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Category : ネトウヨ批判
「中国の防空圏 疑念捨て日米共同行動を」なのだが、なぜ米国が中国に、日本の現政権並みの強硬姿勢を貫けると考えているのか不思議である。中国への強硬姿勢がない点を指して、「米国は中国に対して甘い」というのは、自分たちの対中強硬論という郭のなかでしか考えられないことを表明しているようなものではないか。
まず「中国に対して、強硬姿勢でブレないで行動できる」と考えられるのが不思議である。中国と日米は冷戦状態ではない。日本はアレ宰相なのでアレな強硬策をとっているが、中国と日米は冷戦期の米ソのように全面対立構造ではない。
この点については、伊藤剛さんが主張する「安全保障システム」と「経済システム」の切り分けがわかりやすい。、中国と日米は「安全保障システム」でみれば敵かもしれないが、「経済システム」では味方なのであり、全面的に対立する敵ではない。冷戦期のソ連と米国のように「安全保障システム」と「経済システム」双方とも敵とは違う立場にある。伊藤さんは「『構造』と『認識』のミスマッチ」(『東亜』2013.11)で、概略このように述べている。
そういった視点から見れば、日米にとって中国は何があっても強硬路線を貫かなければならない敵ではない。安全保障システム側は、対立を辞するな、強硬路線を貫けと要求するかもしれない。だが、同時に経済システム側からは、対中関係をこれ以上悪化させるなという要求もある。
実際には、日米両国にとって、当座で重要な問題は、中国の軍事力の脅威ではなく、自国経済が振興しないことにある。その点からすれば、中国と不仲になることを避ける経済システム側主張が強い影響力を持つのは当然だろう。
米国のとった態度は、不可解なものではない。安全保障シムテム的に問題となる、得意な防空識別圏構想に反対しつつ、経済システム的に問題となる、中国との関係悪化を防ぐという、バランスを取った按配式である。
その米国の態度を理解できず、弱腰となじるのは、やはり全体が見えていないのではないか。「中国に現政権並みの強硬路線を貫け、妥協をするな」という主張は、世界が安全保障システムだけでしか動いていないという、偏頗な世界観の反映であるように見える。むしろ、安全保障システムの理屈に踊らされ、教条的な強硬姿勢を取る現政権の方が、支持層の人気取りのため、自国や自国民の経済的な利益を捨てているようにしか見えない。
※ 「中国の防空圏 疑念捨て日米共同行動を」『産経ニュース』(産経新聞,2013.12.16)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131216/plc13121603150002-n1.htm
※※ 伊藤剛「『構造』と『認識』のミスマッチ」『東亜』(霞山会,2013.11)pp.28-33.
まず「中国に対して、強硬姿勢でブレないで行動できる」と考えられるのが不思議である。中国と日米は冷戦状態ではない。日本はアレ宰相なのでアレな強硬策をとっているが、中国と日米は冷戦期の米ソのように全面対立構造ではない。
この点については、伊藤剛さんが主張する「安全保障システム」と「経済システム」の切り分けがわかりやすい。、中国と日米は「安全保障システム」でみれば敵かもしれないが、「経済システム」では味方なのであり、全面的に対立する敵ではない。冷戦期のソ連と米国のように「安全保障システム」と「経済システム」双方とも敵とは違う立場にある。伊藤さんは「『構造』と『認識』のミスマッチ」(『東亜』2013.11)で、概略このように述べている。
そういった視点から見れば、日米にとって中国は何があっても強硬路線を貫かなければならない敵ではない。安全保障システム側は、対立を辞するな、強硬路線を貫けと要求するかもしれない。だが、同時に経済システム側からは、対中関係をこれ以上悪化させるなという要求もある。
実際には、日米両国にとって、当座で重要な問題は、中国の軍事力の脅威ではなく、自国経済が振興しないことにある。その点からすれば、中国と不仲になることを避ける経済システム側主張が強い影響力を持つのは当然だろう。
米国のとった態度は、不可解なものではない。安全保障シムテム的に問題となる、得意な防空識別圏構想に反対しつつ、経済システム的に問題となる、中国との関係悪化を防ぐという、バランスを取った按配式である。
その米国の態度を理解できず、弱腰となじるのは、やはり全体が見えていないのではないか。「中国に現政権並みの強硬路線を貫け、妥協をするな」という主張は、世界が安全保障システムだけでしか動いていないという、偏頗な世界観の反映であるように見える。むしろ、安全保障システムの理屈に踊らされ、教条的な強硬姿勢を取る現政権の方が、支持層の人気取りのため、自国や自国民の経済的な利益を捨てているようにしか見えない。
※ 「中国の防空圏 疑念捨て日米共同行動を」『産経ニュース』(産経新聞,2013.12.16)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131216/plc13121603150002-n1.htm
※※ 伊藤剛「『構造』と『認識』のミスマッチ」『東亜』(霞山会,2013.11)pp.28-33.
Category : ネトウヨ批判
NHK経営委員には、安倍首相のオトモダチが就任するというが、それは妥当なのか。日経「NHK経営委員に百田氏ら、国会同意 衆参が可決」※ で国会同意人事の可決が報じられている。その人選に関する中立性の怪しさは、前にJ-CASTニュース※※ で報じられている。
中でも、百田尚樹さんについては、政治的なバイアスで経営に関与するのではないか。百田さんは娯楽小説家として知られているが、その政治的主張にはキツイものがある。
最近では、右翼誌での記事が相当にキツイ。『ジャパニズム』に掲載された「完成した『永遠の0』を試写室で見たら、どんどん涙が流れて止まらなかった」がそれだ。『ジャパニズム』は経営が厳しい青林堂が、そろばんづくで出した右派誌なので、そのキツさはなかなかのものである。どれくらいかといえば、幸福実現党のPRマンガが掲載されているほどである。
その「完成した『永遠の0』を…」で、百田さんは「満州は中華民国に帰属しない」と述べている。ワシントン会議での九ヶ国条約で、どこの勢力圏にも属さないとされたのがその主張である。
しかし、九ヶ国条約に至る経緯は、中国での列強権益を調整するものである。そこで本来の当事者である中華民国や、満洲代表の意見はまともに取り上げられていない。それを盾にして、満州事変以降は合法的であると言うのは妥当ではない。しかも、それを今日に述べて、侵略ではないと主張するのは、軋轢を生むだけで無意味な主張である。だいたい、侵略でないというのなら、日本は大陸に良いことをしに行ったとでもいうのだろうか?
NHK経営委員には、NHK執行部への権能をもって、NHK報道に影響を及ぼしうる立場にある。安倍首相は、前の内閣の時からNHKの中立性や公共性に対して政治的影響力を及ぼそうとしている。百田さんや他の経営委員は、その安倍首相の意向で送り込まれた委員である。既に述べたように、平生の言動から政治的中立性には怪しいところがある。いずれは自虐史観云々でやらかしてくれるだろう。
※ 「NHK経営委員に百田氏ら、国会同意 衆参が可決」『日本経済新聞』(日経新聞,2013.11.8)http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0800C_Y3A101C1MM0000/
※※ 「NHK経営委員に仰天『安倍人事』 百田尚樹、長谷川三千子氏ら『保守派論客』メンバー」『J-CASTニュース』(ジェイ・キャスト,2013.10.25)http://www.j-cast.com/2013/10/25187271.html
※※※ 「完成した『永遠の0』を試写室で見たら、どんどん涙が流れて止まらなかった」『ジャパニズム』(青林堂,2013.8)p.p.5-15
青林堂は、『ガロ』の会社だが、もともと経営的にアレなので、最近はこの手の出版を行っている。ソロバンずくであれば救いようがあるのだけれども。
中でも、百田尚樹さんについては、政治的なバイアスで経営に関与するのではないか。百田さんは娯楽小説家として知られているが、その政治的主張にはキツイものがある。
最近では、右翼誌での記事が相当にキツイ。『ジャパニズム』に掲載された「完成した『永遠の0』を試写室で見たら、どんどん涙が流れて止まらなかった」がそれだ。『ジャパニズム』は経営が厳しい青林堂が、そろばんづくで出した右派誌なので、そのキツさはなかなかのものである。どれくらいかといえば、幸福実現党のPRマンガが掲載されているほどである。
その「完成した『永遠の0』を…」で、百田さんは「満州は中華民国に帰属しない」と述べている。ワシントン会議での九ヶ国条約で、どこの勢力圏にも属さないとされたのがその主張である。
百田 そもそも大正十一年(1922)のワシントン会議の九ヵ国条約でも、満洲は中華民国に帰属するかどうか当時の国際上では分からかなかった後の満洲事変を、侵略ではないと肯定するニュアンスであり、あたかも満洲が「無主の地」であったかのような主張である。
「完成した『永遠の0』を試写室で見たら、どんどん涙が流れて止まらなかった」p.6
しかし、九ヶ国条約に至る経緯は、中国での列強権益を調整するものである。そこで本来の当事者である中華民国や、満洲代表の意見はまともに取り上げられていない。それを盾にして、満州事変以降は合法的であると言うのは妥当ではない。しかも、それを今日に述べて、侵略ではないと主張するのは、軋轢を生むだけで無意味な主張である。だいたい、侵略でないというのなら、日本は大陸に良いことをしに行ったとでもいうのだろうか?
NHK経営委員には、NHK執行部への権能をもって、NHK報道に影響を及ぼしうる立場にある。安倍首相は、前の内閣の時からNHKの中立性や公共性に対して政治的影響力を及ぼそうとしている。百田さんや他の経営委員は、その安倍首相の意向で送り込まれた委員である。既に述べたように、平生の言動から政治的中立性には怪しいところがある。いずれは自虐史観云々でやらかしてくれるだろう。
※ 「NHK経営委員に百田氏ら、国会同意 衆参が可決」『日本経済新聞』(日経新聞,2013.11.8)http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0800C_Y3A101C1MM0000/
※※ 「NHK経営委員に仰天『安倍人事』 百田尚樹、長谷川三千子氏ら『保守派論客』メンバー」『J-CASTニュース』(ジェイ・キャスト,2013.10.25)http://www.j-cast.com/2013/10/25187271.html
※※※ 「完成した『永遠の0』を試写室で見たら、どんどん涙が流れて止まらなかった」『ジャパニズム』(青林堂,2013.8)p.p.5-15
青林堂は、『ガロ』の会社だが、もともと経営的にアレなので、最近はこの手の出版を行っている。ソロバンずくであれば救いようがあるのだけれども。
Category : ネトウヨ批判
これは頭の悪い出羽守ではないのか?
「ドイツでは~」といっているが、外地との比較では、日本本土のほうが悪条件であることを、全く考慮に入れていない。
「心温まる日本の難民救出」だが、dragonerさん以下の理解はあまりにも表層的に過ぎる。中でも一番表層的な理解は、次の「ドイツでは~」だ。
戦争末期に、外地国民の内地帰還が出来なかったこと指して「ドイツと比較して日本は国民保護の観点に欠ける」とするのは、妥当ではない。dragonerさん以下は、その背後にあった条件を全て無視している。
昭和20年では、内地よりも外地の方が安全であった。この事実を無視して「ドイツでは」とするのは、相当に乱暴である。外地邦人の安全確保といった面で見れば、内地還送の利は薄い。具体的に整理すれば次の3つに集約される。
1 本土決戦の危険性:内地は本土決戦で戦場になるが危険性ある
2 食料の問題:内地は飢餓線上にあるため健康上の問題がある
3 海上輸送力の喪失:当時は船舶輸送力そのものを喪失しており、海上輸送でのリスクが高い
実際、当時は、政府も外地邦人も、これらの理由から外地残留が内地に還送よりも安全であり、有利と判断している。
・1 本土決戦の危険性
当時の日本が、表向きに本土決戦構想を維持していた点考慮していない点、Dragonerさん以下甘すぎる。当時は、外地よりも内地の方が危険であった。本土決戦では、全内地を戦場にする建前であり、民間人を義勇隊として防衛戦投入すら考慮されており、大量死傷も已むを得ないとされていた。対して、朝鮮、台湾、樺太、関東州等の外地や、大陸での日本占領区域は保持出来る見込みをもった比較的安全な後方地域であり、本土決戦以降に戦争継続をする上での策源地になると考えられていた。外地に居る民間人保護の方策として、昭和20年7月までの段階で、内地還送をしなかった点を非難することは妥当ではない。
・2 食糧の問題
内地での食料問題を考慮していない点も甘すぎる。日華事変から内地の食糧事情はすでに厳しくなっている。さらに昭和20年度以降は、内地の食糧事情は更に悪化している。昭和20年度は、配給でも、最低限と考えられた穀物換算2合6勺も達成でない状況にあった。昭和20年度当時には、農業生産も食料品物流も麻痺している。本土決戦準備で農民含めて根こそぎ動員され、肥料生産も火薬製造にほぼ吸い取られ、少量できた肥料も飛行場整備に取られている。物流はもっと悲惨で、生産段階から末端まで全て麻痺している。トラックや馬の不足による小口輸送や、基幹となる船舶輸送の破綻、限界を超えた鉄道輸送といった問題があった。むしろ外地の食糧事情は戦時下でも良好であった。朝鮮、台湾、樺太、関東州と、いずれの地域でも食料や、石炭等の生活必需品入手は内地よりも格段に有利であった。食糧事情でも有利な外地に残すことが、在外邦人保護としては好ましい状態であった。
・3 海上輸送力の喪失
そして、昭和20年には、外地邦人を内地に送る手段がほぼ途絶している。この時期には、まともな外洋船舶はない。昭和19年には船団に汚穢船まで組み込む状況である。太平洋沿岸域に艦載機による空襲を受け、機雷による航行不能船舶も頻発した昭和20年には動かす船がない。仮に動かせる船があっても、沖縄方面以南への航路は途絶している。東シナ海や関釜航路、日本海航路も、内地側港湾は悉く機雷で封鎖されている。そもそも、瀬戸内海に残った船舶も、関門や大阪湾機雷封鎖により動けない状況にあった。仮に船腹に都合をつけてたとしても、潜水艦や機雷、航空攻撃にさらされる海上輸送を行うことは、在外邦人保護の面から妥当な判断ではない。
dragonerさん以下による「ドイツでは~」とする批判は、これらの点を検討しない表層的な理解である。外地在留邦人の問題について、満州の事例をクローズアップして内地送還を行わかなったことを批判している。だが、7月までの判断としては、北満地域(2月には民間人引き上げを計画していたが、実施しなかった)はともかくとして、全般的な判断としては外地残留が妥当である。また、8月、ソ連参戦以降には、やろうとしても輸送力がなかったという問題に行き当たる。満州以外でみれば、戦後まで外地に残った方が正解である地域も多い。終戦後も、台湾や朝鮮、樺太、上海では残留が有利と考える日本人は多く存在している。特に在台日本人は、食糧事情がよく、治安も良いために民国軍が上陸してきても、なお将来的に台湾に居住するつもりであった。
別に、樺太や張家口からの民間人救出事例を無視している点でも、dragonerさん以下による「ドイツでは~」は批判として表層的である。樺太やではソ連参戦以降、北海道への疎開が始まり、終戦後にも継続した事実がある。張家口でも駐蒙軍は終戦後なおソ連と戦闘を続け、在留邦人を国府支配地域に逃している。それを無視して「ドイツではソ連占領区域から助けたが、日本はそれをしなかった」とするのは、乱暴な結論だろう。
ただ、この話で一番興味深い点は、dragonerさんがする言動の盾である。dragonerさんは、平時において一般国民への惻隠の情もないのに、国家が戦時に一般国民を守ることを力説している点は指摘するべきだろう。dragonerさんは、今、起きてもいない「戦時日本の国民保護問題」に「ブチ切れ」ている。
「ドイツでは~」といっているが、外地との比較では、日本本土のほうが悪条件であることを、全く考慮に入れていない。
「心温まる日本の難民救出」だが、dragonerさん以下の理解はあまりにも表層的に過ぎる。中でも一番表層的な理解は、次の「ドイツでは~」だ。
内田弘樹@uchidahiroki
ドイツ海軍のように「バルト海沿岸から難民を必死で脱出させました!」みたいな「誰にも否定しがたい正義」(いやまぁこれもネオナチの錦の御旗になっちゃったりいろいろアレなんですが)を掲げられなかった軍隊というのは、直視するのは辛いモノです。
https://twitter.com/uchidahiroki/status/391579288199114752
dragoner@dragoner_JP
ドイツよりも遥かに広い地域に同胞バラ撒いておいて、あれですもの…… RT @uchidahiroki @dragoner_JP 戦時中のドイツ海軍みたいに「難民を脱出させるために頑張りました!」というエピソードさえまともにないあたり嫌ですよね。
https://twitter.com/dragoner_JP/status/391579312253456385
戦争末期に、外地国民の内地帰還が出来なかったこと指して「ドイツと比較して日本は国民保護の観点に欠ける」とするのは、妥当ではない。dragonerさん以下は、その背後にあった条件を全て無視している。
昭和20年では、内地よりも外地の方が安全であった。この事実を無視して「ドイツでは」とするのは、相当に乱暴である。外地邦人の安全確保といった面で見れば、内地還送の利は薄い。具体的に整理すれば次の3つに集約される。
1 本土決戦の危険性:内地は本土決戦で戦場になるが危険性ある
2 食料の問題:内地は飢餓線上にあるため健康上の問題がある
3 海上輸送力の喪失:当時は船舶輸送力そのものを喪失しており、海上輸送でのリスクが高い
実際、当時は、政府も外地邦人も、これらの理由から外地残留が内地に還送よりも安全であり、有利と判断している。
・1 本土決戦の危険性
当時の日本が、表向きに本土決戦構想を維持していた点考慮していない点、Dragonerさん以下甘すぎる。当時は、外地よりも内地の方が危険であった。本土決戦では、全内地を戦場にする建前であり、民間人を義勇隊として防衛戦投入すら考慮されており、大量死傷も已むを得ないとされていた。対して、朝鮮、台湾、樺太、関東州等の外地や、大陸での日本占領区域は保持出来る見込みをもった比較的安全な後方地域であり、本土決戦以降に戦争継続をする上での策源地になると考えられていた。外地に居る民間人保護の方策として、昭和20年7月までの段階で、内地還送をしなかった点を非難することは妥当ではない。
・2 食糧の問題
内地での食料問題を考慮していない点も甘すぎる。日華事変から内地の食糧事情はすでに厳しくなっている。さらに昭和20年度以降は、内地の食糧事情は更に悪化している。昭和20年度は、配給でも、最低限と考えられた穀物換算2合6勺も達成でない状況にあった。昭和20年度当時には、農業生産も食料品物流も麻痺している。本土決戦準備で農民含めて根こそぎ動員され、肥料生産も火薬製造にほぼ吸い取られ、少量できた肥料も飛行場整備に取られている。物流はもっと悲惨で、生産段階から末端まで全て麻痺している。トラックや馬の不足による小口輸送や、基幹となる船舶輸送の破綻、限界を超えた鉄道輸送といった問題があった。むしろ外地の食糧事情は戦時下でも良好であった。朝鮮、台湾、樺太、関東州と、いずれの地域でも食料や、石炭等の生活必需品入手は内地よりも格段に有利であった。食糧事情でも有利な外地に残すことが、在外邦人保護としては好ましい状態であった。
・3 海上輸送力の喪失
そして、昭和20年には、外地邦人を内地に送る手段がほぼ途絶している。この時期には、まともな外洋船舶はない。昭和19年には船団に汚穢船まで組み込む状況である。太平洋沿岸域に艦載機による空襲を受け、機雷による航行不能船舶も頻発した昭和20年には動かす船がない。仮に動かせる船があっても、沖縄方面以南への航路は途絶している。東シナ海や関釜航路、日本海航路も、内地側港湾は悉く機雷で封鎖されている。そもそも、瀬戸内海に残った船舶も、関門や大阪湾機雷封鎖により動けない状況にあった。仮に船腹に都合をつけてたとしても、潜水艦や機雷、航空攻撃にさらされる海上輸送を行うことは、在外邦人保護の面から妥当な判断ではない。
dragonerさん以下による「ドイツでは~」とする批判は、これらの点を検討しない表層的な理解である。外地在留邦人の問題について、満州の事例をクローズアップして内地送還を行わかなったことを批判している。だが、7月までの判断としては、北満地域(2月には民間人引き上げを計画していたが、実施しなかった)はともかくとして、全般的な判断としては外地残留が妥当である。また、8月、ソ連参戦以降には、やろうとしても輸送力がなかったという問題に行き当たる。満州以外でみれば、戦後まで外地に残った方が正解である地域も多い。終戦後も、台湾や朝鮮、樺太、上海では残留が有利と考える日本人は多く存在している。特に在台日本人は、食糧事情がよく、治安も良いために民国軍が上陸してきても、なお将来的に台湾に居住するつもりであった。
別に、樺太や張家口からの民間人救出事例を無視している点でも、dragonerさん以下による「ドイツでは~」は批判として表層的である。樺太やではソ連参戦以降、北海道への疎開が始まり、終戦後にも継続した事実がある。張家口でも駐蒙軍は終戦後なおソ連と戦闘を続け、在留邦人を国府支配地域に逃している。それを無視して「ドイツではソ連占領区域から助けたが、日本はそれをしなかった」とするのは、乱暴な結論だろう。
ただ、この話で一番興味深い点は、dragonerさんがする言動の盾である。dragonerさんは、平時において一般国民への惻隠の情もないのに、国家が戦時に一般国民を守ることを力説している点は指摘するべきだろう。dragonerさんは、今、起きてもいない「戦時日本の国民保護問題」に「ブチ切れ」ている。
dragoner@dragoner_JPだが、実際に起きた原発事故で故郷を追われた人々には、国家のために「産業の空洞化はさけるべき」だ「だから原発、必要」だとも言い放っている。
昨日、私がブチ切れたのは、戦時日本の国民保護問題を僅かな例外から肯定する人間は、未来の日本人を殺す存在になるという確信があるからです
https://twitter.com/dragoner_JP/status/391903541654077440
dragoner@dragoner_JP軍事に絡むことでは国民の安全、感情を主張し、原子力では現実に安全と安寧を奪われた被害者に「わりかし言えます」という。dragonerさんの矛盾は、非常に興味ふかいものである。
わりかし言えます RT @noiehoie: 耐え難きを耐え忍び難きを忍んで故郷を追われた人々や、生まれ来る子供の健康を心配する妊婦や、死と隣り合わせの労働を強いられる原発労働者に、「いやー、産業の空洞化はさけるべきでしょ?だから原発、必要でしょ?」とか、お前ら言えるのか?
https://twitter.com/dragoner_JP/status/89690064224911360
Category : ネトウヨ批判
靖国神社は政治的主張を控えないと、国民支持を喪うのではないか?
靖国神社が主催する講演会等は、穏当な保守と言うよりは、対外強硬策や戦前回帰的な右派で、政治的主張が激しい。対外強硬策や戦前回帰への主張は、崇敬奉賛会で毎年発行される『講演記録集』にも多く載っている。『平成22年度講演集』※ を見ると、口演者は田母神俊雄、青山繁晴、義家弘介、高橋史朗、桜林美佐となっている。主張は神社や祭神を崇敬するというよりも、英霊の名前を借りた中国や韓国、政権党への非難がメインであり、保守の範囲を越えた、右派の主張そのものだ。
この点でも報道でも問題視されている。石山永一さんによる「中国敵視、差別的記述も」※※ では、崇敬奉賛会機関紙『あさなぎ』の中身について次のように紹介している。
このような政治主張を続けていると、靖国神社は国民支持を喪うのではないか。
国民は、靖国神社が存在していることは支持している。たしかに、総理大臣以下の参拝は意見が分かれる。だが靖国神社で戦死者を追慕する感情は否定されていない。昔の『雨の九段坂』のように、戦士した息子に会いに行くおっ母さんや、見たことのないお父さんに会いに行く息子や娘が神社に参ることを否定する世論はない。そのために神社があることは当然だと思われている。
しかし、強度に政治的な色がつくと、靖国神社への国民支持が喪われることになる。もちろん、右派的な政治主張に沿っていれば、右派は靖国神社を支持するだろう。だが、素朴な追慕といった感情で支持していた一般国民は、靖国神社を胡乱な眼差しで見ることになる。
靖国神社は、国民全体に支持される神社であるべきだ。祀られる200万の戦死者も、その遺族も、政治的に色のついた神社は望まない。靖国神社奉賛崇敬会は200万の戦死者を、勝手に右派の政治主張に賛同するものとしている。「戦争を辞するな」、「先人たちは逍遥として」云々は、戦死者にも迷惑である。戦死者のほとんどは徴兵であり、志願兵や職業軍人ではない。その志願兵や職業軍人の戦死者にしても、奉賛崇敬会の意見に賛同するのはごく一部にすぎない。軍隊で「悠久の大義」だの迷惑な話を聞かされた挙句、靖国神社に収まってまで右派的なアジ演説を聞かされるのは溜まったものではない。
このままでは、靖国神社は将来的に国ほかからの支援を得難くなる。靖国神社は、規模に見合った氏子がいない。だから、いずれ金でいき詰まる。しかし、潰したり、縮小したり、引越したりしていい神社でもない。お父さんがあそこに居ると思っている人がいるお社だから、どうにかしないといけない。今の法体系では難しいが、国あたりから何処かを迂回しての支援も必要になる。だが、そのときに過剰な政治主張は枷になるようにしか見えない。
※ 『平成21年度 講演・シンポジウム・勉強会・記録集』(靖國神社崇敬奉賛会、2010.5)
※※ 石山永一「【靖国は今】中国敵視、差別的記述も 沖縄基地問題で反対している人“よそ者” 靖国神社崇敬奉賛会の会報/関係者にも懸念」 『47NEWS』(全国新聞ネット、2012.10.20)http://www.47news.jp/47topics/e/235482.php
※※※ このままでは、戦死した自衛隊員を合祀するのも面倒になるんじゃないのかね。政治性がキツすぎて、合祀そのものや、後の参拝も国の機関として参加できなくなってしまうよ。
靖国神社が主催する講演会等は、穏当な保守と言うよりは、対外強硬策や戦前回帰的な右派で、政治的主張が激しい。対外強硬策や戦前回帰への主張は、崇敬奉賛会で毎年発行される『講演記録集』にも多く載っている。『平成22年度講演集』※ を見ると、口演者は田母神俊雄、青山繁晴、義家弘介、高橋史朗、桜林美佐となっている。主張は神社や祭神を崇敬するというよりも、英霊の名前を借りた中国や韓国、政権党への非難がメインであり、保守の範囲を越えた、右派の主張そのものだ。
この点でも報道でも問題視されている。石山永一さんによる「中国敵視、差別的記述も」※※ では、崇敬奉賛会機関紙『あさなぎ』の中身について次のように紹介している。
年4回発行の「あさなぎ」は中国を一貫して「シナ」と表記、2010年冬号では中西輝政・京都大名誉教授の講演内容として「日本人の国内での生活や教育の自由が、在日シナ人に脅かされています」、大阪市内で中国人が「路上で豚を屠殺(とさつ)し、車道を大量の血で染める」「(中国人)留学生は教授の授業内容を最前列に座り“監視”する。少しでもシナを批判する発言があれば、文部科学省に執拗(しつよう)に抗議」するなどと書いている。
崇敬奉賛会青年部顧問でもある中西氏は「排外主義的な内容で、私の言葉ではありえない」と発言内容を否定している。(石山)
10年秋号では「このままでは皆さんのお子さんやお孫さんはシナの独裁者の奴隷になりますよ」とのコラムニスト勝谷誠彦氏の言葉を紹介。今年夏号でも「日本の総理大臣が靖国神社に参拝するのにシナの許可をもらうようになった」との元特攻隊員の言葉を紹介している。なお、報道では勝谷誠彦さんのコメントとして
沖縄関連では「(普天間飛行場の)辺野古沖移設に反対している人は“よそ者”ばかり」(10年春)という記述や、沖縄への戦跡ツアーに同行した陸上自衛隊の戦史教官(当時)の言葉を受け、沖縄戦史は「だれかの都合のよいように書き換えられたのかもしれない」(09年夏)などの記述がある。(石山)
コラムニスト・勝谷誠彦氏の話 (引用されている発言については)言ったように思うが、私は講演内容を活字にして公表することはすべて断っており、(無断掲載は)ルール違反だ。(石山)を載せている。
このような政治主張を続けていると、靖国神社は国民支持を喪うのではないか。
国民は、靖国神社が存在していることは支持している。たしかに、総理大臣以下の参拝は意見が分かれる。だが靖国神社で戦死者を追慕する感情は否定されていない。昔の『雨の九段坂』のように、戦士した息子に会いに行くおっ母さんや、見たことのないお父さんに会いに行く息子や娘が神社に参ることを否定する世論はない。そのために神社があることは当然だと思われている。
しかし、強度に政治的な色がつくと、靖国神社への国民支持が喪われることになる。もちろん、右派的な政治主張に沿っていれば、右派は靖国神社を支持するだろう。だが、素朴な追慕といった感情で支持していた一般国民は、靖国神社を胡乱な眼差しで見ることになる。
靖国神社は、国民全体に支持される神社であるべきだ。祀られる200万の戦死者も、その遺族も、政治的に色のついた神社は望まない。靖国神社奉賛崇敬会は200万の戦死者を、勝手に右派の政治主張に賛同するものとしている。「戦争を辞するな」、「先人たちは逍遥として」云々は、戦死者にも迷惑である。戦死者のほとんどは徴兵であり、志願兵や職業軍人ではない。その志願兵や職業軍人の戦死者にしても、奉賛崇敬会の意見に賛同するのはごく一部にすぎない。軍隊で「悠久の大義」だの迷惑な話を聞かされた挙句、靖国神社に収まってまで右派的なアジ演説を聞かされるのは溜まったものではない。
このままでは、靖国神社は将来的に国ほかからの支援を得難くなる。靖国神社は、規模に見合った氏子がいない。だから、いずれ金でいき詰まる。しかし、潰したり、縮小したり、引越したりしていい神社でもない。お父さんがあそこに居ると思っている人がいるお社だから、どうにかしないといけない。今の法体系では難しいが、国あたりから何処かを迂回しての支援も必要になる。だが、そのときに過剰な政治主張は枷になるようにしか見えない。
※ 『平成21年度 講演・シンポジウム・勉強会・記録集』(靖國神社崇敬奉賛会、2010.5)
※※ 石山永一「【靖国は今】中国敵視、差別的記述も 沖縄基地問題で反対している人“よそ者” 靖国神社崇敬奉賛会の会報/関係者にも懸念」 『47NEWS』(全国新聞ネット、2012.10.20)http://www.47news.jp/47topics/e/235482.php
※※※ このままでは、戦死した自衛隊員を合祀するのも面倒になるんじゃないのかね。政治性がキツすぎて、合祀そのものや、後の参拝も国の機関として参加できなくなってしまうよ。
「中国が日本を狙っている」というネトウヨの妄想。その「根拠」としてよく引き合いに出される『2050年の国家戦略』と題した地図。"日本が中国の一部とされ、東海省と日本自治区に分割統治されている"という図版であり「中国外務省から流出した」との説明が附されている。ネトウヨの元締め、櫻井よしこが「中国脅威論の論拠」として挙げたことでネトウヨ界隈で出回っている。
この『2050年の国家戦略』、私の友人がその意味・内容を「コリャ、紅い『田中上奏文』だね」と適切に評した。内容も、性質も全くそのとおり、天下の偽書『田中上奏文』(参考:WIKI)そのものだ。ここで『田中上奏文』について細かく説明することは避けるが、内容に不自然な点があることでも『2050年の国家戦略』と同じだ。
そう『2050年の国家戦略』については不自然な点が多い。この図版を見て不自然に見えるのは(1)日本を取り込む優先度について、(2)沖縄の所属について、(3)東海省と朝鮮省の設置、(4)東海省と日本自治区の境界について、(5)直轄都市の不存在についての4点である。
(1)日本を取り込む優先度
この図版では、沿海州はロシアそのままになっている。中国の立場では「璦琿(アイグン)条約」は不平等条約であり、かつては「沿海州は未回収の中国」である(いまはロシアの一部と-不承不承であるにせよ-認めている)とされていた。沿海州こそ最優先であり、そこを放置して朝鮮半島や日本を取り込むとするのは歴史的経緯や中国の公定ナショナリズムから見て不自然である。さらに、沿海州は朝鮮半島や日本に較べ人口希薄であり、工業基盤もヨーロッパ・ロシアとの交通も配備兵力も貧弱である。中国にとって比較的簡単に回収できるだろう。
この図版では、沿海州をそのままにして、朝鮮半島や日本を奪おうとしている点、不自然である。
(2)沖縄の所属
同じく、この図版では、沖縄は東海省に含まれている。しかし、中国からすれば琉球はかつての朝貢国(しかも頻繁に来朝する「熟蛮」)であり、日本とは別個の王朝が成立し、日清戦争まで所属を争った係争の地である。加えて言えば、中華民国は「下関条約で台湾は引渡したが、琉球を日本の物と認めたわけではない」と主張していた。(未だに台湾では、日本ではないというニュアンスで「沖縄」ではなく「琉球」と称することがある)
新中国は「沖縄は日本の一部である」と黙認しているが、やはり歴史的な経緯、あるいはナショナリズムの方向としては「琉球は日本ではない」「琉球は中国の一部」という方向に流れる傾向があるだろう。
中国が日本を取り込み、国内に編入するとしよう。そのとき沖縄=琉球を「日本の一部」=「東海省」とするだろうか? 歴史的に中国では、台湾を大琉球と呼び、沖縄を小琉球と呼んだ事もある。台湾省の一部とされるか、あるいは「琉球族自治区」となるはずだろう。沖縄が東海省の一部となっていることは、この図版が中国で作られたとしたら、あまりにも不自然である。
(3)東海省と朝鮮省の設置
現在の中国では、少数民族対策として民族自治区を設定している。自治区が認められた少数民族の人口をみると最大のチワン族で1500万人、最小のチベット族で500万人である。朝鮮半島のコリアンは6000万人、日本の日本人は1億2000万人であり、最大の「少数民族」となる。当然、自治区設定が考慮されるはずである。
さらに「亡国の民」という立場を考慮すれば、従来の民族自治区以上の自治を、香港、あるいはそれ以上の独立性を持つ独立行政区の設置が自然となるはずだ。
この観点から図版を観察すれば、日本と朝鮮半島が民族自治区・特別行政区の対象となっていない点が不自然である。
(4)東海省と日本自治区の境界について
この図版では、東海省と日本自治区の境界線が奇妙な形で引かれている。フォッサ・マグナと略平行に、西50kmあたりを境界としているが、この境界線は現行の県境ではなく、旧「国」の境を踏襲している。東日本省は能登国-加賀国-越前国-美濃国-三河国を東縁にしている。図版を作った(おそらく)日本人の遊び心、あるいは「こだわり」が感じられる。
さらに、この境界線には本質的に不自然な点がある。中国にとって経済的な旨味である東海-関東地方を日本人自治区側に渡している点である。日本から収奪することを考えれば、経済的な旨味のある関東地方に自治は認めないだろう。東海省と日本人自治区を区画するとすれば、日本人自治区は辺境-低開発地域に限定されるはずである。日本人自治区は北海道-東北、あるいは北海道-北東北に限定されるのが自然だ。
東海省と日本自治区の境界線そのものが不自然なのである。
(5)直轄都市の不存在
この図版では、東京が直轄都市とされていない。
中国の中央政府の立場からすれば、政治的なコントロールや経済的な旨味から地方政府には渡さないはずである。中国の直轄都市の規模を考えれば、少なくとも東京圏(東京と横浜、あるいは横浜-さいたま市-千葉市の内側、もしくは東京通勤圏)は、地方政府から独立した「東京市」となるはずである。
この点、中国の制度上では不自然であり、中国外務省、つまり中央政府が作ったものとしてはおかしな点である。
『2050年の国家戦略』の内容には、中国歴史的経緯や主張、国内制度が反映されていないのだ。パッと見てこれだけの不自然な点がある、信憑性は疑って然るべきだろう。特に沖縄が東海省に属し、民族自治区との境界線が旧国の境である点、この地図を作成したものが日本人による偽書である点を伺わせるものである。
作成者については、真性の酷使様が義憤により捏造したものか、あるいは、愉快犯がネトウヨを釣ろうとしたものかを判断することはできない。しかし、それに「情報強者」であるはずのネトウヨがマンマと乗せられれ「緊急拡散」※したことは、真に受けたネトウヨの知的水準の低さの証左である。
また、持論の根拠として使用した「保守派論客」についても、信じていれば知性の低さを、知らないでいるのなら誠実さを疑われるべきだろう。ネットでの紹介を見る限りは、櫻井よしこは「…と言われている」「事実であるとすれば」とエクスキューズしている点、捏造を知っていながらデマを流した点で後者であり、その誠実さを疑われるだろう。
※ 既に「ゆとり(笑)」なみに脱構築された言葉であるが
隅田金属日誌の関連日記:
【無根拠】「このままでは日本が侵略される…」という煽り
アメリカのネトウヨ
この『2050年の国家戦略』、私の友人がその意味・内容を「コリャ、紅い『田中上奏文』だね」と適切に評した。内容も、性質も全くそのとおり、天下の偽書『田中上奏文』(参考:WIKI)そのものだ。ここで『田中上奏文』について細かく説明することは避けるが、内容に不自然な点があることでも『2050年の国家戦略』と同じだ。
そう『2050年の国家戦略』については不自然な点が多い。この図版を見て不自然に見えるのは(1)日本を取り込む優先度について、(2)沖縄の所属について、(3)東海省と朝鮮省の設置、(4)東海省と日本自治区の境界について、(5)直轄都市の不存在についての4点である。
(1)日本を取り込む優先度
この図版では、沿海州はロシアそのままになっている。中国の立場では「璦琿(アイグン)条約」は不平等条約であり、かつては「沿海州は未回収の中国」である(いまはロシアの一部と-不承不承であるにせよ-認めている)とされていた。沿海州こそ最優先であり、そこを放置して朝鮮半島や日本を取り込むとするのは歴史的経緯や中国の公定ナショナリズムから見て不自然である。さらに、沿海州は朝鮮半島や日本に較べ人口希薄であり、工業基盤もヨーロッパ・ロシアとの交通も配備兵力も貧弱である。中国にとって比較的簡単に回収できるだろう。
この図版では、沿海州をそのままにして、朝鮮半島や日本を奪おうとしている点、不自然である。
(2)沖縄の所属
同じく、この図版では、沖縄は東海省に含まれている。しかし、中国からすれば琉球はかつての朝貢国(しかも頻繁に来朝する「熟蛮」)であり、日本とは別個の王朝が成立し、日清戦争まで所属を争った係争の地である。加えて言えば、中華民国は「下関条約で台湾は引渡したが、琉球を日本の物と認めたわけではない」と主張していた。(未だに台湾では、日本ではないというニュアンスで「沖縄」ではなく「琉球」と称することがある)
新中国は「沖縄は日本の一部である」と黙認しているが、やはり歴史的な経緯、あるいはナショナリズムの方向としては「琉球は日本ではない」「琉球は中国の一部」という方向に流れる傾向があるだろう。
中国が日本を取り込み、国内に編入するとしよう。そのとき沖縄=琉球を「日本の一部」=「東海省」とするだろうか? 歴史的に中国では、台湾を大琉球と呼び、沖縄を小琉球と呼んだ事もある。台湾省の一部とされるか、あるいは「琉球族自治区」となるはずだろう。沖縄が東海省の一部となっていることは、この図版が中国で作られたとしたら、あまりにも不自然である。
(3)東海省と朝鮮省の設置
現在の中国では、少数民族対策として民族自治区を設定している。自治区が認められた少数民族の人口をみると最大のチワン族で1500万人、最小のチベット族で500万人である。朝鮮半島のコリアンは6000万人、日本の日本人は1億2000万人であり、最大の「少数民族」となる。当然、自治区設定が考慮されるはずである。
さらに「亡国の民」という立場を考慮すれば、従来の民族自治区以上の自治を、香港、あるいはそれ以上の独立性を持つ独立行政区の設置が自然となるはずだ。
この観点から図版を観察すれば、日本と朝鮮半島が民族自治区・特別行政区の対象となっていない点が不自然である。
(4)東海省と日本自治区の境界について
この図版では、東海省と日本自治区の境界線が奇妙な形で引かれている。フォッサ・マグナと略平行に、西50kmあたりを境界としているが、この境界線は現行の県境ではなく、旧「国」の境を踏襲している。東日本省は能登国-加賀国-越前国-美濃国-三河国を東縁にしている。図版を作った(おそらく)日本人の遊び心、あるいは「こだわり」が感じられる。
さらに、この境界線には本質的に不自然な点がある。中国にとって経済的な旨味である東海-関東地方を日本人自治区側に渡している点である。日本から収奪することを考えれば、経済的な旨味のある関東地方に自治は認めないだろう。東海省と日本人自治区を区画するとすれば、日本人自治区は辺境-低開発地域に限定されるはずである。日本人自治区は北海道-東北、あるいは北海道-北東北に限定されるのが自然だ。
東海省と日本自治区の境界線そのものが不自然なのである。
(5)直轄都市の不存在
この図版では、東京が直轄都市とされていない。
中国の中央政府の立場からすれば、政治的なコントロールや経済的な旨味から地方政府には渡さないはずである。中国の直轄都市の規模を考えれば、少なくとも東京圏(東京と横浜、あるいは横浜-さいたま市-千葉市の内側、もしくは東京通勤圏)は、地方政府から独立した「東京市」となるはずである。
この点、中国の制度上では不自然であり、中国外務省、つまり中央政府が作ったものとしてはおかしな点である。
『2050年の国家戦略』の内容には、中国歴史的経緯や主張、国内制度が反映されていないのだ。パッと見てこれだけの不自然な点がある、信憑性は疑って然るべきだろう。特に沖縄が東海省に属し、民族自治区との境界線が旧国の境である点、この地図を作成したものが日本人による偽書である点を伺わせるものである。
作成者については、真性の酷使様が義憤により捏造したものか、あるいは、愉快犯がネトウヨを釣ろうとしたものかを判断することはできない。しかし、それに「情報強者」であるはずのネトウヨがマンマと乗せられれ「緊急拡散」※したことは、真に受けたネトウヨの知的水準の低さの証左である。
また、持論の根拠として使用した「保守派論客」についても、信じていれば知性の低さを、知らないでいるのなら誠実さを疑われるべきだろう。ネットでの紹介を見る限りは、櫻井よしこは「…と言われている」「事実であるとすれば」とエクスキューズしている点、捏造を知っていながらデマを流した点で後者であり、その誠実さを疑われるだろう。
※ 既に「ゆとり(笑)」なみに脱構築された言葉であるが
隅田金属日誌の関連日記:
【無根拠】「このままでは日本が侵略される…」という煽り
アメリカのネトウヨ
Category : ネトウヨ批判
「緊急拡散」って言葉、すでに脱構築されているね。
「世間の人に広く伝えよう」という意味で使っているんだろうけれども、見つけた方は「デマかもしれないから気をつけよう」って差し引くようになっている。本来の意味から変化した、脱構築された点で「ゆとり教育」の意味が、「ゆとり教育(w)」になったのと同じ。その「緊急拡散」の実態にしたところで、単にネトウヨの閉じたサークル、その中の回覧板程度の怪文書にすぎないわけだ。まあ脱構築もされるというものだ。
この手のマルチポスト、2chからも排除されたようだし、mixiでも「相手にされず、馬鹿にされ」なんだけれども。それにも関わらネトウヨは未だに「緊急拡散」w だものね。世間が全然見えていないというこった。
「世間の人に広く伝えよう」という意味で使っているんだろうけれども、見つけた方は「デマかもしれないから気をつけよう」って差し引くようになっている。本来の意味から変化した、脱構築された点で「ゆとり教育」の意味が、「ゆとり教育(w)」になったのと同じ。その「緊急拡散」の実態にしたところで、単にネトウヨの閉じたサークル、その中の回覧板程度の怪文書にすぎないわけだ。まあ脱構築もされるというものだ。
この手のマルチポスト、2chからも排除されたようだし、mixiでも「相手にされず、馬鹿にされ」なんだけれども。それにも関わらネトウヨは未だに「緊急拡散」w だものね。世間が全然見えていないというこった。
日本のネトウヨ、韓国のネチズン、中国の憤青に加えて、アメリカにもネトウヨ風味は居るらしい。『クーリエ・ジャポン』の2010年7月号で発見。加えてチョイチョイ調べてみた。
とりあえず見つけたのが、オース・キーパー(Oath Keepers)という連中。ありえない事態をこねくり出しては自身のナショナリズムをこじらせているらしい。うーんネトウヨと同じ。
例えば「米国に侵略されたとき、米政府が侵攻軍に協力したら、米政府を許さない」(憲法上の権利として武装蜂起をするんだとさ)とかね、まあ、そんなことがあると信じているところもネトウヨと同じ。「ソ連に占領された祖国」というモチーフのドラマ「Amerika」を現実と混同している危機感なんだろうね。ちなみに「AMERIKA」では合衆国は12個に分割統治されるのだけれども「中国外務省から流出した"2050年の国家戦略"と題した地図」の「東海省と日本自治区に分割されている」という与太のネタ元じゃないのかな。
あと「オバマは米国生まれではない」(大統領となる権利がないと主張したいらしい)と主張しているのも、ネトウヨのよく言う「○○は××人」そのもの。「オバマは売国奴」というのも「売国○○」と全く同じで、ナショナリズムの想像がいきすぎて、自己と国家の同一化をやりすぎたせいだろう。
他にも「CIAに監視されている」(それならFBIじゃないの?)といった被害妄想も同じ。
生まれてくる構造も似ている「実際の社会での挫折をこじらせた結果」オース・キーパーになるらしい。軍隊に入ったけれども、体を壊して除隊。戦争に行って愛国者になるつもりが、故郷に帰る顔もないから国内で愛国者になろうと過激運動に身を投じるらしい。
日本のネトウヨと違って、外出して軍事訓練なんかしているらしいのだけれども、それを「まだ外に出るだけマシ」と評価するか、「○○に刃物」と見るかは微妙なところ。
ただ、この『クーリエ・ジャポン』の記事で、「国を裏切った連邦軍との戦いに備えて、ボルト・アクション・ライフルを買いたいが、5600ドルもするのでしばらく買えない」(大意)とあるのだけども。そこに違和感がある。誤訳じゃないのかな?
ボルト・アクション・ライフルなんて、実用上充分の高精度を持つレミントンM700でも500ドル~1500ドル程度で買えるはず。5000ドルなんて競技射撃やベンチレスト用の過剰精度品を買ったところで使い道もない。彼らの経済力では高精度弾(自作しかない)で練習なんかできないだろうし。
考えられるのは、単純に誤訳か、ツァイスあたりの高級スコープ込みか、あるいは「愛国者」君が「ボクには高精度銃が必要」と痛い勘違いしているかだろう。
とりあえず見つけたのが、オース・キーパー(Oath Keepers)という連中。ありえない事態をこねくり出しては自身のナショナリズムをこじらせているらしい。うーんネトウヨと同じ。
例えば「米国に侵略されたとき、米政府が侵攻軍に協力したら、米政府を許さない」(憲法上の権利として武装蜂起をするんだとさ)とかね、まあ、そんなことがあると信じているところもネトウヨと同じ。「ソ連に占領された祖国」というモチーフのドラマ「Amerika」を現実と混同している危機感なんだろうね。ちなみに「AMERIKA」では合衆国は12個に分割統治されるのだけれども「中国外務省から流出した"2050年の国家戦略"と題した地図」の「東海省と日本自治区に分割されている」という与太のネタ元じゃないのかな。
あと「オバマは米国生まれではない」(大統領となる権利がないと主張したいらしい)と主張しているのも、ネトウヨのよく言う「○○は××人」そのもの。「オバマは売国奴」というのも「売国○○」と全く同じで、ナショナリズムの想像がいきすぎて、自己と国家の同一化をやりすぎたせいだろう。
他にも「CIAに監視されている」(それならFBIじゃないの?)といった被害妄想も同じ。
生まれてくる構造も似ている「実際の社会での挫折をこじらせた結果」オース・キーパーになるらしい。軍隊に入ったけれども、体を壊して除隊。戦争に行って愛国者になるつもりが、故郷に帰る顔もないから国内で愛国者になろうと過激運動に身を投じるらしい。
日本のネトウヨと違って、外出して軍事訓練なんかしているらしいのだけれども、それを「まだ外に出るだけマシ」と評価するか、「○○に刃物」と見るかは微妙なところ。
ただ、この『クーリエ・ジャポン』の記事で、「国を裏切った連邦軍との戦いに備えて、ボルト・アクション・ライフルを買いたいが、5600ドルもするのでしばらく買えない」(大意)とあるのだけども。そこに違和感がある。誤訳じゃないのかな?
ボルト・アクション・ライフルなんて、実用上充分の高精度を持つレミントンM700でも500ドル~1500ドル程度で買えるはず。5000ドルなんて競技射撃やベンチレスト用の過剰精度品を買ったところで使い道もない。彼らの経済力では高精度弾(自作しかない)で練習なんかできないだろうし。
考えられるのは、単純に誤訳か、ツァイスあたりの高級スコープ込みか、あるいは「愛国者」君が「ボクには高精度銃が必要」と痛い勘違いしているかだろう。
Category : ネトウヨ批判
まあ、ネトウヨの言う事だから、ホントにそんな法律は存在するのかから疑わないとイケナイ。なんせデマとか平気で信じる、事実関係を全然重視しないからね。
日本語で、ニュース検索でググってみるとヒット件数0なので、「またデマかね」とは思ったものの、念のため簡体字で「国防动员法」としてググってみるとヒットした。まあ、一応存在する法律らしい。
でもね、この法律をなんでそんなに怖れるのかね?
いままでの中国を見てみろって、民間資産の保護なんて、戦時どころか平時ですらあやしかった国でしょう。我々もそれをチャイナ・リスクと呼んでいたわけだ。それこそ「戦時に民間資産を徴用する」なんてことは、いままでの中国でも常識だった。
ただし、人治だから法制化していなかった。それを最近の「人治はヨクナイ、法治にしなければ」という動きがあって法制化したということじゃないの。むしろ「人治から法治へ」という動きの現れとしては悪くない話じゃないのかね。
ネトウヨ諸氏は、「異様」、「戦争準備」、「日本を征服するため…」なんて言っているけど、それは自分たちの国のモノサシで他国を測っているだけの話。特に日本の私有財産権は世界無類の強固さを誇っているので、その眼で他国を見て騒いでいるだけだろう。中国は革命でできた国、あんなでも一応は社会主義なんだから、個人の財産権は社会の利益のはとうてい抵抗できない仕組みなんだから、彼らとしては自然な考え方なんだって。
さらに、似たような法規は世界中どこにでもある。日本も最近、有事法制を作っていて、その範囲内では個人財産の徴用制度を整えている。他にも。東西冷戦の最前線にあったドイツ有事法制では、基本法の停止も含まれている。そして、日本もドイツもどこかを侵略する準備として法律を作ったわけでもないことは明らかだろう?
この程度の法律ができたからって、その国が侵略的だなんて言えないということだ。
まあ、ネトウヨはUFO信者のようなもの。すべてはUFOの実在が前提であり、UFOが存在するという意見にしか耳を貸さない。(神学部のようなものでもOKかな)
だから7月1日まで、ネトウヨは「拡散推奨」なんていいながらデマを飛ばし続けるのでしょうね。その証拠はニコニコ動画とその上の同意コメントだけ。実態は、オカルト信者同士の相互保証にすぎないのだけれども。
日本語で、ニュース検索でググってみるとヒット件数0なので、「またデマかね」とは思ったものの、念のため簡体字で「国防动员法」としてググってみるとヒットした。まあ、一応存在する法律らしい。
でもね、この法律をなんでそんなに怖れるのかね?
いままでの中国を見てみろって、民間資産の保護なんて、戦時どころか平時ですらあやしかった国でしょう。我々もそれをチャイナ・リスクと呼んでいたわけだ。それこそ「戦時に民間資産を徴用する」なんてことは、いままでの中国でも常識だった。
ただし、人治だから法制化していなかった。それを最近の「人治はヨクナイ、法治にしなければ」という動きがあって法制化したということじゃないの。むしろ「人治から法治へ」という動きの現れとしては悪くない話じゃないのかね。
ネトウヨ諸氏は、「異様」、「戦争準備」、「日本を征服するため…」なんて言っているけど、それは自分たちの国のモノサシで他国を測っているだけの話。特に日本の私有財産権は世界無類の強固さを誇っているので、その眼で他国を見て騒いでいるだけだろう。中国は革命でできた国、あんなでも一応は社会主義なんだから、個人の財産権は社会の利益のはとうてい抵抗できない仕組みなんだから、彼らとしては自然な考え方なんだって。
さらに、似たような法規は世界中どこにでもある。日本も最近、有事法制を作っていて、その範囲内では個人財産の徴用制度を整えている。他にも。東西冷戦の最前線にあったドイツ有事法制では、基本法の停止も含まれている。そして、日本もドイツもどこかを侵略する準備として法律を作ったわけでもないことは明らかだろう?
この程度の法律ができたからって、その国が侵略的だなんて言えないということだ。
まあ、ネトウヨはUFO信者のようなもの。すべてはUFOの実在が前提であり、UFOが存在するという意見にしか耳を貸さない。(神学部のようなものでもOKかな)
だから7月1日まで、ネトウヨは「拡散推奨」なんていいながらデマを飛ばし続けるのでしょうね。その証拠はニコニコ動画とその上の同意コメントだけ。実態は、オカルト信者同士の相互保証にすぎないのだけれども。
Category : ネトウヨ批判
今回の普天間/辺野古の件で「中国に沖縄が侵略される云々」と括るネット発言がずいぶんとあったのだけれども。アレはどういう心の状態なんだろうね。いや「国難」を主張する宗教勢力、その御宗旨の方は分かる。でも宗教的ノンポリでもそのような発言をするはなんでだろうと。逆に言えば、どういったカラクリの危機感が働いているのだろうかとね。
周辺諸国の軍隊と構成、可能行動を考えてみれば、単純に「中国が沖縄を…」なんて言えないと思うのですよ。戦後一貫して本土決戦準備のやり直しをした陸自、戦略爆撃対処と沿岸域対艦攻撃に特化した空自を押し切って渡海侵攻なんかできやしないのだけれどもね。その上、日本のポテンシャルも巨大、船舶輸送が継続しさえすれば島嶼では相手を圧倒する防衛力を作れる。船舶輸送の継続についても、英海軍よりもそれに特化した海自がいる。
…あれか、予算獲得のため、敵を大きく・味方を小さく見せる防衛当局のプロパガンダが効きすぎた、そして「押し付けられた憲法」改正を掲げた政党が※一番眼につく9条を問題視させるため「制約下の日本の防衛力」を強調した、その薬が効きすぎたのかね。
※ それ自体は自然な考えだけれども、それなら外国軍の駐留を続けさせようとするのはおかしくね?と思うよ。
日本の防衛力が過小であると思い込んでしまって取れない素地がある。そして常にまき散らされる防衛当局の海外脅威のプロパガンダ(ソ連崩壊後も「極東ロシア軍の潜在的脅威」なんて主張するほどの牽強付会)と、無批判に尾鰭をつける右系メディアの脅威論に感化されて「日本が侵略される」という通奏低音ができあがるのかね。
かつてのソ連脅威論については歴史的経緯から受容しやすい、それは分かる。
でも、中国脅威論の根拠はかつての「マネーで買いまくる日本」程度のもの。あとは尖閣諸島とガス田の係争程度なのに、なんで「沖縄が狙われている」に飛躍するのかね。仮に中国とブツかるとしても、それは互いの力が及びにくく均衡した、遠い場所になると思う。
なのに今の中国脅威論、それも軍事的脅威論の威勢の良さはなんなのかね。経済大国として抜かれることを「上の立場から下の立場に落ちる」ようにイメージし、あたかも隷属しなければならないと感じるようになった。下位の存在として苛斂誅求な収奪を受けるだろう…ってイメージなのかね。
それにネトウヨ、あるいはネトウヨ的感性が結びついて「地政学的に沖縄は狙われている」とか言い出すのかね。歴史的事件を(その場にいないはずの)自分の父母のことと捉え、(行ったこともない)領土の問題を自分の身体の問題であるように認識する。そういう想像力過剰なネトウヨ(※※)はいつも憤るのだけれども。そういう「日本国籍しか誇りを持ち得ない人々」が「警鐘を鳴らす」ことによって体制への貢献を図り、存在価値を認めてもらおうとするのだろう。
※※ アレ、若い世代だけだと思っていたら分別ある40代までもそんな想像に浸っているようだしね。「@外参権」なんて付けて、日記で憂える人々の中にいい歳こいたオトッツァンは結構いるものだ。
周辺諸国の軍隊と構成、可能行動を考えてみれば、単純に「中国が沖縄を…」なんて言えないと思うのですよ。戦後一貫して本土決戦準備のやり直しをした陸自、戦略爆撃対処と沿岸域対艦攻撃に特化した空自を押し切って渡海侵攻なんかできやしないのだけれどもね。その上、日本のポテンシャルも巨大、船舶輸送が継続しさえすれば島嶼では相手を圧倒する防衛力を作れる。船舶輸送の継続についても、英海軍よりもそれに特化した海自がいる。
…あれか、予算獲得のため、敵を大きく・味方を小さく見せる防衛当局のプロパガンダが効きすぎた、そして「押し付けられた憲法」改正を掲げた政党が※一番眼につく9条を問題視させるため「制約下の日本の防衛力」を強調した、その薬が効きすぎたのかね。
※ それ自体は自然な考えだけれども、それなら外国軍の駐留を続けさせようとするのはおかしくね?と思うよ。
日本の防衛力が過小であると思い込んでしまって取れない素地がある。そして常にまき散らされる防衛当局の海外脅威のプロパガンダ(ソ連崩壊後も「極東ロシア軍の潜在的脅威」なんて主張するほどの牽強付会)と、無批判に尾鰭をつける右系メディアの脅威論に感化されて「日本が侵略される」という通奏低音ができあがるのかね。
かつてのソ連脅威論については歴史的経緯から受容しやすい、それは分かる。
でも、中国脅威論の根拠はかつての「マネーで買いまくる日本」程度のもの。あとは尖閣諸島とガス田の係争程度なのに、なんで「沖縄が狙われている」に飛躍するのかね。仮に中国とブツかるとしても、それは互いの力が及びにくく均衡した、遠い場所になると思う。
なのに今の中国脅威論、それも軍事的脅威論の威勢の良さはなんなのかね。経済大国として抜かれることを「上の立場から下の立場に落ちる」ようにイメージし、あたかも隷属しなければならないと感じるようになった。下位の存在として苛斂誅求な収奪を受けるだろう…ってイメージなのかね。
それにネトウヨ、あるいはネトウヨ的感性が結びついて「地政学的に沖縄は狙われている」とか言い出すのかね。歴史的事件を(その場にいないはずの)自分の父母のことと捉え、(行ったこともない)領土の問題を自分の身体の問題であるように認識する。そういう想像力過剰なネトウヨ(※※)はいつも憤るのだけれども。そういう「日本国籍しか誇りを持ち得ない人々」が「警鐘を鳴らす」ことによって体制への貢献を図り、存在価値を認めてもらおうとするのだろう。
※※ アレ、若い世代だけだと思っていたら分別ある40代までもそんな想像に浸っているようだしね。「@外参権」なんて付けて、日記で憂える人々の中にいい歳こいたオトッツァンは結構いるものだ。