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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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2014.06
30
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12:20
Category : 未分類
 台湾が故宮博物館の件で「国立」を抜くなと言い出した話なのだが、自業自得ではないのかね。

 週刊ポスト2014年7月11日号を引いたNewsポストセブン「『台湾は国でない』と決めつける大メディアの『媚中と無知』」だが、中国と国交を持っている国では、台湾は国扱いされないのは、仕方もない話である。

 国扱いしないのは、中国に阿った精神であるような事を述べているが、それもどうかという話だ。中国も、台湾もハルシュタイン・ドクトリン風を維持している。互いに相手は国ではなく、地区であると主張している。

 だから、国交をもった相手には、残り片方を地区扱いさせることを約束している。今は中国と国交を持っているので、台湾は地区扱いされているが、かつては、国府を国扱いしていたので、大陸は「(中共)」とされていた。

 外交戦で負けたのが悪いのであって、負けた先で国扱いされないのに怒っても仕方もない話ではないか。

 その点について、台北が
正式名称にある「國立」の文字が削除されていたことに対して台湾総統府が抗議声明を発表。「台湾は国じゃない」と決めつけるかのような仕打ちに、「修正しなければ中止もある」と表明したのだ。
と主張したと、当該記事は述べている

 そもそも、台湾も中国同様に「一つの中国」ドクトリンを守っている。その条件で中国と争って、負けたのだから自業自得ではないのかねえ。

 まあ、事実上は国だし、「台湾地区」と書かれないだけマシではないのかね。日本としても、台湾に中国の統治が及ばないことで利益があるので、そのように、好意的に扱っているとも見てほしいものだ。そこで「オレたちも国扱いしろ、しないと(日本には力関係から何もできないけど)拗ねるぞ、白菜と角煮見られなくなってもいいのか」というのもねえ。



※ 「『台湾は国でない』と決めつける大メディアの『媚中と無知』」『Newsポストセブン』(小学館,2010.6.30)http://www.news-postseven.com/archives/20140630_263297.html

※※ 記事中の表記もヘンではないか。「東京国立博物館」と「台北 國立故宮博物院」が並立しているが、国と國は同じ字とみれば、どっちも国でいい。逆に異体字だとみれば、台北の台も、本字にあたる異体字の「臺」にして臺北にしなければいけないのではないかねえ
 いつもの通りに、アレな方の井上和彦さんが出てきて、人名のように、固有名詞で書け、そこで正しくは「國立」というなら、台湾も臺灣と書くべきじゃないの。まあ、書いていられないから、台湾省に住む当人(この言い方なら双方波風立たないね)たちも「台湾」と書いているけど。
2014.06
29
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15:52
Category : 未分類
 ご宗旨はいろいろあるだろうけど、数値目標で信者を増やせというのは、どんなものかね。

 「世界最大の教会学校創設者、日本のクリスチャンに本気の決断迫る ビル・ウィルソン東京大会2014」には
ウィルソン氏は[中略]集まった参加者らに対し、「(日本のクリスチャン人口が)たった1パーセントしかいないこの状況は、あなたが今までと違うことをしなければ変わらない」と行動を呼びかけた。
とあるのだが「キリスト者が1%しかいないのは、オマエラの布教が足りない証拠」みたいな言い方は、キリスト教に帰依しない理由とか一切を考えないで、御宗旨を押し付けるみたいで気持ちのいいものではない。

 そもそも、東南アジアや東欧、アフリカのような後進地帯で、全く不足している福祉事業を教会が肩代わりするやり方で、日本の信者を増やせるとするのは、ある意味、日本社会を後進的なものとして見ているようにしか見えない。
ウィルソン氏は、「私がやったようなことは、ここにいるみなさんなら誰でもできる」と語り、「あとは、どれくらいあなたがそれをしたいのか。どれだけ本気で変化を生み出したいのかが重要」と強調した。
と述べている。だがねえ、なんというか、非キリスト教世界の日本に後進性を見つける、エスノセントリズムにも見える。

 もちろん、立派な人なのだろうが、読む限りでは、教化の数字や業績主義の風を感じるものであるよ。本来なら、福音の伝道が目的であり、数が少なくとも質の高い伝道でもいいはずなんだがねえ。一種、業績主義の臭いを感じるものであるよ。



※ 「世界最大の教会学校創設者、日本のクリスチャンに本気の決断迫る ビル・ウィルソン東京大会2014」『クリスチャントゥデイ』(クリスチャントゥデイ,2014年5月20日)http://www.christiantoday.co.jp/articles/13360/20140520/kouen-bill-wilson.htm
2014.06
28
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12:26
Category : 未分類
 昭和18年に重光葵が「日本の需むる所は単に日支が強力して東亜の建設に当る精神を確立していくのみである。」と書いているのだが、コレって「汪政権は対米戦のためにタダで資源を出せ」といってるだけだよねえ。

 日本は大陸での戦争なんかどうでもいい、日本が重慶の蒋介石と戦う必要性が薄くなった無くなったのだから、あとは中国人同士で仲良くやってくれとも言っているのだが。これは汪兆銘の足許を掬う情勢になっている。

 そうみると、汪兆銘は気の毒でならない。このままでは中国は滅んでしまうかもしれないと、国民党No2の立場を捨てて、救国の志で南京国民政府を作るものの、どちらからも傀儡視される。実際に傀儡で、日本とマトモに交渉できないし、交渉しても軍部が出てきて全部オジャンにされる。

 その挙句、太平洋戦争が始まると、大陸はどうでもいいから、好きにやってくれと日本に言われる。もともと日本からの援助も投資もないものだが、資源だけは勝手に持っていかれる。鉄鋼石、蛍石、桐油といった戦争に必要な物資は軍隊が表に出てきて持っていく。事実上、支払いはない。日本から輸出するものがないのだから、日本円やクレジット供与されても買うものはない。

 まあ、傀儡政権の主班になんかなるものではないということですな。汪兆銘や周仏海以下は全部漢奸であり、偽物と呼ばれている。本人にはそれなりの志もあるし、日帝から中国人民の生命財産を保護する役割も果たしているのだが、裏切者、協力者であることだけで、功罪の罪が大きくなるというものだ。

 傀儡政府を作る側も、傀儡政府を立てるのは上辺だけだしね。作る側はどうせ言うことを聞くと思っていて、無理難題をふっかけるし、自分たちの利益になることは傀儡政権の異見は無視して強硬実施する。中国の例だと、持って行くなといっても資源は持っていくし、それは飲めないと言っても治外法権は撤廃しない。

 これは、沖縄の仲井真知事とかイラクのマリキ首相とかも同じではないかね。両者ともそれなりに理想はあると思うのだが、それを支援する日本政府や米政府が勝手にやるのでロクなものではない。

 沖縄の仲井真知事は辺野古の埋立はもう少し穏健にやってくれといっているが、日本政府はそれを聞かずに、力で取り締まる気マンマンで、成田の二の舞になりそうな雰囲気がある。特に今の政権だと、何を言ってもダメで、トラブルが起きれば、辺野古移転の協力者として自分が一番の板挟みになる。

 イラクのマリキ首相は、自業自得な部分も大きいが、それでも同情の余地もある。一方的に力の裏付けであった米軍に撤退されて、それでいてイラクの平和云々の責任を言われる上、やり方にも米国が人道やら民主主義云々してきて、国内政治の自由度を損なうのは何様といったところだろう。

 特に、前者、仲井真知事は汪兆銘化するのではないかね。辺野古埋立で揉めはじめて、闘争レベルまで激化したら、それを許したヤツは誰だということになり、裏切者、琉奸、偽知事と言われるのではないかね。特に、国が稲嶺市長と直接交渉しようとし、県との約束を反故にされると仲井真知事は面目を失う。悪名だけが残るのではないかと思うよ。



※ 重光葵『重光葵 外交意見書集 第2巻』(現代史料出版,2007.12)p.227
2014.06
27
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12:00
Category : 未分類
 外務省がODAを増やせ増やせと言っている。「ODA『卒業国』にも支援を=大綱改定へ提言-外務省有識者懇」がそれだ。まあ、国の金を外国にバラまいていい思いをするのは外交官だから、増やせともいうだろう。

 もともとODAなんて戦時賠償みたいなものだ。太平洋戦争で色々やっちゃったので、ゴメンナサイがODAなんての大元である。

 各国にしても、ODAの方が利益になった。なおも大国である日本に賠償求めて、その感情を害するよりも「賠償は放棄する」として、それに倍する援助を貰ったほうが良い。しかも、投資なので、各国の指導者としてもキックバックが取りやすい。

 日本にしても、賠償よりもODAのほうが儲かるのでよい。日本円でクレジットを設定して、日本の生産設備やら、港湾や鉱山開発を発注してもらえば、日本に金は還流する。その過程で、日本の指導者もキックバックを貰える。

 しかし、戦争で迷惑を掛けた相手がいなくなると、ODAを上げる相手がいなくなった。だから、アフリカにまで援助をするようになった。名目は国連常任理事国への下準備みたいな、なってもなれなくともどうでもいいものである。大義のあるものではなく、是非ともやらなければならないものでもない。

 結局は、ODAでいい思いをしたいだけの話だ。ちなみに、最近は紐付き援助も少なくなっているので、政財界としてはあまり魅力もないのだろう。ODA増やせを言い出すのは、外務省とそれに関連する政治家程度になっている。

 外務省はODA金をバラまけば『外交政策上も有意義』(同記事)というのだが、有意義になるのは外交政策ではなく外務省益なのだろう。どうせ、競馬馬やら飲み食い接待の金に消えるよ。

  自腹切って恩を着せるなんて誰でもできる。外務省が自分たちがエリートだと思っているなら、外国の援助金を使って日本が感謝されるスキームを作るべきではないのか。 中国やら韓国やら台湾あたりの背伸びしたい国を甘言で釣って、AA諸国に斡旋して、両方からリベート取るとかね。


※  「ODA『卒業国』にも支援を=大綱改定へ提言-外務省有識者懇」『時事ドットコム』(時事通信,2014.6.26)http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014062600818
2014.06
26
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Category : 未分類
 部活なぞ止めれば良い。結局は、だれも得をしない。生徒も教師も時間を費やされ授業は疎かになり、しかも体罰の温床となっている。中学校の教育現場から部活を追放すれば、教育問題の相当部分は解決するのではないか。

 読売新聞「日本の中学教員、勤務時間は最長…部活や事務で」は、教員の勤務時間配分にある問題点を指摘する記事である。週勤務時間が53.9時間と厚労省の進める週40時間労働を超え、しかも授業に費やせる時間はその3/4であり、残り1/4は部活と事務で無駄に浪費されているという。

 逆に部活と事務をなくせば、丁度週40時間労働に収まるということだ。そうすれば、は労働環境の改善につながり、新規教員の質的向上も含めて教育の質を上げることが可能になり、体罰問題も減らすことができるだろう。

 そもそも、部活は教員の本来業務でもないし、学校がやらなければならない義務でもない。学校は勉強を教えるところであって、スポーツを通じて人格形成を図る場所ではない。それを大々的にやって授業に触るようでは本末転倒だろう。

 だいたい、部活にかまける教員もロクなものではない。イヤイヤやらされるのではなく、嬉々として部活指導をする教員にロクな奴はいなかった。部活を勝たせることばかり考えていており、教育技術を磨いたりもしないのだろう。

 部活にかまける生徒もロクなものではない。結局は内務班的な1年兵2年兵の関係を繰り返し、善悪も麻痺するので集団悪事を働き、事故をおこす。あれはガエンや折助のたぐいである。悪事を覚えるだけなので、廃止するのが一番良い。

 さらに行事や道徳も減らすに越したことはないだろう。行事も部活と同じで、頭の悪い教員がハッスルして組体操で10段ピラミッドみたいな余計なことをやるだけである。道徳も、教えるやり方もないのに気持ち悪い『心のノート』の類を強制読書させるのは時間の無駄である。土曜授業と連結させようとしているらしいが、そんな暇があれば教員も生徒も休んだ方がよろしいものだ。

 今の部活は誰も幸せにしない。あれを除くだけで教育は相当に負荷が減ることになるだろう。



※ 「日本の中学教員、勤務時間は最長…部活や事務で」『ヨミウリ・オンライン』(読売新聞,2014.6.26)http://www.yomiuri.co.jp/national/20140625-OYT1T50117.html?from=ytop_main2
2014.06
25
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Category : 未分類
 日本のジェットエンジン技術は優れていると主張するために「IHIは国内シェアの7割を持っている」と言っているのだけれども、ライセンス生産であることを隠しているのは、読者レベルをナメているのだろう。

 桜林美佐「日本もしっかり持っている『勝負球』エンジン技術」では、日本のジェットエンジン/ガスタービン技術は低くないと主張している。
 わが国の戦闘機について語られるとき、よく「日本はエンジン技術が弱いから…」米国などに勝てないのだ、などという持論を展開する人が少なからずいる。だが、どうもここには、そのように思い込まされる意図が働いているような気がしてならない。
 これは、かねて述べているように、敗戦に伴い、日本の航空技術一切を封印するため、GHQにより「航空禁止令」が出され、徹底的に押さえ込まれたことから「出るくいは打たれる」という感覚が、日本人にまだ浸透していることもあるのかもしれない。
というのがそれである。

 桜林さんは「[ジェットエンジン技術は弱いと]思い込まされる意図が働いているような気がしてならない」や「[日本がジェットエンジンを作ると]『出るくいは打たれる』という感覚が、日本人にまだ浸透していることもあるのかもしれない」と、米国が国産開発エンジンを潰す頭があるようなことを述べている。

 だが、実際には、日本が世界に伍するようなジェットエンジンは開発できない。作れても、性能的にはロクなものではない。重量、信頼性、出力、燃費で全て米国製に及ばないどころか、それに追いつけない英国製やロシア製、フランス製にも劣る。技術・経験でそれ以下の日本には、スネクマのM88程度のエンジンも独自国産開発はムリだろう。そのM88も、ラファールでは当初間に合わず、先行する米国製F-404で代替しており、当時でみてもそのF404のほうがM88よりも技術的に優れていた

 実際に日本が作れたエンジンも、あまりパッとしたものだはない。実用品では、T-4で使ったIHIのF3程度であり、推力1.7tにすぎず戦闘機に仕えるようなものではない。P-1哨戒機のF-7も推力6tと、旅客機/輸送機用として効率のよいエンジンではないし、実用機につけるほどの信頼性がなかったことは、前にあったエンジン停止事件で周知されたとおりである。

 日本が夜郎自大だった時期、純国産でFSXを作るという話があったが、そこでもエンジンは国産できるとは言っていなかった。それが、日本のエンジン技術の水準を示しているといっていい。

 しかし、防衛産業の幇間をしている桜林さんは、このあたりを隠し、国産でできるような法螺を吹いている。
 わけてもジェットエンジンは戦略的工業製品として、世界各国の軍や民間に輸出されている重要アイテムである。わが国においては、これをIHI(かつての石川島播磨重工業)が主に担い、日本のジェットエンジン売上高の7割近くを占め、他の追随を許していない。
 これは、わが国の世界的な位置付けや産業、技術力、また外交・安全保障上も極めて重要なポイントである。米英がいわば「勝負球」にしている物を、日本もしっかり持っているということなのである。
今、IHIが作っているジェットエンジンは、F7を除きライセンス生産品である。そのシェアが、おそらく金額ベースで国内7割を超えているからといっても、意味は無い。その7割は、IHIのシェアというよりも、実際はP&Wであり、GEであり、RR(艦艇用)のシェアに過ぎない。

 桜林さんは「わが国の世界的な位置付けや産業、技術力、また外交・安全保障上も極めて重要なポイント」と、言っているが、海外に勝手に売ってはいけないし、国内でもライセンシーの立場であるので、契約の範囲でしか作れない立場にある。それをもって「外交・安全保障上も極めて重要なポイント」というのは、何を言いたいのか分からない。

 日本には、軍用ジェットエンジン/ガスタービンでの勝負球はない。できるのは、ライセンスと後追いがせいぜいである。桜林さんは、おそらくそれを承知している。しかし、防衛産業ヨイショという商売を守るため、それに気づかないフリをして、国産開発が可能であると主張しているのである。

 結局は、防衛産業と「本当はスゴイ日本」のように、技術的に世界一にあると盲信している愛国無知な読者層に迎合した記事である。著者紹介であるように、防衛・安全保障問題のジャーナリストとしては、妥当な言論ではないだろう。



※ 桜林美佐「日本もしっかり持っている『勝負球』エンジン技術」『ZAKZAK』(産経新聞,2014.6.17)http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20140617/plt1406170830002-n1.htm
 
2014.06
24
CM:4
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01:07
Category : 未分類
 銃身過熱で命中精度が低下するという記事があるのだが。軽量の銃身でバカバカ撃ってりゃボアが広がって命中精度が落ちるのは当たり前ではないか。

 AFP「弾がまっすぐとばない」、兵士苦情で自動小銃の発注停止 独」だが
アフガニスタンに駐留するドイツ兵から、長時間の使用で銃身の温度が上昇すると命中精度が落ちるとの懸念が出ていた。
とある。

 自動小銃は機関銃ではない。長時間射撃を継続するようには作っていない。

 自動小銃は軽量銃身なので短期間に50発も100発も射撃をすれば、銃身はさわれないほど熱くなる。その時には、銃腔が大きくなっているので、フライヤー(日本だけかな?)と言われる突拍子もない弾着が出る。

 だから、ボルトアクションでも、極端な精密射撃をやるオトッツァンたちは、薬室から掃除機で空気を引っ張って銃身冷却をする。

 それ以上に撃てば銃身も赤くなる。ライフリングの引っかかりが悪くなれば、横転弾もでる。

 機関銃は、そこまで撃つ使い方もあるので、熱くなった銃身を適宜、交換するようにつくってある。

 だが、自動小銃は、そこまで使うものでもない。だから出先での銃身交換はできないが、その代わり相当に軽く作られている。赤くなっても弾が出るなら御の字で、銃身が熱くなって弾着が明後日なら、水でも尿でも掛けて冷やせと言う程度だ。

 つまり、大して意味のあるようなニュースではないということだ。

 それについて、ドイツの国防省が発表したので記事になるのはわかるし、権威あるニュース会社の記事なので、それを読んでG36も駄銃ではないかと言い出すのもしかたがないだろう。

 だが、軍事に詳しいことを自称し、他人に論難する立場のJSFさんがリツイートしているのはどんなものだろうかね。何の論評もしないということは、その通りだと思っているのだろうが、それって軍事的に正しくないデマを普及しているのではないかな?

G36.jpg


 まあ、JSFさんは日本軍艦の塗装についてもデマ振り回しているしね。
JSF‏@obiekt_JP
妙高や高雄の迷彩は空母のような緑色ではなく、濃灰色と淡灰色。艦船模型の色指定でもそう。
https://twitter.com/obiekt_JP/status/480556926070050816
と言ったりしているのだが。当の軍艦妙高によりによってその緑色が使われているという。 裏では日本海軍研究の大家ほかに「しかも根拠は模型の色指定か」笑われているのはご存じないのだろう。JSFさんも他人を馬鹿にしている以上、自分が馬鹿にされても仕方もないよね。


※ 「弾がまっすぐとばない」、兵士苦情で自動小銃の発注停止 独」『AFP BP NEWS』(AFP, 2014.6.23)http://www.afpbb.com/articles/-/3018494
2014.06
23
CM:2
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04:44
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 フィリピンパブの類でも国籍確認しているのかね。

 産経「結婚するなら自衛官! 『チャラチャラしていない』 震災救援活動でイメージアップ、婚活イベント人気」なのだが
普通の交流会と違うのは、男性陣が国家の機密情報を扱う仕事柄、受付で女性陣に身分証明書の提示を求め、国籍を確認するところだ。
だそうだ。

 自衛隊ヨイショにしても、ここまで書くとロクなものではない。そもそも、平隊員のほとんどは国家の機密なんかに触れやしない。実際に国家の機密を触る連中の内にも、フィリピン中国韓国のお店に入り浸っている奴がいる。国籍確認して日本人とだけ話しているとでも言うのかね。実際、○○○○○人ネーちゃんを気に入ったけど、親が反対して結婚できないと四十面下げて泣き言をいう高級幹部ドノもいるのだけど。そいつは昼間は情報保全を口にするが、夜には国際貢献が大好きなやつ※※だった。

 まあ、度を過ぎた自衛隊贔屓と擁護には気持ち悪さしか感じない。
「ゆるやかな会」を主宰する佐賀県唐津市の学童保育職員で、自衛隊ファンの[氏名削除]さん(39)は、「国を守るという旦那さんの仕事を、女性は誇りに思えるはずです」と熱く語る。昨年5月に会を設立し、福岡市と長崎県佐世保市を中心に20回以上、非営利で開催した。毎回、女性の人数が自衛官を上回るという。
食い扶持がないから商売で兵隊選んだだけのノンポリからすると、この手のが一番面倒くさい。しかも話が通じない上、「オレはお前達を嫌っている」という雰囲気を感じてもらえないのが困ったものだった。「自衛隊を愛する私は、自衛隊員からも愛される」とでも思っているのだろう。

 記事中では、結婚相談の商売をしているエクシオジャパンがサイト上に
「厳しい訓練に耐えるだけの身体と心を兼ね備えている」「男性ばかりの職場で、なおかつ外部との接触が少ないため、ほとんど浮気の心配がない」など、自衛官の“魅力”を紹介
と客寄せ口上を述べている。もともと自衛隊ファンにはこれを信じるヤツもいるだろう。だが、現物を見ると心技体揃ったクズもいるし、浮気で火宅の人やら、結婚プロフェッショナルも一杯いる。唯一の趣味、パチンコが嵩じて借金とかも多いのだが、自衛隊への片思いからそこら辺は見えないのだろう。

 兵隊が外からそれっぽく見えるのは、それっぽく振る舞うように教育機関で矯正されているだけで、まあ内実は世間と変わるものでもない。だが、目が曇っているとそれが見えないのだろう


※ 「結婚するなら自衛官! 『チャラチャラしていない』 震災救援活動でイメージアップ、婚活イベント人気」『MSN産経ニュース』(産経新聞,2014.6.22)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140622/plc14062220560010-n3.htm

※※ 嫌いな同期だったとこともあって、四十面下げて親の異見で結婚できないとか何言ってやがんだと思ったね。昼間は真面目君でクラスでも上10%位のエリートなんだが、公定の模範的言動やら出世ゲームで頑張ろうみたいな気持ち悪い口の利き方しかしない。それでいて夜は無茶苦茶なので、常々面前で小馬鹿にして「お前の言うことは一切聞かない」と言っていたよ。
2014.06
22
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12:00
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 例によって防衛省は開発したい病でテレスコピック弾薬を使った機関砲をつくろうとしているのだけれども、機械モノで新機構に飛びついた点で多分コケるのではないかね。

 機関銃も機関砲も、いずれも相当な技術的習熟を必要とする。まず、安定して動作するものを作るのが難しい上、その後にも寒暖や過熱といった極限状態でのテストを相当期間実施しないと、配備したあとでアリャーということになる。

 あのアメリカでも、パッとしたものが作れないので、機関銃は外国人設計や、外国製ライセンス、機関砲はガトリングやチェーンガンといった外部動力式を使っている。

 それを日本の防衛産業にやらせるのは、相当に厳しい話である。さらに、今まであまり実用例のない特殊形状の弾薬で、しかも機械モノで高発射速度を目指すとなると、あまりうまく行くとは思えない。新しい閉鎖形式で、かつ弱装弾を使おうとした62式機関銃の二の舞いになるのだはないか。

 なぜこのような開発をするのか? それは国産開発機関砲を作りたかっただけの話だ。別にテレスコピックが是非必要というわけではない。

 防衛省の開発サイドには、なんでもかんでも国産開発したいという考えがある。これは機関砲でも変わらない。

 だが、従来口径の機関砲では、優れた海外製があるので、国産はできない。膨大な開発費と調達数を考えれば、購入するかライセンスしろということになる。

 それを避けるには、標準的口径の弾薬と互換性のない弾薬を使わせるしかない。だから、テレスコピックが優れていると言い出したわけだ。

 もちろん、テレスコピックにしなければならない切実な理由はない。

 防衛は、発射速度が増やせる、弾薬搭載量が増やせる。だから、装甲車や対空機関砲に使うという。

 だが、発射速度もそれほどの魅力でもない。対地攻撃ならそれほどの発射速度は必要ない。対空射撃でも、発射速度が2割増えても、振動他で散布界がある程度以上(おそらく1MOA)以上悪くなると、勘弁してくれと言う話になるだろう。弾薬数が増えるというのも、大した魅力でもないだろう。

 また、陸戦用の各種機関砲について、今の弾薬数で非常に困っていると言う話はない。

 そもそも、ちょっとしたメリットがあっても、回転不良そのほかの信頼性不足のおそれがあれば帳消しである。そして、歴史的に見て、日本も機関銃や機関砲開発が上手な国ではない。ベルギーやチェコの機関銃や、ドイツ、スイスの機関砲や、イタリアの自動砲のようにはいかない。

 まずは、テレスコピック採用は、開発側の利益だけで、防衛のためになるものでもないということだ。

 まあ、一番不思議なのは、毎回陸自が国産開発品にこだわるところであるよ。特に今回のCTA機関砲なんか、人柱テスターそのものなのに、主要装備に取り付けることを認めるのも、政治とかOBがらみの利権構造でもあるのだろう。
2014.06
21
CM:3
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12:43
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 竹島で韓国が射撃訓練をやったという。「竹島沖で韓国軍の射撃訓練始まる」によると、日本がやめてくれと言うと、韓国軍は「『「自主的な防衛のための軍事訓練を行うことについていかなる要求や干渉も考慮しない』」と言ったという。

 韓国が支配の実績を積み上げたのに、日本も実績の積み上げをしないのはどんなものかね。

 今のネトウヨ内閣は口先だけ強硬なことを言う。何の利益があるかしらないが、河野談話を検証するとか靖国社に参拝するようなことをしている。日本の主権が脅かされた時の話も毅然とした対応を取るようなことをいっている。

 だが、竹島ではなにもしないのはどんなものかね。

 別段、竹島そのものには大した価値もないが、日韓で係争中の地域である。そこで韓国が一手を進めれば、日本も一手を進めなければならない。韓国が射撃訓練をしたのなら、日本も射撃訓練の類をすればよい。

 幸い、日本には海空軍力の持ち合わせはいくらでもある。航路警報を出して、艦隊と航空機を集結させて、人のいない弾着地域に砲爆弾の1発でも落とせば良い。

 要は、韓国にゲームのルールを教えれば良い。韓国が積み増しをするとこうなるということを認識してもらうには、それが一番良い。

 短期的に日韓関係は最悪になるだろうし、米国もやめてくれと言うだろう。だが、一度それをやれば、韓国は次から実績積み増しを躊躇するだろう。

 だが、今のネトウヨ内閣やアレ宰相は何もしない。普段威勢のいいことを言っているが、韓国には何もできない。韓国に甘い理由もいろいろ考えられるが、まずはアメリカが不機嫌になるので、自分たちの権威が揺らぐとどう考えているからだろう。

 今のアレ宰相以下は、まったく永続敗戦論のアレだ。アメリカに忠義立てすることで国内での権威を与えてくれるという想像で、赤誠を尽くしている。内実は戦前からの神がかり右派なのに、アメリカに仕えていると想像することで自分は自由主義者で民主主義の体現者であると規定しているように見える。

 アレ宰相以下は、国内では、自分たちは民主主義であり自由主義であるという欺瞞から、偉そうなことを言うし、訳の分からない解釈改憲をやろうとしている。それが米国への忠義立てであると自分たちで考えているので、正しいと思っている。

 だが、外では、韓国には何も言えないし何もできない。なぜなら、アメリカに「オレの同盟国である」韓国と仲良くしろと言われているので、アメリカへの忠義立てから韓国にはなにもできないわけだ。

 まあ、国内弁慶なので、できるのは内向きの河野発言であって、それも外にでて韓国ともめるとアメリカが怒りだすので、検証程度なのだろうね。検証にしても、韓国と手打ちする条件で出したものを、自分たちの都合によって引っ込めるというのも何だと思うけどね。



※ 「竹島沖で韓国軍の射撃訓練始まる」『NHK NEWSWEB』(NHK,2014.6.20)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140620/k10015369901000.html
2014.06
20
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12:34
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 中国は、台湾を武力回収する場合には機雷を活用すると言われている。台湾海峡の南北端を閉鎖し、あるいは基隆や高雄を封鎖することも可能だろう。

 だが、米軍の接近経路を機雷敷設で阻止するとか、海自は容易に機雷除去できるとかというのは、ありそうにない話に見える。

 北村淳さんの「中国が最も嫌がる集団的自衛権発動のシナリオ -海上自衛隊掃海部隊が米軍を窮地から救う」では、中国が機雷戦により、台湾に米軍が連絡・接近できなくなるが、その機雷原は容易に日本が啓開できるとしている。

 しかし、台湾へのアクセスを阻止できるほどの機雷原を作ることは難しい。

 北村さんは次のように述べている
当然、先陣をきって出動するアメリカ艦隊は横須賀や佐世保を母港とする艦艇で編成されるため、それらの軍港周辺海域や、より幅広く日本周辺海域にも機雷原を設置してアメリカ艦艇の行動を阻止しようとするであろう。実際に、中国海軍は海軍民兵によって機雷を敷設する訓練も実施している。そのため、漁船や貨物船などにより日本領海に接近して(あるいは侵入して)機雷を設置する能力を保有していることは間違いない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40980?page=3
しかし、佐世保や横須賀は中国から艦船で敷設するには遠すぎる。まず、台湾海峡や基隆、高雄、中国軍港での防御的機雷原を作ることが優先されるので、日本本土周辺で米艦隊を阻止できるほとの機雷原を作る余裕はない。

 また、横須賀、佐世保のその航路収束部は、日本領海どころか内水にある。領海際にとも述べているが、佐世保のあたりは、日本領海は九州西岸から100km以上先にある。横須賀からも、領海を出られるまでの最短距離60kmを超える。両港を阻止できるような機雷原を作れる場所は、領海のさらに内側、基線内部の内水である。そんなところに機雷を敷設すると、相手にしなくてよい日本への参戦を招く可能性が高い。

 そもそも、米軍が日本から台湾にアクセスしなければならない理由はない。米本土からも台湾には海上輸送でアクセスできる。仮に、基隆‐高雄間の台湾海峡を実質的に封鎖しても、台湾東岸へのアクセスは阻止できない。大水深であり、開けた海面であり、台湾側戦力によって防護されているためである。台東・花蓮の港湾を狙うにしても、航空機による港湾内への沈底機雷敷設は難しいし、潜水艦等で機雷敷設するにしても、港口から離れた場所に感応繋維機雷を入れるのがせいぜいである。繋維機雷なら、機械掃海で簡単に掃海できる。

 また、機雷原を海自が簡単に啓開できるとする見方も、楽観的である。北村さんは
中国海軍の機雷戦にとって、佐世保を本拠地にする4隻のアメリカ海軍掃海艦はそれほどの障碍にならない。しかしながら、日本が台湾とアメリカ海軍防衛のために集団的自衛権を発動して海自掃海部隊を繰り出してきた場合、中国のA2/AD戦略に大きな障壁が立ちはだかることになる。
 すなわち、海自掃海部隊が機雷原に航路帯を開削することで、米艦隊が無傷で接近してきてしまい、中国の目論見の1つが崩れ去ってしまうのである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40980?page=4
と述べている。

 だが、仮に米艦隊が無傷で接近できないような濃密な機雷原を作ったとすれば、海自が出て行っても、そう簡単には処理できない。

 機雷処理はすぐにできるものではない。まず、機雷原の位置極限をして、そこで最低限必要な航路を設定してからそこで機雷処理を始める。そして最後に機雷の取り残しがないかを確認し、初めてアクセス経路が完成する。この作業は昼間しかできず、小規模な機雷原であっても1日はかかる。さらに機雷原が濃密で広大なら、機雷処理にも時間がかかる。

 仮に中国機雷の9割が旧式単純タイプであり、従来の掃海で効率的に対応できても、1割でも新型、あるいは高度なロジックを持つ機雷を敷設されると、それは取り残される。その手の機雷が少数でも残っていれば、結局は掃討をしなければならない。その手間はバカにならない。

 そもそも、相手の機雷原の場所がわからなければ啓開もできない。相手の機雷原を積極的に探すには、対機雷戦部隊を使わなければならない。他にも、すでに啓開した航路にも、新しく機雷が入れられないかをチェックするためにも、掃海掃討艇は1隻は置いておかなければならない。このため、海自部隊を投入しても、全力で機雷元を啓開できるわけではない。

 日本の対機雷戦部隊が投入されても、そう簡単には必要分の航路も啓開できるわけではないということだ。

 北村さんの主張は、中国が台湾回収で行う機雷戦について、その主目的を取り違えたものにも見える。中国が積極的に機雷戦をやるとしても、それは台湾海峡の安全確保であり、米艦隊の接近を阻止するものではないし、阻止できるものでもない。台湾全土が機雷封鎖されるわけでもないので、別に海自対機雷戦部隊が死活的な役割を果たすわけでもないのである。
 北村さんは最後に
そしてなにより、世界屈指の海上自衛隊掃海部隊がアメリカ艦隊に協力することは中国人民解放軍が最も嫌がるシナリオなのである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40980?page=4
と述べているが、これも海自への過剰評価や過剰な期待である。中国機雷戦も、結局は「日本の防衛力大事、超大事」と主張するための主張ではないか。



※ 北村淳「中国が最も嫌がる集団的自衛権発動のシナリオ -海上自衛隊掃海部隊が米軍を窮地から救う」『JBpress』(日本ビジネスプレス,2014.6.19)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40980

※※ だいたい、中国が台湾回収を行うなら、平和裏の回収を目指すし、武力回収となっても、日米が出てこないように最新の注意を払うだろう。

※※※ まー、台湾独立とか言われるのは、日米中にとって一番迷惑だよねえ。台湾にとっても、事実上独立しているんだから、現実的には何の利益もない。台湾の政府も独立派を抑えこんでくれないと、自分たちだけではなく近所迷惑でもある。
2014.06
19
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 防衛省が遠隔操作できる土木重機をつくるというのだが、国交省の情報化施工とどう違うのだろうか。

 「がれき、20キロ先から遠隔除去 防衛省が無人車両」によると、防衛省技術研究本部は無人重機をつくろうとしている。
 無線などを使って20キロメートル離れていても遠隔操作できる無人の車両システムを開発し、2016年度の配備をめざす。放射能や化学物質で汚染されて人が入れなくなった場所でも、すばやく被害状況の把握やがれきなど障害物の除去ができるようにする。
 11年3月に起きた東京電力福島第1原発事故を受けて開発を決めた。同省技術研究本部の陸上装備研究所(相模原市)が試作機をつくっており、9月にも試験運用を始める。実用化できると判断すれば、陸上自衛隊の施設部隊などに配備する。
要は、NBC状況下での施工に備えて、無人車両でガレキと障害物除去ができるシステムを開発するということだ。

 だが、これは既に国交省が技術を持っている。情報化施工がそれだ。今となっては熟練工不足対策が表に出ているが、元々は火砕流や土砂崩れの現場のような危険な地域で無人施工するためのシステムであり、技本がつくろうとしているNBC状況下での施工システムと丸かぶりするシステムである。

 完成品があるなら、それを使えば良い。

 防衛省の技術研究本部は、民間や海外で既にあるものまでを二番煎じで自己開発しようとする。その結果、無駄に開発費を浪費したり、完成度が低かったり、高価格になったり、整備が遅れたりする悪弊がある。

 土木系施設器材の過半は、民生用器材と変わらない。陸施設であっても、土木重機は民間の出来合品を勝っている。その無人化や遠隔操作についても、民生用で既に出来合のものがあるのだから、それを買えば良い。

 なんにせよ、技本に金回してもロクなことはない。研究開発系の予算も、焦点である海や空に重点的に使えばいいものだが、それもできないで陸海空に均等にしている。こういった問題を無視して、防衛費が少ないと言い出す防衛省や国防族というのは何なのだろうかね。

※ 「がれき、20キロ先から遠隔除去 防衛省が無人車両」『日本経済新聞WEB刊』(日本経済新聞、2014.6.14)http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS14001_U4A610C1MM0000/ 
2014.06
18
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 国産のC-2輸送機が更に遅れるという。読売新聞「尖閣防衛に影響も…空自新輸送機の配備2年延期」によると、今年度末の配備をさらに2年延期するという。航空機開発は遅れる方向に進むものなので、実際にはもっと遅れるだろう。

 C-2開発は妥当だったのだろうか?

 P-1/C-2は、国産開発と国内生産のために作られたような飛行機である。防衛省の開発サイドと、国内航空産業のための機体である。防衛上の理由や、運用側の要求によって開発が要求された機体ではない。

 特にC-17調達と比較すると、無駄遣いの一語に尽きるだろう。結局、無駄に膨大な開発費を投入し、C-17よりも低性能の機体を、おそらくC-17と同程度の価格で購入することになる。

 C-2の開発費は、分かりにくいが、おそらく2000億を超えるだろう。P-1とC-2を混ぜることによって、おそらく意図的に額がわかりにくくなっている。だが、開発段階で3500億という数字があり、その半額に以降の追加支出を考慮すれば、2000億を超える。

 国内開発のため、C-17よりも意図的に低性能にされている。C-17を買わないで済むために、C-2の性能を決めたのだろう。C-17とC-130の間に要求性能を決めたものだが、その結果、C-130に一回り大きい程度に留まっている。C-130が20t積めるのに対して、C-2は30t積める程度に過ぎない。航続距離についても、同条件で2倍の差もない。

 それでいて価格はC-17と同じ程度になるだろう。今の段階で調達予定は10機程度であり、量産効果のような価格逓減は見込めない。輸送機であるため、兵装や電子装備はないものの、100億以上、150億はするだろう。現行のC-130でも、輸入で70億程度はした。特に高価なエンジンを使い、複合材も多用し、しかも国産であるC-2はその倍以上はするだろう。対して、C-17は200億程度である。

 そして、配備の遅延である。仮に2000年にC-17を購入すれば、00年代後半には運用できた。対して、C-2が運用可能となるのは、今の段階で10年代後半であり、下手をすると20年代寸前まで遅れる。15年程度の差があった。

 結局、C-17を排し、C-2を国産開発したのは大損だったということである。

※ 「尖閣防衛に影響も…空自新輸送機の配備2年延期」『ヨミウリ・オンライン』(読売新聞,2014.6.16)http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140616-OYT1T50069.html
2014.06
17
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12:00
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 集団的自衛権の例の話なのだけれども。

 米艦船にのった日本人避難民を護衛するとあるのだが。それはわざわざ危険を冒す行為ではないのか?

 まず、国際法上では軍艦は攻撃目標となる。その米軍艦に避難民を乗せるということは、わざわざ戦闘の危険を冒すことになる。

 また、商船でも艦隊行動をとるものも攻撃目標となる。これも、護衛によってわざわざ避難民を危険に及ぼす行為である。

 それなら、病院船や交換船に載せたほうが良い。病院船は攻撃を免除される。交換船や交戦相手政府から安導券を確保した船舶であれば、攻撃はされない。第二次世界大戦でも、戦争下での民間人引揚げに、交換船や安導券は活用されている。

 というのも、昨晩のTBSラジオのセッション22で、憲法学者の木村草太さんが「米国は民間人脱出に軍艦なんか使わない、民間機を使う」と述べていたためである。(ポッドキャストhttp://podcast.tbsradio.jp/ss954/files/20140616main.mp3

 木村さんはなぜかを述べてはいないが、米国がそうする理由は、やはり攻撃目標ではなく保護される点にあるためである。国際法上、民間航空機は攻撃をしてはならない目標となっている。その点で、交戦相手国に軍艦で迎えに行くよりは余程安全であるし、確実である。

 昨晩のラジオは示唆に富むものであった。そもそも、在留自国民保護やその引揚げは自衛権ではない。木村さんは独立した国際法上の権利か、あるいは国際慣習として解釈される権利であるとしている。いずれにせよ、自衛権ではない。

 とまあ、書いている間に前に書いていることに気づいた。「国際法をご存じない」なのだが、全く同じ構図である。「独航商船や民間航空機は護衛されないと危険である」と主張するあたり、だよもんさんがよくツイートする国際法知識も、アレ宰相と同じ残念水準だということだ。
2014.06
17
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06:24
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 内閣には必ずリクードの大臣がいる。リクードは議席数は少ないものの、小選挙区では無視できない信徒票を持つ。だから、政権党はリクードに国務大臣の椅子を与え、与党に取り込んでいる。

 このリクードの大臣には、出身母体のリクードの指示で動く。だから、署名拒否したり辞任したりもリクードの意向の通りなのだろう。

 今、解釈改憲について、リクードに下手に出てお願いしているのも、平和志向が強い信徒を持つリクードの離脱を恐れたものだ。リクードが離れると、政権党は小選挙区だけではなく、地方議会でも困る。

 ある意味、国交大臣現役信徒制なのではないのかね。かつての陸海軍大臣現役武官制のようなものだ。リクードにそっぽを向かれて、大臣を辞任されると、政権党は困る。かつてのように内閣が流れることもないが、リクード抜きでは選挙に勝ち難い。もそもと選挙に弱い現宰相も党内の突き上げを食らうことになる。

 リクードも、いっそ大臣を引き上げればいいのにね。解釈改憲はどうみても筋悪で、それにリクードが署名したとなれば平和を語っていたのでバツが悪い。平信徒は動揺する。

 損得考えれば、今、大臣引き上げたほうがいいのではないのかねえ。与党であり、国交を抑えていることは世俗の利益かもしれないが、それで理念が揺るがされるなら、宗教政党としては切り捨てなければならないと思うがね。

 
2014.06
16
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12:40
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 週刊ダイヤモンドが「武器輸出解禁の衝撃 世界の国防関係者が日本の最新兵器に熱視線!」とした記事を上げている。

 武器輸出三原則を見直しにより「日本の武器が世界中に売れる」とする期待を振りまく内容になっている。例えば
[中国は]「安価な武器を大量にアジア諸国にばらまいている。自国で武器を製造できない国はそれに依存せざるを得ないが、中国に自国の軍事力を推定されることを嫌がっている国は多い」(防衛業界関係者)。その意味で食い込む余地は決して小さくない。
とか
自衛隊関係者は、「中国以外は日本の武器輸出はウエルカムで、ニーズは間違いなくある。問題はそれに日本企業が応えられるか」と、日本の軍需産業の奮起を期待する。
といった、売れるだろうという希望的な意見が述べられている。

 しかし、実際に日本製の武器は売れるのだろうか?

 まず、陸戦用の小火器や装甲車両、火砲の類は売れないだろう。国内開発品は、概ね高価格であり、見合った性能はない。性能も同じなら、多少仕上げが悪くとも中国製や韓国製を買うだろう。中国製でも、西側口径の小火器や火砲は売っている。高くて性能的にアドバンテージもない日本製は売れない。

 かつて、日本の工業製品が安くて高性能の時も、日本製小火器を買おうとしたのは戦争当事国だけだった。62式機銃については、海外から引き合いがあったと誇らしく書く記事があったが、その国は印パ戦争中のインドとパキスタンだった。

 航空機も売れるものでもないし、売れても儲かるものでもないだろう。P-1やC-2については売れる見込みはない。日本人マニアが傑作だというOH-1(ライン閉じているけどね)なんか高い上、汎用性も火力も全くないので売れるはずもない。F-2にしてもそうである、ライセンスやラインの問題がなくとも売れるものではない。F-2を買うなら、最新のF-16を買う。納期も値段も、部品供給も、適合する兵装でもF-16の方が優れている。

 US-2にしても、売れたものではない。中国並みに独自理論によるインド洋囲い込みをやろうとしているインドが、日本の歓心も合わせて買おうとしている。相手が相手なので、インドに一方的に有利な契約とか、賄賂でさんざんやられるだろう。※※

 US-2も政治的思惑があるインドが買う程度にとどまる。そもそも基本的に飛行艇は使いにくい。着水できない可能性も高い。海上救難なら、空中給油装置をつけたヘリや、それこそ今ならオスプレイの類を使ったほうが良い。

 売れるものは、軍艦用のエンジンや舵機といったものに限定されるのではないか。軍艦そのものはどこの国でも自国で建造しようとするので売れにくい。だが、そのディーゼルエンジンや舵、減速ギヤ、スクリュー、艦内用の計装・通信器材、格納庫の整備器材や弾薬用エレベータといった、非兵装系の部材がアッセンブリ的には売れるかもしれない。これらについては、日本製は価格競争力も品質も高いものを持っている。だが、それが記事が期待する武器輸出になるかどうかは微妙だろう。商船用よりも高いだろうが、兵器的には高値には売れない。

 ダイヤモンドは商売雑誌で、これからの有力な市場として国際武器市場を紹介しているのだろう。だが、実際にはこれらの船舶艤装を※※※ を除けば、国際武器市場ではあまりパッとしないのではないかね。


※ 「武器輸出解禁の衝撃 世界の国防関係者が日本の最新兵器に熱視線!」『ダイヤモンド・オンライン』(ダイヤモンド,2014.6.16)http://diamond.jp/articles/-/54579


※※ 救難用だからと、相手を殺す武器にはならないだろうとインドにUS-2を売るとロクな事にはならないだろう。あの国は、ヒマラヤ方面で中国やパキスタン、反政府組織と対峙している。そして、山岳地の飛行場で便利に使える作戦機は余り持っていない。出力に余裕があって高標高に対応でき、STOL性能をもったUS-2は対地攻撃機として使われる可能性も高いんじゃないのかね。インドは航空機や艦艇のでも、ヘンテコな回収をやったり武器をつけたりするからねえ。水上艦に弾道ミサイル積んだりとか。

※※※ どこの国も、国産軍艦を作りたい気持ちはあるから、そこにつけ込んで、軍艦用のアッセンブリ輸出に特化したほうがいいんじゃないのかね。ただし、キモの武器は日本も米製欧州製を使っているし、たまに国産を作っても07式アスロックみたいに、高価格なわりに性能はおざなりしかないから、機関系とか通信系とか、あとは応急系位になるだろうけれども。
2014.06
15
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07:24
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 シーレーンでの機雷除去には、集団的自衛権は関係しない。

 アレな宰相がそういったことを言い出している。「シーレーンの機雷掃海も可能に 首相、集団的自衛権で意向」だが、それは筋の通った話ではない。

 集団的自衛権とは、要は他国のために戦争をする話である。現実的には、同盟国の米国が戦争になった時には、参戦もできるようにする話だ。

 これは、シーレーンの機雷除去には全くと言っていいほど関係しない。

■ 3つの状況
 シーレーンに機雷が敷設されて問題となる場合、いくつかのパターンが考えられる。もともとのアレ宰相の意向もよくわからないのだが、日本船舶が利用する公海(厳密に言うと国際海峡とかいろいろあるが、面倒なので公海とする)に機雷が敷設された場合としては、次の3つが考えられる。
第1に、敷設国が戦争行為として機雷を敷設したと宣言したもので、戦争中である場合
第2に、その戦争が集結した場合
第3に、どこの国も敷設を宣言していない場合
である。

 第一の場合、集団的自衛権は関係ない。中立義務を守るなら機雷除去はできないし、日本の生存のためにどうしても必要なら個別的自衛権を使えば良い。

 まず、戦争で日本が中立の立場にいれば、中立義務から機雷除去はできない。中立国には義務があり、両国の戦争行為を邪魔することはできない。

 仮にその機雷が、日本にとって生存を脅かすものであれば、個別的自衛権として戦争をすればよい。
[首相は]シーレーンを通じた石油、食料などの輸入が、資源の少ない日本にとって死活的に重要との認識を示した上で、「日本はなすべきことをやらなければいけない。機雷掃海もしっかりと視野に入れて議論したい」と語った。
とある。これは従来の個別的自衛権そのものの話である。実際には、戦争をやることもなく、機雷だけ除去してもよい。日本は自国の生存のために云々と宣言し、両国の戦争には関与しないとでも言い訳して機雷除去だけをやればよい。※※

 第二の場合、そもそも自衛権には絡まない。戦争が集結したあと、他国が敷設した機雷を除去した例は、湾岸戦争のあと、ペルシア湾掃海で実施している。イライラ両国と話はつけてあったが、別にやらなくともよい。クレームもまずでない。平時の自国防衛のために国際航路に機雷を敷設することはできない。

 第三の場合、除去しても文句をつける国はないので、自衛権は全く関係しない。かつてリビアが紅海とスエズ運河に隠れて機雷を敷設したことがあったが、その除去には一度も文句をつけていない。ニカラグアにアメリカが闇で機雷を入れたこともあったが、仮にその時にどこかの国が機雷除去をしても、アメリカは藪蛇なので文句を言えない。

 このようなところだ。

 アレ採用の発言は、実際には、ホルムズ海峡やペルシア湾でのイラン機雷敷設をイメージしているのだろう。アメリカとの衝突により、イランがペルシア湾口を封鎖するといった話である。

 だが、それは第一の場合に含まれる。中立を保つなら文句は言えない。日本にとって死活的な問題であれば、日本は個別的自衛権を行使するだけの話である。あるいは、イランが闇で機雷を入れたなら、第三の場合に相当するので、機雷除去をしても文句は出ない。

■ 関係するのは上陸戦や、他国港湾の機雷除去
 集団的自衛権云々関係する機雷除去は、もっと違った形である。

 例えば、米国がアフリカあたりと戦争して、上陸戦を行うので沿岸にある対上陸戦用機雷を除去するといった話だ。

 あるいは、どこぞの国が米国との戦争状態となり、戦争行為として米国の港湾に機雷を入れ、それを除去するといった状況である。

 ただ、そのような話をすれば、国民は「なんでそんなことまでするの?」と言う。だから、それっぽい理由として日本のシーレーンを守るためにといった理屈付けをするのだが、その結果として集団的自衛権の話ではなくなっていることに、アレ宰相は気づいていないのだろう。

 本当に必要なら、そういえば良い。米国にくっついての多国籍軍とか、国連軍とかで、機雷除去をできるようにしたいという話だ。それはそれでいい。日本の対機雷戦戦力は、世界でも貴重な存在で、外交的な武器として使えることは間違いないし、そう使うこともいいだろう。だが、それを隠して、しかもマトモに議会で議論もしない内閣限りの解釈改憲だけでやろうというのは、相当にふざけた話であることだ。



※ 「シーレーンの機雷掃海も可能に 首相、集団的自衛権で意向」『MSN 産経ニュース』(産経新聞,2014.6.14)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140614/plc14061416360021-n1.htm

※※  そもそも、航路を完全に閉鎖するような機雷封鎖はまずはやらない。戦争中でも、公海を塞ぐような機雷原を作るときには、普通は自国沿岸よりの火砲の届く範囲くらいに安全航路を用意する。第三国の船舶は、遠回りだけど、そこを通れという。
    ただし、自衛権云々の話として、そういいた非現実事態を考えたのなら、その時は個別自衛権を使えばいい。本文で述べたように機雷除去だけをやってもいいし、戦争したいなら「○日までに日本による機雷除去を認めない場合、日本は必要な措置をとる」と最後通牒を突きつけてもいい。
2014.06
15
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07:15
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 軍事研究の7月号(10日売)に、上陸戦の記事を書かせてもらいました。よろしければお買い上げの上、御覧ください。
2014.06
14
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14:02
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 南米行くと、路上でいい年こいたオトツァンまでサッカーやってる。試合になると飲食店も仕事をしない。作りおき勝手に食えで、勝ったらタダ。その後は街中に人が溢れる。道路まで溢れるから車が動かない。

 そのくらいサッカーしか考えてない相手に勝てるわけないでしょ。

 日本は勝てるとか、勝ったら次はどこと対戦する、もしかしたら最期まで行ける、そこで勝てるかもしれないみたいな話を聞いていると、マヌケなものだと思う。サッカー、サッカーと小煩いので、サッサと負けろとも思うね。

 なんにせよ、サムライホニャララとか、青い運動着着た店員とか見ていると馬鹿にしか見えないものだよ。この国の子はそんなに馬鹿になってしまったのかとね。

 まあ、負けたあとの犯人探しを楽しみだね。桐生悠々が死の直前に、負けたあとの粛軍が見られないのが残念だと言ったが、それに近い。だたし、選手の名前はザッケローニと釜本しか知らないし、顔も知らないので想像するしかない。どうせ髪染めたりとか、ヘンテコな髭剃り残しみたいな、トッポイというより、いい年こいた不良みたいな格好だと想像しているけどね。「犯人はマンボスタイルのカミナリ族」みたいな感じか。
2014.06
14
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06:23
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 自衛隊の音楽隊も相当に過剰ではないか。特に陸だが、中央と方面と師団旅団で合計21ヶも持っている。本当にそれほどの数は必要なものかね。

 音楽隊は要らないというわけではない。実際にないと困る。募集行事等での部外演奏なんかどうでもいいが、儀式にはないと困るし、戦争中には出征や凱旋、出入港で勝ったことを演出するための景気付けにも必要である。

 だが、それにも限度がある。海が6ヶ、空が5ヶも多いのではないかと思うが、陸の21ヶはズバ抜けて多い。陸は戦時には警備もやるという話だが、結局はパートタイムの仕事にすぎず、そのためにフルタイム隊員を多数抱える理由は立たない。

 師団旅団の音楽隊は廃止してもいいのではないか。音楽隊が総務ほかも含めて30人とすれば、人員は450人も浮く。音楽職域は学歴も高く、問題については聞いたこともなく、真面目なので他用途にも転用できる。

 さらに、各地方隊の音楽隊も統合運用できないものか。陸海空が各地方に音楽隊を囲うのは無駄な話だ。北海道は陸、東北は空、関東は海と、陸海空で分担している自衛隊病院や、海空で分担している航空救難区のように、担当音楽区を決めて地方音楽隊の重複を避けることもできるだろう。

 地方行政等の支援ももっと減らしてもいい。バンドを持っているのが軍隊だけという時代ではない。各県の警察やら消防、持っている公立学校や所在する私立学校に頼めば済む。軍隊に頼んで、タダで音楽をやらせようというのも虫の良い話だ。



※ 音楽隊での不祥事というのは聞いたこともない。講師謝金とか、楽器購入での謎の指定店とか、講師へのリベートとかあるかもしれないけど。まあ真面目でいつもお稽古で楽器をピーヒャラしている。

 ただし、結構世間知らずなので、他用途に使えると書いたが、本当に使えるか分からない。音楽隊の庁舎に打合せに行ったあと、軽微な営繕の話があって、甲板掛(だったか)が隊力でやりたいけど、人生今まで鋸も金槌も使ったことない、やり方だけ教えろと言われて驚いたことがある。その掛は女の子で、しかも音楽だけやってりゃそうなるわなと思ったよ。
 でもコンクリートに振動ドリルで穴開けて、プラグ打ち込んでネジ止めする必要があったので、どう見ても手の負えない。だから器材つけて海曹を送った。慣れりゃ10分仕事だけど、やったことない女の子にはどうみてもムリ。
 まあ、部隊によっちゃ、オバちゃん技官にアルミ溶接頼んだり、タップじゃなくてネジきりバイトでボルトを作って貰ったりすることもあるけどね。
2014.06
13
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 北村淳さんの「台湾海峡危機から18年、状況は大きく変化した -米国防総省リポートが警戒する中国軍の戦闘力」なのだが。米国の報告書による中国軍観察と、日本周辺への影響を丁寧に読み解いている面白い記事である。

 しかし、そこに資料批判的な観点がないのが残念とも言える。

 米国防省のレポートは敵国を大きく、危険と見せるものである。これは、かつて年刊されていたソビエト・ミリタリー・パワーズも、今の中国軍事力についての議会報告も変わらない。どの役所もそうであるが、国防省には、自己の行政領域の拡大と予算増大を望んでおり、そのためには問題点を過剰に協調する傾向にある。

 北村さんも、おそらくそのことは承知していて、日本の軍事力を増やせといった主張に使っているのだろう。記事の結論は
まさに、中国人民解放軍の台湾に対する短期激烈戦争に勝利する能力はほぼ整い、極めて近い将来には日本に対する短期激烈戦争にも勝利する準備が完了するのである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40911?page=4
とまで述べているいる。
<
 北村さんは、常に日本の防衛力を増やせ、防衛費を増やせといった主張をしている。そのために中国軍は強いとする(実際に増強されているが)米国防省の報告を使ったわけだ。

 しかし、中国は実際には台湾や日本を圧倒するほどの軍事力は持っていない。

 そもそも、北村さんが述べる「短期激烈戦争の勝利」とはなんだろうか

 台湾と日本の占領を指しているとすれば、それは無理な話である。確かに、中国の軍事力は台湾を超越しているが、国府軍も強力であり、短期の完全占領はまずできない。強力な海空戦力を持つ日本はもっと難しい。中国にはまだ台湾を一気に回収するだけの軍事力はないし、「極めて近い将来」にも日本本土侵攻の能力もない。

 限定的侵攻や、空中戦、海上衝突であれば、戦争は短期では終わらない。戦争が長引けば、出ない出ないといっていた米国も出てくる。米軍が出てくれば、中国は負けないかもしれないが勝ちもない。米軍が出てこなくとも、中国を泥沼に突き落とすためには武器や弾薬はいくらでも売る。ビジネスチャンスである。ズルズル戦争は続く。

 そして
極めて近い将来には日本に対する短期激烈戦争にも勝利する準備が完了するのである。そして、日本で悠長に集団的自衛権に関する神学論争に明け暮れているような状態が続くならば、その日がますます早まるであろうことは疑いない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40911?page=4
と結論づけている。

 北村さんに限らず、この手の論議で不思議なのは、中国は日本を狙っているとする発想である。現実には、中国軍の頭には対日戦で「短期激烈戦争」を行って勝つという発想はない。中国は台湾正面や南シナ海での短期決戦的な戦闘は狙っているし、米国が侵攻に対し、できるだけ遠くでマトモに戦える軍事力整備を狙っている面はある。だが、対日戦で日本を打倒できる戦力を作る発想はない。

 仮想敵国との対峙があるので防衛力を増やせという主張では、仮想敵国が日本に攻めてくるといった話しかしないのは不思議なものである。ソ連脅威論の時代には、研究者はソ連には日本に侵攻する能力がないことを知りながら、ソ連は北海道に攻めてくると言い出した。同じように、中国の脅威と防衛力増強をいう人は、中国には日本本土に侵攻する能力がないことを知りながら、それを言っているのだろう。かつての国防総省のソ連の軍事力のように。


※ 北村淳「台湾海峡危機から18年、状況は大きく変化した -米国防総省リポートが警戒する中国軍の戦闘力」『JBPress』(日本ビジネスプレス,2014.6.12)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40911
2014.06
13
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06:08
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 北村淳さんの「台湾海峡危機から18年、状況は大きく変化した -米国防総省リポートが警戒する中国軍の戦闘力」なのだが。

 北村さんには米軍や海兵隊にへの感情移入があるのではないか。

 記事では、アメリカ海兵隊についての中国軍の発言として
沖縄に陣取り、東アジア地域での地上戦が勃発した際には先鋒として投入される第3海兵遠征軍に対して、「アメリカ海兵隊など、もはやマーチングバンド(軍楽隊)のようなものだ。沖縄で中国を睨んでいるつもりだろうが、我々はマーチングバンドなど相手にするつもりはない」と人民解放軍幹部がアメリカ海兵隊を小馬鹿にしている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40911?page=2
ことを指摘している。これについて、米軍を侮蔑する言動や口撃と言った、感情的にも見える記述がされている。

 だが、実際に沖縄の米海兵隊に何ができるのだろうか。米海兵隊は対中戦では使いようもない。それこそ、強力になった中国軍に対し、中国本土や周辺の島嶼への侵攻を行うのは自殺行為以外のなにものでもない。できるのは、三沙や尖閣への嫌がらせ的な上陸、台湾や沖縄でのトリップ・ワイヤーとしての仕事しかなできない。その意味では、軍楽隊と大差はない。

 それに目くじらを立てても仕方がない。だが、元警察吏員で、米国に留学し、米国に居住していると米国びいきになるのだろう。北村さんは神がかり的な論調がなく、筆致も冷静で読みやすいのだが、このような感情的な記述があるとそれが価値判断に投影されているのではないかと心配になるものである。



※ 北村淳「台湾海峡危機から18年、状況は大きく変化した -米国防総省リポートが警戒する中国軍の戦闘力」『JBPress』(日本ビジネスプレス,2014.6.12)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40911
2014.06
12
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 オーストラリアが日本の潜水艦技術を買うかもしれないという話がある。例えば、「豪、日本の潜水艦技術求める アジア海域緊張の中で防衛協力」といった記事がある。あの国は前の戦争でやったように、南シナ海での海洋拒否を考慮している。それをやるには脚の長い潜水艦でなければ都合が悪い。それで大型の日本の潜水艦をという話をしている。

 もともと、オーストラリアは白人国家としての孤立感がある。白豪主義は捨てているものの、やはり近所で信用できる国は白人国家のニュージラントしかない。

 また、アジアに対して漠然とした危機感を抱いている。オーストラリアには、巨大な人口を持ち、価値観が異なるアジア人が攻めてくるのではないかといった、あまり根拠の無い恐怖がある。戦前なら日本、戦後なら中国、あるいは国民国家となったインドネシアがそれだ。だから、白豪主義の間には、どうしても白人人口が欲しいと自分で判断できない年端もいかない孤児まで無理やり連れてきて移民にさせている。

 だから、遠くの白人国家であるカナダ、アメリカ、ヨーロッパとの連携を重視する。かつてはインドと南アフリカも重視していたが、今は白人植民地ではないので連携する話は出てこない。

 オーストラリアには、カナダ、アメリカ、欧州との政治的、軍事的連携や、通商路確保を重視する姿勢がある。オセアニアに散らばる島嶼国家への、一種保護国的な行動も、アメリカとの連絡線確保の部分もある。海軍でも、比較的大型の水上艦で、これら通商線保護や離島国家でのプレゼンスを行っている。

 また、アジアからの防衛も重視する。アジア人によるオーストラリア侵略を防ぐため、最低限でもスマトラ-ジャワ-チモール-ニューギニア-ソロモンの線、できればその向こう、今なら南シナ海での防衛を考えている。こちらは、潜水艦が主力となる。

 だから、オーストリア海軍の潜水艦にも多大な航続距離が要求される。南シナ海に至近の潜水艦基地、西南岸にあるパースにあるフリーマントルからインドネシアにある諸海峡を経由してシンガポール沖まで行くにしても、片道で5000km以上ある。具体的に確海峡で示すとスンダ(片道4700km)・ロンボク(4700km)・サペ(5100km)・オンバイ(6000km)となる。これは、戦争中にもフリーマントル問題(The Freemantle Problem)と言われている。

 実際に、対中で潜水艦を活用するなら、さらに南シナ海中部から北部まで足を伸ばさないといけない。中国潜水艦を軍港出てすぐのところで襲う、あるいはバシーやスールーといった航路収束部で中国艦艇を襲うなら、潜水艦哨区はさらに1000-3000km先となるだろう。

 つまり、オーストラリア潜水艦は1.2-1.8万km+の航続距離が求められる。南シナ海中北部まで、6000-9000万kmまで出て、そこで2-4週間の活動をして、同じ距離を戻らなければならないということだ。

 これは、最低限のスマトラ-ジャワ-チモール-ニューギニア-ソロモン線にある海峡突破阻止でも変わらない。哨区まで片道3000km、往復6000kmは必要になる。

 本来なら、米国のように原潜が望ましい。だが、高い上に自国整備できないといった問題があるので、通常潜を使わざるを得ない。その通常戦も、欧州系は長距離向けではないので、あまり具合がよくない。だから、同じように通常潜を長距離運用している日本製を検討しているという話である。

 ただし、本当に日本製を買うかは分からない。最初に揚げた記事ではドイツ潜水艦の採用も検討されているとある。他にも、今ある潜水艦を改修して寿命を伸ばし、決定を先延ばしする計画もある。

 だが、どこの国から買っても所詮は通常潜水艦なので、不満は解消しない。本来なら、オーストラリア北部に潜水艦基地を作るとか、旧英連邦のシンガポールやマレーシアの基地を使うといった解決法をとるべきである。だが、前者にはロクな都市もないので潜水艦整備するほどの拠点は作れない問題があり、後者には中国とオーストラリアが戦争になった時、どちらもそれほど中国に対立したくないのであてにならない問題がある。仕方ないから大型潜水艦を使い続けるのだろう。



 まあ、なんにしても、某さんの「オーストラリアが日本の潜水艦に関心を持つ理由ワケ」と題した説明はないと思うけどね。アメリカは通常潜水艦を作れないとか、EEZをが広いからとか言っているのは、相当にピント外れだと思うよ。アメリカは最近通常潜水艦作った実績ないから、通常潜水艦は作れないというのはへんな話。潜水艦としてのキモは、船殻と開口部と艤装品であって、それは原潜でも通常潜でも変わらないので作れないわけじゃない。電池とエンジンも輸入すればいい。EEZの広さが世界第二位だから大型潜水艦がほしいというのは噴飯で、「それで漁業取締でもやるのかね」という話になるのだけれどもね。



※  Taylor,Rob「豪、日本の潜水艦技術求める アジア海域緊張の中で防衛協力」『The Wall Street Journal 日本版』( ウォール・ストリート・ジャーナル・ジャパン,2014.6.12)http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304826804579619071990549580

※※ オーストラリアなら、通常潜水艦にしても昔懐かしい水上航行型のほうがいいんじゃないのかとも思うけどね。戦争中の潜水艦みたいに、水上艦型の船首を持つタイプで、アレで水上を20kt以上でスッとばして、哨区近くまでトランジットしたほうがいいと思うよ。太陽にも当たれるし。
2014.06
11
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 国際コンテナ港の投資を阪神にしても無駄に終わる。だいたい、中韓に敵うはずもなく、国内でも東京港で卸した方が早い。

 ハブ港湾なんてものは、東アジアに2ヶ所もあればいい。船会社からすれば数作られても廻っている暇はない。東南アジアよりならシンガポール、香港-深セン-広州で、北東アジアは寧波舟山-上海、釜山がいいところだ。日本国内向けコンテナも直行便が多い東京-横浜で卸せばよい。一国のコンテナ拠点港も1ヶ所あれば充分である。今更、阪神に作ってもしかたもない。

 その阪神で、大阪で国際コンテナ戦略港湾を作るとか言っている。「『韓国・釜山港に貨物流れている』橋下市長も危機感 中国、韓国に対抗『阪神国際港湾』発足へ」だが、正気とも思えない。

 今日、国際競争できるような国際コンテナ・ヤードは、既存の施設をどうこうして作れるものではない。作るとすれば、ゼロベースでなければどうしようもない。そのためには
・ サラの広大な土地と
・ 深水深の長大な岸壁
・ 高速オペレーション可能なクレーン
・ 内陸交通網との接続
が必要になる。実際、90年以降の国際コンテナ港は、未開発地の有り余る土地を作って作っている。そのような土地は阪神にはない。

 そして、大枚叩いて新規コンテナ港を作っても、船会社が寄ってくれなければ仕方がない。阪神で中途半端なコンテナ港を増設しても、内陸の需要もない関西には寄らない。中国、韓国一国の需要のある寧波舟山-上海、釜山には敵わない。日本の需要にしても、東京に卸したほうが大概の内陸輸送には便利である。そもそも、東京のオペレーション効率は世界1・2を争う高さである。船会社としても、入港がヨリ短期間で終わる東京を選ぶ。

 国際コンテナ戦略港湾に投資するにしても、阪神に投資するのはムダである。日本国内で生き残る港湾は一つしかない。金を突っ込むなら、生き残る唯一の国際コンテナ港湾である東京港に注いだほうが良い。

 今の状況で金を突っ込んでも、関西新空港の二の舞いだろう。世界に競争するために24時間空港とか言っていたが、できたものはあの体たらくである。阪神国際港湾を作っても、どうせお荷物で終わるだろう。

※  「『韓国・釜山港に貨物流れている』橋下市長も危機感 中国、韓国に対抗『阪神国際港湾』発足へ」『MSN 産経ニュースWEST』(産経新聞,2014.6.10)http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/140610/wec14061021210014-n1.htm
   国際コンテナを取り扱うハブ港湾を目指して失敗した例や、船会社の気まぐれですぐに廃れた例は多いが、その辺りには全く触れない。また、静岡空港や苫小牧開発といったこの手の巨大投資の失敗にも触れないのも不思議な記事である。

※※ 空港や港湾は土木建設業界のために必要があって、利用は二の次というのなら、意味のある投資かもしれない。公共事業ならなんでも金突っ込む今の内閣から金かっぱぐにはいいかもしれないが
2014.06
10
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 防衛相が奄美に基地を置く検討をさせてくれといったニュースがある。どのニュースを見ても大同小異であるのだが、共通して不思議なのは何故か「奄美に置いても仕方がない」と言わないことである。

 南西諸島に新しく警備部隊を置く発想だが、中国と台湾に見せつけるだけのものに過ぎない。

 その部隊を、奄美大島に置いても意味は無い。既に沖縄本島には部隊が置いてある。その本土よりに部隊を置いても、見せつける効果はない。それなら、沖縄本島の部隊を増強したほうが安く上がるし、機動力も持たせられるので良い。

 結局は、顔つなぎに過ぎない。奄美は自衛隊を欲しがっている。経済効果なんて大したものもないのだが、それが欲しいので手を挙げている。それを無碍にできないので、顔を潰さないように候補地にしているだけの話である。

 もともと、警備部隊を置くのも、真空地帯風の先島にとりあえず駒を貼るだけの話である。今まで沖縄本島に置いてあるだけで、その先にはないことが問題になって出てきた話だ。

 だから、奄美なんかに話を通すと、却って石垣島、宮古島で断られた時に困る。奄美大島に金をぶち込んで陸自部隊を置いても仕方もない。自衛隊に好意的な土地だからと、余計なことはしない方がいいと思うのだがね。



※  とりあえず、2つ上げるが中身はほぼ一緒である
   「警備部隊の配備方針 奄美市に説明」『NHK NewsWEB』(日本放送協会,2014.6.8)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140608/k10015056981000.html
   「南西諸島防衛 空白埋める配備と訓練を」『MSN産経ニュース』(産経新聞、2014.6.10)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140610/plc14061003250007-n1.htm
2014.06
09
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 中国海軍が親善入港でアンゴラに入った。フリゲート×2、補給艦×2であり、フリゲートのうち1隻は2500トンもない江衛Ⅱ型だからご苦労さんといったものだ。

 中国国防部「我海軍艦艇編隊首次訪問安哥拉」によると、ルアンダ港に塩城艦(江凱Ⅱ級)、洛陽艦(江衛Ⅱ級)、太湖艦(福池級)が入ったという。中国はアンゴラ沖の石油開発に噛んでいるので、その関わりもあっての親善入港なのだろう。

 中国は石油自給ができなくなってから、海外石油の確保に汲々としている。同じ石油輸入国の日本とは異なり、今まで安定輸入先が無かった点と、政策的に国内物価を低く抑えたい発想がある。このため、手付かずに近いアフリカ・南アフリカの海底石油に、資本参加を含めてアクセスしようとしている。

 ただねえ、その石油を中国本土に持ってくる通商路は、どう保護するつもりなのだろうか?

 喜望峰から中国本土、広州までは12000kmある。中国が頼みにするアンゴラ、ブラジル、ナイジェリアで買い付けた石油を中国本土まで安全に運ぶには、周辺国との安定した関係が欠かせない。
 しかし、中国はインド、オーストラリア、インドネシア、マレーシアといった国と安全保障で旨く行っていない。有事に米海軍力と日本海軍力が出てくれば、インド洋海上輸送はまず途絶する。

 中国は、石油輸入と言った点で、オフショア・コントロールで相当に参ってしまうのではないか。オフショア・コントロールとは、米国側による第一列島線の大陸側での海上輸送拒否、第一列島線の防衛、第一列島線の外側支配といった戦略構想である。この場合、インド洋での中国海上輸送は間違いなく拒否されるし、そこに中国は護衛戦力を割くことはできない。できるのは、米国海上支配を邪魔しようと潜水艦を送る程度の話だが、潜水艦では通商保護はできない。

 中国海軍は、第一・第二列島線での防禦はできるかもしれないが、その状況では相当に干上がってしまうのではないかね。中国は今の段階でエネルギーも食糧も自国で自給はできなくなっている。その輸入資源の多くは海上輸送に依存している。戦争状態になった時、その海上輸送を止められれば、中国はいずれ干上がる。中国が戦争を止めなくとも、経済的失速からその脅威もドンドン低下するだろう。

 やっぱり、中国に対抗するのは海軍力じゃないのかね。対中戦のための南西諸島向けがあるから陸軍力は重要。だから、陸は減らさず、根本的な海の予算や人員増強はしない。そういう防衛政策というのは、方向性として間違っているんじゃないのかね。



※ 高鵬「我海軍艦艇編隊首次訪問安哥拉」(中華人民共和国国防部,2014.6.7)http://news.mod.gov.cn/headlines/2014-06/07/content_4514588.htm
2014.06
08
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 中国が強くなり、米国が弱くなると、中国周辺部は米国一辺倒から中国に寄り始める。これはしかたがないことで、あとはどれくらい寄るかだけの話なのだが。

 桜井よし子さんはそれが気に食わないらしい。「朴大統領の国際感覚を問う」では、韓国が中国に接近することを「真の敵との接近」としている
 いま韓国の朴槿恵大統領に必要なのは、国の存立を脅かす真の敵を冷静に特定することだ。それは間違いなく北朝鮮と中国であり、全力で闘うべき相手は韓国内の「従北勢力」と、彼らを操る北朝鮮、その背後の中国であろう。※


 しかし、中国は韓国の「国の存立を脅かす真の敵」だろうか? 

 朝鮮戦争当時とは異なり、中国は、韓国を潰さなければならないとは考えていない。中国とすれば、既に韓国と北朝鮮は両天秤にある。どうしようもない北朝鮮をけん制し、あるいは距離を取ること、経済的な利益、あるいは対日協調で韓国と接近しているに過ぎない。

 そもそも、今の中国は北朝鮮に軍事援助も軍隊の駐留もしていない。韓国を踏みつぶそうとする発想はない。北朝鮮がそうしようとしても、混乱や中国本土付近に米軍が来る煩わしさ、韓国や日米に恩を売るために思いとどまらせようとする。これは、核協議の振る舞いと変わらない。

 桜井さんには、全部が敵に見えて、しかも繋がって見える傾向がある。身内にとって不都合な事をいう国を反日とし、背後で日本侵略を狙っているといったような関係妄想である。

 例えば、韓国にとって真の敵であるとする「韓国内の『従北勢力』と、彼らを操る北朝鮮、その背後の中国」がそれだ。対北融和派を全部ひっくるめて従北勢力、北朝鮮のコントロール下にあるとし、北朝鮮も全てを操作できるという発想と、そのような行動を支援する中国という発想は、完全に妄想である。

 対北融和派にも、相当に幅がある。殆どは北との対峙を緩めようと程度の発想であり、北朝鮮の現状を是認するわけでもなく、北による南の統合を望んでいるわけでもない。そこにある韓国政府や体制への反発にしても、かつての軍政への反発であり、左派的なスタンスかもしれないが、人権や自由、経済的格差是正を求めるものにすぎない。

 北にしても、南の対北融和派をコントロール出来る立場にはない。自分たちの言うこと聞く第五列はいなくなっている。南に力を及ぼせないので、経済援助等の実利を狙い、むしろ対北融和派に媚びる立場にあるだろう。

 そもそも、韓国が中国と近づき、国内政治で対北融和派とどう折り合おうが、知ったことではない。

 日本としての問題は、韓国の中立化が行き過ぎないようにすること程度ではないのか。中立化は仕方がないが、安全保障でやり過ぎると日本も対抗策を取るよとか、政治で歴史問題でつついてくるなら、こっちも仲良くはできないよといったものになるはずなのだ。だが、北朝鮮による韓国操縦といった小さな話になるのが、不思議である。

 もう一つ不思議なのは、「米国になぜ寄らない」といった苛立ちである。桜井さんは、韓国には中国に近寄らず、米国に寄るべきといっている。その理由として
 一党独裁、他民族弾圧、自由の否定、国際法の無視に加えて、とりわけ中国に顕著なのが朝鮮民族への蔑視である。そのような中国の習近平国家主席を「自ずと波長が合う」と称賛し、中国依存に傾く朴政権の外交は噴飯もので、歴史に逆行する。
だが、そこには米国の力が弱くなり、中国の力が強くなった状況についての認識もない。中国の経済成長や中国市場へのアクセスといた実利的視点もない。

 結局、桜井さんは、中国周辺部にあった米同盟国が中立化しつつある現場を受け入れたくないだけにしか見えない。韓国が米国一辺倒から中国に寄ろうとしているように、台湾も米国一辺倒から中国に寄ろうとしている。桜井さんが米国よりブロックとしたアセアンにしても、大半は米国一辺倒から中国に寄ろうとしている。この流れは至極あたりまえのものである。経済力と市場の魅力の前に「一党独裁、他民族弾圧、自由の否定、国際法の無視」だから中国と対立しろといっても繰り言でしかない。

 現実的に問題視すべきは、米国によってくれないことへの苛立ちではなく、中立化の程度や影響ではないか。韓国、台湾、アセアンにしても、米国ベッタリからの中立化であって、中国ベッタリではない。米国も充分に強いし、日本の影響力も小さくもない。ここに米国としても、日米としても中国の影響を減らし、あるいは限定された範囲なら、巻き返す余地もあるのではないか。

 実際に安全保障の話なら、これまでの米国ベッタリでも各国は戦時での対中国での協力は渋っていた。同じように、今の状況や、これ以上に中国ベッタリとなっても、戦時での対日米協力は渋るだろう。この状況を維持すすべきではないか。

 韓国に中国に近づくなというにしても、「『従北勢力』と、彼らを操る北朝鮮、その背後の中国」といった非現実的な話をしてもしかたがない。域内に解放軍入れたらどうなるか、基地提供したらどうなるか、それは米国や日米同盟への敵対だよねといったあたりを認識させるような主張にすべきではないかね。



※ 桜井よしこ「朴大統領の国際感覚を問う」(国家基本問題研究所,2014.5.26) http://jinf.jp/weekly/archives/12841
2014.06
07
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12:00
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17日(日曜日) 東地区 "R" ブロック 02a です
2014.06
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 宇宙人の侵略に滅びようとする香港、解放軍の模範、雷鋒ロボも科学力の差でかなわない。相打ち覚悟で自爆を試みた香港出身の操縦員が見たものは…






 いや、機械雷鋒、雷鋒ロボにやられた。初めて好きになった解放軍の兵器だね。80年代解放軍風のやや垢抜けない感じもいいのだが、あの帽子の効果か、雷鋒にしか見えないのがイイ。プラモあったら欲しいもんだよ。

 その解放軍の描かれようはチョット気の毒。解放軍は香港には気をつかってる。香港駐留部隊は、全国から素行の良い兵隊を集められて作っているのだが、軍規よりも香港住民との融和を優先しろ、香港市民は24時間働いているから騒音になる起床ラッパをかやるなとかやっているのだが、中央の手先としか描かれない

 あとは、マカオ人との温度差かね。

 香港人は独立不羈、ヘタすると英連邦市民だと思い込んでいるんじゃないかという誇り高さがある。だが、現状では経済的には安泰ではない。かつては中国大陸のゲートウェイであったのだが、それを広州に変わられたから、その辺りも長期的に不安なんじゃないのかね。

 ちなみに、この映画、元は1976年の台湾映画。虐無人な宇宙人に、ついに関羽が立ち上がる。『關公大戰外星人』 見るのは50分当たりからで充分、宇宙人も素手で戦えと挑発するとことかね。当然ながら、解放軍は出てこない。



 いやあ、「西郷対宇宙人」とかだれかやらないかね。

 明治時代、宇宙人の侵略を受ける東京、遠く輝く夜空の西郷星に、上野の願いが届く、その時、西郷ドンが蘇える。

 右往左往する乃木と東郷、夜空に突然現れた光る大巨人を西郷と見抜く大山と西郷(従)、いま脱出すべきですと進言する山県。

 しかし、朕は西郷を信じていると明治大帝は逃げない。脇で解説を兼ねた勝海舟が嘘を含めて好き勝手言う。残りの二舟も刀と槍で宇宙人から明治帝を守るという。
2014.06
06
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00:04
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 南シナ海の中越関係は、どっちもどっちの面があるようにも見えるんだよね。ベトナム側の宣伝とか、日中関係悪化で中国が一方的に悪いという話になっているのだけれども。

 88年の交戦もいきなり起きた話ではない。87年ころからベトナムが実効支配を積み増そうとし、中国がそれに抗議し続け、ついに交戦に至っている。

 今回の、14年5月の衝突も、見た目で中国がいきなり現れて採掘を始めたように見えるのだが、先にベトナムが揉めている海面での資源採掘を始めた面がある。しかも、米国やインド、ロシアの外資を引き入れて手を出しにくくしたりしている。中国の試掘もそれに対抗しようという話なのだろう。

 中越は仁義なき戦いであって、どっちもどっちの面もある。

 だから、マレーシアもベトナムと協調するように見えて、ベトナムもチョットあれだよねと思っているのか、微妙に距離を取っている。中国の経済力も影響しているが、マトモな海軍力を持っているマレーシアにしてもそんなものだ。

 そこであまり考えなしに、物怖じしないでベトナムと手を結ぶ南シナ海の弱者フィリピンはエライ目に遭うんじゃないの。そうなった時に、まずベトナムは助けてくれない。軍事的に助けてくれないだけじゃなくて、外交的にもベトナムは通り一変の批難で終わる、そこには中越経済関係がある。

 日本としては、中国が南シナ海の泥沼に足を取られるのは大歓迎で、ここれが続くように色々努力すべきだろう。南シナ海で足を取られると、東シナ海が安定化する。太平洋での日中海軍力の対峙もレベルが下がる。

 ただ、露骨にベトナムを応援して、単純に中国を批難するのは正解でもない。焚きつけるにしても、中国に恨まれないような焚つけ方もある。傍観者としての利益を喪う必要もない。

 なにより、やり過ぎて、火種が消えてしまうことは避けなければならない。

 中国の南シナ海進出を後押する程度に、日本が中国を支援するやり方もあるんじゃないのかね。日本側が尖閣での対峙レベルを引き下げるとか、日中中間線のガス田で協調するやり方でね。批難しつつも、東シナ海での対立を引き下げれば、日本は紛争レベルが落とせる利益があるし、中国にも日本は背後から刺さないと勝手に思ってくれるだろう。なんせ、いまでも日中はルールに基づいたゲームができているわけだから。

 中国には、心置きなく南シナ海で強引なことをしてもらったほうがよい。そうすればするほど、中国は各国から恨まれてくれる。海軍力競争や対中共闘で中国が南シナ海の泥沼に足を取られてもらったほうが、日本の利益にもなる。

 ここでヘンに中国を追い詰めて、冷静にしてしまうのは一番良くない。南シナ海での領土争いが沈静化してしまうのも考えものだ。南シナ海が沈静化すると、中国は東シナ海にくる。そうなると、日本が面倒を背負い込まなければならない。

 中国と領土争いの消耗戦なんていうことは、やりたがっているベトナムとフィリピンにやらせればよい。南シナ海での海上輸送が滞らない限りは、火事は消えないほうが良いし。燃えに燃えたほうがいい。

 特に、南シナ海の島以下の取り合いなんか日本には関係ない、どうでもいい話である。中国がアッツい勝負を続けてくれる程度に、中国は抑制しないほうが良い。そうすることがなによりの日本の利益なのだけれども、アレな宰相は中国憎しだけでG7で対中批難とかやるのはロクなもんじゃないと思うよ。

 なんせ、中国もやってることがアレだけど、だからといってベトナム主張が正しいわけでもない。領土争いなんてその程度のものでし、それに他人が首突っ込んでいいこともない。日本からすればどっちが正しいよりも、そこから利益を出す、どう転がしたほうがトクかを考えたほうがいいのではないかね。



※ ベトナムのケツ持ちしているインドはどう出ているのかね。あの国のことだから、対中国で燃え上がればそれでいいやと対中批難はしていないような気もする。パッと調べただけだが、身のあるコメントは何もしていない様子。まあ、インド紙あたりでキチンと調べないといけないのだけれども。

※※ まー、ようやく納品が終わったので、落ち着いて更新できるよ。ここ2週間近くは苦労していたので大変だった