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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 軍事ライターの文谷です
 コミケでは隅田金属ででています。評論情報です。

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2013.03
31
CM:2
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13:00
Category : ミリタリー
 船越地区なのだが、護衛艦のたぐいが頭から滑りこむ後向き駐車になっている。グーグルマップでみても、護衛艦も輸送艦(2隻いるね)も海洋観測艦も、お尻を海側、頭を陸側にしている。これを入船というが、海自ではマナー違反※。本来ならすぐに出られるように、出口に頭を向けた前向き駐車、海側に向かった出船にする必要がある。


大きな地図で見る

 これはねえ、騒音問題が起きたんだよね。どうも艦艇の機関音は後上方に進むらしい。己が横監に居たとき、停泊中の艦船音で騒音問題が起きた。主機か発電機か補機かわからんが、夜間に低音-微振動で困るという話を受けた。船越の北側、その丘の上にある、いわゆるマンションの上層階の1軒からの苦情。

 たしか課長不在だったので、部長の1佐と一緒に深夜おじゃますると、確かに低音と微振動がする。5分も立たずに、部長もなるほど、確かにそうです、状況は伺いましたと返答。己の私有車でそこから帰る中途、親方はピーク成分は多分可聴域の下あたり。サイズミックとして見ると結構デカイはずと言っていた。部長は掃海の偉い人だったので、短距離の音響伝播には詳しい。おそらくそうなのだろう。世間話がてら「どうすればいいかね」と言われたが「低周波数成分だと、飛行場に作るチャチな消音林や、普通の壁では効果はないですね」と答えた覚えがある。まず発電機なら止めて陸上電源にするとか方法はあるのだが、補機のたぐいだとそういうわけにもいかないみたいな話をしたのだろう。

 部長が翌日の総監部オペでその状況を説明し、船越に連絡を入れ、検証を兼ねて、とりあえず駐車する向きを変えた。港内の支配は横監だが、自艦隊司令部、護艦隊司令部、3掃の類にもしっかり説明するとか言ってた。自艦隊は格上、護艦隊は同格、3掃と海洋観測群は命令系統が違う。まあ、海自No3の横総監が、そうしろといえばそうなるのだけど、なぜそうするのかを丁寧に言わないとつまらない摩擦が起きるからね。

 たしかその日のうちに、駐車する向きを変えた。その晩「とりあえず向きを変えてみました」と連絡すると、翌日「音は聞こえなくなった、有り難う」と電話貰えた。これで音源が護衛艦の類であったことが確認できたで、そしてそのまま対策になった。

 だから、船越地区だけは入船になっている。海軍-海自の出船の精神もいいが、それで騒音問題を起こしてこじれると本末転倒もいい所なわけだ。入船にして解決するなら、それが一番いいだろう。これは割と旨く行った事例だと思うよ。なんせお金は全然使っていない。それが今でも続いているということだ。



※ 靴を脱ぐ時も、つま先を外側にした出船にしろと五月蝿い。学生期間中、脱靴教場だったので、例の悪ふざけとちょっとした反抗心から、車からからわらじ(足半)と地下足袋を出して、これみよがしに出船に揃えてならべた。ちなみに当時、幹部隊舎から教場まで歩くのがメンドイのでみんな車で移動していた、本当は「コラッ」もの。同期も車からローラーブレードを持ってきて出船に並べた。カンジキとかアイゼンとか、浮き袋つき胴長靴があれば面白かったのだけれどもね。そして入ってきた教官(課程主任)が嫌な顔をして「あまり俺をイジメるな」と言われたよ。
2013.03
30
CM:1
TB:0
13:00
Category : ナショナリズム
 北方領土問題が動いている様子だが、四島一括返還で凝り固められた日本人に受け入れられるかね? 



 冷戦終結以降、日本とロシアには、北方領土以外に対立する要因もない。むしろ、極東ロシアでの経済活動からすれば、今流行の言葉で言えばWin-Winの関係を容易に築ける関係にある。ロシアは極東ロシア発展のためには、日本の資本や物資が必要である。日本は極東ロシアある安価な資源にアクセスしたいし、売れるものが売れることは喜ばしい。日露が協調できれば、極東ロシアで大金儲けができる。

 ロシアにとって、極東ロシアに莫大な資源があっても、未開発ではなんにもならない。極東ロシアには、石油、天然ガス、鉱物資源、電力資源、森林資源ほか、膨大な未開発資源がある。しかし、シベリア・バム鉄道幹線沿い以外では、資源にアクセスする手段すらない。開発する資本、技術、技術者も限定されている。そして販売先となる大消費地も国内にない。

 極東資源開発に日本が参加すれば、ロシアは燻らせている資産を現金化できる。日本は中国に較べて良い買い手である。

 中国はロシアにとって良い買い手ではない。既存の資源を安く買い叩こうとするだけで、物不足を引き起こし、ロシア極東価格を上げる。その上、中国人労働者は極東に200万人も流入しており、潜在的な脅威となっている。

 その点、日本は資源開発から販売まで協力するため、物不足を引き起こさない。無理な買い叩きをしない。海を隔てており、人的流入の恐れも少なく、脅威ではない。手持ちの不良資産を現金化する上で、日本の参加は望ましい。

 日本も、極東資源開発で安価にエネルギーや資源を手に入れることができる。とりあえずは電力と天然ガスだけでも入手出来れば、相当の利益が出る。

 日本は電力が余っているロシアから安価に電力を購入できる。極東ロシアには電力も余っている。世界最低価格のロシアの電力を、最高価格の日本に輸入する余地がある。ロシアには大規模な水力発電所がある。火力発電所も、電力よりも冬季のセントラルヒーティングでの熱供給に合わせており、事実上、電力は捨てている。電圧周波数の安定性についても、直流超高圧で送るので問題はない。

 日本にとっては、天然ガスをパイプラインで買う余地がある。その場合には、相当に安くなる。天然ガスはパイプラインを引かせれば、液化の必要がなくなるため、コストが劇的に下がる。買い手は液化してスポット価格で買うよりも安く買える。売り手もいい話で、買い手が浮気できないので、長期安定で囲い込むことができる。

 北方領土問題が解決すれば、日露は経済協力により莫大な利益をあげることができるということである。

 その北方領土も、ナショナリズムの問題を除けば大した問題もない。日露が拘泥している問題は、大したものではない。

 ロシアが重要視するのは、樺太以東で唯一、まともな経済活動ができる居住地域は北方領土だけということである。極東ロシアでは、人間がまともに住めるのは沿海州と樺太南部、北方領土だけである。それ以外では農作物もつくれたものではない。北方領土を喪うと、樺太以東が事実上のノーマンズランドになってしまう。

 しかし、北方領土は放置すれば人口は流出してしまう僻地でもある。ソ連時代は給与や年金優遇措置で人口を維持していた。ロシアになってからはそれがなくなり、大規模な人口流出を起こしている。最近になって、領土維持のため、人口を保とうと経済開発・投資等を行なっている。つまり、北方領土は持っているだけで金がかかる、金食い虫の領土でもあるということである。

 日本にしても、ナショナリズムを除いた不利益は、面積が広大であるという点だけである。択捉島は日本最大の島であり、国後は2番めの広さを誇っている。

 しかし、戻ってきても使い道のある島ではない。北海道側の道東地区ですら過疎が進行している。北方領土が帰ってきても、漁業を除けば、略無人島になることは目に見えている。

 その意味で、二島返還は日露に合理的な解決法である。農牧業・居住地の国後・択捉をロシアに、漁業の歯舞・色丹を日本に分ける。両者が欲しい所、欲しい物を取る形になる。

 両国とも多少の損かもしれないが、北方領土の問題が解決すればそれを上回る経済的実利を確保できる、良い手段である。

 しかし、ナショナリズムが絡むと、二島返還は収まる話でもないだろう。日本人もロシア人も二つの島を喪うことは耐えられない。日本人にとっては、あのどうでもいい無人島である尖閣、しかも日本側主張による領海・領空への進入程度で、あれほど燃え上がってしまっている。ロシア人も、戦争で獲得し、しかも60年間保持し、人も住んでいる。南クリルを喪うことには耐えられないだろう。※

 日本側だけみても、ここ50年ほど四島一括返還を主張しており頭が固まってしまっている。政府も国民も国後・択捉も日本固有の領土と信じ込んでいる。その島のうち、大きなもの二つロシアに渡す(日本が統治できていない島であるが)決定にが政府にできるだろうか。そもそも、四島一括返還、日本固有の領土と音頭を取っていたのは日本政府である。抵抗や反感は並のものではないだろう。

 特に安倍首相は、二島返還を押し切ることは難しい。今の政権党は自民党であり、首相はタカ派を気取らなければならない安倍首相である。首相の安倍さんは○○の一つ覚えで対外強硬姿勢をとることで、右派・保守派の支持に乗っている。その右派・保守層の機嫌を損ねる二島返還を、最後まで押し通せるかは相当に怪訝である。もともと世論に風見鶏な部分もあるので、二島返還、二島放棄に世論が反発した場合、今の対露交渉を続行することはできないだろう。



※ 多少の工夫をしなければいけないのかもしれない。
  「ロシア領の国後・択捉に日本の特殊権益、日本領の歯舞・色丹にロシアの特殊権益をそれぞれ認める」とか
  「四島は日本に返還するが、国後・択捉は99年間ロシアが租借する」
  「南クリル共和国を成立させる。同国へのロシアの宗主権を認める。成立歯舞・色丹は99年間、日本が租借する」
  みたいな騙し文句を入れないと入れないかもしれない。
2013.03
29
CM:0
TB:0
13:00
Category : 未分類
 練習艦隊を終わって最初の任地は八戸だったのだがね。まあ、新品3尉なので色々やらされた。とはいえ、わからないことも多い。始終怒られるが、何について怒られているかも分からずに、とりあえず頭を下げておくしかない。

 一回、海幕の班長(1-2佐だね)から電話が掛かってきて、散々説教されたことがあった。どうも海面関係の話らしい。昔、高速救難艇があったので、八戸港にも小規模な自衛隊岸壁がある。その辺りの話だと思って、とりあえずは無難なこと言って、相手の怒りが収まるのを待ったのだけれどもね。

 「オマエさ、東京じゃ鹿児島湾のことなんか分からないんだよ、オマエがわからないと、部隊も海幕も困るんだよ」と言われた。

 ン、と思って「岸壁の話ですよね」と尋ねるとそうだといった。「そうだ、カスイショだよ」と返ってくる。「鹿屋水雷試験所(だったと思う)ですか」と尋ねると「オマエ、何のことか分かっていなかったのか」とまた怒る。

 そこで「ここ、八戸の2空群ですよ」と言うと、いきなり電話を切られた。鹿屋1空群と八戸2空群の短縮ダイヤルを押し間違えたらしい。次にリアルであった時には、丁寧に謝られて、ジュース1本もらった。課業やめのあとには、ロハで飲みにも連れて行ってくれたのだけれどもね。

 八戸では色々やった。仕事も尽きないが、新品幹部の仕事として3曹昇任試験対策をやらされたのはいい思い出だった。

 自衛隊で一番難しい試験は3曹昇任試験なわけだ。CS他の試験に較べても競争率ほかは断然である。

 その試験勉強をするのだが、毎日勉強をする。だから、教える方の己は5分で解けるようになるが、兵隊さんはなかなかそうもいかない。

 そのうち試験当日になる。当日の試験係もやるので、体育館に行く。試験開始とともに、己にも問題が渡される。5分で解くと、他の試験係がその回答を書き写す。

 何をするのか? 部下に見せるため。とはいえ、みんなに見せるわけでもない。心根正しくヤル気があり、経験もあるが、なかなか受からない。そういうとっておきの士長に見せる。

 ウチの隊には3人ほどいた。肩越しに間違えた問題を見つけると、後手にした正解いり解答用紙、その該当場所が見えるようにして、そいつの前に立つ。2人はすぐに分かってくれたが、あと1人はなかなか気づかない。後ろからご本尊の椅子を回答の数字の回数蹴ったりしたのだけど。本人は激励だとしか思わないのでニヤニヤ笑うだけだった。試験後に脇にいたWAVEが、答えが見えて困ったと言っていたよ。ご本尊、仕事は素敵なほどにできたのだがねえ。その辺の勘所が鈍い。

 別の隊で、部下全部に答え全部を見せた整備幹部が、中途、飛行幹部に連れだされ、殴られていたよ。まあ、承認枠は職種別なので、別に各隊は困らないのだが、そりゃマズイよねとみんなでうなづいていた。しかし、その年に艦艇で回答漏洩があって、幹部が一人自殺している。だから、あのビンタで彼は救われたとも言える。今から思えば、慈悲のある制裁ってあんな感じなんだろう。

 海上では同時に3尉、曹長、1曹昇任試験もやっていた。こっちの試験は難しくもないし、競争率も低い。3尉昇任試験なんか、昇任したくないものだから、改竄できないように誤答を正しく選んでボールペンで書く奴もいる。直前まで世間話とか、まず試験という雰囲気でもない。

 そのノンキな試験中、隣の隊の2曹のオトッツァンが挙手して「ここらへんの答が分からない、教えろ」と堂々言ったのは、八戸の最初の歳だった。「モウ年で、息子も高校に上がる、だから1曹になりたい」という。その隊のトッツァン3尉が、手招きで己を呼んで「問題の答、それぞれコレでいいか」と確認。3尉サンがそれを本人に伝えたら結構大きな声で「ありがとうございました」とやってくれたよ。まあ、ああいうのも陽性でいいなと思った。周囲の受験者も失笑しつつも、いいものを見たような顔をしていた。これも、隊に戻って事情を聞いた御本尊が後でお菓子とジュースを一杯持ってきてくれたね。
2013.03
28
CM:2
TB:0
13:00
Category : 有職故実
 ライフルで無垢の鉛の弾は普通に撃てる。鉛無垢の弾は危険云々と言ってきた人が居たのだけれども。鉛無垢の弾には、特に危険性はない。

 まず「暴発云々」という危険性はない。暴発は、銃の動作・安全機構、付け加えても雷管(プライマー)の材質での問題で起きる。弾頭の素材の影響は受けない。

 銃身内に停弾する危険性もない。鉛はライフリングに溜まりやすいが、非常に取れやすい。次の弾でこそぎ落とされるし、大した邪魔にもならない。弾頭も非常に柔らかい鉛である。多少抵抗が増えても、弾丸が容易に変形する。火薬の入れ忘れでもなければ停弾しない。

 鉛無垢の弾でもでも危険性がない証拠としては、次の2点が挙げられる。まず軍用銃でも歴史的に問題がなかったこと。そして今でも使われていることである。

 軍用小銃の歴史を見ても、フルメタル・ジャケットが導入されるのは1890年ころである。初期のガトリング砲も鉛弾である。そして問題なく動作している。日本では村田銃までは鉛の弾を使っているが、問題はない。フルメタル・ジャケットは、1882年に登場するが、その理由は停弾でもなければ、暴発でもない。単に鉛無垢では、発射と銃身通過に伴う摩擦や変形等により、初速が落ち、また長距離の銃外弾道も安定しない。それを解決するためである。そして鉛無垢の弾がマイナーになったのは、国際条約によって変形しやすい弾を戦争で使わないことにしただけのことだ。

 今でも鉛無垢の弾はつかわれている。小口径ライフルでは、弾頭は鉛無垢である。写真の弾が22LRであるが、FMJではない。その弾を多い時は1日300発内外、それを2日連続や、1週間ほどクリーニングせず計3日間、射撃したりもしたが、当たり前だが停弾も出なければ横転も出ない。国内では販売されていないが、22LRには半自動も全自動もあるが、銃は問題なく動作している。「高初速では溶ける」云々にしても、RWSの超音速銃弾でもそのような問題は起きない。大口径ライフルや拳銃弾でも、ケチンボ向きに鉛鋳造キット※(http://leeprecision.com/bullet-casting/rifle-bullet-molds/bullet-mold-double-cavity)が存在している。これで出来た鉛無垢の弾でも、問題があるという話はない。

s22LR.jpg

 使う気になれば、軍用銃でも使える。生産設備は保管状態でいいんじゃないの」http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-509.htmlで、使えと主張しているわけではないが、可能である。条約の制限や、弾道変化があるので余り意味は無いが、やる気になればやれる。実際に、223NATOのライフルには、教練用に22LRのコンバージョンキットがあり、そこでは無垢の鉛の弾が実用銃身を通過しているが問題はない。溜まった鉛も、マカロニ状のフェルトパッチで引き抜けば機械的に容易に取れる。ソルベントも必要はない。



※ 「生産設備は保管状態でいいんじゃないの」http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-509.htmlで、溶かした鉛を再利用できるといったのが、このLEEの鋳型のこと。特にあまり売っていない変態口径だと、弾頭部も高い。これを使うかどうか悩むあたりの価格になっている。
2013.03
27
CM:1
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13:00
Category : ミリタリー
 与那国島に警戒部隊を置く話が混乱している。「自衛隊の与那国島配備、交渉難航 地元側『迷惑料』要求」※ によると、予定面積26ha中、21haを占める町有地引渡し条件について価格面で揉めているらしい。

 ただ、100人程度の警戒専従部隊に、26haも必要なのだろうか? もっと狭くしてもいいのではないか。まず、予定面積は、配備の必要性に対して広すぎる。また、隊員数に対してもバランスを欠いた広さである。部隊運用についても、必要性が疑われる。

 先島初頭への配置は、真空地帯を埋めようとする政治的な目的である。外交的には中国とのゲーム、内政的には尖閣問題ほかで先島に自衛隊がいないことを手当する施策である。実際に敵が来るといった問題に対処するための配備ではない。なんでもいいので、とりあえず歩を貼っておこうというものである。大規模配備の必要はなく、土地を26haも準備する必要もない。実際に与那国島を防備する必要があるわけでもない。いまのところ攻めてくるような国もないが、何を準備してもこの程度では玉砕予定部隊に過ぎない。

 隊員数に対して、26haは広すぎる。沿岸監視部隊は100名程度である。100人しかいない部隊に、26haは無駄に広い。実際に、同様の規模である富山駐屯地は2haで済ませている。大規模な運動場や射撃場、弾薬庫を整備することは、非効率である。運動場は外を走らせるなり、中学校でも借りれば良い。射撃場も覆道50m、2-4射座で充分。弾薬庫も警備用火器であれば、換爆量は1-2トンもあれば充分である。また、500m×500mの面積を100名の隊員で維持できるかどうかも怪しい。単純に草刈りだけを考えても面倒だろう。陸自は外注(役務調達)しない。100人では26haを維持することも難しい。

 部隊運用についても、極端に広大な面積は必要ない。基本的に、水上や空中目標を捜索するレーダ※※ と通信手段を運用できれば良い。極端な大出力は必要もなく、高い所に置いておけばそれで済む。監視手段としては、電子光学機材が追加される程度である。いずれも艦艇に搭載できる程度の機材であり、大きな敷地が必要となるわけでもない。見られても困らない点でも、艦艇同様であり、保安用地は要らない。むしろ、見せつけるための施設である。

 さて、26haも必要なのだろうか? 庁舎兼隊舎、少数の車輌、課業整列できる程度の営庭、簡易な射場と弾薬庫で済むようにしか見えない。

 もちろん、狭い駐屯地では地元に旨味はない。それなりの経済効果がない限り、迷惑施設の側面を持つ自衛隊誘致には町民は賛成しない。歓迎する少数の保守派と地元飲食業の一部§ を除けば、金が落ちない§§ ような自衛隊施設に賛成する必要はない。消極的にでも賛成してもらうには、利益が生まれるといった話をする必要がある。そのためには小さい駐屯地では話も進まないのだろう。



 まあ、周辺対策と中国とのゲームを考えると、町のいう額を飲んでも悪くないのだけれどもね。年1200万円なら、その分、借りる面積を増やして、山林でも借りておけばいい。迷惑料という名前は無理だが、一時金10億も、「周辺整備資金」とか何とか名目つけて、5年間2億円程度ならいいんじゃないの。それで先島に駒を置けるなら、悪くない話じゃないのかね。

 実際の必要性は、小学校の敷地程度に30人も置けば充分だと思うよ。廃校でも廃工場でもリノベーションすれば経済的だと思うがねえ。

※ 「自衛隊の与那国島配備、交渉難航 地元側『迷惑料』要求」『朝日新聞デジタル』(朝日新聞,2013.3.20)http://digital.asahi.com/articles/SEB201303200013.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_SEB201303200013
※※ 北海道に置いているような、人や車輌の移動を監視する戦場監視用の親玉のようなレーダではない。
§  ○○基地協力会なんて、中身はそんなものです。
§§ しかも固定資産税も入らない。基地交付金は固定資産税が取れない分を、一部補填するだけの制度にすぎない。それを勘違いした指揮官クラスのエライさんが「交付金が」とか「経済効果が」と余計な事をいって市役所を怒らせるのがいつものパターン。
2013.03
26
CM:12
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19:38
Category : ミリタリー
 「川重、防衛省次期ヘリの設計部廃止=談合問題で契約解除へ」※ という記事があったよ。UH-Xの設計部が2月1日で無くなったという話なんだがね。まあ、そもそも新設計である必要もないし、国産である必要もなかったから、正道に立ち戻っただけなのだが。

 さて、UH-1の後継をどうするかだねえ。まあ、UH-1の後継はUH-1で困ることも少ないわけで、既存のUH-1Jに較べて少しエラくした、ベル412あたりでいいと思うけどね。まず、ローターブレードの数が2枚増えれば、新型っぽくて満足するでしょう。エンジン2倍※※、航続距離増加、搭載力増強と要求どおりでしょ。

 インドネシアあたりに412を作ってもらってもいいんじゃないの。インドネシア・アエロスペースでも作っているのか、あるいは作っていた様子である。枯れたUH-1そのものはそこで作ってもらう。電子機器や複合材みたいな特注部材は日本から送ればいい。そのかわり、C-2なり、海洋監視程度に能力を抑えたドンガラだけにしたP-1を売りつけてもいいんじゃないかね。C-2もP-1も、日本国内ではどうせ数が揃わないし、そうでもしなければ海外に売れるようなシロモノでもないしねえ。

※「川重、防衛省次期ヘリの設計部廃止=談合問題で契約解除へ」『時事ドットコム』(時事通信、2013.1.31)http://www.jiji.com/jc/zc?k=201301/2013013100959&rel=j&g=eco

※※ エンジンが2倍になって高いなら、1台に減らせばいいんじゃないの。なに、UH-1Jとおなじエンジンパックにすればいい。今と性能も変わんないよ。なんにせよ、新型機が欲しい、新しいオモチャというのなら、それっぽければいいわけでしょう。外見がブレード4枚になれば、高性能な感じがするので満足すると思うけどね。
2013.03
26
CM:2
TB:0
13:00
Category : 未分類
 ドイツ発表によると魚雷艇で商船300隻を沈めたとある。ちょっと多い数字である。報告戦果を足したものの様子だがが、誤認を含んでいるのだろう。

 ちょっと昔の『国防』に「西独海軍と高速魚雷艇」という小さな記事がある。西独軍事誌『アトランティッシュ ヴェルト』(Atlantishe Weltかね)の、転載なんだが。転載元も「一九四五年八月(ママ)、ドイツ海軍司令部発表」と転載。中身は魚雷艇に関する戦果と損失。

 ドイツ魚雷艇の戦果は、雷撃で商船撃沈309隻、商船撃破40隻としている。それ以外には、雷撃による戦果で巡洋艦×2、「駆逐艦および随伴艦」(フラワーだのリバーだのかね)×20、監視艇31、潜水艦×2を沈めたとある。砲により魚雷艇×11撃沈、航空機15機を撃墜。魚雷による大破は戦艦×1、巡洋艦×2、駆逐艦×7である。

 ドイツ側損害に比して戦果が大きすぎるような気がする。ドイツ側損害は、魚雷艇×152損失で保有数の6割、人員被害2000名である。誤認戦果を含むのか、あるいは相当小さな動力船を足しているかだろう。

 英国ほかの損失とのチェックをした数字があれば分かるのだけれどもね。『British warship loss』(これは家にあるはず)みたいなヤツで、英国商船全喪失みたいな本があれば確認できるのだが、あっても面倒なので確認しないだろうねえ。
2013.03
25
CM:1
TB:0
13:00
Category : 有職故実
 変った移動方法だと、用船を使ったことがある。横須賀総監部から米軍地区内にある消磁所まで民間船を使った。9.11直後は、米軍ゲートが厳しくなった。初日から暫くは公用車しか駄目、2-3日目には徒歩のみでそれでも入構待ち。その後には自転車OK、厳重チェックで私有車OKになったが、時間的なロスが大きすぎる。

 仕事は横須賀消磁所規模拡大だった。自衛艦の大きさが際限なくでかくなる時期で、正直、どの大きさに作るか分からなかった。最初は今で言う「ましゅう」合わせだったのが、「ひゅうが」の大きさに作ることになった。今の22DDHに間に合うかは知らない。まあ、結局は磁気測定できればどうとでもなるし、磁気測定は可搬型センサーでも可能なので問題もない。

 徒歩、自転車、私有車での入構も面倒で、時間が読めないこともあり、施設庁の監督官が警戒船を出してくれた。消磁気所は間借りであるけど、あくまでも日本管理区域(2-4-bだったか)なので、ゲートを通らないで上陸できる。警戒船といっても、要は漁船(走水だったと思う)の借り上げなのだが、略直線距離で信号もなく高速なので、陸路移動なんて話にならないほど早い。最初の迎えは総監桟橋で困ってしまったが、2回目以降は本来、逸見のゲート外の桟橋に達着してくれた。消磁所発の電話で出て行ってちょうどいいくらいだった。なれると民間船でやる「(指で)あと3m、2m、1m…(両手の幅で)あとこれだけ」を見まねでやったよ。

 いいように港内をすっ飛ばしていたので、翌夏には機関銃を向けられたことがあった。米軍警戒艇が追従してきて、M2(多分)を向けている。船頭さんが米軍が追っかけて来ますといったので、冷房完備の屋根かけから艫にでて、手を振ったよ。夏の白服に、まず被る人のいない白略帽で、しかも港外方向に飛ばしているのを確認して、警戒艇は帰っていった。あの時期、水中作業の話もしたが、米軍は漁業用の水中銃でももった水中警戒員も用意していたのではないかな。艦底や推進軸に爆薬仕掛けられたらたまらないからねえ。

 そいや、防衛マイクロ回線の件で、宮城・山形県境にある寒風山にあった反射板を見に行くのに仙台市内(霞の目だったかな)から陸自ヘリ使ったという話もあった。己は乗らなかったがね。寒風山も仙台市内なので、市内移動するのにヘリとは豪気な話だねえと言っていたよ。
2013.03
24
CM:3
TB:0
13:00
Category : ナショナリズム
 尖閣諸島に資源があり国益という主張は、原野商法と同じではないか。

 争って尖閣諸島を日本のものにしても、現実的な利益はない。島にも、周辺の海底にも、海にも大した利益はない。陸地に利用価値はなく、海底資源も怪しく、漁業資源は既に話し合いが済んでいる。

 尖閣諸島の陸上部には利用価値がない。土地は狭隘で水も電気もない。人件費が安く、労働環境が劣悪でも我慢した時代に鰹節工場や缶詰工場を作っても、最終的に撤退した立地である。

 海底にあるといわれる原油や天然ガスも利益になりそうにない。原油も天然ガスも本当にあるか分からない。その上、商業化できる見込みも厳しい。

 尖閣諸島の原油・天然ガスも怪しい。石油資源開発取締役だった猪間明俊さんは、石油はないだろうと見ている。砂岩もないので石油は見込めず、あっても比較的小規模の天然ガスであると主張している。実際に発見することは困難であり、試掘や輸送の観点から商業化は難しいとも言っている。※

 唯一獲れる魚については、すでに日中で話し合いが済んでいる。双方の漁民がアクセスできるようになっている。漁業について尖閣諸島支配で争っても意味は無い。

 日中漁業協定は、尖閣諸島周辺での両国漁民の操業を認めている。領有権ついては、それぞれに都合よく解釈できるように意図的に避けて、両方の漁民がアクセスできるようにしてある。質問主意書に対する答弁書を読むと、現実的にはどうでもいい島で衝突しないように、上手く避けていることが分かる。※※

 尖閣諸島には、争う実利はない。陸上部分、周辺海底には資源や利益はない。漁業資源はあるが、すでに日中で話し合いが済んでいる。実利として争うほどのものはない。

 海底資源云々の取り合いについては、原野商法に騙されたようなものだ。まだ発見されてもいないし、見つかっても儲かる見込みもない。しかし、儲かるのではないかという色気で引き釣りこまれてしまっている。

 尖閣の問題は、結局は地図の上で何色に塗るかの問題である。これも、日本も中国も勝手に自国の色に塗れば済む。双方ともそれで満足する。逆に、相手の地図の色に文句をつけてもどうなるものでもない。

 現実の利益がないことは、両国政府は承知している。しかし、すでにナショナリズムは吹き上がっている。領土は神聖である。また、領土を喪った政府は倒れることになる。そのため、日中は海上警察力を尖閣諸島に捧げるポトラッチを続けざるを得ない。仕方がないが馬鹿馬鹿しい話である。



※ 猪間明俊「資源開発の立場から見た尖閣諸島問題」『世界 別冊816』(岩波書店 2011.4)pp.36-44
猪間さんの主張は興味深い。周辺海域には地質的に堆積物がたまるので、化石燃料が生まれる場所である。しかし、地層的に砂岩ではないので石油はない。あってもガス田であり、その埋蔵資源量はサハリン2よりも1桁以上は小さい。そのガスを経済的に運び出す方法がない。中国は、大陸側にある条件のよい場所で試掘しているが、ガスを発見できるのが4割であり、人件費が安い中国でも商業化できるのは1割であるというものだ。

※※ 質問主意書と答弁書は次のとおりである。
「一九九七年のいわゆる日中漁業協定における尖閣諸島の取り扱い等に関する質問主意書」http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a181009.htm
「衆議院議員浅野貴博君提出一九九七年のいわゆる日中漁業協定における尖閣諸島の取り扱い等に関する質問に対する答弁書」http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b181009.htm

   また「【佐藤優の眼光紙背】1997年11月11日付の小渕書簡があるため日本政府は尖閣諸島周辺の中国漁船を取り締まることができない」http://blogos.com/article/46928/では、条約に附属する文書として「漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定第6条(b)の水域に関する書簡」があることを紹介し、全文を提示している。
2013.03
24
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08:13
Category : 未分類
 横須賀教育隊は仕事でよく行ったが、大抵私有車で移動していた。教育隊は横須賀の総監部にぶら下がっているので、仕事と連絡と、怒られ要員でよく行った。仕事は教育隊と音楽隊の面倒を見ること。連絡は当時の施設庁監督官との打ち合わせ。怒られ要員は、土地が余っているので勝手に置かれた陸海空工事の、まあ産廃保管をどうにか引き伸ばすための、司令への土下座要員ね。仕事以下を書きだすと長くなるので、ここには書かないけどね。

 私有車移動なのは、官用車が1台しかないから。部課で持っていた官用車は1台だけだった。できれば米軍入構用にとっておきたい。なんせ官用車であれば、載っている人を含めてノーチェックで入れる。MTのコラムシフトだったので、運転できる海曹士・事務官技官も時期によるが3-4名しかいなかった。己も含めて幹部と幹部相当事務官が、略全員運転できるのは皮肉だった。実際、横須賀、船越、米軍に入るときは、ほとんど幹部が運転して行った。

 また、横須賀教育隊は特に官用車を避けたい理由があった。陸を含めて新兵さんが多いので、官用車だと間違いなく敬礼される。それに一々答礼するのが面倒なわけだ。しかも運転手が幹部だと、最先任者でペコペコ頭を下げるしかない。対して私有車なら、帽子を外しておけば、まず気づかれない。面倒な敬礼も答礼もしないので済むのが利点だった。

 自前で車とガソリンを使う点についても、実は大した問題もなかった。余徳があったので、充分にカバーできた。

 10年以上前の話なので口にするのだが、高速のチケットで充分に元がとれた。会計法規の時効は5年だからね。横須賀教育隊は三浦半島の反対側、武山にある。横須賀の総監部から山を超えて行かなければならない。まずは時間がかかって仕方がない。だから、中山有料道路と横横を使うことになっていた。その時には官用車も私有車もチケットを貰えた。でもねえ、実際には下道を走るわけだ。そのチケットを私用利用した。

 チケット代は、片道150+200円だったかな、その往復分。週末に自宅に帰るときになんかに使っていた。まずバレない。バレるとすれば強欲はって、下道で事故でも起こしたのに、その時にチケットを返納しないような場合かね。まあ余徳だと思っていたよ。換金していたわけでもないしね。横須賀時代の最後にはチケットが使いにくくなったので、今は無理だろう。

 下道を走る余裕もあった。何にせよ、当時の仕事は昼間、特に午前中には比較的余裕があった。幹部の仕事は課業やめ以降も続く。ほぼ例外なく残業で、帰るのは早くて夜の8時過ぎ(スーパーの営業時間に間に合う)、普通は10時、厳しい時期だと1-2時だった。己が横須賀教育隊に行くのは午前が多く、課業はじめ直後は向こうも忙しいので、下道を走るのは時間調整で調度良かった。ちなみに車輌運行票は市内なので公用車でも書かないので、その点での差はない。

 こういうこともあって、横須賀教育隊方面に行く時には、まず己と私有車だった。もともと武山の仕事は、略、己だけということもあったが、私有車があるのでついでに行ってくれという仕事も多かった。佐島と長井の漁協とかね。

 人事異動の際には、相模湾側への漁協には挨拶に行った。武山側、横須賀教育隊の海面使用は微々たるもの、漁業権滅失が桟橋の投影面積の20平米程度の小便みたいな面積だったが、挨拶は結構やっていた。この時は、上司に干物を買わせるのが常だった。理由は「美味しいから」だけどね。確か、南極の氷も持っていったような気もする。これも横須賀東部漁協と話すときの準備。何かの時に「海軍は武山でも毎回挨拶に来るよ」とでも言ってもらえれば、まあ多少の信用にもなるだろうということだ。

 選んで私有車を使うことは他にもあった。土地の買収や埋め立てほか、自衛隊が動いていることがバレると塩梅が悪い時には、部長級(1佐)を乗せて私有車で行った。部長級は背広。己は現場代理人あたりをイメージした作業服っぽい服装。関東自動車の土地買収の時には、その関東自動車や市役所、登記所、財務局事務所にはそういう態勢で、しかも多少遠回りして逆方向から到着した。周辺対策もそう。護衛艦の騒音が思わぬ遠距離に届いていた時には、大事になる前に事実確認と処理ということで、夜に同じような服装で行った。

 1佐2佐でも自転車乗って行ったり、偽装半分・私用半分で籠にスーパーで買った大根や葱を乗せたりね。自転車でも己は別道で移動して、別の入り口から入るのだけれども、総監部に戻ったときにはかご見て笑ったよ。定年寸前の2佐上司は「わし一人でいくけん」と単身徒歩で出て行ったこともあった。これも半ばはギャグで、雨の中、嬉々として背広に傘とゴム長、合切袋に議事録とCAD図面と記憶媒体(USBメモリの最初の時期)持っていた。どう見ても、田舎から息子に会いに上京した親爺だった。ただねえ、昭和40年代の雰囲気だけどね。
2013.03
22
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20:25
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 だよもんさんや、JSFさんは「氷は輸送障害にならず、むしろ高速道路になる」と豪語してましたが、今の状況にはなんと仰るのですかね?


 択捉島への海上輸送が止まっている。「北方領土・択捉島で食糧難 流氷で貨物船が入港できず」によると、今年は流氷が多く、輸送船が接岸できないという。
北方領土・択捉島で、貨物船が流氷に阻まれて今月2日から入港できない状態が続いている。[中略]択捉島では、主な食料品はサハリン島からの貨物船輸送に頼る。悪天候や流氷の影響で船が着岸できないことはよくあるが、3週間近くも途絶えることは珍しいという。日本の気象庁によると、サハリンから北方領土の間のオホーツク海の大半がびっしりと流氷に覆われている。ノーボスチ通信によると、今年の流氷の面積は昨年よりも2割程度広いという。
北方領土・択捉島で食糧難 流氷で貨物船が入港できず『朝日新聞』(2013.3.22)http://www.asahi.com/international/update/0322/TKY201303220025.html


 オホーツク海内では流氷時期にはまともな海上輸送ができない。流氷を考慮した、耐氷グレードが高い船舶でも流氷状況次第では入港できない状況に陥いる。人員輸送や医薬品、最低限の必要物資であれば航空輸送で代替可能であるが、輸送力は船舶輸送の比ではない。

 この点は、昔も今も変わらない。オホーツク海に面した北方領土や千島列島、マガダンほかオホーツク沿岸諸都市は、春-秋に物資を集積し、冬は最低限の輸送で凌いでいた。

 この点を見ないで、冬の凍結は高速道路云々したのが、だよもんさんであり、JSFさんである。だよもんさんは
OCSだよもん‏@V2ypPq9SqY
あと、河川や海が凍結したらそのルートは輸送不能というが、だよもんの記憶が正しければ冬のソ連の川は高速道路で、戦時中も数多の陸軍が凍結した河川や海を自力で越えた記憶があるだよもんが
https://twitter.com/V2ypPq9SqY/status/27408470032
と言っている。また、JSFさんもそれを受け、だよもんさんの発言を引用した上に加えて、ロシアでは結氷は高速道路となると主張している
ロシアの「凍結した河川は高速道路」「バージ輸送」については参考になる記事を紹介して置きます。

東シベリアの交通・物流インフラ事情:日通総合研究所ロジスティクスレポートNo.12

ロシアでは冬季に凍結した河川はブルドーザーを用いて平らに整備し、高速道路として利用しています。毎年作るので地図にも記載されています。また河川が凍結していない時期はバージを用いた輸送が盛んで、バージキャリアと呼ばれる母船が北極海沿岸を回って河口付近でバージを降ろし、河川を遡らせて貨物を輸送します。
http://obiekt.seesaa.net/article/168568004.html


 しかし、実際には結氷はロシア側輸送を有利にする要素ではなく、輸送を阻害する要素である。だよもんさんやJSFさんが主張していたことと事実と異なっていたということだ。

 だよもんさんやJSFさんの発言からは、お二人が輸送を理解していないことが窺える。結氷端での物資搭載や卸下は難しい。港湾の荷役機械が使えるわけでもないので効率は悪く、トラックから船舶に、船舶からトラックに荷物を移すことは容易ではない。また船舶搭載量である1000t、2000t、4000t、8000tの物資を運ぶトラックを集めることも難しく、経済。時間的に相当非効率であることも分からないのが、だよもんさんやJSFさんである。

 もともと極東ロシア/ソ連は、港湾能力が貧弱であり、対日侵攻に耐えうる輸送力を持っていない。ロシア/ソ連の輸送力はシベリア・バム鉄道沿線から離れると急速に減少する。平時であれば、サハリンまでは比較的安定した物資輸送が可能であるが、サハリン以東への輸送能力は、離島への連絡程度になる。サハリン以東は対日侵攻の根拠地にはならない。(サハリンでも厳しい)

 その上、冬季には海上輸送が止まる。オホーツク海に面した港湾では戦争を支えるような物資の受け入れも、物資の送り出しも、事実上不可能になる。※※ 輸送力からみても、ロシア/ソ連にとって北方領土は、大戦中の日本にとってのガダルカナルと同じ輸送限界にある。その上、冬季結氷ほか(例えば、低気圧通過や夏季の濃霧)でも輸送は阻害される。

 対日侵攻に耐える輸送力や港湾、海象や気象を無視してロシアは対日上陸できるとする結論を出した点は、今から見ても呆れるものである。兵站を支える大宗である輸送能力を無視する。その上、空挺(だよもんさんね)や新型揚陸艦(JSFさんね)といったアイテムだけを出して「日本の海岸線に取り付ける」と言い、侵攻可能と主張したのは、アサハカなものである。



※ 他にも低気圧通過時や、夏の濃霧時期も海上輸送・航空輸送は制限を受ける。
※※ だよもんさんはhttps://twitter.com/V2ypPq9SqY/status/27487460614でサハリンや北方領土に物資を集積すればいいというが、仮に集積できても、送り出せなければ意味は無い。しかも、集積そのものも輸送力や経済力の限界があり、難しい。
2013.03
22
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06:37
Category : 未分類
 21日に神保町の高岡書店でフライング入手したのです。

 基本的に『夜逃げ屋本舗』かなと。まあ、帝国のビックリドッキリメカや戦術がメインなのは仕方ない。そのなかで主人公とヒロインが運送屋を開業するという話なので、少々霞んだ感じがします。

 夜逃げ屋の仕事が5巻の肝になっています。隠れ先を準備して、荷物を梱包搭載すれば夜逃げ屋の仕事は9割終わりです。その後に荷物を託された、まず運送屋である主人公とヒロインは、今回は脇役だということです。

 国民党が台湾に脱出するから、故宮から文物を運んで頂戴という話で、清明上河図(北京に残ったけど)を運ぶ状況ですか。

 ヤマはコンスタンディノス11世さんのシーンでしょう。城下町を守るために活躍するところがクライマックスになってます。クライマックスは、比較的早く真ん中です。その後は、淡々と第二部への準備といったあたりかと。

 なんにせよ第二部を期待して良いとのことです。第一部の終わり方が次につながりやすい点、また作者の森岡さんも健康を取り戻したという話もありますので、割りと早期に出るように見えます。

 もちろん、また暫く待つことになる可能性もありますが、粗製濫造されるよりも、間隔が開いていいので、面白い話を出してくれたほうがいいのではないですかね。
2013.03
21
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13:00
Category : ミリタリー
 戦闘機の数はどうせ減るから、練習機を軽攻撃や簡易な防空に使えるようにすべきではないか?

 戦闘機の数はいずれ減る。戦闘機は新しくなるたびに価格が上がる。F-104は1機5億であったが、F-4で30億、F-15で100億になった。その次のF-2では、実態はF-15の半額だったF-16であるのにやはり100億になった。F-35も条件をいろいろ誤魔化して同じ価格帯にしているが、いずれは高くなる。そして防衛費は増えず、財政悪化からむしろ減る方向にある。戦闘機の数はいずれ減ることになる。※

 機体の数が減ると、副次的な任務には突っ込めない。戦闘機は空自が大好きな空対空戦闘や航空撃滅戦に回されて、対艦攻撃や対地攻撃に投入する数は減らされる。

 副次的な対艦攻撃や対地攻撃の任務には、練習機を投入できるようにしておいたほうがいいのではないか。実際に、練習機を戦闘任務に投入できるようにしている例もある。英国のホークや、イタリアのM346、古いがアルファジェットもそのようにデザインされている。

 中露海軍や、それに護衛される船団が相手であれば、対艦攻撃はそれほど危険性もない。P-3やP-1からミサイルで攻撃するのと変わらない。相手にエアカバーがあっても、それは戦闘機を同伴させればよい。

 対地攻撃も、陸が危険性を強調しているゲリコマ程度なら大した問題もない。持ってきても携SAMである。フレアでも撒けばいいだろう。相手が本格的な防空火力をもつ陸戦部隊が相手となると厄介かもしれない。それでも危険性は、戦闘機を対地攻撃に使うのと大差もない。

 ジェット練習機であれば、簡易な防空にも使える。主正面ではない、例えば関東、中京、関西の太平洋岸であれば、練習機で対処できないこともない。M2とサイドワインダーでも積んでおけば、ターボプロップ相手であれば領域警備程度はできる。

 T-4の後継は、武装可能な練習機にしたほうがよい。機体の性能もシビアに作っておいて、ソフトウェアで味付けすれば済む。極端な話、プログラムで練習機モードと実用機モードを作っておいて、教育用としては安定性を重視した練習機モードで、戦闘時や、パイロットの飛行時間消化は実用機モードで行うようにすれば、練習機と実用機の両立も可能になる。



※ 実際には、周辺国の戦闘機も数が減るので大した問題はない。戦闘機が高くなり、数が揃えられないのは、日本だけの問題ではない。日本と軍拡のゲームをしている中国にしても、最新鋭機は全然数が揃わない。すでに脅威でもないロシアにしても同じである。
2013.03
20
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00:30
Category : 未分類
 道徳みたいな、どうでもいい授業をするため土曜日授業する甲斐もないだろうね。

 ニュースの「学校週6日制、土曜の『道徳』『総合』案を軸に」http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130318-OYT1T01571.htm?from=ylistなんだが、要は子供を遊ばせないで学校に拘束したいだけではないのか。

 構想としては、保守がよく主張する、アンチゆとり教育なのだろう。学力低下云々やら、直接関係はないものの、学級崩壊やらを、学校による統制が足りない結果と見たアレだ。

 安倍政権発足当時には、武道やらスポーツやらせて、子供を馴致して従順にしようとしていた。ま、体罰で全部パァになっていい気味だったがね。集団スポーツやらせると、集団で悪さするからロクなもんじゃない。

 学力が足りないなら、今の授業時間数で国語・数学・外国語に時間を突っ込めばいいだけの話だ。だいたい、道徳やら総合、体育や音楽みたいにどうでもいい学科やっていれば、授業時間数時間は足りなくなる。運動会だの合唱祭だのを準備含めてやっているから時間が足りなくなる。その半分でも勉強に回せば、別に土曜日授業する必要もないだろう。

 土曜日授業なんて、実際に学校にいる人間は誰も得しないんじゃないかな。学校の先生も公務員だから、週休二日が原則だが、そこでの整合性もない。授業スケジュール次第では、代休も確保できない。生徒にしたところで、土日の2日空いていれば、当座はゲームしていてもいずれ何かやる。それが遊びか、勉強か、趣味かはともかく、その機会も増えるだろう。

 なんにせよ記事中に「義家弘介政務官」とあると、胡散臭い内容だと疑ってしまうよ。もともとバーチャル社会から子どもを守る会やら教育再生会議みたいな所の常連で、後ろ向きの、昔への回帰を主張するだけ。政務官になっても、教科書無償措置法とかいうどうでもいい法律もってきて「作る会の教科書使え」と、教育委員会に圧力かけたり※※ と、機械じかけの右翼みたいな行動しているからねえ。教条的な田舎の道徳家かね。



※ 学校週6日制、土曜の『道徳』『総合』案を軸に」『YOMIURI ONLINE』(読売新聞,2013.3.19)http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130318-OYT1T01571.htm?from=ylist

※※ 「教科書採択:沖縄・竹富町教委に是正要求も 文科政務官」『毎日JP』(毎日新聞,2013.3.2)http://mainichi.jp/select/news/20130302k0000m040136000c.html
   「[教科書に]東京書籍版を採択した竹富町教育委員会に対し、[義家弘介政務官は]答申通り、保守系の育鵬社版を使用するよう求めた。」
2013.03
19
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13:00
Category : ミリタリー
 戦争中、米潜水艦にいいようにやられたのは、日本レーダ技術が未熟だったせいもあるのではないか。潜航中の潜水艦にいいようにやられたのはソーナーや対潜兵器の能力不足である。だが、攻撃後の潜水艦が船団を先回りし、再攻撃や再々攻撃を許したのは、レーダ技術が未熟であったせいではないのか。

 日本船団にとって、航空機よりも潜水艦のほうが厄介だった。航空機は強力な攻撃力を持っていたが、魚雷や少数の魚雷を使えば大したことはない。15分も経てば居なくなる。しかし、潜水艦はズーっとついてくる。1回発見されれば、それこそ船団が壊滅するまで追いかけられる。

 大戦型の低速潜水艦で船団を追いかけられる理由は、水上航行を行ったためである。潜水艦の水中速力は最大8kt程度であり、その場合、電池は1時間も持たない。一応は10kt程度出る船団速力よりも遅い。しかし、浮上して水上航行をすれば20kt程度は出る。潜水艦は水上航行を行い、船団を先回りして射点について攻撃し、離脱後に水上航行で先回りした。

 この先回りを許さなければ、船団被害は小さくなった。戦争中の米潜水艦は、攻撃後、安全距離まで離脱してから浮上し、ディーゼルエンジンで先回りをおこなった。仮に日本側レーダ技術がヨリ発展し、普及していれば、潜水艦は遠くまで離れないとウカウカと浮上できない。より遠回りを強要されるし、先回りそのものが難しくなる。また、浮上してもレーダ波を感知すればまた潜航しなければならない。これでも先回りが難しくなる。

 実際に、日米のレーダ技術は隔絶していた。米潜水艦がレーダで船団を探しているのに対して、日本側はレーダの活用が相当に遅れた。仮に、護衛艦艇へのレーダ搭載と応用が進んでいれば、同じ潜水艦に何回も攻撃される事態は減っていただろう。
2013.03
19
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06:03
Category : ミリタリー
「弾丸」http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%BE%E4%B8%B8 の項目みていたら

・「対人スチール・コア弾」の見出しで
「ボディアーマーを着用した部位と着用していない部位をともに効率よく破壊できる弾薬として開発されたのが、旧ソ連で採用された5.45x39mm弾である。」
というのはオカシイと思った。

 小口径弾薬は携行量増加とマイルドな反動を確保するため。鉄芯使うのはまずはコストダウンが目的だろう。時代的に、ボディアーマー貫通はそれほど意識してない。貫通を狙うなら、大中口径での強装を使う。横転して組織破壊も、最初からそれを狙った効果でもなかろう。

「5.45x39mm弾」http://ja.wikipedia.org/wiki/5.45x39mm%E5%BC%BE の項目をみると
「そこで弾頭の内部に空洞を作り、ソフト・ターゲット命中時に弾頭の横転を引き起こす構造を採った。」 も胡散臭く見える

 80年代初頭にはプロパガンダの意図もあってか、殺傷能力を増やすためと言われていたが、単に製法上の問題じゃないかと思う。 横転効果はあるものの、それこそボディアーマーの上で横転したら、貫通力なんてあったものでもない。

 ちなみに英語版の「5.45×39mm」http://en.wikipedia.org/wiki/5.45%C3%9739mm だと
・Wounding effects
”Some Western authorities believed this bullet was designed to tumble in flesh to increase wounding potential. ”と「障害効果は狙ったものだよ説」を「一書に曰く」としている。この辺りが妥当な表現ではないのかな。
2013.03
17
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13:00
Category : 昭和の新聞
 中国が全面抗日に踏み切った上海事変前後の新聞読んだのが。当時の日本側観測は尽く的外れになっている。「蒋介石は負けると権威を失う、だから戦争に踏み切れない」とか「南京が陥落したので蒋の権威は低下している。実際に、国民政府の中で汪精衛がフラフラしている」日本側はそう見ている。

 しかし実際のところ、蒋介石は日本と戦う度に名声と権力はパワーアップしている。家近亮子さんが『蒋介石の外交戦略と日中戦争』で主張していることだが、蒋介石は日本と戦うことで強力になる。対日戦が負け戦であることは関係がない。対日戦を決意したことと、日本との戦闘を続けていることで、国民政府での権力集中を実現している。同時に国際社会での名声も挙げている。最後には連合国の巨頭にもなれた。戦後は国際連合の常任理事国になっている。

 問題は、国民党への中国国民支持がアレだった点だね。地方での土豪支配や地主支配、末端の腐敗で共産党に負けたわけだ。

 しかし、中国人民による、蒋介石自体への支持はなかなかのものだった。負け戦でも抗日を続ける限り、国民支持は続いたというわけだ。

 とはいえ、蒋介石も最初から「負け戦でも」とは考えていない。上海事変は勝てると踏んでいた様子である。

 東北や華北では日本軍に勝てないが、長江デルタなら日本軍に勝てる可能性は高い。東北や華北には、中国側に輸送も生産力もない。しかも日本側が有利になる運動戦の余地も大きい。しかし、長江デルタであれば、輸送力も生産力も高く、運動戦の余地も小さくできる。

 中国側にとって上海事変は、勝てると踏んで行った決戦なわけだ。長江デルタなら大兵力の運用可能で、力押しすれば勝てると踏んだのだろう。南京から上海にかけての長江デルタは開発が進んでいる。人口稠密な経済先進地帯であり、交通網や生産能力も高い。中国も全国から大兵力を集中できるし、兵站問題も深刻ではない。

 日本も決戦に乗らざるを得ない。なんせ、上海租界は日本にとっても核心的利益である。どうでもいい華北、ほぼ同じ時期にホットだった天津あたりとは比べ物にならないほど重要だったわけだからねえ。

 このあたり、蒋さんがどう決心したかは、今のところ筆写しかできない蒋介石日記が刊行されれば分かるんだろうけど。

 新聞でのオマケ発見としては、北支の陣中で還暦寸前の中佐がいるという記事があった。陸士13期で、現役の同期は前陸相の大将1人だけという話。ナショナリズムに目覚めた中国人の抵抗を「日露戦争よりキツイね」と評していたよ。まあ、日華事変は気楽な戦争ではないということだ。
2013.03
16
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19:47
Category : 未分類
 確認すれば分かる話なのに、確認しないのはナンだと思う。桜林美佐さんの「銃砲弾火薬メーカーを襲った恐怖…響き渡る悲鳴」※ だが、事実確認をしていない様子である。
 桜林さんは「『12・7ミリ』という数字を聞いて、すぐにピンとくる人は軍事通といえるだろう。12・7ミリ重機関銃(機銃とも呼ぶ)。かつて零戦にも搭載されていたものだ。」(桜林)と書いている。しかし、零戦に12.7mmは搭載していない。陸軍の12.7mmも弾薬は違う。このあたりは、一回ググるだけで確認できる話であるが、それもしていないわけだ。

 M2系列の話をしたいのだろうが、製造元は住重であり、取材対象である日本工機で作っているのは弾薬である。その上、M2や12.7mm×99の話は本筋と一切関係しない。「この銃弾を製造している日本工機は、福島県にある。今回の震災では、12・7のラインがとりわけ大きな被害を受けた。」(桜林)とあるが、孤立した内容である。

 武器等製造法の中身についても確認していない様子である。火気管理と結びつけようとしているが、武器等製造法は関係しない。「『最も怖いのは火が出ることです』という関係者の言葉通り、どんなことが起きても火の気を断つことが何より大事だ。そのために、同社のような銃砲弾火薬メーカーは、平素から火薬類取締法や武器等製造法などにより厳しい規制を受けている。」(桜林)とあるが、火気制限が関連するのは火薬類取締法の方だけである。武器等製造法は、武器の類を作る上での届出と認可であり、管理面に関しては防犯程度しかない。

 連載シリーズである「誰かのために」は、確認作業が相当にいい加減であり、この手の誤りは容易に発見できる。

 例えばタクアン漬けの大きさである。「日本一ドラマティックな『タクアン缶詰』」※※ では、「大根の繊維が少しでも残っていたらNG、幅や高さは極めて厳密で、当然、機械では切ることができず手作業で行う。いびつな形の大根の歩留まりが小さいことも覚悟しなければならない。」(桜林)とあるが、タクアン漬に入っているタクアンは、高さは缶に合わせているものの、大きさに相当の異同がある。横潜基から出てきた潜水艦の賞味期限切れを何回か缶詰処理で食ったが、市販品の漬物の方が、寸法の同一性は高い。

 タクアン漬けでは、確認作業を怠るという問題に加えて、プロであれば持つべき問題意識に欠けている点も覗える。

 桜林さんは、自衛隊納入のタクアン漬けを高性能であると主張している。「自衛隊のタクアンは、日本一安くて日本一検査が厳しいが、日本一ドラマティック!」(桜林)と述べている。

 しかし、タクアン漬の缶詰にそれほどの高性能が必要なのだろうか? 

 今のタクアン漬には価格を下げる余地はなく、一番安い状態であるのだろうか?

 逆に、タクアン漬がそれほど高性能である必要性を疑うべきではないのか。タクアン漬けは缶詰であり、味と内容量が確保されれば良い。無駄な仕様や検査によって、大根の歩留まりを下げ、寸法規格程度で廃棄を命じるのであれば、その基準を下げて、単価を安くすべきである。

 しかし、桜林さんには、そのような視点はない。防衛省が購入する日本製製品は高級高品質であると称賛するだけで、その高品質(と高価格)必要かといった問いは一切見られない。木で作ればいいものを鉄で作り、鉄で作ればいいものを金銀で作っているような問題に、桜林さんは一切気づかないだろう。

 桜林さんはアイドルに盲目となったファンのようなものだ。自衛隊スゴイ、防衛産業スゴイと言うだけで、主張には内実を伴わない。その文章は確認を怠り、持つべき疑問を持たない。その上で、贔屓の引き倒しまでしている。片思いを寄せられた防衛行政や産業にとっては有難迷惑なのだろう。



※ 桜林美佐「銃砲弾火薬メーカーを襲った恐怖…響き渡る悲鳴」http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110906/dms1109060655003-n1.htm 

※※ 桜林美佐「日本一ドラマティックな『タクアン缶詰』」http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110920/dms1109200830003-n1.htm
2013.03
15
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13:00
Category : ナショナリズム
 ミリタリー・バランスの最新刊が出たとのこと。高価になってしまい、そう使うわけでもなし、個人で買うものでもなくなったからね。昔は和訳3500円とかだったのだけれども。

 その総括部分で「北朝鮮は今年中に韓国に対して挑発的な攻撃を行う可能性が高い」※とのこと。

 だが、挑発的攻撃をやったからといって、半島情勢がどう変わるということもないのではないか。

 南北は昔から緊張と緩和を繰り返している。冷戦が終わるまで、南北は緊張、冷戦終結から緩和というわけでもない。例えば、冷戦期の1972年日中国交回復のあたりで南北平和統一に関する共同声明※※ とか出ている。また、冷戦終結以降でも、潜水艇による浸透や砲撃、艦艇攻撃も行われている。

 挑発的攻撃があっても、いつもの緊張と緩和のサイクルに収まる程度の変調である。朝鮮戦争のような南北熱戦には至らないだろう。

 まず、北朝鮮に全面戦争を起こすメリットはない。今の北朝鮮は体制維持を目的としている。韓国・西側に飲み込まれないように努力している。この状況で、ボロ負け確定の南進を行う選択肢はない。

 韓国も、今のところは北進を望まない。北朝鮮を屈服させることはできるが、その過程では喪うものが多すぎる。優先すべきは経済的に厳しい状況の打開である。

 挑発的攻撃があっても韓国の政策は変わらない。専門家の木宮先生(己は先生の「朝鮮半島研究」を履修したよ)が言っている§ ように、北朝鮮を国際政治の常識内に引き込むことは変わらない。木宮先生は「大統領選挙に韓国の政治外交の行方」で次のように述べている。
[右派左派を問わず韓国の政権は]北朝鮮の対応に応じて、一方で関与を強めてから、北朝鮮を南北関係の枠内に引き込み、北朝鮮の行動をある一定の範囲に統制する[しかない]
木宮正史「大統領選挙に韓国の政治外交の行方」『東亜』(霞山会,2013.2)pp.30-37
実際に韓国にが取れるオプションはこれだけだろう。他に現実的な策はない。

 仮に挑発的攻撃があっても、南北関係は変わらない。南北とも採用可能な行動は、ここ40年の緊張と緩和で動いた範囲に収まる。北にしても、エスカレーションの結果として、継続的な局地戦となるような挑発はできない。

 北の経済力や兵站では、泥沼の局地戦を持続させることはできない。おそらく、68年の青瓦台襲撃のようなこともできない。

 南も、挑発があっても、南北関係を対立時代に戻すつもりもない。韓国の目的は、南北関係を安定化させることにある。北朝鮮をそこから追い出すような選択はしない。挑発的攻撃の結果、韓国が北朝鮮への態度を強硬にするにしても、右派にいい顔をする程度の、国内政治を向いた味付け程度に過ぎない。



※ 「北朝鮮、今年中に韓国に挑発攻撃か 英シンクタンク発表」(2013.3.15,AFP)http://www.afpbb.com/article/politics/2933994/10438307 からの孫引き

※※ 「平和的に南北統一」『朝日新聞』(1972.7.4,朝日新聞)夕刊,p.1

§ 木宮正史「大統領選挙に韓国の政治外交の行方」『東亜』(霞山会,2013.2)pp.30-37
2013.03
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21:55
Category : 有職故実
 朝日新聞の投書欄、「声」で見つけた「大学生たちどこへ行く」※ なのだが。当世の学生気質を嘆くアレなステロタイプのもの。

まず「就職難の時代である」と前置きして曰く

・ アルバイトや遊興をしない
・ 就職に備えて一年生の時から勉強している
・ 先輩の話を熱心に聞くと思ったら就職活動についてばかり

いつものパターンのあとに、決定打

・ 政治や社会問題への鋭い声が聴こえない

とある。

 ちなみに、昭和52年の新聞。おそらく、昭和42年や32年、12年あたりにも有りそうな投書。今の還暦親爺どもには「当世の学生は就職のことばかりで、政治や社会に…」という権利はなさそうだねえと。

 さらに香ばしいのは、投稿主が24歳というとこ。2つ3つ歳上の男が、大学生に対して、最近流行りの言葉だと「上から目線」なのが戯画的である。

 最近の若い奴は挨拶しないとか、礼儀が云々のような、この手の投稿は昔からある。載せてもらうための、世間に対する迎合的な作文だね。郷原は徳の賊なりというアレだ。

※ (投稿者は秘す)「大学生たちどこへ行く」『朝日新聞』(1977.1.1)p.5
2013.03
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Category : ミリタリー
 M60戦車改修キット(米国L-3社)の記事がIDRにあったのだが、普通に「オートマのディーゼルに交換」「油気圧サスペンションに交換」とある。普通にできるわけだ。「74式は足回りが悪い、エンジンや油気圧の生産ラインは既にないので改修できない」って理屈はなんだかと思ったよ。

 IDRの1月号にフォスさんの「L-3 CPS Develop M60 Upgrade」※ って記事を見つけた。
・ エンジンをAVDS-1790-2、20気筒ディーゼルに交換、トランスミッションをGMのオートマにする
・ トーションバーをL-3 CPS 3870 油気圧サスペンションに交換
・ L-7 105mm砲を120mm滑腔砲に交換、FCSをレイセオンのIFCSに換える。
・ 砲塔上部に25mmリモコン機銃と、新型の12.7mm機銃(QCB?)を追加
 というもの

 これを見ても、74式の足回りが改修できないって話は眉唾だなということが分かるね。もちろん、L-3以前から旧式戦車のエンジン交換や油気圧懸架化の話はある。別の本のアップグレード関係の記事や広告を見ても「油気圧サスペンション改修、承り桝」みたいな内容もあった。

 74式ができないという話の大元も、官僚の作文あたりだろうね。実際には、三菱でも、それ以外の企業でも、74式は容易に改修できた。しかし、それが「できる」と認めると老朽更新は成り立たない。だから「できない」と言い張ったわけだ。

 そして不調のエンジンやサスペンションを放置した。金出せば新型品と交換できたのだが、それをやると老朽更新が立たない。だから、そのままで放置した。なんで放置するのかという話があっても、予算要求で立てたロジックで、自己の組織内も騙したのだろう。航空機や艦艇ではないことなのだがね。

 保管装備にできるなら、交換してもいいと思うのだけれどもね。戦車は400輌になるので、余剰の74式は廃棄する。だが、本土防衛程度やゲリラ・コマンド対策位の任務なら、74式でも充分である。もっとシンプルに、単純に基地警備用の動くトーチカとして、取っておいても悪く無い。別に大砲やFCSや装甲はそのままでいいから、足廻りだけ更新して動くようにする程度だ。戦車もどきの、過剰品質な機動戦闘車なんか作るよりも、開発費もかからない上に、調達コストも安い。

 今作れば、エンジンも油気圧も、オリジナルよりは品質的に相当に向上する。74式のエンジンは、高速艇用の12ZC系列で、飛行機用の誉みたいなものだ。見た目の性能は良いが、トラブルが多く整備性が悪く、掃海艇では酷評されていた。油気圧サスペンションも姿勢制御みたいな曲芸を可能にしたが、やはり耐久性や整備性で今様のものに劣る。姿勢制御なんか取っ払った奴にすれば、相当に使いやすくなると思うよ。



※ Foss,Cristpher F"L-3 CPS Develop M60 Upgrade""Jane's International Defence Review"(IHS,2013.1)p.12
2013.03
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23:26
Category : 有職故実
 いまさらだけどね。

 Pと雪歩が、闇物資の買い出しに行く話がね。東京洲崎の七六五楼を出て、入間、館林、野田を旅する話なんだけど、世相がね。昭和20年春、既に物資の底をついた東京から田舎に闇物資を買いに行く、いつもの所に挨拶がてら、増量を頼みに行くのだけれども。田舎は食べ物にあふれている。田舎の農家は白米を食べていて、ありあまる米で甘酒を、どぶろくを作っている。

 そこに響ルートで入手した黒砂糖、伊織ルートで入手した衛生用のサックを持っていく。最初はPの情婦気取りの春香が一緒に行きたがったのだけれども。遣手のピヨ姐さんに「お春、オマエは、お白粉臭くて駄目だよ。歩き方からソレ者じゃないか」と言われてショボンとするところとかね。

 堅気の風をした雪歩が「お雪、お前はまともに稼がないんだから、たまには働け」と言われてPに連いて行く。しかし、最初から厳しい展開。まず、上野の駅の、厳しい目をした戦災孤児に、世間知らずの雪歩はたじろぐ。せがまれて、また心優しい女でもあるので憐憫もあって、お弁当の、サラの白米で作ったおにぎりを渡そうとする。だが、孤児の群れにに荷物ごと奪われてしまう。呆然とする雪歩がいい。

 汽車の中も雰囲気が変わっている。昭和15年、16年とは違う。明らかに廃兵であるPに席を譲ろうという人はいない。既に経済警察の取締は始まっている。雪歩の荷物に手をつけられる寸前で汽車が動き出して取締が終わるところは、前半のクライマックスです。誰も死なない話しなのにサスペンスで、緊張して見入ってしまうところです。

 田舎に行くと、食べ物があふれている。入間にはお茶があふれている。野田には醤油があふれている。館林にはこんにゃくがあふれている。肉はないものの、川で捕れた鯉やうなぎがある。東京市内ではどこを探しても見つからない食べ物がいくらでもある。

 座敷には、東京の人が持ってきた絹の晴れ着が何枚も無造作に置いてある。大農の家では酒盛りをしていて、飽食の上にドブロクを飲み過ぎた農民が泥酔し、庭先に嘔吐している。雪歩は上野の戦災孤児との落差に愕然とする。黒砂糖やサックで人の顔色が変わる、その醜さにもアテられる雪歩。

 今後の物々交換の渡りをつけた上に、手荷物一杯のおみやげを貰った2人は帰りの汽車に乗る。汽車の中は乗客で一杯になっており、みんな明らかに下り列車とは違う大きな手荷物を持っている。汽車が荒川を渡る寸前に突然止まり、経済警察の手入れが始まる。Pと同じ中支で息子が死んだという、同席した地元の爺様の後をついて、何事もなかったように汽車から逃げ出したPと雪歩だが、あと一歩の所で警察に捕まってしまう。

 巡査に遂に荷物を改められる。中身について説諭され、没収されるようとする。その寸前に、あの男嫌いの雪歩が、若い警官の手を引き、胸を触らせて色仕掛けをしかけるのだが駄目。

 全てを没収されるその時に、隠れていた中年の警官が巡査を追っ払う。そして雪歩の方に近づいてくる。雪歩には生理的な嫌悪感をもった顔つきにしか見えない。雪歩の方に伸びてくる手。Pにしがみつき、穴に落ちるかのようにしゃがみこんでしまう。

 しかし、よく見ると右手の指の数が足りない。その手はPの肩に伸びて、久しぶりだなとの挨拶。Pと同じ中隊の班長だった男。兵と下士官の落差や、逆に高蚕出と警官の差があるものの、中隊の誼と傷痍軍人としての連帯感で救ってくれる。

 しかし、爺様は助けられない。その全ての米穀を没収される姿を見て、父のない孫のために米を手に入れようとした爺様の姿をみて、雪歩は別の涙を浮かべるところがねえ。切ないけどいい話だよね。

 あとは、やよいの弟、長助の話も良かった。長介が家の自転車を盗まれる話。東京市内を探しまわる話なんだが、万策尽き、途方に暮れた長介が他人の自転車を盗んでお縄になる。これも涙なしには見られない話だったが、ちょっとアギトイまでのお涙頂戴にも見えたよ。



 コミケの時に書いて放棄したのを見っけたので、手入れてアップしました、ハイ。
2013.03
11
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 日本製は対戦車地雷への対応試験をしない、できない点で、欧州メーカに劣る様子。

 欧州標準委員会の地雷処理器材評価試験では、対戦車地雷対策についても試験される。「平成17年の対人地雷処理技術の動向に関する実態調査」※ でCWA(欧州標準委員会のワークショップ)試験として紹介されているものであるが、対戦車地雷に相当するTNT8kgの実爆が含まれている。

 日本製地雷処理器材は、この試験を行なっていない。日本製器材は「対人地雷用なので必要ない」「無人型なので問題ない」と判断したようである。

 しかし、この試験に対応していない点で、日本製への評価が低くなっている様子である。地雷処理器材選定ではCWA試験での評価が大きく影響する。地雷処理件数の過半は、クロアチアや、アフリカのヨーロッパ旧植民地といった欧州やその影響圏で行われている。件数が多いため、欧州が本場であり、選定プロセスでの器材評価でも、CWA試験が最も影響を持つ。

 既述の「平成17年の対人地雷処理技術の動向に関する実態調査」でも、その点に焦点があてられている。「なぜ対戦車地雷への対策が必要であるか」について、具体的にCWA参加者へのインタビューで明らかにしている。

 ヒアリングを受けたCWA参加者は、対人地雷を対象とする地雷処理車輌であっても、対戦車地雷対策は必要としている。理由は、対人地雷だけの地雷原はないことと、無人であっても地雷原で擱座されると困るというものである。

 まず、対人地雷だけの地雷原は考えがたいとしている。実際には対戦車地雷があることは多い。対戦車地雷がなくとも、対人地雷が埋められているエリアには不発弾ほかの問題もある。回答は、操縦者の安全を確保するためには、対戦車地雷相当の試験は必要であるとしている。

 また、無人器材であっても、擱座するような器材では困るとしている。擱座したときに、地雷原の中で回収するのは難しい。高価な車輌であるので見捨てるわけにもいかないというものだ。

 CWA試験で対戦車地雷防護を行うことは、理由として妥当であるだろう。それを実施していない日本製地雷処理器材は、能力を低く見積もられても仕方がない。

 しかし、なぜ試験を行なっていないのかを疑うと、日本製器材は「試験を行わない」※※ のではなく、「試験に耐えられない」のではないかという疑問も湧く。各メーカー、コマツ、川崎重工、山梨日立建機§ があるが、いずれも地雷除去アタッチメント部分での爆発でも対戦車地雷に耐えられるかどうかは難しく見える。

 日本製はおそらく華奢で、対戦車地雷相当の試験ができないのではないか。日本製の商用地雷処理機剤が、一部の国でしか運用されていない理由もこのあたりにあるように見える。どのメーカを見ても、カンボジア、アフガン、モザンピークでの実績しかない。日本のヒモ付き援助でしか採用されていないようにも見える。言い方が悪い上に、器材やそれを作ったひとの志は別な話であると断った上で言えばそういった辺である。

 日本製器材は万邦無比のように報道されるが§§ 日本の紐付き援助でしか使われないのが、日本製商用地雷処理器材の実力ではないだろうか。商用地雷処理器材は日本製だけではない。世界標準はドイツのMinewolf社であり、スロバキアのWAY社、英国のAardvark Clear Mine、フィンランドのPatria Vehicle社であるようにみえる。§§§


※ 三菱総研「平成17年度汎用技術実態調査報告書(対人地雷処理技術の動向に関する実態調査)」(2006.3)

※※ TNTを用いた試験が難しいのかもしれないが

§ 調査で日本製として出てくる「フルカワ」、多分、古河が検索しても出て来なかった
§§ このあたり、F-2や10式戦車のファン心理に似たものを感じるわけだがね。技術的な部分でもナショナリズムにアテられている感じか。

§§§ 援助に応じた特殊権益としての採用という部分は、欧州の会社にも当てはまるだろうけどね。
2013.03
09
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13:00
Category : ミリタリー
 前々から言っていることだが、中国ができる行動を見ても、日本本土上陸はない。中国に対日侵攻の意図はないが、仮に気変わりしたとしても、中国による対日侵攻というのは能力的に無理がある。

 目黒で出している本を読んでたら「中国が1回で運べる兵力って1ヶ旅団程度じゃね」って記述があった。コステクカさんの「FROM THE SEA」を訳した記事※ なんだが。LSMとLSTを沿岸部や南シナ海の、小さい島嶼の取り合いにしか使えないよと言っている。また、将来完成する揚陸艦を勘定しても、1ヶ旅団程度だろうねと言っている。

 在来型揚陸艦への評価を要約すると「在来のLST/LSMは、金門、馬祖や南沙や西沙、中沙あたりなら使えるだろうね」といったものだ。
中国は現状のLSTとLSMからなる兵力を、台湾の沖合の島々(おそらく金門又は馬祖)又はベトナムやフィリピンと領有を争う南シナ海の島嶼への進攻シナリオに用いることはできるだろう。けれども、LST等は喫水が浅く、航空装備が劣ることから(LSTはヘリコプター着陸パッドを有するが、格納庫は持たない)、中国の沿岸部を超えた珊瑚島嶼作戦には最適とは言えず、東アジアを越える長距離遠征作戦や、人道支援や災害救難(HA/DR)といった非伝統的な安全保障作戦にはまったく適していない
コステクカ、ダニエル「フロム・ザ・シー」『海幹校戦略研究』(2012.8)p.56


 将来、建造されるだろう艦艇をかき集めたとしても「新型の071(Yuzhao)6隻、建造が噂されている081が3隻集めて、まず5000人内外の海兵旅団程度かな」程度である。
081 型LHD3隻、071型LPD6隻は中国海軍の将来の長距離強襲揚陸部隊の予測の上限を示しているのであろう。この大きさの部隊は、中国海軍が、そのような編成を望むのであれば、米国スタイルの3つの遠征打撃グループに近いものを配備することを可能にする。これは印象的に聞こえるが、実際には、わずか4500名から 6500 名の兵力、すなわち、南海艦隊に二つある海兵旅団の 1 つを輸送するに足るに過ぎない。
コステクカ、ダニエル「フロム・ザ・シー」『海幹校戦略研究』(2012.8)p.58


 コステクかさんは1ヶ旅団輸送の見積もりについても「稼動状態と輸送ヘリの数があるので、厳しいかもね」と言っている。
そのような見積もりは、これら艦艇の全てが稼動状態で完全な任務可能状態に同時にあることを仮定しているが、これはどん
な海軍でもめったに起こらないことだ。同様に特筆すべきは、そのような部隊は、任務の必要に応じて、全体で40から70機の各種ヘリコプターを運用する。しかし、中国海軍は全部で 35 機の回転翼航空機しか有しておらず、その大半は対潜戦や捜索救難に用いられる小型のZ-9又はKa-28ヘリコプターである45。中国海軍が現在保有する15機のZ-8中型輸送ヘリコプターでは、拡張された強襲揚陸部隊をサポートするには全くの不適格である。コステクカ、ダニエル「フロム・ザ・シー」『海幹校戦略研究』(2012.8)pp.58-59


 コステクカさんの見積もりを参考にしても、中国が物理的に日本本土上陸戦に指向できるのは、LSTと、Yuzhaoに限定されるということだ。中国に対日侵攻するつもりはない。それをあると仮定した上での検討をしてみても、LST以上でなければ難しい。コステクカさんはLSMを中国沿岸と南シナ海でしか使えないと見ている。外洋での運用が難しいからである。実際に、海象の厳しい日本近海までLSMを持っていくのは難しい。好天を選んで航海しないといけないし、それでも船足も遅いからである。日本侵攻にまずLSTクラス以上が必要となる。

 対日本土上陸戦を仮定しても、指向できる揚陸戦力は全く不足している。今の中国海軍が保有しているのは、LST×27隻とYuzhao×1隻(内2隻は建造中)足して27隻。輸送効率を50%とみなすと、3500人程度。将来的に、071型(Yuzhao)×6隻、081型×3隻が完成しても、今の3500人が8000-9000人に増える程度である。増えるのは生身の兵員だけで、マニアが好きな戦車や自走砲はほとんど増えない。日本本土侵攻には全く不足している。

 そして、コステクカさんも述べるように、稼働率や周辺器材不足の問題もある。稼働率は頑張ってどうにかするとしても、「中国海軍のヘリの数問題」は、揚陸時以外にも足を引っ張る。艦載ヘリが不足している点は、艦隊の船団護衛能力への疑問に繋がる。艦載ヘリが少ないことは、護衛部隊の側の海軍作戦能力も低いことを示しているからである。護衛部隊の対潜能力や対空能力も、日本に対して充分ではない。

 そもそも、中国海軍には日本本土揚陸戦を行うほどの数がない。揚陸艦35隻(27+8)も充分な数ではない。水上部隊にしても、その上陸部隊を護衛するのに充分ではない。直接護衛部隊と間接護衛部隊を準備できる数ではない。船団や艦隊の前路を哨戒する固定翼哨戒機も全く不足している。たどり着いた海岸で対機雷戦をする戦力も不充分である。

 日本側の海空戦力は強大である。その上、在日米軍もいる。その防備をかいくぐって日本本土に上陸できる戦力は中国にはない。もともと日本本土侵攻するつもりもないが、考えが変わっても実現不可能である。だいたい、いまの中国は国際協調路線からやや逸脱したせいで四面皆敵であって、日本侵攻に全力を尽くせる状況を作り出すことはまず無理である。



 まあ、LSMや商船、港湾直接侵攻といった、ゆとり上陸作戦には相当の無理があるということだね。

※ コステクカ、ダニエル、平山茂敏訳「フロム・ザ・シー」『海幹校戦略研究』(2012.8)
 しかし、印刷が印補隊なので、表紙もPPがないし、本文の紙質も悪い、英語の題名と著者名もないので調べにくい。公表と言いながら、頒布もしない。訳者と事務局にそれぞれ同期がいるのだが、その辺どーよと文句を言いたくもなるね。
2013.03
09
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06:37
Category : 有職故実
 JP-4とJP-5がコンタミすると大変なことになると言ったきり、具体的にどうなるのか説明できなかった方の発言ですが、CIFの意味を承知せずに、先物とかの話に繋げて「風説の流布」と仰っているのは、とんだ専門家であるなと。

@daitojimari @gaku226 お疲れ様です。例えば「財務省貿易統計(CIF)旬間速報」等 http://www.paj.gr.jp/statis/  からのリンク先をたどれば、基礎データが公表されており、ミスリードか否か、データを元に判断できること、広く知られて欲しいですね。
https://twitter.com/hebotanto/status/309875536044367875
赤字は筆者による
 

@noraapro @daitojimari @gaku226 また、CIFの読み解き方については、原油先物取引にも直結する「有料ノウハウ」であり、その予測については一般論でも取引材料として機微です。 一方で下手すると風説の流布にも繋がりかねませんので、公式機関解説推奨です。
https://twitter.com/hebotanto/status/309894695998353408
赤字は筆者による


 どうやったら「財務省貿易統計(CIF)旬間速報」がCIFになるのだろうか。これは「統計での金額がCIF価格です」と言っているだけに過ぎない。それを略語だと誤っているのは、貿易や統計について無知な証拠である。

 まず「財務省貿易統計」は略語にしようとする点が誤りである。普通は、2回めからは「貿易統計」とか「統計によると」で済ます。今調べたのだが、英語のニュースでも略さずに"trade statistics"とか"statistics”になっている。

 略語をCIFとした点は、完全な誤りである。CIFの意味は、海上輸送で到着港渡しの意味。FOBかCIFかという、価格の引渡し条件を示すものである。「CIFの読み解き方」の読み解き方なんてものは別にない。原油先物取引でも、基本はFOBかCIFである。今の原油価格では、輸送費も保険料も微々たるものである。原油価格の日内変動に収まる範囲であって、先物でも、それでどうこういう話はない。

 つまり、二つの誤りを犯していることになる。まず、財務省貿易統計を略す際に、英略字にしようとしたことが誤りである。つぎに、その略語としてCIFとしたことも誤りである。CIFの意味を知っていれば、このような誤りはしない。具体的な内容を知らずとも、CIFが貿易関係であり、だいたいFOBが対になっていることは一般常識である。

 そのあとの「風説の流布」云々も、自分には権威があると見せかけるための、イミテーションだろう。まず、JP-4とJP-5のコンタミでもそうだったが、簡単に説明できる話を、わざわざ難しい専門用語で修飾している。その本意は、自分を大きく見せようとするコケオドシである。



 まあ自分で「エリートでござい」と言っている奴は、たいてい…だよねってことですね、ハイ。
2013.03
07
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13:00
Category : ミリタリー
 交通安全協会への加入勧誘は「警察の天下り先確保のため」というのは国民の思いあがりです。警察の交通安全活動を維持するためであり、日本国民のためと言えるからです。

 桜林美佐さんの理屈を借りれば、そのように言える。ただし、実際にそんな間抜けなことを言えば、掩護射撃のつもりで味方を背射することになる。

 桜林美佐さんは、援護のつもりで味方を撃っている。F-35に関係する武器輸出三原則緩和の件を、「防衛産業の利益を見越してではなく、日本国民のため」と言っている。桜林さんが「防衛産業の利益」と言い出すことによって、防衛産業は痛くもない腹を探られる。そのうえ「国民のため」と説教臭いことを言えば、反発をもたらすだけだ。

 「F35のイスラエル輸出に」※ である。
そんなことはともかく、日本のF35導入に伴い、国内で修理や製造をした部品がイスラエルなどに輸出される可能性があり、そうなると「武器輸出3原則」に反するのではないかと言われていましたが、官房長官談話により、これは3原則の例外となりました。

このことについてはインタビューを受けたり、週明け月曜の夕刊フジ「ニッポンの防衛産業」にも書きましたが、「日本の防衛産業のために」などという表現は国民の思い上がりと言ってもいいのではないでしょうか。

これは、日本の戦闘機の可動率を維持するためであり、それは航空自衛隊ひいては日本国民のため、と言えるからです。

防衛生産・技術基盤の維持は「誰のためなのか」、これが崩れると「誰が困るのか」このことが、どうも、まだ完全に理解されているとは言い難い気がしています。

企業は現時点では、防衛部門を維持するべく奮闘していますが、いよいよ追い詰められれば撤退することは、そう難しくはありません。

桜林美佐「F35のイスラエル輸出に」http://ameblo.jp/misakura2670/entry-11481413716.html なお、改行は詰めた
この「一部の業界のためではない、国民のためだ」という理屈は、10年ほど前の、交通安全協会を擁護する理屈そのものだ。訴求力を持たないだけでなく、反発を招くような内容になってしまっている。

 まず、桜林さんが代理人を自認している防衛産業や防衛行政にとっても逆効果になる。国民のため、国防のために、イスラエルへの輸出が必要だという理屈は、防衛産業や行政にとって敬遠すべき理屈である。実際に、そのような主張は桜林さん以外にはない。

 防衛産業も、防衛省も、政府もF-35の部品をイスラエルに輸出したい気持ちはない。政府ほかもイスラエルほかに渡る可能性を努めて回避し、日本で生産できるメリットを活かそうとしているのが実態である。三原則緩和も、利益、雇用を確保するメリットを生かすためのものである。戦闘機がF-35になり、話が上手くまとまり国際共同生産に参加できるようになった。それが防衛側の利益だけではなく、国内に金が落ち、雇用も確保できる点を見込めることを大きなメリットと見た。イスラエルほか紛争当事国の手に渡るのはデメリットである。そのデメリットは回避しようとしている。

 イスラエルに日本製部品が渡る懸念であるが、そうならないように工夫する政府は言っている。アメリカにお願いして、日本製部品がイスラエルに回らないように努力するとしている。あるいは、どの部品がどの国に渡るか、渡ったかをウヤムヤにして日本製だとわからないようにするようにもするだろう。

 桜林さんの記事は、これらを全く無視している。「イスラエルに渡せるように三原則を緩和した」、「稼働率維持のためにはつまらない感情的反発を抑えるのがリアリズム」といったニュアンスで書くのは、防衛産業や行政、政府の立場を踏まえていない。そして「お前たち国民のためだよ」と説教臭く説くのは、擁護のつもりで擁護になっていない。

 桜林さんのテーマである防衛産業・自衛隊擁護であっても、それを恩着せがましく「国民のため」といってしまえば、擁護にはならない。かつての銀行への公的資金注入や、日航立て直しのための政府援助、東電への債務保証やクレジット供与のようなものだ。国民生活で必要になる内容であっても、説教臭く、居丈高に説明しても反発するだけである。

 なにより、武器輸出三原則緩和は、それをしなければ防衛産業が滅びるといったものではない。防衛産業は、銀行や日航や東電が置かれていた危機的状況にはない。

 逆に、日本製兵器を輸出するためには、国産品偏重を改めなければならないこともあるだろう。日本が輸出を図るとすれば、外国製兵器への、ヨリ進んだ門戸開放も求められる。特に、外国が日本製兵器を買ってくれる条件として、買ってくれた国の兵器を採用するような話もでてくる。少量しか造らない練習機、戦車、装甲車、大砲のたぐいはそうなる可能性も高い。その時になると、武器輸出3原則緩和の主張を忘れ、国内で作れないと本土決戦に備えられない、国民のために外国製は採用するなとでも言うのだろう。


※ 桜林美佐「F35のイスラエル輸出に」http://ameblo.jp/misakura2670/entry-11481413716.html
2013.03
06
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21:54
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 野球そのものは好きでもなければ憎んでもいない。だが、普段聞いているラジオが潰れるのには腹が立つ。WBCとやらでタマフル、粋な夜電波、コンバットREC師匠のTOP5が影響を受けるとなると、野球中継は嫌いになるというもの。

 だから、WBCなんか見ないのだがね。見るとしたら…王とか長島とか選手で出てくれば見る。10年前の、ドリフがでた紅白歌合戦と同じだな。

 まああれだ、アメリカが勝てないことが面白く無い、米国の右翼-メディア・コンプレックスが、日本選手を積んだ飛行機をテロで落とすとかそういう展開。テロには屈しないと、新しい選手を出そうとするが、命は惜しいので誰も手を挙げない。

 そこに、爺ィ共が「俺等は充分生きたから」とアメリカに行く…という展開なら燃えるので見る。

 あとは、卑怯な手を繰り出して、韓国・台湾を潰したアメリカチームを、ガチンコに潰し合うキューバチームとかね。監督はカストロ元議長で、しかも、革命精神を垂範するため先頭打席に出てくるんだろ。

 日本チームの展開は、アストロ風がいいねえ。

 最初から連投する唯一の投手、権藤博が、アメリカからの卑怯な手で倒される。控えの投手がいない中で、長島がやや不自由な声で観衆に向かって「どなたか、お客様の中でピッチャーができる方はいらっしゃいますか」とかね。すると客席から覆面男がが出てくる。マスクを引きちぎると、頭を丸め、脱税の雪辱を回復しようとする、ユニホームではなく死装束の板東英二とかね。

 多分、8回あたりでアメリカの卑怯な手の証拠を掴んだオバマが出てくる。卑怯者共を粛清したあと、王に向かって、私と勝負だ手加減はしない…とかねえ。

 うん、雨の神宮球場で結団出発式をやるのだが、川上あたりが「我らもとより生還を期せず」とか、何人かリアルで死んで同点に持ち込んだ時に、
御嘉賞のお言葉が届くとか、文科省あたりは、沢村栄治の写真と一緒に「撃ちてし止まむ」の大段幕とかね。

 ん、リアルなアストロ球団やれば、WBCも見てやらないこともないのだけれども。
2013.03
05
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13:00
Category : ミリタリー
 真鍮薬莢を再利用したほうが財布にも地球にも優しいのではないか?

 自衛隊の薬莢は再利用しない。ブルーシート敷いてまで回収をやかましく言うが、数を数えて終わりである。射撃で発生するウチガラは発生材として競売される。真鍮だから非鉄で、それなりに高く売れるのだろう。

 しかし、せっかく作った薬莢を鋳潰すのはもったいなくないか。小銃弾はライフルや機関銃で使われる。その小銃弾で一番高いのは薬莢である。薬莢は自動化されたとはいえ、作るのが面倒なので高い。板からコイン状に撃ちぬいて、コインを缶の状態までプレスと焼鈍を繰り返し、最後にネックを形成する。小銃弾で一番高いパーツとなっている。

 たが、薬莢は再利用できる。真鍮製で造られた薬莢は、選別と洗浄、リサイズで再利用が可能になる。回数には上限があるが、底面に打刻でもすれば管理も可能である。実際に、民間での競技でも狩猟でも、センターファイアではリユースが常識※ である。

 自衛隊で使う薬莢も、再利用してコスト下げたほうがいいのではないか。もちろん、本番では使い捨てだが、訓練等でチマチマ薬莢を確認するのであれば、その薬莢を活用したほうがいい。小銃弾のコストは半分かそれ以下になるだろう。

 小銃弾生産ラインの維持との両立なら、別にラインの維持保管契約を結べばいいだろう。有事に小銃弾生産ラインがないと困ることは確かである。しかし、そのラインで無理に高い弾を多量に造らせる必要もない。ラインを保管し、稼働することを確認するための最低限の生産だけを行う契約をすればいい。

 極端な話、ラインを確保しておけば、弾は安価な輸入弾※※ でよい。フィリピン、タイ、インド、中国製だろうが、互換性と品質が確保されれば問題はない。



※ 弾頭もリサイクルできる。標的の後ろから弾頭を回収して(今ならバレット・トラップなので容易なのかな)、鉛だけ溶かしてリーあたりで作っている鋳型で弾頭を作るというもの。ただ、フルメタル・ジャケットとするのは相当に面倒とのこと。

※※ 使い捨てるなら逆に、ロシアや中国、東欧で使っている鉄製薬莢でもいいんじゃないかね。張り付きの問題も、パーカライジングや油を塗れば解決する。今のポリマー素材でもあたりでうまくいきそうなものだともうけどね。
2013.03
03
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13:00
Category : ミリタリー
 武器や秘の物件を盗まれたら大事ではないか。

 当直士官に立って寝るときに、当直室の鍵は内側から掛けておいた。当直室は重要物件や秘密まである。各部屋どころか、武器庫の鍵まである上、キンコンキンコン鳴る○○○○も置いてある。誰も起きていない状態で、鍵を掛けないのは不用心が過ぎる。その手の管理がない司令部でのオペ当直のときは、幕僚が飛び込んでくるので開けていた。鍵やら○○○○がある当直士官の時には、入り口の鍵は掛けていたし、鍵箱の鍵は副直士官がカプセルベットまで持っていくのを常々確認していた。

 ただ、鍵を掛けていたのは己だけだった様子である。鍵の借受返納で、深夜早朝に当直室にいっても鍵が掛かっていることはなかった。一応は鍵箱に鍵を掛けているのだが、部隊によっては可搬型で直ぐに外せる。

 一人だけ厳重に施錠していて、海の部隊では文句が来たことはない。神経症的に念の入ったことだとは思われたかもしれない。だが「セキュア」の意味を「鍵を掛ける」意にとる海軍なので文句は出てこない。

 だが、統合部隊では文句をいわれた。まあ、陸海空のどれとは言わないが、隊本部の曹なんだがね。早朝に来て鍵が出てくるまで待たされたのが不満らしい。ただ、その場で言えばいいものを、位負けしているから、3科の幹部を経由して文句を言って来た。陸海空問わず、作戦担当の3科は独善的で、部隊内で3科のいうことはなんでも聞くし、説教できると思っている。部署の力で説教するつもりだったのだろう。

 その説教が間抜けだった。「当直員を起こさず鍵を取ろうとした○○陸曹の好意を無駄にした」とか3科○○主任が抜かしたよ。実際には、好きな時間に、正規の手続きなしで鍵を使いたい陸曹の考えた屁理屈なんだが。あまりにも間抜けな言い分だったので「当直室の鍵と、入り口の呼び鈴は何のためにあるだろうね」と言ったよ。それでもガチャガチャ言ってくる。腹がたったので、以降に3科の幹部に何を言われても「でも手を抜くわけにはいかないですよねえ」みたいな、同じ答えを何回も繰り返して馬鹿にしてやったよ。怒るのが面白かったね。

 鍵が開けっ放しだと、悪事を試みれば実現できる。統合部隊には武器庫はなかった。だが、当直室に入れば、秘の区画である金庫室仕様の鍵も手に入る。なぞなぞにもアクセスできる。

 まず、鍵の番太郎なんて気が利かず、頑固な方がいいと思うよ。江戸時代、京都の宮廷でも鍵番の親爺は応用動作ができない阿呆がいいと言われていたわけだしね。
2013.03
01
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22:24
Category : ミリタリー
 だよもんさんは、物事の概略を掴むセンスがないのではないか?

 だよもんさんは「M1A2は[略]燃料を補給すると400リットル入る」と言っているが、その数字に違和感を持たないのが不思議である。
だよもん軍曹‏@V2ypPq9SqY
米軍のM1A2は定量の燃料を補給すると400リットル入る。これを8時間走ると使い尽くす。電撃戦期の米軍戦車は単純に考えると一日辺り一台約1トンの燃料を必要とする。
https://twitter.com/V2ypPq9SqY/status/307068012274515968


 戦車の燃料タンクが400リットルであることは「オカシイ」と感じなければならない。M1戦車は、重量60tを超えており、エンジンもガスタービン1500馬力である。400リットルという数字はあまりにも小さすぎる。日常使う自動車の給油量での感覚や、ガスタービンの燃費に照らして、あまりにも小さい数字であると気づかなければならない。

 普通の自動車の給油量からしても、戦車の燃料として400リットルは少なすぎる。自家用の普通自動車でも燃料タンクに50リットルは入る。仕事で、部隊で持っている3-5トンのマイクロバスやキャブオールでも、馬力は100-200程度であるのに、燃料を100リットル以上搭載する。

 ガスタービンの燃料消費率を計算しても、400リットルで済むはずがないことは分かるはずである。

 400リットルでは、全力では1時間も走れない。小型ガスタービンでは、最良燃費でも1時間あたり300g/馬力程度消費する。M1戦車では、最大出力付近の数字である。つまり1500馬力を出せば、1時間に450kg程度、灯油/軽油に換算すれば500リットルは消費する。だよもんさんの言う400リットルでは、M1戦車は全力で50分も走れないことになる。

 出力を絞っても、部分負荷になるので、走行時間は1時間半程度しか持たない。仮に1/3程度、500馬力で走行しても、航続時間は大して改善しない。回転数が半分以下に落ちると部分負荷になり、燃費は急激に悪化する。1時間あたり500g/馬力と計算しても、1時間250kg、300リットルの燃料を消費する。1時間20分程度行動すれば燃料が切れる。

 だよもんさんの言うとおり、400リットルではアイドリングしているだけでも8時間は持たない。ガスタービンを空回しにするのも、燃料の無駄である。ガスタービンはアイドリングをしていても、パワータービン回転数で1500rpm程度は維持されている。定格出力の10%程度と見ても、M1で言えば150馬力である。1時間500g/馬力とすると毎時75kg、80リットル程度は燃料を消費する。動かない状態で5時間しか持たない。

 この辺りをオカシイと気づかないのが不思議である。

 だよもんさんは、おそらく、ガロンとリットルを間違えたのだろう。調べてみるとその通りで、M1戦車の燃料タンクは400に近い500ガロン、約1900リットルである。(1米ガロンは約3.8リットル、約2升と覚えると良い)

 つまり、燃料所要量を5倍甘く見積もっていたわけだ。5倍の誤りに気づかないのでは、だよもんさんは、後方関連である4科の仕事は難しいのではないかな。まあ、トラックで船舶輸送を代替できると思っている程度なので、無理だろうけどね。

 ドクトリンだの戦略だのを学ぶ前に、自分のところ足許を見たほうがいい。部隊の車輌に燃料がどれぐらい入るか、毎日どれくらい燃料を消費しているのかを、車輌運行票あたりに印鑑付くときに把握しておくべきだと思う。