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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 軍事ライターの文谷です
 コミケでは隅田金属ででています。評論情報です。

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2013.11
30
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Category : ミリタリー
 化学兵器を洋上処理しようとする話がある。「シリアの化学兵器 米が洋上処分を提案」でそのように報道されている。おそらく、これが一番いいアイデアだろう。

 シリアで使われた化学兵器については、他国で処理する話であった。だが、そんな評判が悪いものを受け入れる国はない。アルバニアが断ったという話から、ならば洋上に浮かべた船舶で処理をしようというもの。これは、地元対策そのほかの問題を回避するための妙手である。

 化学兵器処分については、それほど難しいものではない。弾殻をブッタギッて、中身を吸い出して、過熱蒸気なり炎と接触させれば無害になる。化学兵器はあまり安定した物質でもない。その程度でほぼ分解し、大抵は水と二酸化炭素になる。それ以外の物質も有害なものはまずない。リンや塩素の類は、通常化合物であれば人体や環境にたいした影響はない。砒素も活性炭等で容易に除去できる。

 米国には実例がある。米国は自国が保有していた化学兵器を、過熱蒸気を利用したプラントで処分している。閉鎖系であり、発生した物質を含む水も再利用されているので、処分段階で外に漏れる可能性は少ない。

 危険があるとすれば、弾殻を切るに爆発する程度である。切断工程は分厚い鋼材(厚さ2インチ=5cm位)で囲んであるが、破片を、それは防ぐだけでガスは防げない。その時にはガスは作業室に充満する。ただし、これも前室を広く取り密閉し、活性炭フィルター(2-3段もあればよいだろう)で処理すれば、それほど問題はない。あとは弾殻に過熱水を流し込み、中身をかき出したあとは、過熱蒸気で処理するだけである。

 これらの処分法については、日本でも検討されていた。それについての公表資料も存在する。しかし、そのプラントをどこに置くかで揉める。まず間違いなく安全であるが、それでも風評被害そのほかが怖いのでどこも受け入れには賛成しない。

 実際に、大湊での化学兵器処分でも、実処分をどうするかまでにはいかなかった。旧施設庁海上連絡官をやっていたとき、大湊での化学兵器ではほぼ最初から最後まで、2年ほどつきっきりで担当していた。その技術検討委員会も参加していたが、処分の処の字もでなかった。先行していた屈斜路湖や苅田港でも処分できなかったので、大湊では処分する話は最初からでなかった。

 ただし、洋上処理できるのならば、話は別である。処理量によるが、処理装置は極端に巨大なものではない。チマチマ処理するなら、適当な老朽船でも再生して作れば十分だろう。別に処理ユニットも、海上コンテナに組み込んで、どんな艦船にもつめるようにしてもいい。コンテナの所在が問題になれば、硫黄島にでもおいとけばよい。

 どうせ、旧軍化学兵器はこれからも出てくる。洋上処理船は日本も作ってもいいだろう。



※ 海自では珍しく、化学兵器との付き合いは、結構長かった。大湊での発見直後から問題解決までの2年半と、某所でのNBC防護(それ以外もあるけどね)を2年やったよ。
 そいや「航空基地警備での化学兵器防護」の提案とか、教科書作成だかの話も相談されたけど「警備要員だけが化学兵器防護されていて、ハンガーやショップが何もできないのもマヌケな話じゃなね?」といったら怖い顔をされたよ。
2013.11
29
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Category : 未分類
 国立競技場ごときに1800億も掛けるという話がある。もともと3000億だったものを圧縮したというのだが、たかが運動場つくるのに、土地代が掛からないのに2000億近くも掛けてどうするのか。

 オリンピックに合わせて国立競技場を作りなおすという魂胆がおかしい。あんなものは、ただの運動場である。地面があって椅子があれば充分な話だ。オリンピックやるから新築する必要はない。

 だいたい、オリンピックが終わったあとには使い道もない。オリンピックは一回しかしない。それ以外では、サッカー程度しか使わない。それで元が取れるはずもない。その程度しか使わないものに、屋根をつけて、しかも開閉式にする必要もない。開会式で雨が降ったらどうする? そんなの開会式を順延するか、カッパ着てやらせればいいだろう。学徒出陣は雨の外苑でやった。天井がなければ云々は甘えだ。

 JOC会長の竹田恒和さんは『開閉式屋根は必要』という。だが、競技場はJOCが稼いだ金で建設するわけではなく、都の金、国の金で支払う。だから、懐が傷まないからので、好き勝手に言う。スポーツ団体のいうことは概してこうだ。自分の懐から金を出さず、そのオコボレに預かることしか考えていない。そんな連中に予算要求や金勘定を任せるのは、泥棒に金庫番をさせるようなものだ。だいたい、JOCの中身は、スポーツ選手の成れの果てである。運動しかできない坊主である。金勘定ができる頭もなく、体罰も隠せば良い程度の倫理観しかない。

 いっそ、競技場はCGでつくれ。いまの競技場そのままにして、開閉式の屋根やら電光掲示板やらは、全部CGで作れ。観客の過半はテレビで見る。テレビで見るなら、CGで作っても同じことだ。テレビでの演し物も、見るのは駆けっこそのほかで、建物を見るわけではない。そんなものに金を掛ける必要はない。

 前例もある。北京オリンピックの開会式は、CGが使われた。巨人の足あとだかなんだかだが、開会式ならあれが正解だろう。地球にやさしいし、値段も安い。それを発展させて、全部CGで合成すればいい。そうすれば、現物はいまの国立競技場で差し支えない。日差しが強いだのなんだの言う話は、選手待合にヨシズでも貼って氷でも置いとけばいい。



※ 「新国立競技場 1800億円余りに圧縮」『NHK NewsWEB』(NHK,2013.11.26)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131126/k10013351631000.html
※※ 「自民 国立競技場の改築計画批判」『NHK NewsWEB』(NHK,2013.11.28)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131128/k10013415761000.html いつものことだが、河野太郎は、いいことを言うと思うよ。まあ、お面は親子揃って悪人面だけど。
2013.11
28
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Category : 有職故実
 特定秘密の件で、前に読んだ戦争中の例を思い出したよ。

 戦時中だと、大本営発表について統計をとり、事実と違うだろと言っただけで大阪の憲兵隊捕まった例がある。「米国が開戦前に保有し、開戦後に就役を発表した戦艦の合計数よりも、大本営発表での戦艦撃沈数の方が多い」(大意)「ラバウル航空戦で『米軍機が二百数十機飛んできて、そのうち百五十五機落とした、日本側損害十五』ってどう考えてもおかしくないか、英独航空戦でもそんな比率はない」(大意)というもの。

 結局は、検事に無理矢理に流言飛語とされた。だが、検事もどう事実と異なるかを示すことができない。そこで事実に基づくこと無く日本の勝利を疑うものとして海軍刑法や臨時取締法違反で有罪となった事件がそれ。

 ほかにも、ペンキ屋の老人の話もある。「アメリカはレーダ射撃があるので水上砲戦で日本は勝てない」(大意)「統制経済はうまくいかない」(大意)「日本にはモウ空母がない」(大意)「アメリカには勝てない」(大意)といったもの。これは前に書いたとおり。これは警察に捕まって、同じように流言飛語として、海軍刑法と臨時取締法で送局された。こちらは特高報告に残っている。

 ちなみに、警視庁(東京)から東京都長官宛の特高報告には、にも、どうでもいい言論で取り締まられた例も多く載っている。「蕨に爆弾が落ちた」とか「オレの乗っていたフネが沈んだ」とか「対空砲が当たらない」といったもの。

 戦争中の例で見ると、実際に敵にバレて困ることを秘密にするよりも、自分たちが下手打っていることを隠すのに使われるのが、秘密といった取り扱いなのだろう。現代でも、宮城県警の捜査報償費みたいな例もある。



 まあ、防衛とか外交ならまだ分かるが、警察や一般省庁に秘密認めると、どーでもいいことを秘密にして、どーでもいい漏洩まで犯罪にするのではないのかね。防衛にしても、実際に見た秘密取り扱いには、まあどーでもいいことがあった。外交の秘密も、競走馬代金やらにつながった例もある。検察も、都合のわるい証拠、矛盾する証拠はついこの間までは出さなかった。これもその伝だろう。さらに一般省庁になると、悪事を隠す以外に秘密取り扱いの使い道はないだろう。あっても入札の予定価格調くらいだが、秘密とするとむしろ予定価格をバラしたことを秘密にするのではないかね。



※ 役人は秘密を独占したがる。そして秘密を暴かれると役人は怒るといった話については、ベネディクト・アンダーソンも「国家の見えざる敵 社会的実践としての海賊」が面白い。「秘密を独占することが権力の源泉となる」(アンダーソン、大意)といったあたりは、いい悪いはともかく、真実なのだろう。
2013.11
27
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Category : 未分類
 中国が設定した防空識別圏については、海自機が毎日飛んでいる。東シナ海での監視飛行は報道されているどおりである。別に公海の上空を飛ぶわけの話であるし、なんのこともない。これからも国際法の許すとおり、東シナ海で監視飛行を続けるだけである。

 米国がB-52を飛ばしたことも、それと同じことである。中国が領海を主張する九段線では、各国はそれを木にせず普通に商船や軍艦を行動させている。それと変わることはない。特にJSFさんのように、ことさら「挑発」云々と評するのは、センスに欠けるものだろう。
JSF Хибики‏@obiekt_JP
いきなりグアムの戦略爆撃機が中国を挑発に行ったのかー、アメリカさん気軽にそういう事しちゃうのね・・・
2013年11月26日 - 8:56
https://twitter.com/obiekt_JP/status/405379632418918400
まず、いままで中国は自由航行について、国際法やコンセンサスに反した行動はしていない。JSFさんは、これまでの中国による強硬な領海主張と、実効性を伴わない、なし崩しな支配の落差を知らない。だから、JSFさんはそのような発言をしてしまうのだろう。

 中国による主張は、口先は強硬なものであるが、実施はしないという落差がある。先ほどあげた九段線や、かつての台湾海峡ダッシュがそれである。今回の防空識別圏も、レーダに補足されれば監視機が上がって来るだろうが、実際に攻撃するとは考え難い。実際に、米国ほか(たとえば豪)が自由航行の権利を確認しても、中国は手出しをしない

 しかも、B-52による行動は「挑発」というほどのものでもない。行動も、沿岸ギリギリというものでもない様子である。防空識別圏に入って、中国からレーダで見える程度の距離まで近づいて帰ってきた程度の話だろう。そこに、とりたてた危険性はない。

 JSFさんが述べる「挑発」云々とは、コレフ海峡事件のような緊張感を伴うものを言う。コレフ海峡事件とは、アルバニアが主張する領海で、アルバニアが機雷敷設をした、それに対して、英国は国際海峡であるとして掃海を強行して通り抜けた事件である。最低でも、空母を含む艦隊を組んで台湾海峡を通過するようなものをいう。防空識別圏に入って出るくらいでは、どうやっても「挑発」に値するものではない。

 中国にしても、極端に強硬にでてくることは考えられない。中国も、あくまでも防空識別圏と名づけている。領空といったわけではない。そのなかでの強制にしても指示の上、従わなければ防御的緊急措置をするというものだ。確かに防空識別圏での強制云々とは、いつもの国際社会に眉を潜められるのセンスに外れた発言である。だが、いきなり落とすとはいわないあたり、通例の中国側発言としては比較的穏当である。仮に日米機を見つけたとしても、嫌がらせをするあたりだろう。そして、公海上での嫌がらせは、いろいろな国で行われることで、対して目くじらをたてるものでもない。



 まあ、B-52で「挑発」云々というのなら、沿岸12マイルぎりぎりまで寄るとか、向首目標を上海や舟山に向ける、台湾海峡ダッシュでようやくじゃないのかね。それくらいやらないと挑発なんて言わない。外国ニュースを日本語に直すだけで自分の意見を足さない御仁だから「俺の訳したニュースはスゲー内容、なんせ挑発だぜ挑発」みたいな価値付けしかできないんだろうね。
2013.11
26
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12:55
Category : 未分類
 産経新聞で、内閣法制局を論難する記事が掲載されている。「首相に逆らう法の番人『憲法守って国滅ぶ』」だが、それほど法制局を憎む必要があるのだろうか?

 法制局も、反対できる範囲でしか反対できない。法制局も役所に過ぎない。自分が持つ権限については、必死に守ろうとする。しかし、所詮は役所なので、時流や世論の流れには抵抗できない。

 記事で例示された駆けつけ警護は、今のところはどうでもいい話である。確かに時流はその方向にあるが、今日明日に必要な話ではない。世論もどうでもいいと思っている。それほど緊急性も、優先順位も高くはない。法制局にしても、安心して役人論理で政治に抵抗しても構わない案件である。

 政治にしても、緊急性も優先順位も高くないと判断したので、先送りしている。
 [2012年]7月12日の衆院予算委員会で、当時の首相、野田佳彦はこう明言した。

 「駆けつけ警護(を可能にすること)も含めて政府内で最終調整している」

 「駆けつけ警護」は国際的には常識的な任務であり、首相自らが発言した意味も重い。ところがわずか13日後、政府・民主三役会議は法案提出見送りを確認した。法制局の徹底的な抵抗で断念したのだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131126/plc13112608490006-n2.htm
裏返してみれば、法制局の抵抗程度で先送りしてもいい内容だったということだ。

 しかし、法制局の抵抗にも限度がある。所詮は役所にすぎない。こと時流や世論の流れがあれば、それに抵抗することはできない。実際に、駆けつけ警護が必要な事態が生まれれば、世論が必要だと判断し、議会でも各会派が納得する事態になれば、法制局は抵抗できない。法制局の役人も、字句程度にこだわる程度の抵抗しかできない。

 真に必要があれば、法規などはどうでもいい問題である。憲法でもそうであることについては、自衛隊の存在や日米安保、海外派遣といった例から明らかである。これは内閣法制局どころではない。裁判所ですら統治行為論として、真の必要性と憲法の矛盾については辻褄を合わせている。

 逆に言えば、駆けつけ警護や、今の集団的自衛権の行使についての解釈改憲も、法制局が動かせない程度の切迫性も必要性もないということだ。特に集団的自衛権云々については、特定秘密保護法案に隠れてしまっている。産経としては、集団的自衛権にしても、無理矢理に押し切れないフラストレーションがあるのかもしれない。だが、その原因を法制局だけに帰して「法制局はサヨク」とでもいうように論難しても仕方がない話である。
2013.11
26
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12:00
Category : 未分類
 週刊ポスト由来の記事であるのだが。「韓国軍に自衛隊の協力なければ北の砲撃でソウル火の海の懸念」という記事を見つけた。だが、内容的には全くうなづけるものではない。

 井上和彦さんによると『韓国の安全保障は事実上、在日米軍が担っているので、自国を守るためには自衛隊との円滑な連携が必要』とのことである。

 しかし「韓国の安全保障は事実上、在日米軍が担っている」ことと、「[韓国]を守るためには自衛隊との円滑な連携が必要」ということには、飛躍がある。

 井上さんの主張はよくわからない。井上さんは『空軍は嘉手納基地から、海軍は横須賀、佐世保から、海兵隊は沖縄、岩国から韓国に向かうことになります。』と述べているが、これには別段、自衛隊との連携が必要なわけではない。しかも、いつものことだが、在日米軍は必要に応じて、日本の了承なしに勝手にどこかに行ってしまう。どこに自衛隊が関係するのだろうか?

 そして、自衛隊の協力がなくとも、韓国は負けることもない点を無視している。もちろん、韓国が北朝鮮とガチンコで内戦を再開するなら、自衛隊の協力は欲しいだろう。だが、自衛隊の協力がなければ北朝鮮との内戦はできないわけでもない。いまの戦力差では、韓国は負けるものでもない。記事にある「韓国が日本頼みというのは経済面だけではない。軍事面でも同じだ。」は、成り立つものでもない。

 また、韓国経済についての識者とされる三橋貴明さんの意見も怪しい。『韓国経済の生殺与奪権を握っているのは日本経済であり、本来、韓国は日本に逆らってはいけない国。』と述べている。だが、これも30年前の発想である。たしかに80年代では、韓国経済は日本に隷属していた。米国がくしゃみをすれば日本は風邪を引き、韓国は肺炎になるといわれていた。しかし、90年代後半からは状況は変わっている。韓国は直接世界経済に連結している。日本が風邪をひいても韓国は肺炎になる状態でもない。

 週刊誌の記事なので、扇情的な内容であることは仕方がない話である。日本は韓国よりも上にあるという自己満足を想起させるだけの内容についても、商業上仕方のないことだろう。しかし、識者の意見がピント外れでロジックがつながらなかったり、願望の表出に過ぎない内容に留まっている点については、編集側で工夫のしようもあるのではないかと思う。



※ 「韓国軍に自衛隊の協力なければ北の砲撃でソウル火の海の懸念」『NEWSポストセブン』(小学館,2013.11.24)http://www.news-postseven.com/archives/20131124_227658.html
2013.11
25
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12:00
Category : ナショナリズム
 尖閣EEZで、中国に対し『漁業に関する管轄権の行使は認められない』は行き過ぎではないか?

 尖閣諸島付近での漁業は、日中の入会になっている。日本は日本の漁船を取り締まる、中国は中国の漁船を取り締まる。そういった約束がある。

 EEZでは入会の約束にあるのに、中国海警が中国漁船に対し、漁業上の取り締まりをしていることに文句をつけるのは妥当ではないのではないか。

 具体的には、日中漁業協定がある。その第6条(b)項目は、尖閣付近を別扱いすることを宣言している。別扱いの中身は、面倒に触れないようにしようというもの。外相・大使間の書簡で「自国の漁船を取り締まる、相手の漁船を取り締まらない」としている。

 その書簡による取り決めに従えば、海保は余計なことになる。尖閣について、現地での対立は、そろそろゲーム化しようとしている。暗黙のルールにより安全が確保されようとしている。また、日中貿易や投資、人の行き来もようやく回復しようとしている。この状況で、領海や接続水域以外について、火種に風を送り込むのはよくない。起こさなくて良い対立を再び起こそうとするものだ。

 海保は、あくまでもコマにすぎない。そのコマの立場を忘れて、愛国主義的な行動に出るのは出すぎた話である。海保には前例がある。ビデオを流出させた件がそれだ。それと同じ発想で、政府間では面倒に触れないようにしようと互いに取り決めた、漁業に関する管轄権を引っ張りだすのは、火種を投げ込む行為である。海保職員が持つ愛国メンタリティーや、海保にある組織利益を満たすため、自分たちに課せられたコマの立場から外ようとするのは、妥当ではない。



※ 「尖閣沖EEZ内『海警』乗組員が中国漁船に移乗」『Yomiuri Online』(読売新聞,2013.11.21)http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131121-OYT1T01038.htm
2013.11
24
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12:00
Category : 未分類
 中国が尖閣諸島に防空識別圏を設定したという報道がある。だが、中国にとってこの識別圏は、実際に運用できるエリアなのだろうか?

 中国が識別圏を作ることは、突飛な話ではない。中国側からすれば「尖閣諸島は中国領域である」であり、当たり前の話なのだろう。日本側が尖閣諸島上空も実効支配しようとしている。中国には、それへのカウンターを打ち出す必要がある。

 だが、中国は尖閣上空を把握できるのだろうか? 尖閣諸島は、中国本土から350kmほど離れている。大陸沿岸にはあまり高所はない。沿岸部にある400mほどの山にレーダを置いても、計算上、尖閣上空では6400m以上の飛行機しか発見できない。水平線ギリギリでは、角度分解能の話も出てくるかもしれない。(距離分解能で解決するかもしれないが)
 仮に、飛行機を発見しても対処できるかも怪しい。中国が尖閣上空で高高度を飛ぶ日本機を発見しても、大陸から飛んで行く時間もある。離陸から始めれば20分や30分は掛かってしまう。そのころ日本機はどこかに行っている可能性も高い。厄介なことに高度を下げられると、まだいるのか、日本に帰ったのかもわからないし、目標に戦闘機を誘導することももできない。

 結局は、告示して終わりではないか。中国の目的は、あくまでも日本側実効支配への対抗である。実際に戦闘機を飛ばして云々できないかもしれないが、それでも構わないという発想なのだろう。

 ただし、日本側も尖閣の真上に戦闘機を自由に飛ばさせないほうが良い。
[日本]政府関係者は「中国は尖閣は自国領と言ってきた。ある程度は想定できたことだ」と事態を冷静に受け止める一方、「日本の領空で空自機の活動が影響を受けることはあり得ない」と述べ、毅然(きぜん)とした対応が必要だとの認識を示した。
と時事通信は報道している。だが、中国機が来たわけでもないのに、尖閣上空に空自機、特に戦闘機を飛ばすのはやめたほうが良い。それを海監経由で知った中国側も、対抗措置として尖閣の真上に戦闘機を飛ばすだろう。そうなると、今、海でやっているような無駄な消耗戦になる。泥仕合をしても、日本の得になるものでもない。それなら、上空については寝た子を起こさないしておくのが妥当ではないか。今までのように、P-3Cや陸自CH-47で領海上を飛ぶ程度にとどめて置いたほうがよい。



※ 「不測の衝突懸念=中国『防空圏』設定-日本政府」『時事ドットコム』(時事通信,2013.11.23)http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013112300223
2013.11
23
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Category : 未分類
 別にどこの政党でも同じだのだが。

 族議員は、自分のショバが大きくなるように望む。国防族なら防衛費増やせと言い、建設族なら国土強靭化という、昔はベトコン議員がいて、米価を上げろといった。

 その業界やその方面のマニアは、族議員の言う非常識に頷く。軍事マニアは防衛費を増やせという難題に賛成し、土建業は得体のしれない公共支出は必要だと献金なりして援護しようとする。ベトコン議員の裏には農協がいた。

 だが、外交族とやらに、応援団はいるという話を聞いたことはない。日経によると「自民部会、『外交力強化』を決議 」といった話がある。「外務省予算の大幅な増額や欧米主要国並みに大使館の新設などを求める」というのだが、さて応援してくれる業界やマニアはいるのだろうか。

 そもそも、外交力とはなんだろうね。国際交渉や条約の類は、すでに各省庁がメインでやっていて、外務省は後方支援に過ぎない。それ以外の外交とやらになると、結局は金をばらまく程度の話にしか聞こえない。

 その外交力とやらを強化するために「外務省予算の大幅な増額や欧米主要国並みに大使館の新設などを求める」※ というのだが、どうせ闇金化して個人の競走馬の代金やらに消えてしまうのがオチではないか。





 もひとつ外交で記事を見っけたよ。「『外交力』で存在感発揮する安倍首相」だが。今の宰相って「内政でやりたいことができないから、外交やろう」としか見えないんだよね。

 現総理は、結局、通過供給増やして円安やって一過的に景気を上げたあと、何もできていないわけだ。憲法改正やら靖国参拝やら竹島解決について、命投げ出すようなこと言っていた。首相になったあとの原発再稼働もそう。だが、簡単にできる話でもない(やられても困るけどね)ことに挫けたわけだ。偉そうなことをいうのだが、本当に職も身命も投げ出してそれをやることもできないのだろう。

 ただ、それだと自分の存在価値を出せない。だから外国行ってチヤホヤされている絵を見せて「『外交力』で存在感発揮する」しかない状態じゃないのかね。書いている内にこっちがメインな気がしてきたのでここらで悪口はオシマイ。




※ 外務省でやって欲しいことは『外交』の月刊化かね。実質的に外務省が出している隔月刊『外交』だが、あれは面白い雑誌。ただし、時世時節の政権賛美があるのは何だなあと思うよ。

※※ なにが嫌いかというと、お面がお公家の麿フェイスで、勇ましいことを言う割には口の効き方がナヨナヨしているところだね。まず、殴られたら泣きそうなあたりだな。麻生も好きじゃないが、あっちは言行一致の面構えしている。殴られても殴り返すだろ。実際、麻生は首相の時には怪しい政策もあったが、それが正しいと信じて断行しているから決断力と実行力は数段上だよ。まあ、漢字は読めないのは難だけどね。※※※

※※※ 江戸時代にも、品川歩行新宿旅籠屋を、「品川ほこうしんじゅく たびかご屋」って読んだ与力がいて馬鹿にされたという話を突然に思い出したよ。これも一種の機能性の問題で、「安禄山は唐の山でトテモトテモ高い」みたいな、無知とは違うのではあるまいか。
2013.11
22
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Category : 未分類
 時事通信が自衛隊整備計画案を報じている。陸が水陸両用部隊を作る、陸上総隊を作る、戦車減らす、でも人を増やすというもので、海がLCS風を作るという内容である。

 だが、あくまでも画餅に過ぎない。これらは、あくまでも防衛省による希望である。

 特に陸の定員を15.4万から15.9万に増やすというのは、願望表明以外のなにものでもない。陸は今でも無駄に人が多い。それをさらに5000も増員することはまずは、出来ない相談である。

 単に、陸自人員の純減を防ぐため、カウンターで増員を要求しただけにすぎない。そもそも重要な海自が人員不足でいるなかで、必要以上の人員を抱えている陸自を増員するのは、どうかしている。

 陸を減らして海を増やすのが正解だが、防衛省と陸自はそれは飲めない。防衛省も役人組織である。陸1万を減らし海3000を増やすような、合計での人員減は耐えられない。陸自も自分たちの予算規模やポストを減らすような人員削減は許すことができない。国防や国家全体の利益よりも、防衛省の利益や陸自の利益を優先するわけだ。

 陸上総隊も興味ふかい報道内容となっている。陸上総隊を作るなら、方面隊はいらないことになるが、指揮系統を一元化すると報道されているだけである。方面隊の整理については一言も述べられていない。防衛も陸自も、総隊司令官といった新しいポストは欲しいが、方面にある総監以下のポスト廃止や、階級切り下げには抵抗するつもりなのだろう。ただし、正味10ヶ旅団+しかない国に、5ヶも軍管区や方面軍司令部(海の総監部や地方隊もそうだが)が必要なのかは、もともと怪しい話である。

 海のLCSも「米国が作っているから」で納得させようとしているのだろう。だが、米国のLCSも相当に怪しい状況にある。特にミッションパッケージは構想も中身も失敗している。海自のことだから、そうしないように頑張るのだろうが、作ったところでまともなものができるとも思えない。ヘリ運用第一や、海外派遣の時代となって、使い難くなったあぶくま型みたいなものができるのではないか。それなら、安価にヘリ搭載と大航続距離をもつような、ゆきの徹底延命や、OPVもどきを作ったほうがいいだろう。

 なんにしても「LCSは護衛艦に比べ船体が小さく、離島沿岸部の水深が浅い海域でも航行できる。」は、何なんだろうね。離島防衛とリンクさせるため、担当者が必死に考えた文章なのだろう。だが、大型艦が危なくて近寄らないところには、LCSも近づけないことはみんな承知している。LCSは喫水が2m浅いからといって近づくバカもいない。昔あった笑い話で、経費の理由が付かないので苦しんだあげく経理担当者が「ゾウ」と書いたといったのと同じ伝だろう。



※「陸自に水陸両用団新設=離島防衛強化を明確化-新防衛大綱」『時事ドットコム』(時事通信、2013.11.21)http://www.jiji.com/jc/zc?k=201311/2013112100811&g=pol
2013.11
21
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12:00
Category : ミリタリー
 日本海軍も、対潜戦でスネルの法則を活用している。

 スネルの法則とは、媒質中で波が曲がる原理を示した法則である。対潜戦では、ソーナー運用でスネルの法則が死活的な意味を持つ。海中には温度勾配があるため、それぞれの深さでは音速が変化する。このため、音波は曲がる。これにより、水上艦から潜水艦をソーナー探知できる距離が決まってしまうといった問題がある。

 日本海軍も、ソーナー探知とスネルの法則にある関係は知っていた。LogだのSinだのを使う公式もあった。

 だが、肝心の海中温度勾配を手軽に調べる方法が無かった。今の護衛艦の類であればXBTという使い捨て温度計や、古い機材ならBTという回収型温度計で測定できる。だが、当時にはそれがない。

 仕方がないので、海軍は海図上で温度勾配と聴音距離を係数化を示した。その図表は日本海軍の水路部が仮製している。『水中聴音用図表』がそれだ。昭和20年2月の図表は、太平洋全域について、夏季と冬季の係数α(日本海軍呼称)が示されている。

 基本的に浅い海や、直射光が差し込む海は、夏はαは高い。つまり、聴音距離は短くなる。(シャドーゾーンが広がるという言い方もある)これは、海面上部が温められた結果である。海面上層部が温められ、海底方向まで直線的な水温勾配となると最悪で、音波は真下方向しか進まず、聴音できなくなる。ちなみに、黄海やハワイ付近のαは異様に高く探知距離は短い。

 対して、冬はどこもαは低い。長距離探知が可能となっている。冬季の気候で海面が冷やされると、海面上層部では水深に従って海水温は上がる。この上層部が終わると、こんどは水深にしたがって海水温は落ちる。この状況では音波の曲がりが都合がよいので、比較的に長距離でのソーナー探知が可能になる。ちなみに冬季はどこでもαは低いが、黒潮のせいか、紀州沖が相当に高くなっている。紀州沖では潜水艦探知は難しかったことが伺える。

 探知距離についての説明は、次のようなものだった。夏の小笠原のαは50、大東島のαは10になっている。表より、α50でのデシベル変化を900mで実用範囲の-69db、α10でみると2000mで-69dbになっている。小笠原付近では、敵潜水艦を900m、大東島では2000mで探知できる見込みといったものだ。

 ただし、この図表による探知距離判断は不完全なものである。まず春秋の状況や、午後効果や天候変化に対して無力である。春と秋の海面状況は、そのときにならなければわからない。そもそも、毎日の変化もある。午後になると日射の結果、表面が暖かくなり、探知距離は縮まる。

 結局は、参考程度のデータにしかならなかったのだろう。もちろん、夏と冬の数値を眺めて、最大と最小でこんなものかと把握するにはいいかもしれない。だが、当時のソーナーの品質や機差から、アレッという距離まで役立たないといったこともあり得る。

 ただ、できたのが遅すぎた。昭和20年2月には太平洋-南シナ海方面では船団もほとんど動けなくなっている。そこでこういったものを作られても、いまさらなんだっだろう。
2013.11
20
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12:00
Category : 有職故実
 夏休み、東京見物に出た女学生3人連れが女衒に騙されて苦界に放り込まれた事件がある。しかも、昭和30年に。

 30年7月末、福岡の女子高生(17)が来るのだけど。そこに悪い男が擦り寄る。「東京は危ないところだから悪いやつに騙されるな」といったとある。親切ごかしたり、飯食わせたり、諸費奢ったりしたのだろう。そのあとで「働きながら見物すれば、お金の節約にもなるし、長く居られる」と持ちかけたとある。女学生には負い目があるので、断りにくい話だ。

 だが、働く先は三業地。今ではない言葉だが、まずは色街のこと。女を差し出す置屋、場所を貸す待合、飲食物を出前する料理屋の3つで三業、その場所で三業地といった。その三業地にバラバラに女中として送り込まれた。バラバラにするのは、相談させないようにする工夫だろう。そういったノウハウもあったということだ。

 しかし、これを不審に思った娘が直ぐに抜け出す。抜け出すならともかく、そのときに4800円を持ち逃げする。すると、悪いやつは、逃げたC子の件でA子とB子を脅す。連帯責任だと訳のわからないことを言って、女郎屋に売り飛ばす。吉原の特飲店、初菊に1人2万で売り飛ばしたという話。

 それが8月末にお縄となった。8月27日付朝日新聞「東京はこわい所 -夏休みに見物にきた女学生を売り飛ばす」がそれ。児童福祉法違反で捕まっている。ちなみに売春防止法は施行(昭33年)どころか、成立(昭31年)もしていない。成人した後なら、売春そのものは完全に合法。(ちなみに今は売春は非合法であるが、罰則はない)

 ただ、捕まるまでのタイムラグが長さは、店と女学生が損しないように配慮したのではないかと疑う。店は2万円払っている。回収しない内に引き揚げられては適わない。女学生も、売り飛ばした金の3割5割は手にしている。いろいろ使ってしまった後では、返せるものではない。そのあたりを警察は斟酌したのではないか。女学生は17といっても、新制高校3年である。限りなく18に近い。店の立場と本人の意向を見て、回収するまで黙認でもしたのではないか。

 警察と女郎屋は友のようなものだ。警察も、かの浅草象潟警察である、上は署長から下は巡査までいろいろ役得もあったはずだ。警察も店に世話になる。これは、個人の飲み食い女買いだけではない。なんといっても女郎屋はハエ取り紙のようなもの。罪を犯した者は三業地に吸い寄せられる。凶悪犯、常習犯を捕まえるなら女郎屋に登がる。警察と業者は持ちつ持たれつでもある。それが良い悪いではない。そういう時代であった。だから、警察も、店の意向を汲んで女学生を説得するくらいはあっただろうと睨んでいるのである。



※ 「東京はこわい所 -夏休みに見物にきた女学生を売り飛ばす」『朝日新聞』夕刊(朝日新聞,1955.8.27)p.7
2013.11
19
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Category : ミリタリー
 朝霞にオネスト・ジョンが配備されていたことがある。オネスト・ジョンは、後の米陸軍ランスにつながるご先祖のミサイル。性格的には、ロシアのフロッグ(スカッドよりも射程も短い)に近い近距離弾道弾なのだが。これが、昭和30年に米陸軍朝霞キャンプ、キャンプ・ドレイクに配備されていた。

 しかし、命中精度は今よりも低い。さて、そのような弾道弾を、本番に通常弾頭で発射するものだろうか?

 当時は無邪気な核兵器スゲー時代である。有事になれば戦術核もドンドン使う予定であった。当時の東宝『世界大戦争』では、朝鮮有事で無思慮に戦術核が使われているが、核使用の敷居としてはあんなものだ。

 一応、日本政府は持ち込みはなかったとしている。当時も政府としては核は持ち込まないとしている。今公表された文書を見ても、艦艇搭載分を除いては、核持込はなかったとしている。

 だが、それもどうかなといった部分はある。昭和30年は、まだ米軍が強い時代である。相手は敗戦国に過ぎない。そこでは、自軍はビンの蓋としても駐留している。相手国政府の事情など斟酌すると思えない。日本への核持込をそこまで遠慮するはずもない。そこで、軍事的合理性を最優先に考える軍隊が、わざわざ高価なオネスト・ジョンを(他にも原子砲ももちこんでいた)、肝心の核なしで配備することは考えがたい。

 いずれにせよ、米陸軍としては有事には核弾頭と一緒に朝鮮半島に持ち込む頭だったのだろう。それであれば、一番良いのは、朝霞から弾頭と一緒に持ち込むことだ。ミサイルも弾頭も治安に不安のある韓国におくより、朝霞においとくのが安全である。朝霞から朝鮮半島への輸送は、立川からC-124で可能であるので訳もない。後には占領下沖縄の核弾頭と結合する予定だったのだろうが、最初の頃、朝霞にあったとする仮説を建てても、それほど突飛な話でもない。

 オネスト・ジョンについては、30型大型ロケットとの関係も興味深い。規模や能力は似たようなものである。日本が核兵器を持たないと決めたのは結構遅い。核不拡散条約に加盟したのは69年である。67年に制式化された30型大型ロケットには、核弾頭をつけるといった着意もあったのではないか。

 もちろん、60年代後半になので、核兵器導入には相当の抵抗がある。政治的におおごとなので口にしがたい。戦場でもそれほどまで無邪気に使える兵器でもない。エスカレーションや相互確実破壊といった危惧もある。だが、当時の国防論議からすれば、30型大型ロケット開発の裏にはそれはあっただろう。そうでなければ、30型のような兵器は役に立つものではない。



※ もちろん、当時の核持込体制や、自衛隊での核装備論議に対して眼を三角にして怒るもんじゃないです。まあ、そういう時代だったということナンですな。
2013.11
18
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Category : ミリタリー
 ヘリのエンジンは機体よりも多い数が必要になる。そしてそのエンジンは安いものではない。それならば、エンジンは多種装備するのを辞めて1・2種類に絞ったほうがいいのではないか。

 ヘリのエンジンは、ヘリに積む数よりも多く必要である。航空用エンジンはみんなそうだが、整備があるので、発動機は機体数よりも多く準備されている。実際にいくつ持っているかは分からないが、海自飛行場で発動機整備の近所に行けばT-56をしまうための密閉容器が結構ゴロゴロしている。

 そしてエンジンは結構高い。AH-1墜落事件でのPL法訴訟をみると、ライカミングで1台2億円近くするとされている。

 それなら、エンジンは自衛隊内で極力統一して、種類を絞ったほうがいいのではないか。今のところ、陸海空を見ると小型ヘリで2種類(T-63と2B2)、汎用ヘリで3種類(T53とT-700とTS-1)、大型ヘリで3種類(T-700とT-55とT-64)がある。

 数で多数を占める汎用へリサイズについては、T-700(H-60やアパッチ、大型ヘリだがAW-100系)に統一したほうが良い。T-700の同一型に揃えれば、ストックや整備も統一できるので、効率化できる。(整備性が高いのて便利でもある)

 今後、陸が汎用ヘリをどうするかが問題になっている。だが、エンジンはT-700にしておいたほうがよい。仮に今後もUH-1系を使い続けるにしても、エンジンはT-700にしておいたほうがよい。

 一番面倒なのが、国産エンジンのOH-1だが、これも場合によれば早期に退役させてもいいのではないか。
2013.11
17
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Category : 未分類
 安倍首相がカンボジア・ラオスに行っているのだが、安全保障分野での云々は、何の成果も産まないだろう。まあ両国軍とのお付き合い程度に終わるのではないか。

 ニュースでは、成果があったように書いてある。
日本の安全保障政策について「国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場で貢献していく。平和国家としての根幹は不変だ」と述べた。フン・セン首相は「積極的平和主義を支持する。世界の安定に資する」と応じた。
「カンボジアと安保対話推進で合意…首脳会談」『YOMIURI ONLINE
』(読売新聞,2013.11.16)http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131116-OYT1T00925.htm
だが、カンボジアの回答も、その立場からすれば「あ、そう」程度に過ぎない。

 カンボジアは、政治・経済的に中国に従属している。今回の訪問も、そのカンボジアを引き剥がす効果もない。決まった話も、近所だから、仲良くしましょう。経済的に互いに利益になれば協力しましょう程度のものだ。(日本から見れば、縫製産業程度だろう) 安全保障については、ほとんど効果は見込めない。

 これがラオスになると、中国従属度はさらに上昇する。経済的な規模や能力もカンボジアよりも更に低い。天然資源にしても、モンゴルの石炭と同じである。海にアクセス出来ないので、日本としても旨みもない。

 カンボジア、ラオスと仲良くすることは、異存はない。軍隊同士で仲良くすることも、いいことだろう。

 ただし、対中包囲網云々となるといった点では、全く期待できない。両国は中国に依存しており、今の日本の勢いでは、勢いある中国から引き剥がすことは難しい。

 両国から見ても、日本との首脳会談云々は保険に過ぎない。中国への過度な依存への牽制、はっきり言えば、隷属にならないための保険程度だろう。

 安倍首相は、外交に熱心である。だが、それは国の利益というよりは、彼の個人的得点を念頭においたもののようにしか見えない。アベノミクスとやらも、通貨供給量増加を含めた通貨切り下げ以外では、ほぼ行き詰まっている。そのうち失速するだろう。そうなると、このような個人的得点以外では意味もない外交をやって、無駄な約束や援助で国帑を費やすのではないかと見ている。

 まあ、インドあたりでいいように使われるのではないかな。カンボジアやラオスなら火傷もしないが、インドはヤバイ匂いがするものだ。



※ 仕事が忙しいので、予約投稿を忘れていて急いで書いたよ。場合によると、今後は間引き投稿にするかもね。
2013.11
16
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Category : ミリタリー
 アレな幹部には際限がない。

 自分で判断できないので「許可がないからできない」という奴は結構いる。それなら、適当な奴から許可みたいな言質をとれば良さそうなものだが、それすらしようとしない。「前例がないのでやり方が分からない」というのもアレだ。それなら自分で関係者が誰か調べて、話つければいいのだが、それもしようとしない。

 ただ、この程度は可愛いもので、中には箸棒にもかからないのがいる。一番ひどいとおもったのは、横須賀に転勤してきた初任幹部。そもそも、晴海から横須賀への道を聞いてくるところからアレだった。

 この箸棒幹部、前々日に艦艇からインマルで電話を掛けてきた。衛星電話インマルサットは目の玉の飛び出る通話料がする。あるところでも、緊急時以外は許可制だった。通信抑制のためか、管制額も書いてあった。練習艦隊から、そのインマルで着任後の話をするのだから尋常ではない。インマルなので「着いてから電話しろ、まず当日こっちに来てから休暇処理」とだけ言ってサッサと切った。あとから考えれば、あまりにアレで着任もアヤシイので艦艇側から電話をさせたのだろう。

 そして晴海入港のあとに、公衆電話か何かで電話を掛けてきた。晴海なので、防衛省回線の港湾電話ではないはず。その電話で、晴海から横須賀に行くにはどうしたらいいのかを尋ねられた時には、完全にヤバイと思った。何を言っても要領を得ない。そんなどうでもいい話でガタガタ抜かすので「横須賀に行く同期あとくっついてくればいいだろ」とか、最後には「左手で海岸線を触りながら海自につくまで歩け」と言った。

 ご本尊は現物も酷かった。まず、電話が取れない。取り方がわからないのではない。課長の内線電話でも不在なら「課長卓上、◯◯3尉、課長は不在ですがご用件は」と言えと言っても、他人の電話(回線)に出ることはできないと言って取ろうとしない。配布資料を複写してくれといっても、ご本尊が座る脇にあるコピー機なのに「使っていいのか分からない」という。取らせても、ソート機能やホチキスまであるのに、酷いものだった。

 人事分隊士の仕事もアレだった。

 まず、黒表紙と赤表紙の管理ができなかった。アレは金庫の中に放り込んで置くのだが、その前に御本尊は点検表なぞ作って張っている。その点検表に、日時と自署と押印している。だが、赤黒使うのはそいつしかいない。そんなの、自署も押印もいるはずもない。気になるなら、自分のノートに「◯月◯日全数チェック異常なし」とでも書けばよい。そして、その前に分隊士業務をやっていた己が、黒全部、赤全部をそれぞれ一つの箱に入れて散逸しないようにしていたのを、わざわざ階級別にわけて別の金庫にしまおうとしていた。曹長、1曹×1、2曹×3、3曹×3の職場でそんな事する必要もない。

 事務的事項も処理できない。人事配置の都合上「この人は艦艇勤務何年、航空勤務に何年、部外機関に何年」と書くところがある。その航空勤務のところで「航空基地隊勤務だから航空要員ではないのか」と愚問を発する。「それは旧陸軍で言う空中勤務者だ、グランドクルーは含まれない」と言っても、根拠を教えてくれという。それこそ、お前が根拠を探すなり、人事に聞けば良い話だろうと呆れた。もちろん、海曹の生年月日と序列と入隊期別、現階級昇任日、家族構成なんか暗記してもいない。普通に分隊士していれば、50人程度わけもなく覚えられるものなのだがね。

 その海曹との関係も酷かった。学部で7年掛けて卒業したのはともかく、大学出たてが海曹に対して上位者としての命令ずくで振る舞おうとするのはアレだった。課内であれば、どうにかできるが、課の外でもその面だからどうしようもない。

 甲板士官的な仕事も当然駄目。海曹寄越せと言って自分では作業をしようとしない。大きな艦艇ならそれもいいが、海曹8人しかいない繁忙部署でそれはない。課長以下で草むしりしているときにも、自分は作業をしようとしない。その頃には、まあ、味噌っかすだからと面倒なので皆で放置していた。

 本番の仕事は、推して知るべしなので、危ないので業者打合や行政折衝、予算関連、監査検査は触らせなかった。これ位ならできるだろうし、失敗してもいいだろうと、各地区の正門現状写真と、正門幅(突入阻止器材のボラード整備関連だった)をしらべさせようとしても駄目。カメラと測量に使う海曹と、車を出せと宣う。メンドイので、幅だけでいい、巻き尺と自転車を渡して、近所はこれで調べてこい、教育隊はバス券やるといった。そうすると、わざわざそれぞれの部署に電話してから、午前に1ヶ所行って帰って戻って数値を記入、午後に1ヶ所いって数値を記入していた。その数字もメチャクチャ、cm単位で書いてあるのに、m単位の誤りがあるという代物だった。

 最初は、課先任幹部から「文谷おまえキチンと教えているのか」と怒られたが、その先任幹部に指導を譲ったあとには「こないだはゴメン、俺が悪かった、昼飯おごるよ」と言われたよ。

 思い出したが、決済終わった後の休暇線表を弄られたことがあった。己が課の線表を作り、部長決済までとった線表だが、休暇開始以降に変更された。なんか、仕事をしたかったのでやったらしい。その中で、当直士官の予定も勝手に入れ替えられた。1月1日当直の予定を、31日に代えられた。31日の人も勝手に30日に入れ替えられていた。お陰で、大変なことになったのだが、休暇明けに部長以下でとっちめても、御本尊はアッケラカーのカーだったよ。

 この手の箸棒先生は、階級関係なく、幹部100人に1人はいる。大抵はやる気を演じているから、教育機関の成績はそんなに悪くもない。だが、部隊は大迷惑ということになる。沖ノ鳥島管理隊かなにかを作って、纏めて放り込んでおけば部隊は安泰なのだが。まあ、余計な仕事を探すので、波平の頭髪程度に風前の灯火である島を喜んで削ったりするだろうから駄目だろう。
2013.11
15
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Category : 有職故実
 気づけば来月は師走となる。末には天皇誕生日もある。昭和8年会であらせられるので
今上もついに80になられる。もう強制的に楽隠居させてもいいのではないか。

 まず、80は働く歳でもない。
今上は強い意志で倦まずに公務を行っているが、もう次世代に渡して楽隠居させるべきではないかな。もちろん
今上は楽に安住するようなことをお嫌がりになるだろうが、そこは立場や政治思想はお構いなしに、全会一致で
元首押込をやってもいい時期ではないか。

至尊に別に御退位を促すわけでもない。国の制度には摂政宮がある。摂政宮を立てて公務を代行すれば、楽隠居もできる。皇室典範では摂政は心神事故あるときしか立てられないことになっているが、所詮は法律に過ぎない。憲法にはそこまでの細々した規定もない。今上陛下が「象徴に定年はない」と嫌がられても、「まあまあそれは」で無理矢理おしこんでもいいし、むしろそれが臣下の道だろう。


 あとはお好きな魚の研究でも、
美智子様とテニスでもやってもらえばいい。もちろん、重要な国事行為や、戦没者記念式典といった強い御希望あるものには
出御を願えばよい、それ以外の駄国事行為や駄公式行事の負荷は傘寿になろうとする
玉体から除くべきだ。

 摂政宮は、別に政治的なイシューにもならないし、左右どちらも異存はないはずである、しかし、この話はたまにポツポツ出てくるだけで、あんまり真面目に取り上げられない。これは政治の怠慢ではないかと思うが、どんなものだろうかね。
2013.11
14
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Category : 未分類
 尖閣問題のエスカレーションは、経済的依存により抑止されているのではないか?

 これは、少し前の『フォーリン・アフィアーズ』で、リチャード・カッツさんが「Mutual Assured Production」※ と題して主張した内容である。実際にそうなのだろう。

 尖閣問題では両国のナショナリズムが吹き上がった。

 だが、両国の密接な経済的関係により、問題のエスカレーションは抑えられたと見て良い。現実には、日中はそれ以上の摩擦を起こさないよう、抑制する方向に舵をとっている。日本は国有化以降は、尖閣では何の積み増しもせず、日中関係を悪化させる総理大臣の靖国参拝ほかを見送っている。中国も、日本政府による国有化の騒動以降は、問題を刺激する民衆運動を抑制にかかっている。

 これは、日中とも、経済的な相互関係を壊さないようにと行動した結果と、カッツさんは主張している。日中には、双方が受益者となる経済関係がある。カッツさんが例示しているのは、iPhoneの類である。中国が輸出するためには、日本製部品が必要である。その部品を購入しなければ、中国はヨリ豊かになれない、だから、日本との関係を悪くすることはできない。日本も、中国ほど強大な市場を手放せない、だから、日本は中国との関係を悪くすることができない。簡単にいえば、そのようなものだ。

 注目すべきは、日本企業の動向についての紹介である。チャイナ・リスク云々が言われているが、中国本土での商売を減らす方向にある日本企業は、進出企業の6%に過ぎず、42%が規模を維持し、52%はむしろ規模拡大を目指しているというものである。ネトウヨ界隈がチャイナ・リスクで日本企業は撤退したがっているというのは、例によってウソだということになる。

 自民党も安倍内閣も、相当に経済界に依存している。その経済界の以降が中国での平穏な商売である以上、自民党も安倍内閣も、対中関係を悪くする政策は取れない。

 日中にある経済的依存が、日中の衝突を抑止しているということである。この点で、密接な経済的関係は戦争を抑止しないとする主張は、誤りであることが分かるだろう。もちろん、あくまでも安全保障問題や、軍事問題に詳しいと自称するごく一部の連中の主張である。だが、経済的相関関係が戦争抑止に効果を発揮することも明らかである。

 国家全体での政策判断としては、経済要素は特に重視される。対して、安全保障や軍事といった要素は、平時ではそれほど重視はされない。尖閣諸島関連で、日中では安全保障や軍事の専門家が、(仕方もないことだが)軍事の理屈だけで、互いに相手が侵略を進めるといっている。だが、実際には、日中にある相互的な経済的依存がある。このため、両国政府とも対中、対日関係を悪化させる手段は努めて回避するのである。

 実際に、今回も香港団体の尖閣諸島抗議船は、よくわからない理由で尖閣行きを止められている。※※ このあたりは、対日関係悪化を回避しようとする中国政府の意図の現れである。日本も、尖閣での海保・海監の平和的なにらみ合いを安定化させるために、政治的意図をもって出漁する石垣の漁船について、適当な理由で差止させたほうが良い。理由は幾らでも作れるだろう。尖閣各島から12マイルでの漁業資源保護のためでもいいし、海保と海監のにらみ合いで危険なので、航泊禁止でもよい。



※ Katz,Richard"Mutual Assured Production""foreign affairs"92,4(Council on Foreign Relations,New York,2013.7)pp.18-24.

※※ 「尖閣抗議船、出航できず=香港水上警察が阻止」『時事ドットコム』(時事通信,2013.11.3)http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013111300614
2013.11
13
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Category : 有職故実
 沖縄ではネコはマウと読んだらしい。マウマウと鳴くからマウということなのだが。その葬礼も変わっている。大阪にある民族学博物館が出している『みんぱく』2000年2月号によると、木から吊るしたらしい。

 手元メモでは、次のように書いてある。「沖縄の古い風習として『ネコが死ぬと、首を縄でくくり木(松がよい)に下げた(海が見えるところがよい)』」この習慣は、福建、台湾に共通するらしいが、愛媛にもあったと書いてある。

 弥勒信仰や石敢當、馬祖観音といったものは、中国沿岸部と沖縄に共通した慣習である。他にも、中国沿岸部と交易した長崎等に伝わっている。

 だが、ネコの葬礼が愛媛に伝わっているというのは、相当に不思議なものである。どういった経路や由来であるのかは知らない。
2013.11
12
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Category : ミリタリー
 海自では適格性審査で、前々から余計なことを調べている。適格性審査というのも、これは「秘の取扱資格」とか「特特防」言うやつで、5年だか7年だか毎に更新するものだ。その審査の時には、報道されたとおり思想信条友人関係を書けと言われる。「衆院特別委:『海自で思想調査や通話記録提出誓約の疑い』」※で指摘された調査とはそんなものだ。

 なに、落ちるように書く奴はいない。まず、自分から宗教団体や所属団体を書く奴はいない。友人関係も外国人の友人や、政治的活動している奴がいるなんて書かない。

 それで構わない。自衛隊側の資料と突き合わせて矛盾しなければ分からない。ちなみに自衛隊側も、特に入隊するときにある程度は調べ上げられている。赤表紙(人事記録)には、ヤバイ宗教や団体なら、親の宗教や政治団体まで書いてある。たとえば「父親、矛の会[仮名](右翼結社)」とか「おたふく教団[仮名](政府転覆を標榜)」とハッキリあるので、そこは逃げられない。だが、そこを逃げ切ればノーチェックである。また、友人関係なんかは調べようもない。仮に、他国の外交官や、国内活動家と友人であっても、偶然でもない限り分からない。※※

 だから、適当に書く。そして、適当に書いても海自は分からないので、キチンと適格性は降りる。よくあるのが、結婚する段になって外国人との親密なお付き合いが分かる例である。本人が言い出すまで、中国人、韓国人のオネーチャンと付き合っていたことなんかわからない。以降は適格性は降りないが、逆に言えばそれまでは降りる。ちなみに、2佐で中国人、フィリピン人のオカミさんがいる人もいた。それでも寿命を縮める海幕勤務を免れないのは海自の人員不足を如実に示している。

 ただ、気に喰わないのは、海自や自衛隊は、そのあたりを命令論理でどうこうしようとするところである。ただし、リアルで内面に入り込むことには、隊員も抵抗する。

 イージス事件で、パソコンにウィニーが入っていないことをチェックしろといわれた時には、己は「クリーンインストールしたPC持ってこい」と指示した。べつに「ファミコンでもピュータでもいい」とも言った。これは他所も「調べたことにした」と同じようなことをしたらしい。

 薬物事件のあとに、抜き打ち薬物検査をやることになった時にも、事前周知や拒否の話をできるだけした。具体的にはよくわからないのだが。体毛で見るらしいとか、ヤバそうなのいたら国立下総療養所に放り込めば内緒治療できるんじゃないのとか、拒否してもクビにはならんだろうという話をしておいた。まあ、やってなければ問題ないんだけどね。

 部下の携帯チェックと言う話もあった。海自ではなく、統幕のときだが、どうでもいい「心の相談室の電話番号入れろ、それを確認しろ」とする指示は全部やったことにした。これは、己の付幹部(2陸尉)も「やりすごしましょう」と賛同したので、三幕共通だろう。入れるなら各都道府県の当番弁護士のほうが役に立つだろうに。

 おおむね各現場でも、適当にやりすごしている。話を聞いても「真面目に調べて面倒なことになるのはゴメンだ」とか「自衛隊にはそこまで調べる権限はないだろう」という。昔の上司は「組織が性悪説に立ったらオシマイ」とも言っていた。現場は、頭の悪い幹部、硬直的な幹部を除けば健全である。

 ただ、上層部が個人の内面に踏み込むことの危険性を承知していないのは、ヤバイ。命令すればなんでもできると思っている思いあがりがある。それが露呈したのが、今回の国会での指摘だろう。

 いつものことだが、上層部の頭の悪いヤツは、自分たちの指示が悪いとは考えない。それを部外に漏らしたことが悪い。やったのは誰かと犯人探しをしようとする。だが、この手の調査では散々反感を買っている。記入要領なんて「この通りに書け」と各個人に配るものだ。上は1佐から下は2士まで、だれでもできる。わかるはずもない。



※ 衆院特別委:『海自で思想調査や通話記録提出誓約の疑い』」『毎日JP』(毎日新聞,2013.11.11)http://mainichi.jp/select/news/20131112k0000m010066000c.html

※※ 情報保全は成果やその品質も見られない仕事である。成果を挙げた話も聞かない。特に数を捌かなければならない適格性審査は、綿密にやっているとも思えない。この辺りはまず見つけられないだろう。
2013.11
11
CM:3
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12:00
Category : ネトウヨ批判
 NHK経営委員には、安倍首相のオトモダチが就任するというが、それは妥当なのか。日経「NHK経営委員に百田氏ら、国会同意 衆参が可決」※ で国会同意人事の可決が報じられている。その人選に関する中立性の怪しさは、前にJ-CASTニュース※※ で報じられている。

 中でも、百田尚樹さんについては、政治的なバイアスで経営に関与するのではないか。百田さんは娯楽小説家として知られているが、その政治的主張にはキツイものがある。

 最近では、右翼誌での記事が相当にキツイ。『ジャパニズム』に掲載された「完成した『永遠の0』を試写室で見たら、どんどん涙が流れて止まらなかった」がそれだ。『ジャパニズム』は経営が厳しい青林堂が、そろばんづくで出した右派誌なので、そのキツさはなかなかのものである。どれくらいかといえば、幸福実現党のPRマンガが掲載されているほどである。

 その「完成した『永遠の0』を…」で、百田さんは「満州は中華民国に帰属しない」と述べている。ワシントン会議での九ヶ国条約で、どこの勢力圏にも属さないとされたのがその主張である。
百田 そもそも大正十一年(1922)のワシントン会議の九ヵ国条約でも、満洲は中華民国に帰属するかどうか当時の国際上では分からかなかった
「完成した『永遠の0』を試写室で見たら、どんどん涙が流れて止まらなかった」p.6
後の満洲事変を、侵略ではないと肯定するニュアンスであり、あたかも満洲が「無主の地」であったかのような主張である。

 しかし、九ヶ国条約に至る経緯は、中国での列強権益を調整するものである。そこで本来の当事者である中華民国や、満洲代表の意見はまともに取り上げられていない。それを盾にして、満州事変以降は合法的であると言うのは妥当ではない。しかも、それを今日に述べて、侵略ではないと主張するのは、軋轢を生むだけで無意味な主張である。だいたい、侵略でないというのなら、日本は大陸に良いことをしに行ったとでもいうのだろうか?

 NHK経営委員には、NHK執行部への権能をもって、NHK報道に影響を及ぼしうる立場にある。安倍首相は、前の内閣の時からNHKの中立性や公共性に対して政治的影響力を及ぼそうとしている。百田さんや他の経営委員は、その安倍首相の意向で送り込まれた委員である。既に述べたように、平生の言動から政治的中立性には怪しいところがある。いずれは自虐史観云々でやらかしてくれるだろう。



※ 「NHK経営委員に百田氏ら、国会同意 衆参が可決」『日本経済新聞』(日経新聞,2013.11.8)http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0800C_Y3A101C1MM0000/

※※ 「NHK経営委員に仰天『安倍人事』 百田尚樹、長谷川三千子氏ら『保守派論客』メンバー」『J-CASTニュース』(ジェイ・キャスト,2013.10.25)http://www.j-cast.com/2013/10/25187271.html

※※※ 「完成した『永遠の0』を試写室で見たら、どんどん涙が流れて止まらなかった」『ジャパニズム』(青林堂,2013.8)p.p.5-15
    青林堂は、『ガロ』の会社だが、もともと経営的にアレなので、最近はこの手の出版を行っている。ソロバンずくであれば救いようがあるのだけれども。
2013.11
10
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12:00
Category : ミリタリー
 日テレNews24、「新防衛大綱 陸自戦車数を削減へ」によると、防衛省は戦車定数を100減らし、人員を5000増やそうとしているという。

 しかし、北海道に人は余っているのに、人員を5000増やすというのは解せない話である。ソ連が崩壊して以降も、北海道には陸兵5-4万を無意味に置いていた。西方や関東、近畿に兵員を増やすなら、北海道から移駐させればよい。5000や1万の都合はつく。

 そもそも、5000人増やして何をやりたいのかがハッキリていない。水陸両用部隊を作るための人員増といった話なら、北海道の師団や旅団の一つでも潰して人員予算装備施設を集めればよい。政府機関で一つの部署を作るためには、一つの部署を潰す、スクラップ・アンド・ビルドが原則である。特に無駄に人員を抱え込んでいる陸自について、その人員を増やす必要はない。

 ただし、これは防衛省が希望する内容である。実際に、人員増5000を認めさせることは難しい。

 おそらくは、財務等が要求する、人員減に対するカウンターなのだろう。防衛は前からそういうことをする。戦車定数400にするときにも、とりあえずカウンターとして3万増を要求し、人員差し引きを有耶無耶にしようとしている。

 実際のところ、戦車100減、人員は+-100程度の、あまり意味のない増減に終わるだろう。装備減で防衛省・陸自は抵抗しない。実際に戦車100減はどこからも文句は出さないだろう。あとは砲をどこまで減らすかといった程度である。そのかわり、人員減には必死に抵抗する。役人組織にとっては、人員数で表される組織規模の減少は何をおいても阻止しなければならないものであるからだ。

 人員増5000には何の根拠もない。結局は減らしたくない役人論理で、カウンターでふっかけただけである。防衛省・陸自も、納得できるような具体的な必要性を上げて説明はできない。実際のところ「そんなに重要な人員所要があるのなら、なぜ北海道から人員を引き剥がして充当しない?」と言われればそれまでである。

 いずれにせよ、これで無駄な装備更新の必要性は立たなくなった。戦車定数が300となれば、既存の90式350両、発注分を含んだ10式50両でお釣りが来る。10式を新規調達する必要性はさらに立たなくなる。新型砲開発も同じで、所要が自走砲で充当されれば、カエサルもどきを開発する必要もなくなることになる。



※ 「新防衛大綱 陸自戦車数を削減へ」(日テレNews24、2013.11.9)http://news24.jp/articles/2013/11/09/04239969.html

※※ JSFさんは、この期に及んで10式調達が続くといっている。「90式を10式で置換して行く感じになるんでしょうね。」とトンチンカンなことをいっている。90式は一番古い車両で車齢22年に達していない。それを更新する所要は立たないことを理解していないのだろう。
2013.11
10
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11:02
Category : ミリタリー
 JSFさんは、平時に行う演習と、戦時の区別がついていないのではないか?

 JSFさんが、空自基地に展開したSSMについて「入念に擬装ネットを張ってるけど、開けた場所に置いてるからなぁ・・・」と述べている。

 これは、平時の演習であり、予算や手間の関係で自衛隊用地に展開しただけの話にすぎない。それを「開けた場所に置いてる」と脆弱性を指摘するのは、ピントがずれている。

 JSFさんは、演習と実戦の差が分かっていない。前にも日米共同演習での設定は、リアルなものであると勘違いして、裏日本方面に5ヶ師団が上がって来るとかマヌケなことを言い出していた。今回もその伝である。先島としてわざわざ平坦な宮古島に展開し、しかもオープンエアな場所にSSMを置くと考えている。これは、JSFさんが実際に行う演習での制限といったものを理解していない証拠である。
2013.11
09
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12:00
Category : ミリタリー
 梁天仞さんは、殲-16で10年間は日本戦闘機への優勢を確保できると主張している。香港誌『鏡報』最新号で、殲-16は、Su-33系の戦闘爆撃機であるが、その能力は日本戦闘機戦力を圧倒するという意見を述べている。

 しかし、戦闘爆撃機で日本を圧倒できるものだろうか?

 そもそも、どこでの戦いで日本を圧倒するのかという話がある。中国本土上空なら、日本単独攻撃に対して圧倒できるだろう。しかし、日本本土で優位に立てるとするのは考え難い。日本側にあるJADGE以下に統合された防空システムの下で、F-15と互角に戦えるとは考え難い。中国には実用AWACSはない。そういった支援もなく、戦闘爆撃機だけで殴りこみをかけても中国に勝機はない。

 梁さんの根拠もミクロの話である。殲-16は新型レーダやEO/IRセンサ、ミサイル性能で日本機、具体的にはF-35に勝てるとしている。

 しかし、いずれも疑問がつく主張である。戦闘機のレーダが高性能でも、あまり意味はない。AWACSほかと連接した日本側に対し、戦闘機のレーダで敵を捜索するのでは心もとない。EO/IRも、結局は捜索距離や確実性に富むものではない。基本的には電子戦対策だろう。ミサイルの性能についても、スペックだけにも見える。霹靂-10ミサイルの格闘戦性能はともかく。射程160km、マッハ5という霹靂-13も、まだ現物はない。噂どおりの超射程が確保されても、その超射程を活かすためには、優位な態勢でレーダ探知をしなければ仕方もない。

 そもそも、殲-16を量産できるかどうかも怪しい。中国が自国生産するというWS-15エンジンにしても、これまた使いものになるかどうか。テストベットと殲-20でしか動いていないエンジンを見切りで使うというものではないのか。

 どこの国にしても、自国機は褒める。商業的にはそれが正解なのだろう。しかし、その実態は不利不都合には目を瞑った迎合であるようにも見える。この辺り、分かっていて迎合するのであればマシだろう。余計なことはしないし、他人に噛み付くものでもない。だが、気付かずに迎合するのは性質が悪い。頭が悪いので心底信じている。だから、大した飛行機ではないという意見に噛み付いてくる。

 F-2以下を褒めるのはその類である。日本のF-2は、実態はF-16であるが、万邦無比の戦闘機であるかのようにヨイショされた。P-1/C-2も、US-2も自国開発するほどの市場規模があるかを無視してヨイショされている。いずれも、「大したものでもないよな」という客観的な意見に噛み付くのは、頭が悪いとしか言いようもないものである。



※ 梁天仞「殲-16確保対日優勢至少10年」『鏡報』436(鏡報文化企業公司,2013.11)p.p.50-53
 
2013.11
08
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12:00
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 「特定秘密、潜水艦性能や情報源 自民が例示」では、「潜水艦の潜水可能深度」を特定秘密とすることになっている。昔からどこまで潜れるかは秘密だと言っていた、ハッチの厚みでも分かるとまでいっていたことなので、そういうことになるのだろう。

 ただし、潜水艦が潜れる深度にしても、そう非常識な深度であるはずはない。各国潜水艦が潜れる深度と大差があるはずもない。具体的な数字は知らない。だが、世界の潜水艦が、だいたい-50m潜れるなら日本の潜水艦も-30mから-70m潜れるのだろうし、-5000m潜れるなら、日本の潜水艦も-4000から-6000mは潜れるのだろう。その具体的な数字を極端に秘密にしても仕方もない。大抵の国が-2万m潜れるあたりで、日本潜水艦が-2万2000m潜れるというのは、必死になって守る秘密とも思えない。

 なんにせよ、潜水艦に乗ればその辺りは直ぐにわかるし、まあこんなものかといったものだ。身内向けでも、浮上状態ではカバーを掛けてあるが、潜りだすと外してある。その数字は忘れたが、大した秘密でもない。民間人乗っけて、体験航海してもカバーは外すのでその辺りはホニャララ喫茶店エミルマだ。

 その辺りは今までしつこいくらい秘密だと説明したいたので、自民党が特定秘密として取り出したのは分かる。だが、実際の必要性はそんなものだ。まずのところ、特定秘密にふさわしいのは、暗号や指揮通信システム回りではないかね。

 特定秘密法案については「本当は必要ない秘密を過剰に保護するんじゃね?」って話もあるけど、それも充分に頷ける話だよ。まあ、潜水艦の潜航深度は、みんな極秘だと思っているけど、実際はそんなもの。法律にしてもいいだろうけど、中身は吟味しないと前動続行でとんでもないものまで特定秘密にされるだろう。

 あれだ、戦争に勝っていたら、いまでも軍艦大和の主砲口径は軍機にされているんじゃないのかね。役人なんてそんなものだ。昔秘密にしたものを、解除することもできない。戦争に勝っていたら、軍艦大和の秘密もそのままだろう。鉄砲屋あたりは飲み屋で同席した一般人に「46cmあるなんてきいてない、あれは世界最大の40cm砲だよ」とギャグをいうのだろう。
2013.11
07
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12:00
Category : ミリタリー
辺野古移転も無理筋ではないのかね

 まず知事から埋立免許が出る見込みがない。たしかに仲井真知事は自民系ではある。だが、何党系であっても、県民世論といった環境は無視できない。実際に辺野古へ移転を認める、埋立を免許する選択肢はない。

 仮に出ない免許がでても、今度はジュゴンの問題が出てくる。

 埋立で日本にいる唯一のジュゴンを殺してもいいのか? といった問題は重い。県外の保守派にしても「県内移設は仕方がないが、ジュゴン保護と両立できないのか」という話になるだろう。

 ジュゴンについては、米国世論も問題視する。なんせ激減している生物である。北回帰線付近では絶滅寸前になっている。様相もどことなく人と似ており、辺野古移転で藻場を奪えば死ぬとなると、保護すべきとの意見は米国でも間違いなく出てくる。そのような計画に米軍は加担するなということになる。

 そのジュゴン保護を保護せよとする訴訟を米国で起こすのは、上手いアプローチだろう。「辺野古阻止へ新訴訟 ジュゴン原告団、米国内で検討」によると、ジュゴン保護訴訟を起こす見込みという。日本の裁判所は政府との対立を避けるが、米国裁判所はあまり避けない。結構な勝ち目のある裁判ではないか。

 結局のところ、普天間問題は米海兵隊を国外に追い出せば済む話である。米海兵隊による抑止力も眉唾ものだ。中国への対抗であれば、海空軍がメインである。普天間やら辺野古の話は、結局は、ショバを主張する海兵隊のわがままに過ぎない。

 嘉手納を使い続けるためには、海兵隊を追い出すのが一番良い。海兵隊にお引取りを願って、掛けた分の抑止力とやらは、海空軍を増援して誤魔化せば良い。そちらのほうが、中国はよけいに嫌がってくれる。いまなら、失敗作であるLCSを佐世保に配備するとか、形だけ鹿屋にP-8とビットにあたるトライトンを短期間配置する、岩国あたりにF-35を早めに配備するといったあたりで充分だろう。
2013.11
07
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Category : ミリタリー
 9mmけん銃の評判は良い。その前がガバメントだったのだから当たり前だが、日常分解が容易で4つにしか分かれない点は年寄りも絶賛していた。

 ただし、狙うのが面倒くさい。拳銃の常として、真面目に狙えばそれなりに当たるが、両手保持でもしっかり狙うのには厄介である。

 いっそ、ストックが付ければいいのではないか。『血と砂』で三船敏郎が使っていたようなアレである。http://star-firearms.com/firearms/guns/smgD/けん銃もストックがつけば、命中率は劇的に向上するだろう。

 最近も、イスラエルの会社がヘンテコなストックを作っている。http://www.zahal.org/products/pistol-rifle-platform-for-glock-and-sig-kposみたいなヤツなら、東京マルイでも作れるだろう。別にそんなものは中国製でも構わない。

 各部隊とも、警備用の短機関銃や散弾銃はロクロクないのに、拳銃は結構ある。ついでにグロックなんかにある、どうやるのかしらんが連射できるようなストックにすれば更に良い。そういったものを物品として部隊調達させて、物品のドラムマガジンでもつければ警備装備は相当に向上する。

肝心の拳銃が減っても問題はない。アレは使えたものではない。儀仗隊指揮官のように、モデルガンでも入れておけば良いだろう。
2013.11
06
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Category : ミリタリー
 水際地雷敷設の専用装備、94式水際地雷敷設装置は本当に必要なのだろうか。

 水際地雷は、すいさいじらいと読む小型機雷で陸自が使用する。今の御時世に使い道があるかはともかく、持っていても悪いものではない。

 ただし、この水際地雷について、陸上からの敷設に過適応した専用敷設装置は塩梅がわるいのではないか。陸自は、水際地雷について基本的に94式水際地雷敷設装置で敷設する算段にある。これは水陸両用車であり、今ある水際地雷2種類にのみ適合した専用艤装を持っている。

 94式には、柔軟性がなく、専用機雷しか使えず、船舶としての性能が低いといった点は、問題視されるべきである。

 まず、完全に機械化されているので、融通が効かない。使えるのは既存の水際地雷だけであり、対上陸用機雷の傑作であるマンタや、ステルス性の高いROCKANは使えない。進入航路や入港航路にピンポイントで置くのも適していない。

 また、今ある水際地雷の形状では駄目になると、敷設装置も駄目になる。水際地雷については、旧海軍が作った水際機雷(これは「みずぎわきらい」と読む)と同規模と、相当小さめに作られている。※ そして、水際機雷は軽すぎて波に洗われて移動するといった問題も提起されていた。

 そして、船舶としての性能が低すぎる。陸上から泛水できる点は発明であるが、水上速度はおそく、海洋状況の悪化に弱い。気象海況が静謐でないと使えない。陸自は緻密に、幾何学的なパターンで幾何学的に面的なパターンで機雷原を作ろうとしている。だが、風風が吹けば船位保持に苦労する。あまりうまく行くとは思えない。

 水際地雷そのものは悪くはない。ただし、専用敷設装置を主用する方法は、あまり良いとは思えない。

 実際には、舟でバラ撒いたほうが良くはないか。そちらのほうが柔軟性があり、数も揃えられる。確かに、施設科が持つ折りたたみ舟艇や、渡河作業用舟艇は小さすぎる。機雷敷設は可能であるが、容易ではない。しかし、漁船でも入手すれば、問題は解決する。甲板はそれなりに広い。自動化こそできないが、どのような機雷でも敷設できる。木製レールに載せた機雷を、ありあまる兵員に蹴りこませれば94式同等の敷設効率を実現できる。水上での運動性や速力、海洋状況への耐性も強い。

 漁船入手は容易だ。別に購入する必要はない。隊員に操縦させる借上や、緊迫状況下でなければ、機雷敷設作業を丸投げする役務調達で十分である。やたら高価になる専用装置を購入し維持するよりも、漁船を借りたほうが経済的だろう。



※ 旧海軍水際機雷は、15-20kg、陸自の水際地雷は40kg。
2013.11
06
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11:59
Category : 未分類
 太平洋戦争で連合国は河川に機雷を敷設している。揚子江やチドウィン川がそれだ。

 だが、パプアニューギニアの川にまで機雷を入れているとは知らなかった。パプアニューギニア、セピック川に米第5空軍が機雷を入れている。おそらく、内陸への補給を邪魔するための敷設だろう。


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 昭和18年6月15日、B-24が機雷(Mk13)を24ヶ入れている。これは磁気機雷であり、南太平洋で多用されたタイプ。パラシュートを使わずに低空低速で投下されたもの。あのあたりの掃海なんか真面目にやっていないので、今でもそのままなのだろう。電池切れで発火はしないのでけれども
2013.11
05
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12:00
Category : ミリタリー
 もう8年くらい前のこと、陸警科にお試しで機関けん銃が回ってきたことがある。陸警科は同じ三部で、丁度階下にある。己が情報保全か何かをやらされた時に行くと置いてある。

 この機関けん銃、ミネビアが作ったウージーもどきの短機関銃であったが、射撃試験の結果を見ると面白いくらいに当たらない。

 人体的を狙ったものだが、縦方向に1mくらい散っている。撃ったのは特警隊から下がって来た某海曹だといった。特警あがりでも駄目なら、他の兵隊が撃っても駄目だろう。何にせよ、ストックがないので肩付できないと、そんなものだ。

 あれならトミーガンの方がマシだという話になった。トミーガンなら50m先の30センチには難なく当たる。重い上に、しっかり肩付しているので難はない。しかも、分解整備はバカでもできる。なにせ日常分解では、部品は6点にしか分かれない。

 わざわざ性能が低く、やたら高い国産短機関銃を買ってどうするのかね。あれならトミーガンを9mmにして再生産したほうがマシである。銃剣もつくようにすれば更に便利になる。警備にもあのねじ回しやちんまいピンがある64式よりもよほど使える。

 機関けん銃も、ミネビアとのお付き合いで買ったのではないか。あそこには天下りが多い。別に天下ってもいいのだが、それで機関けん銃を買わされたのではたまらない。

 世界には、安くていい短機関銃はいくらでもある。好き好んで高くて当たらない銃を買っても仕方がない。そもそも、ウージーもどきが欲しいなら、ウージーを輸入すれば済んだ話だ。実際にはウージーよりも、いい短機関銃はあるだろう。インド製だろうがブラジル製だろうが、少なくとも、機関けん銃よりは高性能で安いことは間違いはない。