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- » 2025 . 02
Category : ミリタリー
中国海軍がロシア海軍と組んでも、日米海軍力への劣勢は変わらない。ロシア太平洋艦隊は弱体である。中国海軍と合同したところで、日米海軍への劣勢を覆すことはできない。
4月末に中露は共同演習を行った。梁天仞さんは、先に取り上げた「中国打造『均衡艦隊』」(※1)で「中俄軍演抗美打日意味濃」と述べている。中露演習は米国に対抗し、日本に打撃を与えるものとしている。
しかし、ロシア海軍力は何かの寄与になるのか。東アジアでロシアはスーパーパワーではない。太平洋艦隊が持つ海軍力も見るべきもない。ロシア艦隊が合同したところで、中国海軍は軍事的に「抗美打日」できるようになるわけではない。
東アジアでは日米同盟が絶対的な海軍力優位を持っている。東アジアでの海軍力1位は米国、2位は日本である。急成長している中国も3位、量的に離れるが、潜水艦・水上艦を揃えた韓国が4位にある。高く評価しても、ロシアは台湾と同率5位になる。水上艦の質・量で考えれば台湾海軍はロシア太平洋艦隊よりも上であるが、それは置こう。そして、ダントツ1位の米国と、中国に追われているとはいえ、2位の日本が同盟を組んでいる。3位と5位が組んでどうにかなる相手ではない。
ロシア太平洋艦隊は、抜け殻である。『ミリタリー・バランス』によれば冷戦最末期、1986年には潜水艦109隻、フリゲート以上52隻(※2)を保有していた。外洋行動可能な大型水上艦として空母2隻、巡洋艦15隻、駆逐艦14隻(※2)が含まれている。しかし、2012年には潜水艦21隻、フリゲート以上21隻(※3)にすぎない。水上艦中、外洋で活動可能戦力は、巡洋艦1隻、駆逐艦8隻(※3)。『ジェーン海軍年鑑』により具体的に抜き出すと、スラーバ級1隻、ウダロイ級4隻、ソブレメンヌイ級3隻(※4)である。(駆逐艦1隻分の誤差がある)
大型水上艦だけでみれば、ロシア太平洋艦隊は台湾海軍に劣っている。台湾はキッド級4隻、ペリー級8隻を主力とし、少々格落ちするもののノックス級8隻、ラファイエット級6隻も保有している。ロシア太平洋艦隊、その水上艦戦力は、量も質も共に台湾海軍以下にすぎない。
中国艦隊にロシア太平洋艦隊が合同しても、大した戦力増加にはならない。中国海軍は強力である。しかし、ロシア太平洋艦隊は抜け殻のようなものだ。政治的効果はともかく、軍事的には大勢に影響を及ぼすものではない。まず、栗田艦隊に志摩艦隊が合流するかどうか。あるいは、日本海軍に満州海軍、あるいは仏印海軍が合同するかどうか程度の意味合いしかない。
そもそも、有事にロシア太平洋艦隊が合流できるかも怪しい。ロシア太平洋艦隊は日本海最奥部にいる。東シナ海に出るには対馬海峡を通らなければならない。日米海空戦力を前に通峡は難しい。太平洋に出るにしても、津軽・宗谷海峡で日本に補足される。宗谷経由で首尾よく太平洋に出られたとしても、日米海洋哨戒力から逃げ切ることは容易ではない。
※1 梁天仞「中国打造『均衡艦隊』」『鏡報』(鏡報文化,2012.6)pp.6-9.
※2 Military balance 1986-1987 (London:IISS,1986)
※3 Military balance 2012 (London:IISS,2012)
※4 Jane's Fighting Ships 2011/2012 (London:Jane's Information Group,2011)
4月末に中露は共同演習を行った。梁天仞さんは、先に取り上げた「中国打造『均衡艦隊』」(※1)で「中俄軍演抗美打日意味濃」と述べている。中露演習は米国に対抗し、日本に打撃を与えるものとしている。
しかし、ロシア海軍力は何かの寄与になるのか。東アジアでロシアはスーパーパワーではない。太平洋艦隊が持つ海軍力も見るべきもない。ロシア艦隊が合同したところで、中国海軍は軍事的に「抗美打日」できるようになるわけではない。
東アジアでは日米同盟が絶対的な海軍力優位を持っている。東アジアでの海軍力1位は米国、2位は日本である。急成長している中国も3位、量的に離れるが、潜水艦・水上艦を揃えた韓国が4位にある。高く評価しても、ロシアは台湾と同率5位になる。水上艦の質・量で考えれば台湾海軍はロシア太平洋艦隊よりも上であるが、それは置こう。そして、ダントツ1位の米国と、中国に追われているとはいえ、2位の日本が同盟を組んでいる。3位と5位が組んでどうにかなる相手ではない。
ロシア太平洋艦隊は、抜け殻である。『ミリタリー・バランス』によれば冷戦最末期、1986年には潜水艦109隻、フリゲート以上52隻(※2)を保有していた。外洋行動可能な大型水上艦として空母2隻、巡洋艦15隻、駆逐艦14隻(※2)が含まれている。しかし、2012年には潜水艦21隻、フリゲート以上21隻(※3)にすぎない。水上艦中、外洋で活動可能戦力は、巡洋艦1隻、駆逐艦8隻(※3)。『ジェーン海軍年鑑』により具体的に抜き出すと、スラーバ級1隻、ウダロイ級4隻、ソブレメンヌイ級3隻(※4)である。(駆逐艦1隻分の誤差がある)
大型水上艦だけでみれば、ロシア太平洋艦隊は台湾海軍に劣っている。台湾はキッド級4隻、ペリー級8隻を主力とし、少々格落ちするもののノックス級8隻、ラファイエット級6隻も保有している。ロシア太平洋艦隊、その水上艦戦力は、量も質も共に台湾海軍以下にすぎない。
中国艦隊にロシア太平洋艦隊が合同しても、大した戦力増加にはならない。中国海軍は強力である。しかし、ロシア太平洋艦隊は抜け殻のようなものだ。政治的効果はともかく、軍事的には大勢に影響を及ぼすものではない。まず、栗田艦隊に志摩艦隊が合流するかどうか。あるいは、日本海軍に満州海軍、あるいは仏印海軍が合同するかどうか程度の意味合いしかない。
そもそも、有事にロシア太平洋艦隊が合流できるかも怪しい。ロシア太平洋艦隊は日本海最奥部にいる。東シナ海に出るには対馬海峡を通らなければならない。日米海空戦力を前に通峡は難しい。太平洋に出るにしても、津軽・宗谷海峡で日本に補足される。宗谷経由で首尾よく太平洋に出られたとしても、日米海洋哨戒力から逃げ切ることは容易ではない。
※1 梁天仞「中国打造『均衡艦隊』」『鏡報』(鏡報文化,2012.6)pp.6-9.
※2 Military balance 1986-1987 (London:IISS,1986)
※3 Military balance 2012 (London:IISS,2012)
※4 Jane's Fighting Ships 2011/2012 (London:Jane's Information Group,2011)
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まとめtyaiました【3位が5位と組んでもね 】
中国海軍がロシア海軍と組んでも、日米海軍力への劣勢は変わらない。ロシア太平洋艦隊は弱体である。中国海軍と合同したところで、日米海軍への劣勢を覆すことはできない。 4月末に中露は共同演習を行った。梁天仞さんは、先に取り上げた「中国打造『均衡艦隊』」(※1)...
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