだけで水中6kt/15000nmを達成するだろう。
もちろん、梁さんが紹介した潜水艦が、実際に第二世代AIPを搭載している可能性もある。最初に述べたように、新中国での報道では、知っているけど正規で書けないので、香港に流して「香港記事によると」と出来レースをやった可能性もあるのである。第二世代AIPを搭載している証拠を出せないから「セイルの形状が違うだろ」とやっていても不思議もない。
実際に、梁さんは新型弾道弾搭載通常潜水艦、清型の存在をスクープしている。だから、一概にある程度の高性能燃料電池AIPの存在も否定できないのである。
ただし、その話を聞いて喜んだ中国にもいる国産兵器崇拝者が作った図や性能推測は、あきらかにオカシイと切って捨ててよい。
※ 梁天仞「国産第二代AIP潜艇曝光」『鏡報』438(香港,鏡報文化企業有限公司,2012.1)pp.63-64.
なお、『鏡報』は新中国系メディアであり、意図して情報をリリースするにはちょうどいい媒体である
※※ 1日発売なので、多分その中身がつたわったのが、年末年始の039C関係の報道ではないのかね?
Trackback
Comment
23:05
URL
編集