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日本捕鯨協会のトピックスに「憲政記念館で『全国鯨フォーラム2016東京』開催 」とある。リンク先を読むと、2016年5月31日に永田町の憲政記念館で実施したとの由。
「ソンナ話はニュースで聞かなかったナア」とネット検索、グーグルのニュース検索に掛けるとヒット0件。マスコミに全く取り上げられていないということだ。
言ってることも大したものではない。
基調講演でIWC日本政府代表を呼んでいるが、敗軍の将の繰言リサイタルでしかない。IWC代表が「IWCではもはや科学的議論が成り立たない」(森下)や「IWCでの前進はあり得ない」(森下)と言い出すのは、IWCで捕鯨賛成と余計なことをして日本の利益を損なった自分の失敗を徳としてひけらかしているものだ。
農水副大臣の発言もどうでもよいものだ。
これは子供を持ちだして情に訴えようとしているのだろうが、牛豚羊があるのに食味が劣る鯨肉赤身を食いたがる子供はいない。希少高価な珍味部位を食いたがる子供であれば、聞くべき話でもない。
参加者もまともに揃えられていない。大臣が出てこない上、関係7市町村のパネラーも首長を揃えられていない。太地町と新上五島町は町議しか出していない。
まずは捕鯨サークルの学芸会なんだが、そこで「東京宣言」とは大きくでたものだ。だが、「東京宣言」という割には海外どころか国内にも報じられていない。その内容も新味もない。
ちなみに、ボクの知り合いのユダヤ人イザヤ・ベンダサンさん(山本書店勤務)は「満場一致なんて疑え」と言っている。まあ、捕鯨サークルの学芸会だから満場一致するんだろうね。全国警察フォーラムやれば取り調べ可視化反対で満場一致するのと同じようなものだ。
* 「憲政記念館で『全国鯨フォーラム2016東京』開催」(日本捕鯨協会,2016.5.31)http://www.whaling.jp/topics/topics20160531.html
「ソンナ話はニュースで聞かなかったナア」とネット検索、グーグルのニュース検索に掛けるとヒット0件。マスコミに全く取り上げられていないということだ。
言ってることも大したものではない。
基調講演でIWC日本政府代表を呼んでいるが、敗軍の将の繰言リサイタルでしかない。IWC代表が「IWCではもはや科学的議論が成り立たない」(森下)や「IWCでの前進はあり得ない」(森下)と言い出すのは、IWCで捕鯨賛成と余計なことをして日本の利益を損なった自分の失敗を徳としてひけらかしているものだ。
農水副大臣の発言もどうでもよいものだ。
農林水産省の伊東良孝副大臣が、全国から一堂に集まった自治体等の関係者を前に、「捕鯨撤収から30年近く経過し、鯨を食べなくても牛肉を食べればいいんだという子どもたちがどんどん増えている」
「憲政記念館で『全国鯨フォーラム2016東京』開催」
これは子供を持ちだして情に訴えようとしているのだろうが、牛豚羊があるのに食味が劣る鯨肉赤身を食いたがる子供はいない。希少高価な珍味部位を食いたがる子供であれば、聞くべき話でもない。
参加者もまともに揃えられていない。大臣が出てこない上、関係7市町村のパネラーも首長を揃えられていない。太地町と新上五島町は町議しか出していない。
まずは捕鯨サークルの学芸会なんだが、そこで「東京宣言」とは大きくでたものだ。だが、「東京宣言」という割には海外どころか国内にも報じられていない。その内容も新味もない。
最後に、(1)全国鯨フォーラムの継続実施、(2)東日本大震災で被災した捕鯨地域への支援の継続、(3)沿岸小型捕鯨によるミンク鯨捕獲枠の早期解決、(4)南極海及び北西太平洋における鯨類科学調査の継続実施、(5)捕鯨技術の伝承、(6)学校給食への鯨肉供給の拡充について「東京宣言」として発表し、満場一致の賛同を得て、閉会しました。
「憲政記念館で『全国鯨フォーラム2016東京』開催」
ちなみに、ボクの知り合いのユダヤ人イザヤ・ベンダサンさん(山本書店勤務)は「満場一致なんて疑え」と言っている。まあ、捕鯨サークルの学芸会だから満場一致するんだろうね。全国警察フォーラムやれば取り調べ可視化反対で満場一致するのと同じようなものだ。
* 「憲政記念館で『全国鯨フォーラム2016東京』開催」(日本捕鯨協会,2016.5.31)http://www.whaling.jp/topics/topics20160531.html
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東京市内をテクテク歩いていたらコウガイビルを見つけた。千鳥ヶ淵霊園の南側、お堀端で2匹がニョロニョロ。田舎で見たことはあったが市内で見たこともないので撮影。
全長60センチ位か
携帯でも接写できるものです
で、神保町で岩波ブックセンター - 高岡書店 - 明倫館 - 内山書店 - 東方書店 - 東京堂を回る。『東亜』とか亡くなった栗山さんの『戦後日本外交』、『幹細胞』とか買った。
まあ嫌悪感を抱いたのが『ゲート』かね。ファンタジー満州事変小説の漫画版が高岡で平積みになっていた。中身ペラめくりしたのだが、徹頭徹尾アレな子の願望充足だなと。漏斗に合わせて爆薬を成形してノイマン効果みたいな話をしたいのだろうが、読者が「オレそれ知ってる」みたいなどうでもいい知的満足感を得るだけとなっている。構造だけではなく細部まで糖衣錠なのだなと。テレビまんがも円盤にするる時も、鉄砲の細部描写の書き換えといったガルパンのようなどうでもいいことやるのだろう。
買い物終わって飯田橋まで歩く。
中途、永田町の西口駅のてんやの上に昨日の政党の事務所を発見。まあほとんど知らない御仁で和田政宗さんほど嫌うわけでもないのだがね。
すぎやまこういちさんや、百田尚樹さんと波長の近い方の支持でどうにかしようと思っている。それが訴求力を持つと信じているあたりが、次世代の党時代の「タブー豚」と同じセンスだなと。
ちなみに、すぎやま、百田のお二人は都知事選で田母神俊雄さんを推していたあたり、人を看る眼のレベルがどんなものかねと。さらにそのお二人に応援されることを得として宣伝するあたりも、まータブー豚で勝てると思ったあたりと同じセンスなんでしょう。
全長60センチ位か
携帯でも接写できるものです
で、神保町で岩波ブックセンター - 高岡書店 - 明倫館 - 内山書店 - 東方書店 - 東京堂を回る。『東亜』とか亡くなった栗山さんの『戦後日本外交』、『幹細胞』とか買った。
まあ嫌悪感を抱いたのが『ゲート』かね。ファンタジー満州事変小説の漫画版が高岡で平積みになっていた。中身ペラめくりしたのだが、徹頭徹尾アレな子の願望充足だなと。漏斗に合わせて爆薬を成形してノイマン効果みたいな話をしたいのだろうが、読者が「オレそれ知ってる」みたいなどうでもいい知的満足感を得るだけとなっている。構造だけではなく細部まで糖衣錠なのだなと。テレビまんがも円盤にするる時も、鉄砲の細部描写の書き換えといったガルパンのようなどうでもいいことやるのだろう。
買い物終わって飯田橋まで歩く。
中途、永田町の西口駅のてんやの上に昨日の政党の事務所を発見。まあほとんど知らない御仁で和田政宗さんほど嫌うわけでもないのだがね。
すぎやまこういちさんや、百田尚樹さんと波長の近い方の支持でどうにかしようと思っている。それが訴求力を持つと信じているあたりが、次世代の党時代の「タブー豚」と同じセンスだなと。
ちなみに、すぎやま、百田のお二人は都知事選で田母神俊雄さんを推していたあたり、人を看る眼のレベルがどんなものかねと。さらにそのお二人に応援されることを得として宣伝するあたりも、まータブー豚で勝てると思ったあたりと同じセンスなんでしょう。
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中国にも共産党以外の政党もある。形としては共産党からはみ出す小店主や宗教信者向けの政党だが、翼賛政党であり存在価値はない。
和田政宗さんの日本の心がホニャララの会もその伝ではないかね。
翼賛活動に精を出す姿は衛星政党の鑑である。
政権にも入れないのに与党の翼賛をするあたりは衛星政党そのもの。そもそも衛星政党が自民党を推すことに何の意味はない。翼賛を受けて当籤したからといって、この候補者も衛星政党に配慮なぞはしない。どうせ翼賛活動以外に取り柄もない。ほっとけば自民に寄ってくる連中と考えている。
なんでそんな利益もないことをするか? 翼賛していれば、いつかは自民党に入れてもらえるといった目論見なのだろう。日本のナントカがカントカの会は次の選挙までにはまずなくなる。その時、自民党から出馬できるように媚びを売っとくといったものだ。
とはいえ、自民に入れてもらえるかも怪しい。そもそも和田さんには候補者にする魅力となる集客力が見込めず、それでいてネトウヨ主張ばかりする。まずは厄介ものでしかない。前にどこぞの政党の秘書(衛星政党とは違う党ね)から酒席で聞いた話なんだが、旧みんなの党の職員も擁立した和田さんがあまりにもアレで驚いたという。もちろんまた聞き話なんだが、質問主意書でネトウヨ主張したくらいだから実際にそんなものだろう。
まー、衛星政党って与野党のどっちからも馬鹿にされる存在だと思うね。与党からすりゃ自分から操り人形になる気概もない連中だし、野党からすりゃ協力者でしかない。汪兆銘でも日本軍政に抵抗したのにそれもしなけりゃホント、コラボレーターとしか言いようもない。実際に自民候補にコラボしてるんだからそんなものだろう。
和田政宗さんの日本の心がホニャララの会もその伝ではないかね。
翼賛活動に精を出す姿は衛星政党の鑑である。
和田政宗@wadamasamune
本日より重点的に仙台中心部で街頭活動。多くの方から声をかけて頂きました。復興を成し遂げ経済を再生するためには、何でも反対の野党では何も実現できません。我々は建設的に提案します。宮城は推薦する自民党○○○○○[筆者による伏字]候補を何卒お願い致します!
https://twitter.com/wadamasamune/status/747381221743722497?lang=ja
政権にも入れないのに与党の翼賛をするあたりは衛星政党そのもの。そもそも衛星政党が自民党を推すことに何の意味はない。翼賛を受けて当籤したからといって、この候補者も衛星政党に配慮なぞはしない。どうせ翼賛活動以外に取り柄もない。ほっとけば自民に寄ってくる連中と考えている。
なんでそんな利益もないことをするか? 翼賛していれば、いつかは自民党に入れてもらえるといった目論見なのだろう。日本のナントカがカントカの会は次の選挙までにはまずなくなる。その時、自民党から出馬できるように媚びを売っとくといったものだ。
とはいえ、自民に入れてもらえるかも怪しい。そもそも和田さんには候補者にする魅力となる集客力が見込めず、それでいてネトウヨ主張ばかりする。まずは厄介ものでしかない。前にどこぞの政党の秘書(衛星政党とは違う党ね)から酒席で聞いた話なんだが、旧みんなの党の職員も擁立した和田さんがあまりにもアレで驚いたという。もちろんまた聞き話なんだが、質問主意書でネトウヨ主張したくらいだから実際にそんなものだろう。
まー、衛星政党って与野党のどっちからも馬鹿にされる存在だと思うね。与党からすりゃ自分から操り人形になる気概もない連中だし、野党からすりゃ協力者でしかない。汪兆銘でも日本軍政に抵抗したのにそれもしなけりゃホント、コラボレーターとしか言いようもない。実際に自民候補にコラボしてるんだからそんなものだろう。
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6月20日、関西電力が保有する高浜原発1・2号機について運転延長が認可された。これは1974~75年完成、今年で40年以上を経過した原子力発電所について、さらに今後20年の運転を原子力規制委員会が認めたものだ。
結果、高浜原発は最長で2035年までの運転が可能となる。今後、関西電力は配管等の改修を行い最短2019年中に運転を再開するという。
だが、もともと高コストとなる旧式老朽の原発を改修し、無理に運転する必要があるのだろうか?
それはない。なぜなら今後は電力の需要は減り、同時に安価な電力の供給が増強されるためだ。この状況では、高コストとなる高浜原発1・2号機の寿命を延長しても、まず出番はない。その理由について順を追って説明しよう。
■ 電力需要は減少するだけ
最初に知っておくべきことは「今後、電力需要が減少する」ということだ。人口減少と産業構造の変化によって日本の電力需要は将来は減り続けるのである。
家庭向け電力量は人口に応じて減少していく。日本の総人口は1億2800万人(2008年)がピークであり、以降は減少に転じた。2048年には1億を切る見込みである。この人口変化からやや遅れるが、実際の電力消費もやはり2011年をピークとして減少を始めている。
電力会社系の研究所もそのように見ている。電力中央研究所の研究発表(2016年3月)がそれだ。2030年の家庭向け電力需要は10年と比較し0.5%減少するとしている。電力系の立場からか「消費電力は増える」要素を努力して積み上げている感があるが、それでも需要は減少するのである。
産業・業務用の電力量も今後は減少する。日本は以前から三次産業へのシフトが進んでいる。簡単にいえば工場は減って事務所やお店に変わるといったものだ。これは今でも続いており逆戻りする見込みはない。当然だが、動力や熱源を大量に消費する製造業が減れば、産業全体としての電力需要も減る。
これも同じ研究発表で示されている。具体的な需要の低下幅は、景気不景気の影響を受けるとして挙げてはいない。だが、沖縄以外の産業・業務用電力では電力需要は減少するだろうといった結論を示している。
実際には、好景気が来ても産業・業務用電力は低下し続けるだろう。産業は既にサービス業にシフトしており、今なお残る工業もかつてのように大電力を消費する重厚長大産業が中心ではない。
■ 石炭火力が2000万kw増える
そして、今後は安価な電力供給の急増が見込まれている。石炭・天然ガス・太陽光発電がそれだ。これらは原発とは比較にならないほど安価な電力を供給する。
日本では石炭火力発電所の新設が進んでおり、今後能力は激増する。石炭は燃料としては最も安価であり、それを押しとどめていた環境省が新設を認める姿勢に転じた結果である。英国経済系の電子ジャーナルから拾った数字だが日本で建設中の石炭火力は合計190万kwであり、別に合計2800万kw分が計画中としている。なお、26年までに旧式石炭火力1030万kwが廃用されるが、同年までには現段階で建設中と計画中の発電所が完成すれば3000万kwの増となるため、差し引きでも2000万kw増となる。
また、天然ガスを使うLNG発電所も新設と微増見込まれている。これもガス価格下落の影響を受け、現状では資源がほぼ最低価格となった結果だ。石炭火力同様の数字だが、現段階で530万kwが建設中であり、1490万kwが計画されている。こちらは石炭火力とは異なり退役発電所との差し引きの計算の数字はないが、既存のガス発電所から寿命45年としても26年までに退役するだろう1984kwをカバーし純増となる。
つまり2026年までには石炭増設分の2000万kwの純増となる。ちなみに2016年の『エネルギー白書』(資エネ庁)によれば14年の日本の総発電能力は2.5億kwである。今の供給能力の1割近い石炭火力が増えるということだ。
さらに、今後の電力供給では太陽光発電の普及も無視できない。太陽光発電協会の資料(2014年)のグラフ読み取りでは、2013年の段階で1500万kwが既に設置済みであり、2030年にはそれが8500万kwに達すると推測されているのである。
もちろん太陽光発電は最大出力であり、常に発揮できる数字ではない。設置条件や季節差から実際には正午でも能力100%に達せず、あたりまえだが夜は発電しない。だが、燃料代はかからないため、ランニングコストでは他を圧する安価な電力を供給する。
■ 石炭と天然ガスは安定供給される
なお、念のために言えばエネルギー安全保障も高浜を残す理由にはならない。「もし、石油ショックがあれば」といった観点から原発の比率を上げる、あるいは「念のため原発の数を揃えておこう」といった判断もさほどに現実的ではない。
なぜなら石炭や天然ガスには「石油ショック」が起きる可能性は低いためだ。両者の供給は石油とは異なり安定している。石炭は埋蔵資源量は大きく、輸出国の政情は安定しており、その配置も世界中に分散しており海上輸送に不安はない。天然ガスも同様だが、石炭以上に未利用の資源も多く、それらが近年では新たな供給先として登場している。日本向けであれば豪州の海底ガス田開発、米国シェールガスの輸入がそれだ。
もちろん輸入頼みといったリスクは残る。一応は日本としても北海道の石炭や南関東のガス田等、国内で採掘できないこともない。だが埋蔵量やコスト、立地といった問題から非常時の国産完全代替は現実的ではない。
だが、輸入頼みのリスクは核燃料も変わらない。日本国内でウランは商業的に採掘できず、再処理による使用済み燃料再生の見込みも立っていないのである。
さらに、原発による電力安定供給には他にも政治・司法リスクがある。その時々の政治動向や司法判断で動かせなくなることもありえるのだ。これは石炭や天然ガス、太陽光にはないリスクである。
■ 老朽原発に出番はない
今後、電力需要は減るなか、安価な電力が大量供給されるということだ。
そこに老朽した高浜1・2号機の出番はない。もともと発電能力はさほど高いものではなく、それでいて旧式であり老朽している。経年劣化が進んでいるため、運転すれば動かせば短時間でどこかしかが壊れる。どうしても点検維持や整備補修費用といった運用コストは嵩むだろう。
そのような老朽原発に資金を投じる意味があるのだろうか? 高浜1・2号機は改修工事を施しても活用できる見込みはない。仮に寿命延長を行い、無理に運転させても動かせば動かすほど損となるだけだ。最終的には電力料金を支払う国民の損ともなるだろう。
6月21日に書いた「老朽原発動かしてどうするのかね」の数字を詰めたバージョンです。
結果、高浜原発は最長で2035年までの運転が可能となる。今後、関西電力は配管等の改修を行い最短2019年中に運転を再開するという。
だが、もともと高コストとなる旧式老朽の原発を改修し、無理に運転する必要があるのだろうか?
それはない。なぜなら今後は電力の需要は減り、同時に安価な電力の供給が増強されるためだ。この状況では、高コストとなる高浜原発1・2号機の寿命を延長しても、まず出番はない。その理由について順を追って説明しよう。
■ 電力需要は減少するだけ
最初に知っておくべきことは「今後、電力需要が減少する」ということだ。人口減少と産業構造の変化によって日本の電力需要は将来は減り続けるのである。
家庭向け電力量は人口に応じて減少していく。日本の総人口は1億2800万人(2008年)がピークであり、以降は減少に転じた。2048年には1億を切る見込みである。この人口変化からやや遅れるが、実際の電力消費もやはり2011年をピークとして減少を始めている。
電力会社系の研究所もそのように見ている。電力中央研究所の研究発表(2016年3月)がそれだ。2030年の家庭向け電力需要は10年と比較し0.5%減少するとしている。電力系の立場からか「消費電力は増える」要素を努力して積み上げている感があるが、それでも需要は減少するのである。
産業・業務用の電力量も今後は減少する。日本は以前から三次産業へのシフトが進んでいる。簡単にいえば工場は減って事務所やお店に変わるといったものだ。これは今でも続いており逆戻りする見込みはない。当然だが、動力や熱源を大量に消費する製造業が減れば、産業全体としての電力需要も減る。
これも同じ研究発表で示されている。具体的な需要の低下幅は、景気不景気の影響を受けるとして挙げてはいない。だが、沖縄以外の産業・業務用電力では電力需要は減少するだろうといった結論を示している。
実際には、好景気が来ても産業・業務用電力は低下し続けるだろう。産業は既にサービス業にシフトしており、今なお残る工業もかつてのように大電力を消費する重厚長大産業が中心ではない。
■ 石炭火力が2000万kw増える
そして、今後は安価な電力供給の急増が見込まれている。石炭・天然ガス・太陽光発電がそれだ。これらは原発とは比較にならないほど安価な電力を供給する。
日本では石炭火力発電所の新設が進んでおり、今後能力は激増する。石炭は燃料としては最も安価であり、それを押しとどめていた環境省が新設を認める姿勢に転じた結果である。英国経済系の電子ジャーナルから拾った数字だが日本で建設中の石炭火力は合計190万kwであり、別に合計2800万kw分が計画中としている。なお、26年までに旧式石炭火力1030万kwが廃用されるが、同年までには現段階で建設中と計画中の発電所が完成すれば3000万kwの増となるため、差し引きでも2000万kw増となる。
また、天然ガスを使うLNG発電所も新設と微増見込まれている。これもガス価格下落の影響を受け、現状では資源がほぼ最低価格となった結果だ。石炭火力同様の数字だが、現段階で530万kwが建設中であり、1490万kwが計画されている。こちらは石炭火力とは異なり退役発電所との差し引きの計算の数字はないが、既存のガス発電所から寿命45年としても26年までに退役するだろう1984kwをカバーし純増となる。
つまり2026年までには石炭増設分の2000万kwの純増となる。ちなみに2016年の『エネルギー白書』(資エネ庁)によれば14年の日本の総発電能力は2.5億kwである。今の供給能力の1割近い石炭火力が増えるということだ。
さらに、今後の電力供給では太陽光発電の普及も無視できない。太陽光発電協会の資料(2014年)のグラフ読み取りでは、2013年の段階で1500万kwが既に設置済みであり、2030年にはそれが8500万kwに達すると推測されているのである。
もちろん太陽光発電は最大出力であり、常に発揮できる数字ではない。設置条件や季節差から実際には正午でも能力100%に達せず、あたりまえだが夜は発電しない。だが、燃料代はかからないため、ランニングコストでは他を圧する安価な電力を供給する。
■ 石炭と天然ガスは安定供給される
なお、念のために言えばエネルギー安全保障も高浜を残す理由にはならない。「もし、石油ショックがあれば」といった観点から原発の比率を上げる、あるいは「念のため原発の数を揃えておこう」といった判断もさほどに現実的ではない。
なぜなら石炭や天然ガスには「石油ショック」が起きる可能性は低いためだ。両者の供給は石油とは異なり安定している。石炭は埋蔵資源量は大きく、輸出国の政情は安定しており、その配置も世界中に分散しており海上輸送に不安はない。天然ガスも同様だが、石炭以上に未利用の資源も多く、それらが近年では新たな供給先として登場している。日本向けであれば豪州の海底ガス田開発、米国シェールガスの輸入がそれだ。
もちろん輸入頼みといったリスクは残る。一応は日本としても北海道の石炭や南関東のガス田等、国内で採掘できないこともない。だが埋蔵量やコスト、立地といった問題から非常時の国産完全代替は現実的ではない。
だが、輸入頼みのリスクは核燃料も変わらない。日本国内でウランは商業的に採掘できず、再処理による使用済み燃料再生の見込みも立っていないのである。
さらに、原発による電力安定供給には他にも政治・司法リスクがある。その時々の政治動向や司法判断で動かせなくなることもありえるのだ。これは石炭や天然ガス、太陽光にはないリスクである。
■ 老朽原発に出番はない
今後、電力需要は減るなか、安価な電力が大量供給されるということだ。
そこに老朽した高浜1・2号機の出番はない。もともと発電能力はさほど高いものではなく、それでいて旧式であり老朽している。経年劣化が進んでいるため、運転すれば動かせば短時間でどこかしかが壊れる。どうしても点検維持や整備補修費用といった運用コストは嵩むだろう。
そのような老朽原発に資金を投じる意味があるのだろうか? 高浜1・2号機は改修工事を施しても活用できる見込みはない。仮に寿命延長を行い、無理に運転させても動かせば動かすほど損となるだけだ。最終的には電力料金を支払う国民の損ともなるだろう。
6月21日に書いた「老朽原発動かしてどうするのかね」の数字を詰めたバージョンです。
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■ 何を主張したいか不明瞭
村井友秀さんも、いつも何を主張したいのかが不明瞭である。
村井さんがウェブの産経に「中国と『戦争』すればこうなる…尖閣守る日米同盟と『核の傘』」を発表しているのだが。日中の領土争いが衝突に至ったらどうなるかといった問題提起と、村井さんが展開する趣旨と間がピタリとはまらない。
尖閣は、未確定の領土争いに過ぎない。そこからのエスカレーションを説くにしても、核兵器にもっていく点や、話の抽象度の上げ方が突飛すぎる。核戦略屋さんを除けば「核兵器は神話のようなもの」だ。相手が相手の国を滅ぼすような戦争を考える、あるいは相手の核戦力を直接潰すような話をしないかぎりは、意味がないのであまり取り上げない
この点、自分が知っていること、自分が言いたいことだけを構造なく羅列する感じとでもいったものか。1年前ほどの『外交』でも村井さんの記事は大抵そう。「中国は敵が弱ければ戦う国 」と、ピントのずれた宿命論的な主張を連発していた。
村井さんが与えられたテーマと合致した話ができないことを窺わせるものとしては、書評もある。
通常、書評は評価すべき本について従来書からの進歩点、新しい発見を評価し、それでいてなお「あるべきものがない点」を指摘し、今後の展望を述べるといったフォーマットがある。
だが、村井さんは書評については、目次の引き写しをやり「この本は面白い」程度しか述べていないことがある。
■ 書評は目次転載
具体的には『防衛学研究』の書評が全くそれであった。茅原郁夫さんの本『中国軍事大国の原点』を村井さんが紹介するものである。
その構造を提示すると、次のとおりである。文面そのものについての指摘は趣旨ではないので文面はぼかしてある
『防衛学研究』47号より
導入部と赤字を付したのはとしたのは、話の端緒であり世間話の延長のようなものだ。これが全体70行のうち24行を占めている。
目次部と赤字をつけた部分が目次転載部である。これは全体70行中の21行を占めている。目次そのものが20行、さらにその前に「本書の構成は以下のとおりとなっている」(村井)があるため、合計21行となる。
あとがき部の8行は、茅原さんの本の「あとがき」から抜き出した6行、「[このように]研究は楽しいものだ」(村井)といった2行を足したもの。
ついでに言えば、赤書けの後ろの2行も「若い研究者にオススメです」(村井:大意)といったもので意味はない。
つまり、70行中の55行が転載ほかでできているということだ。 よくもリジェクトされなかったものだ。
■ 新しい発見の指摘がない
また、村井さんの書評には茅原さんの本に関する新しい主張や新発見といったキモもまったく呈示していない。普通はそれまでの先行研究での理解を出し、そこからの新主張、新発見がこれだとやって、正誤あっても評価するのが書評のやり方だが、それはない。
それでいて、自身のネトウヨ主張と合わない場所だけを呈示し不満を示している。目次引用部のあと、あとがき要約部の前にある部分がそれだ。「14章で茅原さんがオーソドックスな『解放軍=事実上の国軍』の理解を示したが、ボクの主張の『党の軍隊としての中国軍怖い、超怖い』がない」(村井:大意)といったものである。
村井さんが『正論』『歴史通』等で主張するいつもの中国異質論、中国脅威論の焼き直しをここでもしているだけということだ。ついでだが、中国宿敵論も商売ではなく地なのだろう。ネトウヨ雑誌でもない『外交』や『東亜』でもネトウヨ作文をしているあたりから、まずは間違いはなさそうである。
■ 消印所沢さんの書評と大差なし
まずは、あらすじを書く小学生の読書感想文のようなものだ。産経系でネトウヨ向けのアジテーションを書いているとこうなるのだろう。
まあ、昔あったBk1の消印所沢さんの書評と大差ないものだ。「何ページ中、何ページが役に立った」と書いていたアレだ。所沢さんはオーソドックスな書評をご存じなく、中身について「どういった点で評価できる/できない」を示すこともご本人には荷が重くてできない。だから「面白いページがこれだけあったよ」と数だけ示したといったもの。それを「書評でござい」としていたアレと同じものだろう。
* 村井友秀「中国と『戦争』すればこうなる…尖閣守る日米同盟と『核の傘』」『産経ニュース』(産経新聞,2016.6.17)http://www.sankei.com/column/news/160617/clm1606170006-n1.html
** 村井友秀「文献紹介 茅原郁生著『中国軍事大国の原点 -鄧小平軍事改革の研究』」『防衛学研究』47号(日本防衛協会,2012.9)
村井友秀さんも、いつも何を主張したいのかが不明瞭である。
村井さんがウェブの産経に「中国と『戦争』すればこうなる…尖閣守る日米同盟と『核の傘』」を発表しているのだが。日中の領土争いが衝突に至ったらどうなるかといった問題提起と、村井さんが展開する趣旨と間がピタリとはまらない。
尖閣は、未確定の領土争いに過ぎない。そこからのエスカレーションを説くにしても、核兵器にもっていく点や、話の抽象度の上げ方が突飛すぎる。核戦略屋さんを除けば「核兵器は神話のようなもの」だ。相手が相手の国を滅ぼすような戦争を考える、あるいは相手の核戦力を直接潰すような話をしないかぎりは、意味がないのであまり取り上げない
この点、自分が知っていること、自分が言いたいことだけを構造なく羅列する感じとでもいったものか。1年前ほどの『外交』でも村井さんの記事は大抵そう。「中国は敵が弱ければ戦う国 」と、ピントのずれた宿命論的な主張を連発していた。
村井さんが与えられたテーマと合致した話ができないことを窺わせるものとしては、書評もある。
通常、書評は評価すべき本について従来書からの進歩点、新しい発見を評価し、それでいてなお「あるべきものがない点」を指摘し、今後の展望を述べるといったフォーマットがある。
だが、村井さんは書評については、目次の引き写しをやり「この本は面白い」程度しか述べていないことがある。
■ 書評は目次転載
具体的には『防衛学研究』の書評が全くそれであった。茅原郁夫さんの本『中国軍事大国の原点』を村井さんが紹介するものである。
その構造を提示すると、次のとおりである。文面そのものについての指摘は趣旨ではないので文面はぼかしてある
『防衛学研究』47号より
導入部と赤字を付したのはとしたのは、話の端緒であり世間話の延長のようなものだ。これが全体70行のうち24行を占めている。
目次部と赤字をつけた部分が目次転載部である。これは全体70行中の21行を占めている。目次そのものが20行、さらにその前に「本書の構成は以下のとおりとなっている」(村井)があるため、合計21行となる。
あとがき部の8行は、茅原さんの本の「あとがき」から抜き出した6行、「[このように]研究は楽しいものだ」(村井)といった2行を足したもの。
ついでに言えば、赤書けの後ろの2行も「若い研究者にオススメです」(村井:大意)といったもので意味はない。
つまり、70行中の55行が転載ほかでできているということだ。 よくもリジェクトされなかったものだ。
■ 新しい発見の指摘がない
また、村井さんの書評には茅原さんの本に関する新しい主張や新発見といったキモもまったく呈示していない。普通はそれまでの先行研究での理解を出し、そこからの新主張、新発見がこれだとやって、正誤あっても評価するのが書評のやり方だが、それはない。
それでいて、自身のネトウヨ主張と合わない場所だけを呈示し不満を示している。目次引用部のあと、あとがき要約部の前にある部分がそれだ。「14章で茅原さんがオーソドックスな『解放軍=事実上の国軍』の理解を示したが、ボクの主張の『党の軍隊としての中国軍怖い、超怖い』がない」(村井:大意)といったものである。
村井さんが『正論』『歴史通』等で主張するいつもの中国異質論、中国脅威論の焼き直しをここでもしているだけということだ。ついでだが、中国宿敵論も商売ではなく地なのだろう。ネトウヨ雑誌でもない『外交』や『東亜』でもネトウヨ作文をしているあたりから、まずは間違いはなさそうである。
■ 消印所沢さんの書評と大差なし
まずは、あらすじを書く小学生の読書感想文のようなものだ。産経系でネトウヨ向けのアジテーションを書いているとこうなるのだろう。
まあ、昔あったBk1の消印所沢さんの書評と大差ないものだ。「何ページ中、何ページが役に立った」と書いていたアレだ。所沢さんはオーソドックスな書評をご存じなく、中身について「どういった点で評価できる/できない」を示すこともご本人には荷が重くてできない。だから「面白いページがこれだけあったよ」と数だけ示したといったもの。それを「書評でござい」としていたアレと同じものだろう。
* 村井友秀「中国と『戦争』すればこうなる…尖閣守る日米同盟と『核の傘』」『産経ニュース』(産経新聞,2016.6.17)http://www.sankei.com/column/news/160617/clm1606170006-n1.html
** 村井友秀「文献紹介 茅原郁生著『中国軍事大国の原点 -鄧小平軍事改革の研究』」『防衛学研究』47号(日本防衛協会,2012.9)
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東洋経済オンラインに発表した記事に対し、いしゐのぞむさんが反論(リンク)されている。その中で石井さんが「文句があるなら文谷氏は私に反證して欲しい。」(石井)とある。せっかくなので、その中で気になるところだけでも反論すると次のとおりだ。
■ 石井さんは無害通航と接続水域の概念を理解していない
石井さんは無害通航や接続水域の概念を理解していない。
まず、無害通航と接続水域の理解を誤っている。
無害通航は領海内での行動に関する概念だが、接続水域は領海の外にある。中国軍艦が接続水域を通過したことに関して、そもそも筆者は「日本の接續水域で無害通航權を行使した」(石井)とは一言もいっていない。「接続水域を通過」したと書いている。そう書かないと、国際法理解で恥を掻くためた。
また、中国軍艦が尖閣の接続水域に入ったことを指して「日本の接續水域を認めない」(石井)と言うのも、ピントがズレている。もともと接続水域は公海同然であり出入りも行動自由である。沿岸国は関税や出入国、環境汚染以外の権利は及ぼせない。どの国の軍艦が入ろうと入るまいと、軍事行動をしようがしまいが国際法的には何の問題もない。
■ 「南沙海域を無害通航」も精緻を欠く
また、石井さんは南沙問題と領海・無害通航の関係も理解できていない。
そもそも、南沙で無害通航と言い出すこと自体が慎重さを欠くものだ。太平島や常時干出が明瞭な岩礁をのぞき、問題となっているのは暗礁とそれを造成した人工島である。これらはそもそも領海を生じない。当然だが、領海が生じなければ無害通航の必要はない。
逆に、これは石井さんが嫌う中国政府の主張「人工島の周囲は領海が発生する」に添った書きぶりでもある。日米は南沙問題とそこでの各国の主張について、現段階では領海は発生しないといった建前になっている。可能性として台湾の太平島には領海どころかEEZが生まれる可能性があるが、その点については何の判断もしていない。
■ 南沙問題への理解も乱暴
最後が南沙問題等の理解の誤りだ。
「南沙はチャイナが越南から武力で強奪した」とする理解も乱暴である。もともと南沙はどこの国もものとも言い難いためだ。かつては米海図に危険な暗礁地帯と書かれるだけの何も価値もない岩礁群であった。それが戦後、後に海洋新秩序となる海の囲い込みがあり、それぞれが自国のものと言い出したものに過ぎない。
さらに言えば、戦前日本の主張からすれば南沙はむしろ中国主張に理があるともいえる。日本は圧倒的な海軍力で新南群島を支配し、台湾に属するとした。それであれば、戦後には南沙は中国に属することになる。南沙が台湾に属し、台湾は中国に属するためだ。つまり、かつての日本の主張を下敷きとすれば、南沙は今の台北政権あるいは新中国に属することになる。
もちろん、敗戦後、日本は南沙はどこの国のものであるかは承知しない立場にあるのだが。
■ もともと反りは合わない
そもそも石井さんとは御宗旨が違いすぎる。反りがあわないのも当然なことだ。
もし、「日本が尖閣に公務員を常駐」(石井)したらどうなるか? それは漁民逮捕や尖閣国有化の誤りをみれば理解できるはずだ。
互いのナショナリズムが刺激され、無意味な日中対立に落ち込む。13年のような日貨排斥が起きるだろうし、日本国内でも中国人に対する暴力行為が発生するだろう。もちろん、日中経済交流は止まる。
それでいて、何の利益も生まれない。尖閣そのものには現実的な価値はない。地積は狭隘であり利用価値はなく、海底資源も商業的に採掘できる見込みはない。漁業についてもさほどの魅力がない上、EEZについても東シナ海は既にほぼ分割されており、尖閣分はたいしたものではない。そもそも、尖閣で日中台が入会状態にあったことからすれば、台湾を含む中国漁民のアクセスを認めなければならない。
尖閣の支配は百害あって一利もない。その点、公務員どころか一般国民の上陸接近を認めない今の方針は正しい。むしろ今後は漁業資源保護あたりを名目に、相互に12あるいは24マイル以内への自国民の接近禁止し、厄介な民間活動家の行動を封殺すべきだろう。
■ 石井さんは無害通航と接続水域の概念を理解していない
石井さんは無害通航や接続水域の概念を理解していない。
チャイナ軍艦は、日本の接續水域で無害通航權を行使したのではない。自國の毘連區(ひれんく、接續水域)に這入る權利を行使したと言ってゐる。すなはち日本の接續水域を認めないことを通航で示したのである。無害通航ではないから日本は抗議した。
文谷數重氏「尖閣接續水域侵犯は合法。日本艦も南沙の接續水域に進入せよ」 正しい振りをして誤り
まず、無害通航と接続水域の理解を誤っている。
無害通航は領海内での行動に関する概念だが、接続水域は領海の外にある。中国軍艦が接続水域を通過したことに関して、そもそも筆者は「日本の接續水域で無害通航權を行使した」(石井)とは一言もいっていない。「接続水域を通過」したと書いている。そう書かないと、国際法理解で恥を掻くためた。
また、中国軍艦が尖閣の接続水域に入ったことを指して「日本の接續水域を認めない」(石井)と言うのも、ピントがズレている。もともと接続水域は公海同然であり出入りも行動自由である。沿岸国は関税や出入国、環境汚染以外の権利は及ぼせない。どの国の軍艦が入ろうと入るまいと、軍事行動をしようがしまいが国際法的には何の問題もない。
■ 「南沙海域を無害通航」も精緻を欠く
また、石井さんは南沙問題と領海・無害通航の関係も理解できていない。
日本軍艦は仕返しとしてでなく、平常から南沙海域を無害通航すべきであった。その遲れをこそ批判すべきであって、仕返しといふのは全く誤りだ。但し南沙を航行せよといふ點だけに限定すれば文谷氏の主張は正しい。南沙が誰の領土なるかを問はず、無害通航は可能である。
同 上
そもそも、南沙で無害通航と言い出すこと自体が慎重さを欠くものだ。太平島や常時干出が明瞭な岩礁をのぞき、問題となっているのは暗礁とそれを造成した人工島である。これらはそもそも領海を生じない。当然だが、領海が生じなければ無害通航の必要はない。
逆に、これは石井さんが嫌う中国政府の主張「人工島の周囲は領海が発生する」に添った書きぶりでもある。日米は南沙問題とそこでの各国の主張について、現段階では領海は発生しないといった建前になっている。可能性として台湾の太平島には領海どころかEEZが生まれる可能性があるが、その点については何の判断もしていない。
■ 南沙問題への理解も乱暴
最後が南沙問題等の理解の誤りだ。
南沙はチャイナが越南から武力で強奪したのであり、チャイナの正當な領土ではない。それを尖閣と同列に扱って相互に仕返しといふのは、尖閣に領土問題があるといふ印象を世界に與へる。尖閣に於いてチャイナがゼロであることは、國際法は勿論のこと、歴史について私が證明した通りだ。
同 上
「南沙はチャイナが越南から武力で強奪した」とする理解も乱暴である。もともと南沙はどこの国もものとも言い難いためだ。かつては米海図に危険な暗礁地帯と書かれるだけの何も価値もない岩礁群であった。それが戦後、後に海洋新秩序となる海の囲い込みがあり、それぞれが自国のものと言い出したものに過ぎない。
さらに言えば、戦前日本の主張からすれば南沙はむしろ中国主張に理があるともいえる。日本は圧倒的な海軍力で新南群島を支配し、台湾に属するとした。それであれば、戦後には南沙は中国に属することになる。南沙が台湾に属し、台湾は中国に属するためだ。つまり、かつての日本の主張を下敷きとすれば、南沙は今の台北政権あるいは新中国に属することになる。
もちろん、敗戦後、日本は南沙はどこの国のものであるかは承知しない立場にあるのだが。
■ もともと反りは合わない
そもそも石井さんとは御宗旨が違いすぎる。反りがあわないのも当然なことだ。
基本的には 日本が尖閣に公務員を常駐させないことが、火種を作ってゐる。無人島の周邊をどちらの公船・軍艦が自由に航行できるかといふ爭ひめいた形を作り出してゐる。島中に常駐してゐれば、通航の爭ひは意義を成さなくなる。國際法に「無人島」といふ語が出現する以上、無人島と居人島とは法的に同一ではない。
同 上
もし、「日本が尖閣に公務員を常駐」(石井)したらどうなるか? それは漁民逮捕や尖閣国有化の誤りをみれば理解できるはずだ。
互いのナショナリズムが刺激され、無意味な日中対立に落ち込む。13年のような日貨排斥が起きるだろうし、日本国内でも中国人に対する暴力行為が発生するだろう。もちろん、日中経済交流は止まる。
それでいて、何の利益も生まれない。尖閣そのものには現実的な価値はない。地積は狭隘であり利用価値はなく、海底資源も商業的に採掘できる見込みはない。漁業についてもさほどの魅力がない上、EEZについても東シナ海は既にほぼ分割されており、尖閣分はたいしたものではない。そもそも、尖閣で日中台が入会状態にあったことからすれば、台湾を含む中国漁民のアクセスを認めなければならない。
尖閣の支配は百害あって一利もない。その点、公務員どころか一般国民の上陸接近を認めない今の方針は正しい。むしろ今後は漁業資源保護あたりを名目に、相互に12あるいは24マイル以内への自国民の接近禁止し、厄介な民間活動家の行動を封殺すべきだろう。
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青山繁晴さんは大っ嫌いなものだ。自分を大きく見せることだけが目的であって、そこにまったく内実はなく、そこでは平気で嘘をつく。それが参院選に出たあたりで不快な気持ちしかしないものだ。
■ 虚言癖の御仁
まず虚言癖だけでのし上がってきた御仁。一番わかり易いのは「自衛隊は警衛で木製モデルガンを使っていた、俺、構えたことあるもん」(青山)* なんかそれ。
見た目で分からないほど精巧な木製小銃の存在を曝いたといった筋立てになっている。
でもねえ、当然の話だが、警衛は実際には昔から実銃を使っている。9.11以前から哨所の直長は実包が配布されている。
そもそも64式小銃そっくりな、木製の偽小銃は存在していない。64式小銃のモデルガンは相当跡にならないとできない。このエピソードは青山さんが共同通信に勤務されていた時期、つまり1979-97年とされている。だが、その時期には存在しない。
そもそも、持ちおもり以外は分からないような木製小銃は作りようがない。二脚や剣座をどう作るのかに興味が惹かれるほどだ。
■ 木銃すら見たことがない
明らかに、このエピソードは聞いただけで見たことのない木銃について、勝手に話を捏造したものだ。
警衛には警棒や乳切木と同じように木銃がある。銃剣道で使うアレがだ、当然だが外見は全く鉄砲には見えない。その使い方も単なる棒で、銃を使うまでもない事態で相手を抑制し捕縛し追い払うものだ。一時学校に配られた今様のトゲ無しサスマタと同じである。
だが、その話を聞いて「自衛隊はホンモノの小銃を使えないので、木銃=木製モデルガンを使っている」と考え、調べもしないで開陳したのが青山さんである。しかもそれを靖国神社でね。
■ 戦死者も自分の宣伝に使う
青山さんは同じ口演で、硫黄島の戦死者も宣伝に使っている。
たとえば「硫黄島の滑走路下に埋まっている遺骨収集を提議したのは自分」の功績とするもの。2006年12月に硫空基に行ったあとで問題提議し、その収集について菅首相を動かしたとしている。だが、滑走路下の遺骨回収は硫黄島返還からある話である。青山さんが最初に言い出したものではない。
さらに、硫黄島については「栗林さんがボクに訴えたくて心霊写真で出てきた」ともホラを吹いている。デジカメで写真を取って、パソコンで見たら陸軍正装の将校と小さな子どもが写っていたという条だ。
これはあまりにも無神経ではないか。心霊現象云々の与太はともかく。しかし、その写真は栗林さんではないかと判断した件、自分に訴えたいことがあるので出てきたと示唆するあたりは、趣味が悪すぎる。しかも靖国神社の口演でね。
だいたい栗林さんの奥さんはつい最近までご存命でらっしゃった。出てくるなら、まず奥さんやゆかりの方の写真に出てくる。自己宣伝のためにホラを振り回すような人のところにはでてくるものではない。
■ どうせまた事故る
まあ、なによりもアレなのはこんなのを公認したヤツだけどね。信者はいるから当籤するだろうが、メッキのハゲたメタンハイドレート詐欺をまた推して国損生むんじゃないかな。
選挙カー事故ったときに、死なない程度に怪我してくれればヨカッタと思ったよ。例えばクビから上だけがなくなる程度のお怪我とかね。流石に掃部さまみたいに逆ジオング最終状態になれば虚言癖と自己装飾を聞かされることもないからね。
ただ、機会は今回だけでもない。というのも、どうせまた事故おこすから。記事とか発言とかアレすぎるから掘り様はいくらでもある。その矛盾突けばいいと思うよ。民主党の時にTPPを罵倒してたけど政権が変わるとTPP擁護とか、立場でしか話さないあたりがわかり易すぎる。
特に自称コンサルでの調査工事の受注あたりか。国から発注を受けた経緯もある。そこは追いかけやすい。
そうなると堪えられないんじゃないかね。今までネトウヨ世界だけで言論が終わっていた。だから厳しく批評されたことない。だけど今後はそうでもない。
ちなみに、この記事は前に書いた「見ていない話を見たと言い切るので齟齬が出る」を改めたもの。
* 青山繁晴 口演、「日本の希望が目覚める」『平成22年度 靖國神社崇敬奉賛会 講演 シンポジウム 勉強会 記録集』(靖國神社崇敬奉賛会,2011)
■ 虚言癖の御仁
まず虚言癖だけでのし上がってきた御仁。一番わかり易いのは「自衛隊は警衛で木製モデルガンを使っていた、俺、構えたことあるもん」(青山)* なんかそれ。
『今、私[内局の局長]が許可しますから[警衛の]この銃を持ち上げてください』と言われたんです。この銃を何気なく僕が持ったら本物じゃなくて木だったんです[略]現在は本物の銃になりましたが、これは残念ながら私達や私達の国が目覚めたからではなくて、何と外圧で九.一一同時多発テロがあったからです
青山繁晴口演、「日本の希望が目覚める」『平成22年度 靖國神社崇敬奉賛会 講演 シンポジウム 勉強会 記録集』p.17
見た目で分からないほど精巧な木製小銃の存在を曝いたといった筋立てになっている。
でもねえ、当然の話だが、警衛は実際には昔から実銃を使っている。9.11以前から哨所の直長は実包が配布されている。
そもそも64式小銃そっくりな、木製の偽小銃は存在していない。64式小銃のモデルガンは相当跡にならないとできない。このエピソードは青山さんが共同通信に勤務されていた時期、つまり1979-97年とされている。だが、その時期には存在しない。
そもそも、持ちおもり以外は分からないような木製小銃は作りようがない。二脚や剣座をどう作るのかに興味が惹かれるほどだ。
■ 木銃すら見たことがない
明らかに、このエピソードは聞いただけで見たことのない木銃について、勝手に話を捏造したものだ。
警衛には警棒や乳切木と同じように木銃がある。銃剣道で使うアレがだ、当然だが外見は全く鉄砲には見えない。その使い方も単なる棒で、銃を使うまでもない事態で相手を抑制し捕縛し追い払うものだ。一時学校に配られた今様のトゲ無しサスマタと同じである。
だが、その話を聞いて「自衛隊はホンモノの小銃を使えないので、木銃=木製モデルガンを使っている」と考え、調べもしないで開陳したのが青山さんである。しかもそれを靖国神社でね。
■ 戦死者も自分の宣伝に使う
青山さんは同じ口演で、硫黄島の戦死者も宣伝に使っている。
たとえば「硫黄島の滑走路下に埋まっている遺骨収集を提議したのは自分」の功績とするもの。2006年12月に硫空基に行ったあとで問題提議し、その収集について菅首相を動かしたとしている。だが、滑走路下の遺骨回収は硫黄島返還からある話である。青山さんが最初に言い出したものではない。
さらに、硫黄島については「栗林さんがボクに訴えたくて心霊写真で出てきた」ともホラを吹いている。デジカメで写真を取って、パソコンで見たら陸軍正装の将校と小さな子どもが写っていたという条だ。
これはあまりにも無神経ではないか。心霊現象云々の与太はともかく。しかし、その写真は栗林さんではないかと判断した件、自分に訴えたいことがあるので出てきたと示唆するあたりは、趣味が悪すぎる。しかも靖国神社の口演でね。
だいたい栗林さんの奥さんはつい最近までご存命でらっしゃった。出てくるなら、まず奥さんやゆかりの方の写真に出てくる。自己宣伝のためにホラを振り回すような人のところにはでてくるものではない。
■ どうせまた事故る
まあ、なによりもアレなのはこんなのを公認したヤツだけどね。信者はいるから当籤するだろうが、メッキのハゲたメタンハイドレート詐欺をまた推して国損生むんじゃないかな。
選挙カー事故ったときに、死なない程度に怪我してくれればヨカッタと思ったよ。例えばクビから上だけがなくなる程度のお怪我とかね。流石に掃部さまみたいに逆ジオング最終状態になれば虚言癖と自己装飾を聞かされることもないからね。
ただ、機会は今回だけでもない。というのも、どうせまた事故おこすから。記事とか発言とかアレすぎるから掘り様はいくらでもある。その矛盾突けばいいと思うよ。民主党の時にTPPを罵倒してたけど政権が変わるとTPP擁護とか、立場でしか話さないあたりがわかり易すぎる。
特に自称コンサルでの調査工事の受注あたりか。国から発注を受けた経緯もある。そこは追いかけやすい。
そうなると堪えられないんじゃないかね。今までネトウヨ世界だけで言論が終わっていた。だから厳しく批評されたことない。だけど今後はそうでもない。
ちなみに、この記事は前に書いた「見ていない話を見たと言い切るので齟齬が出る」を改めたもの。
* 青山繁晴 口演、「日本の希望が目覚める」『平成22年度 靖國神社崇敬奉賛会 講演 シンポジウム 勉強会 記録集』(靖國神社崇敬奉賛会,2011)
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昨日、新聞社の人と飯田橋で落ち合って取材をうけたのだけれども。そこでオマケ話していて気づいたことが「安全保障の専門家って米国以外に留学しない」というものだ。
安全保障屋さんの話になったときにそういう話になった。大抵が米国留学組で、しかも同じようなところに行って、日本に帰ってきて同じような事を言う。それはまともな人もアレな人も同じ
その点で「よく考えれば英仏に行った人いませんね」となった。地域研究関連の人はてんでバラバラな大学に行くし、留学先の国も違うのだが安全保障屋さんにはそれがないといったもの。
で、「連中の価値基準がズレているように見える」ともなった。米国の利益が日本の利益と錯覚している。「たぶん米国に利益を与えれば日本は米国の庇護を貰えるといった発想がある」というようなことをいった。
「でも、安保屋の言うこと真に受けて中国敵視政策とっても、喜ぶのは米国の安全保障サイドだけじゃないの」とも言った。いつもの安全保障セクターと経済セクターは別といった話なんだが、今の状況では対中政策も東アジア政策も音頭をとっているのは対中調整を重視する経済セクター。平時だから当たり前なのだが、次の大統領がどうなっても経済セクターの論理優先は変わらないだろう。
それを見抜けずに、中国向けシャドーボクシングやり過ぎて東アジアで浮いている。それが日本じゃないですかといった話になった。
「まー、安全保障屋のいうことをオウム返ししている自称保守は、もっとアレでしょうねえ」といった結論になったけどね。あのあたり原発大好きとか、捕鯨大好きとか、シールズ叩きとか全部通底しているけど、アレ系権威の付和雷同ばかりで自分の主張の利害の勘定もできてないけどね。
そいや、SFファンが結構それだ。大会とか出て行って「ビックネームファンでござい」の連中。見渡す限りで4-5人思いつくのだが、まずは権威に乗っかって付和雷同ばっかりだなと。だから下のランクのファンにでかい顔できるだけのファンで終わるのだろうけれども。と学会系はイコールでSF系でもなかったけど、やはり後々になると権威に乗っかるだけ価値基準が目について仕方がなかったものだ。
安全保障屋さんの話になったときにそういう話になった。大抵が米国留学組で、しかも同じようなところに行って、日本に帰ってきて同じような事を言う。それはまともな人もアレな人も同じ
その点で「よく考えれば英仏に行った人いませんね」となった。地域研究関連の人はてんでバラバラな大学に行くし、留学先の国も違うのだが安全保障屋さんにはそれがないといったもの。
で、「連中の価値基準がズレているように見える」ともなった。米国の利益が日本の利益と錯覚している。「たぶん米国に利益を与えれば日本は米国の庇護を貰えるといった発想がある」というようなことをいった。
「でも、安保屋の言うこと真に受けて中国敵視政策とっても、喜ぶのは米国の安全保障サイドだけじゃないの」とも言った。いつもの安全保障セクターと経済セクターは別といった話なんだが、今の状況では対中政策も東アジア政策も音頭をとっているのは対中調整を重視する経済セクター。平時だから当たり前なのだが、次の大統領がどうなっても経済セクターの論理優先は変わらないだろう。
それを見抜けずに、中国向けシャドーボクシングやり過ぎて東アジアで浮いている。それが日本じゃないですかといった話になった。
「まー、安全保障屋のいうことをオウム返ししている自称保守は、もっとアレでしょうねえ」といった結論になったけどね。あのあたり原発大好きとか、捕鯨大好きとか、シールズ叩きとか全部通底しているけど、アレ系権威の付和雷同ばかりで自分の主張の利害の勘定もできてないけどね。
そいや、SFファンが結構それだ。大会とか出て行って「ビックネームファンでござい」の連中。見渡す限りで4-5人思いつくのだが、まずは権威に乗っかって付和雷同ばっかりだなと。だから下のランクのファンにでかい顔できるだけのファンで終わるのだろうけれども。と学会系はイコールでSF系でもなかったけど、やはり後々になると権威に乗っかるだけ価値基準が目について仕方がなかったものだ。
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電力需要は伸びないのに老朽原発動かしてどうするのだろうか?
規制委員会はロートル原発の寿命延長を認可した。これは朝日新聞「40年超の高浜原発、初の運転延長認可 例外が続く恐れ」のとおりである。
だが、それまでして原子力発電をする必要はない。
なぜなら電力需要は伸びず、安価な石炭火力や太陽光シフトが進むためだ。
■ 電力需要は伸びない
今後、日本は電力需要が伸びる見込みはない。人口減と第二次産業から第三次産業へのシフトといった構造がある。人口が減れば住居用の電力は増えないし、産業構造も製造業からサービス業への変化が続いており、動力用電力も増えない。
この構造からすれば、熱源の電力化が多少すすんだ所で電力はそれほど必要はなくなる。
さらに、それでもなお大電力を必要とする事業所は自前で発電をする。電力会社から買う電気は価格が高いためだ。これは今までも相当に進んではいるが、石炭や石油、ガス価格の低下もあったため今後も進むだろう。
そして現状で電力は充分に足りている。無理をして老朽原発を整備し、発電させる必要はない。
■ 石炭とガスと太陽光に負ける
必要な電力を造る上でも原発は必要はない。より安価に電力を作れる石炭、天然ガス、太陽光で発電が賄われてしまうためだ。
原子力以外の発電所は目下増強中である。カロリーベースで最も安価な石炭については、新規の発電所1.9gwが建設中であり、28gwが提案中である。同様に天然ガスは5.3gw建設中、14.9gwが提案中にある。太陽光も14年の段階で33gwであり、15年中に10gw分が追加されている。
これらの投入により、今後日本の発電能力は純増となる。26年までの10年で老朽石炭火力は10.6gw退役するとされているが、そこに30gwが追加されるためだ。これに天然ガス、太陽光、あまりあてにはならないが風力や地熱が加わる。
そこで価格競争力のない原発は出番はない。さらに効率や稼働率が悪い老朽原発は全く出番はない。
■ エネルギー安全保障の必要はない
エネルギー安全保障の面でも、もはや原発は必要がなくなっている。
輸送容易な石炭については、資源量に不安はなく輸入先は分散している。中東等に戦争があっても輸入に困ることはない。
天然ガスも似たようなものだ。液化とLNG蒸発損があるといった性質上、スポット購入と輸送は難しいが、価格は安く資源量そのものは多く輸入先もそれなりに分散している。さらにオーストラリアの海底ガス田や米国のシェールガスといった安定供給が見込める国も加わろうとしている。
太陽光ほかの再生エネルギーは燃料を必要としない。この点で、安全保障上最も都合はよいものだ。それで昼間の電力を賄えれば、夜間はその時だけ動かすガスに任せるといった使い方もできる。
むしろ、原子力発電はウランの供給や価格でエネルギー安全保障として不利にある。国内再処理で何回も燃料化できるといった主張もあるかもしれないが、再処理や廃棄関連のコストからすれば石炭やガスにはかなわないためだ。
■ 経営判断を疑う
これら点からすれば、原発そのものは要らない。
さらに老朽原発は直して使って割に合うかどうかもわからない。要は蒸気タービンであり、蒸気配管と補機のオバケである。40年経過した蒸気タービンを今後も動かすというのは相当に厳しい。軍艦でいうFRAMの手間やその価格、今後の稼働率といった面からすれば、割に合うものでもない。
そもそも、今後、原発が動かせるかどうかもわからない。原発の運転には政治的・司法的リスクがある。今後、状況が変われば、まずは老朽原発の運転からできなくなる。それに金を突っ込むのも、経営の判断を疑うものだ。
まあ、電力会社の経営には知能はいらないけどね。経営に失敗しても「電力料金を値上げすればいい」といった頭だから。
規制委員会はロートル原発の寿命延長を認可した。これは朝日新聞「40年超の高浜原発、初の運転延長認可 例外が続く恐れ」のとおりである。
だが、それまでして原子力発電をする必要はない。
なぜなら電力需要は伸びず、安価な石炭火力や太陽光シフトが進むためだ。
■ 電力需要は伸びない
今後、日本は電力需要が伸びる見込みはない。人口減と第二次産業から第三次産業へのシフトといった構造がある。人口が減れば住居用の電力は増えないし、産業構造も製造業からサービス業への変化が続いており、動力用電力も増えない。
この構造からすれば、熱源の電力化が多少すすんだ所で電力はそれほど必要はなくなる。
さらに、それでもなお大電力を必要とする事業所は自前で発電をする。電力会社から買う電気は価格が高いためだ。これは今までも相当に進んではいるが、石炭や石油、ガス価格の低下もあったため今後も進むだろう。
そして現状で電力は充分に足りている。無理をして老朽原発を整備し、発電させる必要はない。
■ 石炭とガスと太陽光に負ける
必要な電力を造る上でも原発は必要はない。より安価に電力を作れる石炭、天然ガス、太陽光で発電が賄われてしまうためだ。
原子力以外の発電所は目下増強中である。カロリーベースで最も安価な石炭については、新規の発電所1.9gwが建設中であり、28gwが提案中である。同様に天然ガスは5.3gw建設中、14.9gwが提案中にある。太陽光も14年の段階で33gwであり、15年中に10gw分が追加されている。
これらの投入により、今後日本の発電能力は純増となる。26年までの10年で老朽石炭火力は10.6gw退役するとされているが、そこに30gwが追加されるためだ。これに天然ガス、太陽光、あまりあてにはならないが風力や地熱が加わる。
そこで価格競争力のない原発は出番はない。さらに効率や稼働率が悪い老朽原発は全く出番はない。
■ エネルギー安全保障の必要はない
エネルギー安全保障の面でも、もはや原発は必要がなくなっている。
輸送容易な石炭については、資源量に不安はなく輸入先は分散している。中東等に戦争があっても輸入に困ることはない。
天然ガスも似たようなものだ。液化とLNG蒸発損があるといった性質上、スポット購入と輸送は難しいが、価格は安く資源量そのものは多く輸入先もそれなりに分散している。さらにオーストラリアの海底ガス田や米国のシェールガスといった安定供給が見込める国も加わろうとしている。
太陽光ほかの再生エネルギーは燃料を必要としない。この点で、安全保障上最も都合はよいものだ。それで昼間の電力を賄えれば、夜間はその時だけ動かすガスに任せるといった使い方もできる。
むしろ、原子力発電はウランの供給や価格でエネルギー安全保障として不利にある。国内再処理で何回も燃料化できるといった主張もあるかもしれないが、再処理や廃棄関連のコストからすれば石炭やガスにはかなわないためだ。
■ 経営判断を疑う
これら点からすれば、原発そのものは要らない。
さらに老朽原発は直して使って割に合うかどうかもわからない。要は蒸気タービンであり、蒸気配管と補機のオバケである。40年経過した蒸気タービンを今後も動かすというのは相当に厳しい。軍艦でいうFRAMの手間やその価格、今後の稼働率といった面からすれば、割に合うものでもない。
そもそも、今後、原発が動かせるかどうかもわからない。原発の運転には政治的・司法的リスクがある。今後、状況が変われば、まずは老朽原発の運転からできなくなる。それに金を突っ込むのも、経営の判断を疑うものだ。
まあ、電力会社の経営には知能はいらないけどね。経営に失敗しても「電力料金を値上げすればいい」といった頭だから。
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人種差別デモが腰砕けになった件でネトウヨ達(本人たち曰く「保守[自称]」)が「集会結社の自由を侵害された」と泣き言を言っている。要はサヨク嫌いが昂じて人種差別のデモを擁護しているものだ。
例えば「集会の自由が殺された日」のコメント欄がそれだ。
差別者が集まって差別発言をする差別デモが抗議で中止に追い込まれると「社会秩序が崩壊」するそうだ。
■ 「主張・示威ができる」だけに過ぎない
だが、デモの権利は「街頭で主張して示威を行える」といったものに過ぎない。これは歴史・伝統的な政治活動を追認するものである。デモ行動を完遂できる権利ではない。つまりは最後まで主張を完遂できない連中の面倒を見てくれるといったものではない。
それが政治的自由に含まれるのも、かつてそれが政治であったといった伝統的経緯によるものだ。普通選挙以前、政治は街頭で決するものであった。そこでは党派同士が互いの主張を掲げ、喧嘩・飲酒といった祭典的雰囲気もあって流血も含めて決するものであった。
つまり街頭活動は街頭政治であり、その場での反論や反対行動も含めて構成される。そして、その主張や賛同者数の優劣で成否が規定される。それが忘れられているのである。
では、なぜ今日の日本で普通にデモが完遂できるか?
それはデモが概ね穏健なものであるためだ。まずは世間が受け入れる主張であり、反論や反対行動を受けなかった結果にすぎない。
■ 差別デモは、主張と示威で負けただけ
今回の件でも、人種差別デモは街頭での力関係で敗北しただけのことだ。警察云々も、明らかに負けている側に「どうせ実施できないでしょ」と言っただけのことだ。
だが、低級ネトウヨはそれを理解できない。心情的に差別者と同じスタンスであり、差別者に対抗したサヨクを忌み嫌っている。そのため「デモはその完了までもが国に認められた権利」だと思い込んで文句をつけているということだ。
ちなみに、そこで道交法を持ち出すあたりも頭が悪い。「シットインは道交法違反だから排除・逮捕すべき」程度で勝てると思い込んでいる。だが、その程度の些末な法律の、しかも一般交通に著しい影響を及ぼさない一時的行為を「不法」と言って対抗できるか?」。また、警察がそのとおり排除・逮捕できるかどうかも考えられないのだろう。
道交法云々も法匪的な発想にすぎないのである。デモや抗議行為が該当する道交法77条1項については最高刑でも懲役三ヶ月以下、罰金5万円以下に過ぎないし、それ以前に警察は違反者に「必要な措置を命じる」ことが求められる。つまりはいきなり排除も逮捕もできない。
■ ケーブル・ストリートの戦いを否定
結局、ネトウヨ達の主張を裏返せば「国の保護により人種差別デモを最後まで完遂させろ」ともなる。また、「デモ反対派からデモを保護しろ」とも言えるだろう。
だが、それであればケーブル・ストリートの戦い(英文WIKI)をどう評価するのだろうか?
ケーブル・ストリートの戦は今回の状況と全く一致する。独伊ファシスト政党の出先組織、英国ファシスト党がロンドンで愛国運動を装った反ユダヤデモを行った。これを市民が街頭で粉砕し、英国にナチズムを斥けたというものだ。抵抗の主体については左派系の色が強いものの、今でも英国では政治勢力を問わず肯定され、記念されている。
ネトウヨの理屈であれば、英国ファシスト党のデモも国が完了まで保障するものというのだろう。ちなみに当時の英国右派・保守派もそのように言っていたが、今はそれを言い出す恥知らずはいない。
■ (オマケ)「親衛隊員へのヘイトスピーチ」とか言うのだろうな
そいや、辺野古のゲート前デモについて「米兵へのヘイト」と言い出しているマヌケがいるけど。たぶん、連中は大戦中にゲシュタポの前での反ナチス抗議を聞いても「親衛隊員へのヘイト」とか言い出しただろうよ。 まあ駐留米軍はゲシュタポみたいな非人道組織じゃないけど、自分が権力者にでもなった気持ちで抗議活動を否定するネトウヨのスタンスからすりゃ、当時でもそういうだろう。
例えば「集会の自由が殺された日」のコメント欄がそれだ。
言葉使い@tennteke デモ中止に怒ったり疑問を呈している人のほとんどは、在特会を支持しているのではなく、「自力救済が容認されるのか?!」という社会秩序の崩壊の危機感を感じているんだと、声を大にして言いたい。
http://togetter.com/li/984265#c2785198
差別者が集まって差別発言をする差別デモが抗議で中止に追い込まれると「社会秩序が崩壊」するそうだ。
■ 「主張・示威ができる」だけに過ぎない
だが、デモの権利は「街頭で主張して示威を行える」といったものに過ぎない。これは歴史・伝統的な政治活動を追認するものである。デモ行動を完遂できる権利ではない。つまりは最後まで主張を完遂できない連中の面倒を見てくれるといったものではない。
それが政治的自由に含まれるのも、かつてそれが政治であったといった伝統的経緯によるものだ。普通選挙以前、政治は街頭で決するものであった。そこでは党派同士が互いの主張を掲げ、喧嘩・飲酒といった祭典的雰囲気もあって流血も含めて決するものであった。
つまり街頭活動は街頭政治であり、その場での反論や反対行動も含めて構成される。そして、その主張や賛同者数の優劣で成否が規定される。それが忘れられているのである。
では、なぜ今日の日本で普通にデモが完遂できるか?
それはデモが概ね穏健なものであるためだ。まずは世間が受け入れる主張であり、反論や反対行動を受けなかった結果にすぎない。
■ 差別デモは、主張と示威で負けただけ
今回の件でも、人種差別デモは街頭での力関係で敗北しただけのことだ。警察云々も、明らかに負けている側に「どうせ実施できないでしょ」と言っただけのことだ。
だが、低級ネトウヨはそれを理解できない。心情的に差別者と同じスタンスであり、差別者に対抗したサヨクを忌み嫌っている。そのため「デモはその完了までもが国に認められた権利」だと思い込んで文句をつけているということだ。
ちなみに、そこで道交法を持ち出すあたりも頭が悪い。「シットインは道交法違反だから排除・逮捕すべき」程度で勝てると思い込んでいる。だが、その程度の些末な法律の、しかも一般交通に著しい影響を及ぼさない一時的行為を「不法」と言って対抗できるか?」。また、警察がそのとおり排除・逮捕できるかどうかも考えられないのだろう。
道交法云々も法匪的な発想にすぎないのである。デモや抗議行為が該当する道交法77条1項については最高刑でも懲役三ヶ月以下、罰金5万円以下に過ぎないし、それ以前に警察は違反者に「必要な措置を命じる」ことが求められる。つまりはいきなり排除も逮捕もできない。
■ ケーブル・ストリートの戦いを否定
結局、ネトウヨ達の主張を裏返せば「国の保護により人種差別デモを最後まで完遂させろ」ともなる。また、「デモ反対派からデモを保護しろ」とも言えるだろう。
だが、それであればケーブル・ストリートの戦い(英文WIKI)をどう評価するのだろうか?
ケーブル・ストリートの戦は今回の状況と全く一致する。独伊ファシスト政党の出先組織、英国ファシスト党がロンドンで愛国運動を装った反ユダヤデモを行った。これを市民が街頭で粉砕し、英国にナチズムを斥けたというものだ。抵抗の主体については左派系の色が強いものの、今でも英国では政治勢力を問わず肯定され、記念されている。
ネトウヨの理屈であれば、英国ファシスト党のデモも国が完了まで保障するものというのだろう。ちなみに当時の英国右派・保守派もそのように言っていたが、今はそれを言い出す恥知らずはいない。
■ (オマケ)「親衛隊員へのヘイトスピーチ」とか言うのだろうな
そいや、辺野古のゲート前デモについて「米兵へのヘイト」と言い出しているマヌケがいるけど。たぶん、連中は大戦中にゲシュタポの前での反ナチス抗議を聞いても「親衛隊員へのヘイト」とか言い出しただろうよ。 まあ駐留米軍はゲシュタポみたいな非人道組織じゃないけど、自分が権力者にでもなった気持ちで抗議活動を否定するネトウヨのスタンスからすりゃ、当時でもそういうだろう。
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中国軍艦が接続水域に入ったことで、佐藤正久さんが尻馬に乗っている。
だが、翁長知事への攻撃につなげようとするのは不思議なものだ。
接続水域に入ったことは、日中間での尖閣を巡るゲームに関しての問題である。そこで従来慣習的に守られていた政府間での暗黙のルールに触れたことを日本側は責めている。そういった状況である。
それに沖縄県や知事は関係しない。尖閣周辺での現状の権益が失われたわけではない。
そもそも、佐藤さんほかは「外交国防は政府の専権事項であり、県市町村といった自治体は関与する立場にない」といったスタンスにある。そこからすれば、今回の発言は都合のよいときだけ自治体を外交国防に関与することを強要するものだ。
なによりも、自分の利益だけしか考えない点がいやらしいものだ。この発言は実質的には、佐藤さんのアレな支持層が喜ぶ反「反基地」発言にすぎない。親日反日の二元論で「沖縄が反日だから日本は危険になる」という国難カルト的発想がある。その種の愛国宗教系の支持層に支えられていることを自覚しているのだろう。
沖縄県に「在沖米軍がいても、中国海軍はなんら制約をうけないだろ」とでも反論されれば面白いのだけどね。特にこの手の行動に対しては、海兵隊は何の役にも立たない。ライフルもったマリーンが居ても、沖合の軍艦には何の影響も及ぼせないわけだ。その意味で「普天間・辺野古は何の役にもやっていない」と言えば、佐藤さんやその支持者はどのように反論できるのだろうかね。
まあ、政治家の機会主義的発言は「そういうものだろ」と思うが、佐藤さんの場合は何の理念もないのにそう振る舞うのがいやらしいものだ。
そもそも、ご本尊には沖縄基地問題もなにも解決する気もない。党内での地位上昇を狙い、辺野古移転の主張への雷同をしているだけである。そこに政府や米軍よりの立場であったにしても、現実的な折衷策や摩擦減少を図る意図はない。反「サヨク」、反
「反基地」、反「オール沖縄」の雰囲気に乗ることだけに汲々としている。
その掲げる施策についても日本全体の利益ではなく、業界益を追求するものにすぎない。まずは業界の利益代表として防衛省益をもとめるだけであり、特に陸上自衛隊のプロキシとして既に時代遅れとなった陸自現体制の存続だけを求める御仁である。この点、かつての紡績や養蚕の族議員がパペットとして滅びようとする業界の利権を守ろうとしたことにソックリである。
まずは自衛隊の体制転換の必要性に気づかず、気づいても自分の立場を守るために主張できない。このあたりが自衛隊部内限りでのエリートであって、外に通用する人物でもないということだ。あの貧弱なヒゲ同様、自分や身内だけで悦にいっているあたりが気持ち悪いものだ。
佐藤正久 @SatoMasahisa 【沖縄の翁長知事のコメント、抗議は? 中国海軍艦船の尖閣諸島接続水域侵入】
深夜の中露艦船の尖閣諸島接続水域侵入関係で、寝不足の朝。街頭演説を終え、京都市に向かっています。尖閣諸島は沖縄県石垣市だ。沖縄県の翁長知事のコメント、抗議如何?自治体の長として中国にも強く抗議すべきだ
https://twitter.com/SatoMasahisa/status/740714239493447680?lang=ja
だが、翁長知事への攻撃につなげようとするのは不思議なものだ。
接続水域に入ったことは、日中間での尖閣を巡るゲームに関しての問題である。そこで従来慣習的に守られていた政府間での暗黙のルールに触れたことを日本側は責めている。そういった状況である。
それに沖縄県や知事は関係しない。尖閣周辺での現状の権益が失われたわけではない。
そもそも、佐藤さんほかは「外交国防は政府の専権事項であり、県市町村といった自治体は関与する立場にない」といったスタンスにある。そこからすれば、今回の発言は都合のよいときだけ自治体を外交国防に関与することを強要するものだ。
なによりも、自分の利益だけしか考えない点がいやらしいものだ。この発言は実質的には、佐藤さんのアレな支持層が喜ぶ反「反基地」発言にすぎない。親日反日の二元論で「沖縄が反日だから日本は危険になる」という国難カルト的発想がある。その種の愛国宗教系の支持層に支えられていることを自覚しているのだろう。
沖縄県に「在沖米軍がいても、中国海軍はなんら制約をうけないだろ」とでも反論されれば面白いのだけどね。特にこの手の行動に対しては、海兵隊は何の役にも立たない。ライフルもったマリーンが居ても、沖合の軍艦には何の影響も及ぼせないわけだ。その意味で「普天間・辺野古は何の役にもやっていない」と言えば、佐藤さんやその支持者はどのように反論できるのだろうかね。
まあ、政治家の機会主義的発言は「そういうものだろ」と思うが、佐藤さんの場合は何の理念もないのにそう振る舞うのがいやらしいものだ。
そもそも、ご本尊には沖縄基地問題もなにも解決する気もない。党内での地位上昇を狙い、辺野古移転の主張への雷同をしているだけである。そこに政府や米軍よりの立場であったにしても、現実的な折衷策や摩擦減少を図る意図はない。反「サヨク」、反
「反基地」、反「オール沖縄」の雰囲気に乗ることだけに汲々としている。
その掲げる施策についても日本全体の利益ではなく、業界益を追求するものにすぎない。まずは業界の利益代表として防衛省益をもとめるだけであり、特に陸上自衛隊のプロキシとして既に時代遅れとなった陸自現体制の存続だけを求める御仁である。この点、かつての紡績や養蚕の族議員がパペットとして滅びようとする業界の利権を守ろうとしたことにソックリである。
まずは自衛隊の体制転換の必要性に気づかず、気づいても自分の立場を守るために主張できない。このあたりが自衛隊部内限りでのエリートであって、外に通用する人物でもないということだ。あの貧弱なヒゲ同様、自分や身内だけで悦にいっているあたりが気持ち悪いものだ。
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ラジオで中国軍艦の接続水域通過が報じられた。前の記事をアップする段階であるので以下咄嗟的に書く。
ネットでのニュースであれば、NHKが「中国海軍艦艇 一時接続水域に 中国駐日大使に抗議」がそれだ。
日本がそれを問題視するなら、同様に日本も海自の護衛艦を入れなければならない。中国が〇五四を入れたなら、日本も同クラス大の「あめ」か「なみ」がふさわしいが、今回、中国フリゲートの行動を監視していた護衛艦でもよい。
それがゲームのルールである。片方の国が実績を積み上げたならば、モウ片方はそれを無効化させる。互いに実行支配実績を上げさせないことにより、尖閣は安定化してきた。かつて日本が前例をやぶり中国漁民を起訴したなら、中国は公船を出してそれを無効化したようにだ。
また、アレな右派の跳ね上がりを押さえるためにもそれをすべきである。日中とも勝手に尖閣に上陸したり、経済的利益もないのにわざわざ漁労に行く活動家がいる。アレ右派の中での名声を求め、活動家が行動する時間的余裕を与えるべきではない。
とりあえず、送る護衛艦の数は一隻でよい。一番良いのは、明示的に二隻で行動し、比較的遠い距離からうち一隻だけを分離して接続水域に入れる方法だ。それにより、能力はあるがエスカレーションさせる気がないことが示されるためだ。
果たして、それが今の政権にできるかどうかだ。現政権は安全保障で威勢のよいことをいいながらも、肝心な決心はしない。それは最近の竹島付近の韓国の演習の例をみれば分かるだろう。
■ 以降追記した分
* ちなみに、自衛隊の航空機が研修や広報目的で尖閣が視認できる距離まで接近している。本来ならば、それも中国に口実をあたえるため、やめたほうがよい。
** 追記(0650ころ) 中国がなぜそうしたのかについては、よくはわからない。あるいは南シナ海、アジア安全保障会議での日本防衛大臣のシャドーボクシングへの対応かもしれない。「やり過ぎたらどうなるか」といったものだ。ただ、それにしてはやり過ぎな感じもある。
*** 追記(0700) 書いたあとで気づいたことだが、日本側護衛艦はどこにいたのかが意図的に隠されているような気がする。日本護衛艦も接続水域にいた/入ったとすれば、護衛艦による対抗措置の必要は減るし、意味もない。もちろん、中国側が積み上げた実績に見合う程度に、日本は別手段で、一つぶんの実効支配をつみあげる必要はある。
**** 追記(0710) もちろん公海同然の接続水域であるので、国際法的には問題はない。ただし、従来の日中のゲームの範囲を超えるものであり、長時間行動したように意図した行動である。この点でゲームのルールに関わる行為である。
***** 逆に言えば、この事件をおおごとにすること自体が日本のシャドーボクシングであるようにも見える。東シナ海ガス田での活動への文句と同じ伝であるともいえるかもしれない。
(最終更新は0715)
ネットでのニュースであれば、NHKが「中国海軍艦艇 一時接続水域に 中国駐日大使に抗議」がそれだ。
日本がそれを問題視するなら、同様に日本も海自の護衛艦を入れなければならない。中国が〇五四を入れたなら、日本も同クラス大の「あめ」か「なみ」がふさわしいが、今回、中国フリゲートの行動を監視していた護衛艦でもよい。
それがゲームのルールである。片方の国が実績を積み上げたならば、モウ片方はそれを無効化させる。互いに実行支配実績を上げさせないことにより、尖閣は安定化してきた。かつて日本が前例をやぶり中国漁民を起訴したなら、中国は公船を出してそれを無効化したようにだ。
また、アレな右派の跳ね上がりを押さえるためにもそれをすべきである。日中とも勝手に尖閣に上陸したり、経済的利益もないのにわざわざ漁労に行く活動家がいる。アレ右派の中での名声を求め、活動家が行動する時間的余裕を与えるべきではない。
とりあえず、送る護衛艦の数は一隻でよい。一番良いのは、明示的に二隻で行動し、比較的遠い距離からうち一隻だけを分離して接続水域に入れる方法だ。それにより、能力はあるがエスカレーションさせる気がないことが示されるためだ。
果たして、それが今の政権にできるかどうかだ。現政権は安全保障で威勢のよいことをいいながらも、肝心な決心はしない。それは最近の竹島付近の韓国の演習の例をみれば分かるだろう。
■ 以降追記した分
* ちなみに、自衛隊の航空機が研修や広報目的で尖閣が視認できる距離まで接近している。本来ならば、それも中国に口実をあたえるため、やめたほうがよい。
** 追記(0650ころ) 中国がなぜそうしたのかについては、よくはわからない。あるいは南シナ海、アジア安全保障会議での日本防衛大臣のシャドーボクシングへの対応かもしれない。「やり過ぎたらどうなるか」といったものだ。ただ、それにしてはやり過ぎな感じもある。
*** 追記(0700) 書いたあとで気づいたことだが、日本側護衛艦はどこにいたのかが意図的に隠されているような気がする。日本護衛艦も接続水域にいた/入ったとすれば、護衛艦による対抗措置の必要は減るし、意味もない。もちろん、中国側が積み上げた実績に見合う程度に、日本は別手段で、一つぶんの実効支配をつみあげる必要はある。
**** 追記(0710) もちろん公海同然の接続水域であるので、国際法的には問題はない。ただし、従来の日中のゲームの範囲を超えるものであり、長時間行動したように意図した行動である。この点でゲームのルールに関わる行為である。
***** 逆に言えば、この事件をおおごとにすること自体が日本のシャドーボクシングであるようにも見える。東シナ海ガス田での活動への文句と同じ伝であるともいえるかもしれない。
(最終更新は0715)
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愛国カルトの望むことをいうだけで金が貰えるのだから、いい商売なのだろう。
産経によれば、群馬「正論」懇談会とやらでケント・ギルバートさんが講演したという。
「ケント・ギルバート氏『9条こそ憲法違反』 」では、そこで
したとのことだ。
■ 気楽な商売
聴衆は「憲法9条で国が滅ぶ」と、勝手に危機感をドライブさせている連中相手である。ゼロ戦ハゲの蛙小説をわざわざ買うような、アレな御仁なのでチョロいものだ。
その望むとおりに「憲法9条で国が滅ぶ」と言えばいい。
彼らは日本防衛力や日米同盟の威力を知らない。「憲法で戦争を放棄させられたのだから、日本は戦争ができない」と信じきっている。愚かゆえに純な魂である。
あとは簡単な話だ。「自衛隊は軍隊ではないので戦えない」や「民主主義が憲法違反を許さないので戦争ができない」「憲法が徴兵制を許さないので戦えない」とでも言えばよい。あるいはカエル禿的な天賦人権への拒否感や自己犠牲の強制に合わせ「今の若者は自分勝手だから戦争できない」といった応用もあるだろう。
■ 借金持ち同士の連帯保証
別にさしたる準備も要らない。聞く方は最初から信じてかかるから、資料その他も要らない。
論拠は身内の引用で足る。「[産経系の論客の]誰それが『正論』でそう言っている」でよい。桜井よしこさんが山田吉彦さん、百地章さん、井上和彦さんあたりを挙げて「(トモダチのネトウヨ論壇の)権威によると、そう言っている」とやるアレだ。*
もちろん、引用される論客も講演者の発言を使って持論を補強するのだから、お互い様だ。これはある種、ギャンブル中毒者が相互に連帯保証人になってサラ金から金を借りるようなものでしかない。
そして、「正論」懇談会の客はその程度の口演をありがたがって拝聴してくれる、しかも永続敗戦論スキームで「宗主国の白人様」とありがたがってくれるのだから、ギルバートさんも楽なものだ。しかも正論の会は個人でも年会費4万を取れるので、まず養分としても申し分はない。
■ 日本以外でも使える
まあ、この手法は別の国でも使えそうだから、ギルバートさんが日本で飽きられても困らないだろう。日本がだめになれば、中国に行って粉青向けに米国対中政策の不正義でもブツ。そこでも飽きられたらインドにでも行って、ヒンドゥー至上主義者向けにパキスタン核武装批判でもするのだろう。
* オマケ
ちなみに、ネトウヨ系主張の使い回しは産経系や正論だけではない。
JBPRESSの森清勇さんでも顕著なものだ。(あそこは他の記事については結構マトモなのだが、ただ森さんの安全保障記事だけは抜群の違和感を感じる)
実際、最新記事の「ひた隠す爪をむき出しにされる日本共産党 -顔では分からない暴力革命政党の裏側」では
とネトウヨ主張のリサイクルをしている。
ただ、森さんには選球眼が悪く、独自性が全く無いので、その主張は別のネトウヨ主張にも使われない。その点でネトウヨ連帯保証の輪は形成していない。まず『正論』、『WILL』、高山正之さん、藤岡信勝さんを選ぶあたり、筋悪を見抜く目がない。さらに読んでみると森さんが見つけた主張は全くなく、文章も上記引用元のコングロマリットでしかない。
産経によれば、群馬「正論」懇談会とやらでケント・ギルバートさんが講演したという。
「ケント・ギルバート氏『9条こそ憲法違反』 」では、そこで
日本の現行憲法について「何よりも問題なのは、憲法前文などで明記している国民の生存権を否定しかねない9条2項。自国を守る軍さえ否定する条文こそ憲法違反だ」と強調。
http://www.sankei.com/politics/news/160608/plt1606080045-n1.html
したとのことだ。
■ 気楽な商売
聴衆は「憲法9条で国が滅ぶ」と、勝手に危機感をドライブさせている連中相手である。ゼロ戦ハゲの蛙小説をわざわざ買うような、アレな御仁なのでチョロいものだ。
その望むとおりに「憲法9条で国が滅ぶ」と言えばいい。
彼らは日本防衛力や日米同盟の威力を知らない。「憲法で戦争を放棄させられたのだから、日本は戦争ができない」と信じきっている。愚かゆえに純な魂である。
あとは簡単な話だ。「自衛隊は軍隊ではないので戦えない」や「民主主義が憲法違反を許さないので戦争ができない」「憲法が徴兵制を許さないので戦えない」とでも言えばよい。あるいはカエル禿的な天賦人権への拒否感や自己犠牲の強制に合わせ「今の若者は自分勝手だから戦争できない」といった応用もあるだろう。
■ 借金持ち同士の連帯保証
別にさしたる準備も要らない。聞く方は最初から信じてかかるから、資料その他も要らない。
論拠は身内の引用で足る。「[産経系の論客の]誰それが『正論』でそう言っている」でよい。桜井よしこさんが山田吉彦さん、百地章さん、井上和彦さんあたりを挙げて「(トモダチのネトウヨ論壇の)権威によると、そう言っている」とやるアレだ。*
もちろん、引用される論客も講演者の発言を使って持論を補強するのだから、お互い様だ。これはある種、ギャンブル中毒者が相互に連帯保証人になってサラ金から金を借りるようなものでしかない。
そして、「正論」懇談会の客はその程度の口演をありがたがって拝聴してくれる、しかも永続敗戦論スキームで「宗主国の白人様」とありがたがってくれるのだから、ギルバートさんも楽なものだ。しかも正論の会は個人でも年会費4万を取れるので、まず養分としても申し分はない。
■ 日本以外でも使える
まあ、この手法は別の国でも使えそうだから、ギルバートさんが日本で飽きられても困らないだろう。日本がだめになれば、中国に行って粉青向けに米国対中政策の不正義でもブツ。そこでも飽きられたらインドにでも行って、ヒンドゥー至上主義者向けにパキスタン核武装批判でもするのだろう。
* オマケ
ちなみに、ネトウヨ系主張の使い回しは産経系や正論だけではない。
JBPRESSの森清勇さんでも顕著なものだ。(あそこは他の記事については結構マトモなのだが、ただ森さんの安全保障記事だけは抜群の違和感を感じる)
実際、最新記事の「ひた隠す爪をむき出しにされる日本共産党 -顔では分からない暴力革命政党の裏側」では
日本共産党に関する記事が目立つ。月刊誌『正論』は5月号から3か月連続で共産党特集を組んだ。『WiLL』その他でも共産党関連の論文が散見された。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47038
「ご維新のほんの20年前に登場したこの新しい政治思想(Communism)は[中略]明治人は「共産主義」と訳した(高山正之著『スーチー女史は善人か』)。
同頁
一度は共産党に入党したことのある藤岡信勝拓大客員教授は[中略]「共産党に市民権を与えてはならない、と呼びかけたい」(『正論』2016.6)と書いている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47038?page=5
とネトウヨ主張のリサイクルをしている。
ただ、森さんには選球眼が悪く、独自性が全く無いので、その主張は別のネトウヨ主張にも使われない。その点でネトウヨ連帯保証の輪は形成していない。まず『正論』、『WILL』、高山正之さん、藤岡信勝さんを選ぶあたり、筋悪を見抜く目がない。さらに読んでみると森さんが見つけた主張は全くなく、文章も上記引用元のコングロマリットでしかない。
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日経「防衛装備品移転へ協議推進を確認 日タイ防衛相」では、日タイ防衛相会議に成果があったように書いている。
だが、内容からすればそれは怪しいものだ。
■ タイは曖昧に笑っただけ
まず、タイが日本の味方に立ったといった書きぶりは、ぬか喜びでしかない。
記事は最後に日本の得点であるかのように締めている。
だが「国際法は大事だよ」といった発言は、何も言っていないのと同義である。「南シナ海での中国の振る舞いは国際社会の脅威」といった日本の口ぶりに対し、角が立たないように「みんな仲良く」といっただけのものだ。「航行の自由や国際法に基づく紛争解決の重要性」(日経)とはその程度である。
そもそもタイは正直、中国や南シナ海のことはどうでもよい。中国とは領土問題を抱えず国境線も接していないため、全く脅威ではない。南シナ海問題についても、それにより自国の経済に影響さえでなければいいといった立場である。
そして中国はタイにとって大事な商売相手である。その機嫌は損ねたくはない。
つまり、中国政策についてはタイはいつものとおり、曖昧に笑っただけの話である。それを勝手に日本有利に見とったものなのだろう。
■ 軍政への評価になるので前向きにもなる
そして、防衛装備品移転への協議もさしたる成果でもない。
これもタイは具体的には何も約束していない。なぜならタイは何かを買うといったわけではないためだ。
よく読むと、日本から武器を買うといった具体的な話にはなっていない。
もちろん、タイが日本製装備を買う可能性はある。伝統的にタイは全方位外交の一環として、世界中から武器を買ってそれぞれに恩を売っている。戦前には日本から軍艦を買い、80年代以降も中国から軍艦を買っている。
ただ、実際に商談にすすむだろう兵器があるか、といえば厳しい。
まず、日本製兵器には基本的に魅力はない。戦争中で武器不足でもなければ欲しがるような武器でもない。
またタイは既に中進国の地位にある。すでに日本から武器を恵んでもらう立場でもない。むしろむしろ自前で武器を作りたい段階に達している。
このあたり、タイの前向きな態度も日本にとって現実的な成果でもない。それによって「日本が喜ぶ」からといった理由であり、なによりも「あの日本から兵器輸入の道筋をつけた、世界に軍政は認められている」といった国内向けの効果を狙えるといった理由によるものだろう。
だが、内容からすればそれは怪しいものだ。
■ タイは曖昧に笑っただけ
まず、タイが日本の味方に立ったといった書きぶりは、ぬか喜びでしかない。
記事は最後に日本の得点であるかのように締めている。
[南シナ海問題では]タイ軍事政権は中国との親密化が指摘されてきたが、この問題を巡っては国際法重視の姿勢を示している。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE07H09_X00C16A6PP8000/
だが「国際法は大事だよ」といった発言は、何も言っていないのと同義である。「南シナ海での中国の振る舞いは国際社会の脅威」といった日本の口ぶりに対し、角が立たないように「みんな仲良く」といっただけのものだ。「航行の自由や国際法に基づく紛争解決の重要性」(日経)とはその程度である。
そもそもタイは正直、中国や南シナ海のことはどうでもよい。中国とは領土問題を抱えず国境線も接していないため、全く脅威ではない。南シナ海問題についても、それにより自国の経済に影響さえでなければいいといった立場である。
そして中国はタイにとって大事な商売相手である。その機嫌は損ねたくはない。
つまり、中国政策についてはタイはいつものとおり、曖昧に笑っただけの話である。それを勝手に日本有利に見とったものなのだろう。
■ 軍政への評価になるので前向きにもなる
そして、防衛装備品移転への協議もさしたる成果でもない。
これもタイは具体的には何も約束していない。なぜならタイは何かを買うといったわけではないためだ。
日本とタイは装備品移転の前提となる協定を結んでいない。中谷防衛相は技術協力も含め、まず事務レベルで議論を進めることでプラウィット氏と合意。記者団に対し「いずれ(協定を)結ぶ必要がある」と述べた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE07H09_X00C16A6PP8000/
よく読むと、日本から武器を買うといった具体的な話にはなっていない。
もちろん、タイが日本製装備を買う可能性はある。伝統的にタイは全方位外交の一環として、世界中から武器を買ってそれぞれに恩を売っている。戦前には日本から軍艦を買い、80年代以降も中国から軍艦を買っている。
ただ、実際に商談にすすむだろう兵器があるか、といえば厳しい。
まず、日本製兵器には基本的に魅力はない。戦争中で武器不足でもなければ欲しがるような武器でもない。
またタイは既に中進国の地位にある。すでに日本から武器を恵んでもらう立場でもない。むしろむしろ自前で武器を作りたい段階に達している。
このあたり、タイの前向きな態度も日本にとって現実的な成果でもない。それによって「日本が喜ぶ」からといった理由であり、なによりも「あの日本から兵器輸入の道筋をつけた、世界に軍政は認められている」といった国内向けの効果を狙えるといった理由によるものだろう。
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産経の野口裕之さんが「ドイツが日本の中国侵略に協力しなかったから、反日」と述べている。「野口裕之の軍事情勢」「ドイツは日独伊三国同盟締結後も密かに中国を支援し続けた その『裏切りのDNA』は今もなお…」がそれだ。
そして、例によっていろいろとオカシイ。
■ 時系列がオカシイ
まず、野口さんは時系列がオカシイ。「三国同盟の同盟国なのに」と文句をつけているが、その対象が同盟成立以前の出来事にしている点だ。
日独防共協定はソ連を牽制するための条約である。中国問題には一切触れていない。それをするとドイツの中国権益が失われるためだ。だから、協定成立以降も従前どおりに中国を支援したからといって文句をつける筋合いではない。
そしてドイツは同盟以降は中国を切り捨てている。中国の市場や各種の権益を切り捨てて日本側に接近している。その点で文句をつける筋合いはない。
■ 天安門事件もオカシイ
そして、天安門事件での制裁についても、経緯を無視した主張になっている。天安門事件で最初に対中制裁解除を働きかけたのは日本である。だが、それを無視してドイツ以下が対中武器禁輸解除に走ることに文句をつけている。
この点も、野口さんの主張と経緯の平仄が合っていないものだ。逆に「人権無視国家の中国に対し、欧米の頭越しに制裁解除をしたのはどこの国だ」と言われたらどうするのだろうか?
■ 中国侵略に協力しなかった国は、反日
野口さんの主張で最もオカシイ点は、「中国侵略に協力しなかった」罪を作り、しかもドイツだけを問題視する点だ。
野口さんはドイツ軍事援助だけを取り出して批判している。
それならば、中国を援助した米英ソ他の諸国もすべて「反日」ではないのか。民国を支えたのはドイツだけではなく、米英ソ仏も含まれる。そしてこれらの国も宣言はしないものの中立といった立場をとっていた。野口さんが、中国を対象としない防共協定程度でドイツを『裏切り』というなら、これらの国、特に英米も「反日」というべきだろう。「中立的立場を装いながらも、中国を援助した」ためだ。
そもそも、その根底には「中国侵略に協力しなかった国だから、裏切り者の反日国家」といった発想の構造がある。
これは日本国内のアレ新聞だから問題視されない主張であり、まず一流紙なら許されないものだ。ある意味、野口さんは産経の記者でヨカッタねといったあたりか。
----オマケ---
■ ゾロアスター的世界観
まー、野口さんの世界観は善悪二元論だよねと。日本の味方の親日と中韓の味方の反日にわけ、その構図に則って善悪を論ずるわけだ。
世界はゾロアスター的にできている。光の国である日本と、それに反対する闇の勢力でできており、互いに戦っている。日本に味方すれば全て善の親日、日本の敵に味方すれば悪の反日といったものだ。
だから、現実の世界情勢が変われば親日・反日はいくらでも入れ替わる。タイやインドが中国と結べば野口さんは反日や裏切りと言い出す。逆に事情が変わり、別の大国に対し中韓と日本が協力的な立場となれば、中・韓は善の親日国家とか言い出すのではあるまいかね。
そして、例によっていろいろとオカシイ。
■ 時系列がオカシイ
まず、野口さんは時系列がオカシイ。「三国同盟の同盟国なのに」と文句をつけているが、その対象が同盟成立以前の出来事にしている点だ。
1936年に(対ソ)日独防共協定を結びながら、対中武器輸出を密かに継続。密輸は、37年の中ソ不可侵条約で態度を硬化させたヒトラーが新たな兵器輸出を禁じるまで続く。それでも受注済み兵器は契約通り輸出され、完全な禁輸・顧問団撤退はドイツが満州国を承認した38年。
http://www.sankei.com/premium/news/160606/prm1606060005-n5.html
日独防共協定はソ連を牽制するための条約である。中国問題には一切触れていない。それをするとドイツの中国権益が失われるためだ。だから、協定成立以降も従前どおりに中国を支援したからといって文句をつける筋合いではない。
そしてドイツは同盟以降は中国を切り捨てている。中国の市場や各種の権益を切り捨てて日本側に接近している。その点で文句をつける筋合いはない。
■ 天安門事件もオカシイ
そして、天安門事件での制裁についても、経緯を無視した主張になっている。天安門事件で最初に対中制裁解除を働きかけたのは日本である。だが、それを無視してドイツ以下が対中武器禁輸解除に走ることに文句をつけている。
天安門事件(1989年)を契機にEU(欧州連合)は対中武器禁輸を続けているが、日本の頭ごなしに解禁する悪夢は絶対に阻止せねばならない。
http://www.sankei.com/premium/news/160606/prm1606060005-n6.html
この点も、野口さんの主張と経緯の平仄が合っていないものだ。逆に「人権無視国家の中国に対し、欧米の頭越しに制裁解除をしたのはどこの国だ」と言われたらどうするのだろうか?
■ 中国侵略に協力しなかった国は、反日
野口さんの主張で最もオカシイ点は、「中国侵略に協力しなかった」罪を作り、しかもドイツだけを問題視する点だ。
野口さんはドイツ軍事援助だけを取り出して批判している。
中国・国民党は満州事変(1931~33年)後、独ワイマール共和国や続くナチス政権に接近。軍事用鉱物資源獲得の狙いもあり結局、ドイツは1927~38年まで軍事顧問団を送り続けた。
[中略]
国民党の蒋介石前国民政府主席(当時/1887~1975年)に、大規模・低練度だった国民党軍の装備や機動性の向上を具申した。
[中略]
方針に沿い、8割が非近代兵器だった国民党軍に鉄帽/小銃/各種大砲をはじめ戦車や戦闘機まで輸出。ドイツで教育した中国人技術者運営の各種工廠では双眼鏡/狙撃銃用照準/小銃/機関銃/迫撃砲/装甲偵察車両/大砲/ガスマスクを生産した。
http://www.sankei.com/premium/news/160606/prm1606060005-n4.html
それならば、中国を援助した米英ソ他の諸国もすべて「反日」ではないのか。民国を支えたのはドイツだけではなく、米英ソ仏も含まれる。そしてこれらの国も宣言はしないものの中立といった立場をとっていた。野口さんが、中国を対象としない防共協定程度でドイツを『裏切り』というなら、これらの国、特に英米も「反日」というべきだろう。「中立的立場を装いながらも、中国を援助した」ためだ。
そもそも、その根底には「中国侵略に協力しなかった国だから、裏切り者の反日国家」といった発想の構造がある。
これは日本国内のアレ新聞だから問題視されない主張であり、まず一流紙なら許されないものだ。ある意味、野口さんは産経の記者でヨカッタねといったあたりか。
----オマケ---
■ ゾロアスター的世界観
まー、野口さんの世界観は善悪二元論だよねと。日本の味方の親日と中韓の味方の反日にわけ、その構図に則って善悪を論ずるわけだ。
世界はゾロアスター的にできている。光の国である日本と、それに反対する闇の勢力でできており、互いに戦っている。日本に味方すれば全て善の親日、日本の敵に味方すれば悪の反日といったものだ。
だから、現実の世界情勢が変われば親日・反日はいくらでも入れ替わる。タイやインドが中国と結べば野口さんは反日や裏切りと言い出す。逆に事情が変わり、別の大国に対し中韓と日本が協力的な立場となれば、中・韓は善の親日国家とか言い出すのではあるまいかね。
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株価維持を目的に、年金資金の市場投入を無理に拡大して3年経つ。
その至近の運用損の発表は、なぜか選挙後に引き延ばされている。
その運用損はいくらになっているのか?
ちなみに 朝日新聞では、民進党議員の主張として5兆円といった数字を提示している。
・ 久永隆一「年金運用、今年は参院選後に公表? 民進党『損失隠し』」http://www.asahi.com/articles/ASJ47575NJ47UTFL003.html
つまり、5兆円の損だけでも発表できない状態にあるということだ。
それでは、いずれ今以上に大損こいた時には、運用損は発表しなくなるのではないか。
株価は今後に上がる見込みもまずない。だいたいゼロ金利ってことは、投資先がないということであって、企業の成長も望めないということと同じだ。それで企業全体の株価があがるということはない。もちろん、株価維持のために年金資金で買いを増やす方法ももう取れない。
しいて言えばインフレくらいだろう。乱暴に言えば、円の価値が半分になれば株の価値は倍になるだろう。これはアレ政権が最初に円の切り下げをし、株式市場をその逃避先として株を上げたのと同じ方法にすぎない。
今の時勢、株なんかいつ下がってもおかしくない。いずれはもっとスゲー損失幅はでる。
その時、アレ政権はどう理由をつけて発表を控えるのだろうかね。 まー、四半期報告をしたくないとなると「事務が煩雑だから、年一回にしたい」とか「経済に悪影響が出るから、損を取り返すまで発表しない」、あるいは、「観測行為によって結果が影響を受ける」みたいな理屈を出して「運用状況発表が株式市場に影響を与えるため以後公表しない」とか言い出すんじゃないかな。
その至近の運用損の発表は、なぜか選挙後に引き延ばされている。
その運用損はいくらになっているのか?
ちなみに 朝日新聞では、民進党議員の主張として5兆円といった数字を提示している。
・ 久永隆一「年金運用、今年は参院選後に公表? 民進党『損失隠し』」http://www.asahi.com/articles/ASJ47575NJ47UTFL003.html
つまり、5兆円の損だけでも発表できない状態にあるということだ。
それでは、いずれ今以上に大損こいた時には、運用損は発表しなくなるのではないか。
株価は今後に上がる見込みもまずない。だいたいゼロ金利ってことは、投資先がないということであって、企業の成長も望めないということと同じだ。それで企業全体の株価があがるということはない。もちろん、株価維持のために年金資金で買いを増やす方法ももう取れない。
しいて言えばインフレくらいだろう。乱暴に言えば、円の価値が半分になれば株の価値は倍になるだろう。これはアレ政権が最初に円の切り下げをし、株式市場をその逃避先として株を上げたのと同じ方法にすぎない。
今の時勢、株なんかいつ下がってもおかしくない。いずれはもっとスゲー損失幅はでる。
その時、アレ政権はどう理由をつけて発表を控えるのだろうかね。 まー、四半期報告をしたくないとなると「事務が煩雑だから、年一回にしたい」とか「経済に悪影響が出るから、損を取り返すまで発表しない」、あるいは、「観測行為によって結果が影響を受ける」みたいな理屈を出して「運用状況発表が株式市場に影響を与えるため以後公表しない」とか言い出すんじゃないかな。
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無料のエネルギーの謂であれば、フリーエネルギーだろう。ネット記事に「13歳の天才少年がたった1,600円でフリーエネルギー装置を発明!=米ネバダ州」とある。おそらくはラジオ局の近くでコイル巻いたものだろう。
記事は次のように述べている。
これはよくみれば、ゲルマニウムラジオのスピーカーにLEDつけたようなものだ。「空気中から電線を伝わって取り込んだ[ラジオ波等の]それらのエネルギーを缶の中でAC(交流)からDC(直流)に変換させているそうだ。」(記事)とあるように、おそらくは長波~短波の放送局の送信所のすぐ近くでそれをしたものでは
無料でLEDが光るという意味ならフリーエネルギーなのだがね。永久機関的なものではないので「フリーエネルギー装置」というのはどんなものか。
まあ、TOCANAは異次元・UFOのたぐいの立てているし、実際にLEDは光るだろうからそれにしては良心的な記事だと思うよ。
記事は次のように述べている。
“フリーエネルギー装置”の主な材料は大きなコーヒー缶1個に電線、コイル2巻、スプーン1本と実にシンプル。直径は20cmほどで高さは40~50cm程度だろうか。缶の片側にコイル2巻を立ててビニールテープで固定し、反対側にはスプーンを鉄の棒にくくりつけて固定、各パーツは電線でつながれている。
[中略]
取材では双子の弟の体にLEDの電飾コードを巻きつけて、フリーエネルギー装置から供給される電気を使って見事に点灯させてみせた。装置はラジオ波と熱エネルギー、静電エネルギーを発生させて発電しており、空気中から電線を伝わって取り込んだそれらのエネルギーを缶の中でAC(交流)からDC(直流)に変換させているそうだ。
これはよくみれば、ゲルマニウムラジオのスピーカーにLEDつけたようなものだ。「空気中から電線を伝わって取り込んだ[ラジオ波等の]それらのエネルギーを缶の中でAC(交流)からDC(直流)に変換させているそうだ。」(記事)とあるように、おそらくは長波~短波の放送局の送信所のすぐ近くでそれをしたものでは
無料でLEDが光るという意味ならフリーエネルギーなのだがね。永久機関的なものではないので「フリーエネルギー装置」というのはどんなものか。
まあ、TOCANAは異次元・UFOのたぐいの立てているし、実際にLEDは光るだろうからそれにしては良心的な記事だと思うよ。
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外務省が東シナ海ガス田で中国に抗議しているのだが。
・ 中間線の向こう
・ 中間線から2km程度は離隔
・ 日本側から採掘できない
といった理由により、力のある主張とはならない。中国を追い詰めるものではなく、国際社会にアピールできるものともならないだろう。
外務省は1日、WEBで「中国による東シナ海での一方的資源開発の現状」 を公表した。それについて日経は「中国ガス田開発、今年3基が進行 外務省が写真公開し抗議」で、「第8基」「第11基」「第12基」の進捗に抗議するものと解説している。
■ 中間線の向こう
だが、抗議にはさしたる力はない。
なぜなら採掘は日中中間線の向こうで行われているためだ。
もちろん、東シナ海EEZの分割について日中の同意はない。
だが、現在の中間線は日本主張であり、採掘リグ建設はその中国側で実施されている。この点、日本側は「建てるな」と口を挟める立場にない。
これは南シナ海の岩礁埋立とは異なる。
南シナ海でのEEZは係争中である。その岩礁や海面がどこに帰属するかでもめている。そこに工作物を置いた場合は、係争国は文句をいう筋合いにある。
だが、東シナ海はそうではない。日中いずれの主張にせよ中国側EEZに含まれるだろう海面で行われているためだ。これは東シナ海不審船事件で、日本側が引き揚げに中国側同意を取り付けたことからも分かるだろう。
つまり「中国側が工作物を設置できる海で、中国側が工作物を設置した」という話に留まる。この点で、抗議してもその効果は小さいといえる。
■ 離隔距離の確保
さらに、中国側もそれなりに離隔距離を確保している点で、抗議は力を持ち難くなる。
今回の「第8基」でも、中間線から5kmは離れている。「第9基」から「第11基」は中間線から西に20km程度離れているとされる。おそらく意図的に距離表示のない外務省の地図でみても「第98基」は中間線からその三割は離隔している。7km程度は西に離れている。もちろん「第11基」「第12基」は20km以上離隔している。
果たして、中間線から5kmも離れたガス田について地下盗掘を言い立てることは、妥当だろうか?
ちなみに、かつての日本も境界ギリギリでの行動はしている。戦後日本漁業が盛んなときには中国領海(当時は海洋新秩序の前の話)ギリギリに近づき、地元漁民が話しにならないほどの大型装備で漁業を行っていた。エネルギーでも終戦まで北緯50度線に寄って、ソ連と石油採掘を競っていた。
この点でも、抗議の筋としてよろしいものではないように見える。
■ 日本側は採掘していない
最後に、日本側が採掘していない点である。日本はストロー効果について文句をつけているが、実際に日本は採掘していないし、経済性から採掘できる見込みもない。
東シナ海天然ガスは、日本にとっては経済的には存在しないのと同じである。
コスト割れは必至である。採掘・輸送の設備投資は高コストであり、しかも大規模なガス田ではないためスケールメリットも見込めない。かつての原油価格高に引っ張られた天然ガス価格高騰の時分でも、採掘は非現実的と言われていた。シェール革命やその後の原油安により、天然ガス価格が記録的な安値になった今日では、東シナ海ガス田は無価値も同然である。
そのため、日本には利用する見込みはない。そこに投資するくらいなら、サハリンに投資するなり北米や豪州からLNGを買ったほうが良い。
つまりは、利用実績がなく、利用の見込みもない天然資源についての抗議である。しかも中国は境界線の反対側で離隔距離をとっての採掘している。そこに文句をつける形となっているのである。
現実的な実害がない点も、抗議としてはさほどに力を持たないということだ。
■ 国民感情の抑制
以上が、日本側抗議の筋悪な理由である。
だが、抗議といった形にするかはともかく、中国側に露骨な開発を抑制を求める必要はある。
東シナ海ガス田の採掘進捗は、国民感情の爆発につながる可能性が高いためだ。中国のガス田開発が進むと日本国民の対中感情が悪化する。それにより政府が影響を受け、あるいは民間の暴発により日中関係を無意味に悪化させる見込みも高い。そうなれば中国の国民感情も悪化し、同様に政府が影響を受け、民間暴発につながるといったスパイラルに落ち込んでしまう。
■ 互いの国民を上手く騙すべき
その点、日本外務省も中国外交部も、問題コントロールのためそれぞれが自国民を上手く誤魔化す必要がある。
一番良いのは、中間線からの離隔距離を決めることだ。今ある採掘リグの中で、中間線に最も近い櫓との距離に合わせ、「ストロー効果の混乱を避けるため、中間線から○kmは離隔すること」とでも決めるといったものだ。それであれば中国には実害はないので飲むし、日本も面子は立つ。
あるいは、中間線至近の「白樺」、「樫」、「第三」の場所を替えさせてもよい。日本側が撤去費用と新設費用を持ち、遠いところに新しいリグを3つ作らせる解決法もある。「能力が上がった分は、日本と折半」とでもしておけば、「投資である」と日本国民を納得させやすい。
これらの方法で問題が解決したといった印象をつければ、日本の国民感情も収まり、それによる中国国民感情の反発も避けることができるだろう。
・ 中間線の向こう
・ 中間線から2km程度は離隔
・ 日本側から採掘できない
といった理由により、力のある主張とはならない。中国を追い詰めるものではなく、国際社会にアピールできるものともならないだろう。
外務省は1日、WEBで「中国による東シナ海での一方的資源開発の現状」 を公表した。それについて日経は「中国ガス田開発、今年3基が進行 外務省が写真公開し抗議」で、「第8基」「第11基」「第12基」の進捗に抗議するものと解説している。
■ 中間線の向こう
だが、抗議にはさしたる力はない。
なぜなら採掘は日中中間線の向こうで行われているためだ。
もちろん、東シナ海EEZの分割について日中の同意はない。
だが、現在の中間線は日本主張であり、採掘リグ建設はその中国側で実施されている。この点、日本側は「建てるな」と口を挟める立場にない。
これは南シナ海の岩礁埋立とは異なる。
南シナ海でのEEZは係争中である。その岩礁や海面がどこに帰属するかでもめている。そこに工作物を置いた場合は、係争国は文句をいう筋合いにある。
だが、東シナ海はそうではない。日中いずれの主張にせよ中国側EEZに含まれるだろう海面で行われているためだ。これは東シナ海不審船事件で、日本側が引き揚げに中国側同意を取り付けたことからも分かるだろう。
つまり「中国側が工作物を設置できる海で、中国側が工作物を設置した」という話に留まる。この点で、抗議してもその効果は小さいといえる。
■ 離隔距離の確保
さらに、中国側もそれなりに離隔距離を確保している点で、抗議は力を持ち難くなる。
今回の「第8基」でも、中間線から5kmは離れている。「第9基」から「第11基」は中間線から西に20km程度離れているとされる。おそらく意図的に距離表示のない外務省の地図でみても「第98基」は中間線からその三割は離隔している。7km程度は西に離れている。もちろん「第11基」「第12基」は20km以上離隔している。
果たして、中間線から5kmも離れたガス田について地下盗掘を言い立てることは、妥当だろうか?
ちなみに、かつての日本も境界ギリギリでの行動はしている。戦後日本漁業が盛んなときには中国領海(当時は海洋新秩序の前の話)ギリギリに近づき、地元漁民が話しにならないほどの大型装備で漁業を行っていた。エネルギーでも終戦まで北緯50度線に寄って、ソ連と石油採掘を競っていた。
この点でも、抗議の筋としてよろしいものではないように見える。
■ 日本側は採掘していない
最後に、日本側が採掘していない点である。日本はストロー効果について文句をつけているが、実際に日本は採掘していないし、経済性から採掘できる見込みもない。
東シナ海天然ガスは、日本にとっては経済的には存在しないのと同じである。
コスト割れは必至である。採掘・輸送の設備投資は高コストであり、しかも大規模なガス田ではないためスケールメリットも見込めない。かつての原油価格高に引っ張られた天然ガス価格高騰の時分でも、採掘は非現実的と言われていた。シェール革命やその後の原油安により、天然ガス価格が記録的な安値になった今日では、東シナ海ガス田は無価値も同然である。
そのため、日本には利用する見込みはない。そこに投資するくらいなら、サハリンに投資するなり北米や豪州からLNGを買ったほうが良い。
つまりは、利用実績がなく、利用の見込みもない天然資源についての抗議である。しかも中国は境界線の反対側で離隔距離をとっての採掘している。そこに文句をつける形となっているのである。
現実的な実害がない点も、抗議としてはさほどに力を持たないということだ。
■ 国民感情の抑制
以上が、日本側抗議の筋悪な理由である。
だが、抗議といった形にするかはともかく、中国側に露骨な開発を抑制を求める必要はある。
東シナ海ガス田の採掘進捗は、国民感情の爆発につながる可能性が高いためだ。中国のガス田開発が進むと日本国民の対中感情が悪化する。それにより政府が影響を受け、あるいは民間の暴発により日中関係を無意味に悪化させる見込みも高い。そうなれば中国の国民感情も悪化し、同様に政府が影響を受け、民間暴発につながるといったスパイラルに落ち込んでしまう。
■ 互いの国民を上手く騙すべき
その点、日本外務省も中国外交部も、問題コントロールのためそれぞれが自国民を上手く誤魔化す必要がある。
一番良いのは、中間線からの離隔距離を決めることだ。今ある採掘リグの中で、中間線に最も近い櫓との距離に合わせ、「ストロー効果の混乱を避けるため、中間線から○kmは離隔すること」とでも決めるといったものだ。それであれば中国には実害はないので飲むし、日本も面子は立つ。
あるいは、中間線至近の「白樺」、「樫」、「第三」の場所を替えさせてもよい。日本側が撤去費用と新設費用を持ち、遠いところに新しいリグを3つ作らせる解決法もある。「能力が上がった分は、日本と折半」とでもしておけば、「投資である」と日本国民を納得させやすい。
これらの方法で問題が解決したといった印象をつければ、日本の国民感情も収まり、それによる中国国民感情の反発も避けることができるだろう。