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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 軍事ライターの文谷です
 コミケでは隅田金属ででています。評論情報です。

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2012.03
23
CM:3
TB:0
20:31
 自称ロシア通である某さん「対空挺地雷である」と断じているのだけれども、どうみても水際機雷/地雷なんだよね、って話。

 発端は、朝日新聞の関根和弘さんが紹介された1枚の写真です。どうみても水際機雷なのだけれども、関根さんは、

>これは対空てい部隊の地雷です。面白い形をしています。
http://twitpic.com/8zxray

と説明されています。しかし、実物は対上陸舟艇用に使われる水際機雷です。おそらく関根さん、「対デサント用」を「対空挺作戦用」と理解されたのでしょう。専門ではないとのことですから、仕方がないことです。もちろん、地雷とすれば珍しく、面白い形体です。役に立つ紹介といえるでしょう。

 しかしこれを見た、ロシア通を自称する某さんが、対空挺用であると断じるのは、どうなんでしょうね。

>対空挺地雷? これは初めて見た…
https://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/182976475815878657

>@hachimaki_t ロシアは対空地雷を開発した国でもあるので、これもそれに近いものかも。
https://twitter.com/#!/obiekt_JP/status/182978904284344320

某さん、軍事に詳しい人を自称しているわけです。それなら、写真を見れば、水際機雷であることが明らかなことくらい分かるでしょう。また、ロシア通を気取っている某さんや、周囲の人なら、ロシアの地雷について詳しいはずです。ロシアに対空地雷があるなら、その形体、動作原理と比較してオカシイことに気づかなければなりませんよね。

 いやね、某さんは「軍事的な誤り」「デマ」に厳しい人でもある。はっきり言えば、他人の過ちを見つけて、鬼の首をとったように喧伝する。しかし、某さん、これを対空挺用地雷という「軍事的誤り」を紹介しているわけです。それって「デマ」じゃないのって。

 一番不思議なのが、なんで某さん「対空挺地雷」「対空地雷に近いもの」なんて判断したかってところね。特異な形状、空挺用だとした場合の動作原理について、疑問に思わなかったところ、相当に甘いですね。

 だってさ、この形体で「地雷」とすれば、水際機雷/地雷※しかありませんもの。底板は、機雷の沈みこみを防ぎ、缶体を垂直に保持するため。球体の上にある棒は、触角そのものか、おそらくは触角の先端を延長した棒。船底が棒に引っ掛かると、根本にある信管、多分、電解液の入ったガラス瓶が割れて、発火させる役割でしょ。

 状況証拠としてもさ、指揮棒で説明する兵隊さんの後ろにあるのも、水際機雷だね。半球型に棒がつきだしたタイプで、日本海軍が作った「タラワ型」の1触角タイプと全く同じ形ですからねえ。

 説明で、キャプションで、「対空挺地雷」とあると、そのまま信じてしまうのでしょうね。そこにあるもの、説明されているものには気づくけど、説明されていないもの、そこにないものには気づかない。某さんはそういうタイプなのでしょう。

 ま、常々公言している「軍事的な常識」や「情報へのリテラシー」に欠けているのは、御本人ということになりますね。
 某さんは、他人の間違いをあげつらう人です。だから、私が間違いを見つけて指摘しても、文句もないでしょう。

※ 水際機雷(みずぎわきらい)は旧海軍兵器、水際地雷(すいさいじらい)は陸自現用の兵器。用途は同じ。



-------------------------24日午後4時に追記-----------------

調べてきたけど、該当機雷は、PDM-2水際機雷/地雷だね。
Russian's Arms and Technology Vol12(Public House,Moscow,2006)p351.に写真付きで説明があった。
別の本をあわせてみると、ロシアは水際機雷/地雷としてPDM-1,PDM-1M,PDM-2,PDM-4,PDM-6を保有しているとされている。でも、浅海・河川用であるMIRAB機雷あたりと境目がないねえ。

2010.09
14
CM:7
TB:0
18:49
 戦車愛のあまり、海空自衛隊無能論まで発展したJSF氏への反論です。
 一番信じられないのは、ノウハウは必要ないと言い切っているところですね。

> ノウハウなんて要らないですよ。何も難しくありません。

 無知は怖いですね。船舶運用一つとっても、上陸戦そのものを理解していないことがよく示されています。唖然とするしかありません。日米英の上陸戦への試行錯誤を知らないのでしょう。

 JSF氏の議論は、結局は10式戦車が必要というところから逆引きしています。だから、話がドンドンおかしくなるのです。結局、今回の『隅田金属ぼるじひ社さん揚陸RORO編』にしても、理由をこさえて上陸する部隊を増やしただけの話です。揚がったところで補給も受けられない全滅予定部隊に過ぎません。
 その上陸船団が日本まで無傷で辿りつけるのかについては、従来の無根拠な2割ルールを「2~3割」と割増して繰り返しているだけです。この2~3割という数字ですが、これだけ海没すれば上陸は相当難しい。無人島でも上陸するのでなければ、上陸断念も検討される数字でしょう。

 さらに、例によってどれだけの規模の船団が、どこに向かうのかも示せていません。
 具体性に欠けるのがJSF氏の空論の特徴です。具体的な話をすれば、上陸ができないことが明らかになってしまうから、したくてもできないのです。

 JSF氏は商船を上陸戦に使えると言って(氏は、最初のうちは港湾に商船を突っ込ませるつもりだったのです)上陸戦力を水増していますが、護衛艦艇は増えません。
 周辺国は日本近海でのエアカバーを確保できません。日本側がJADGEシステムの支援を受けられるのに対して、周辺国にはまともなAWACSもない。しかも本土から遠く離れて残燃料を考慮しながらの戦いになるわけです。周辺国は日本の近くでは圧倒的な航空優勢を保つことはできません。
 その状況下で、上陸船団の損害が2~3割というのは妙な話です。10隻の上陸船団が来たとして2~3隻の損害で済むとも思えない。氏は陸上目標への航空攻撃の効果を出してすり替えようとしていますが、地物に隠れ、陣地にこもれる陸戦と、遮るもののない海上では全然条件は異なります。オルモック輸送では輸送船が全滅した例もあります。そういった見たくない事実には全く眼を向けないのが、「ゆとり」の証拠でしょう。
 逆に周辺国の能力から言って100隻単位の船団は組めない。船舶は、上陸戦の役には立たない商船や漁船を水増しして増やせたとしても、護衛艦艇が全然足りません。懐かしの上海型の類やFAC(M)にすぎない紅稗も投入するのか、あるいは商船に携SAMでも持たせた船舶砲兵風でも乗せるのでしょう。まず効果は期待できない。

 また、上陸海岸近くに辿りつけたとしても、絶対的な航空優勢を確立しないと上陸戦は不可能です。JSF氏は上陸戦の戦例を(バックグランドについては何も考慮せず)云々するのが好きなようですから、ウェーク島攻略での上陸失敗の例を挙げればよいでしょう。たとえ少数機であっても、航空攻撃があった場合、上陸作業には移れません。
 それほど甘甘な上陸作戦を行うこともありえませんが、さらにその直後に港湾奪取して、そのまま利用できると考えているのは、脱構築された意味での「ゆとり」です。

 閉塞船で封鎖された対処策を思いつかなかったのでしょう。『福岡港、北九州港なんて閉塞するのに何十隻必要なのか・・・』とうそぶいていますが、中国(まず戦争になる可能性もないですけど)大陸本土からのエアカバーが届かない玄界灘方面に上陸を行うことはありません。そもそも上陸適地は限られる。防備しなければならない港湾は殆どありません。
 逆に、串木野港に老朽船(鉄鋼価格だけ、タダ同然です)を沈めた(爆薬も要りませんね)としたら、どうやって排除するのでしょうね。戦闘状態の中、2週間以上かけてサルベージをしたとしても、その頃には補給を受けられない上陸部隊は駆逐されているでしょう。


 そもそも港に入れない前提は覆せないのに、その先は色々考えたようですね。
>「タグボートで押し続けて固定」
>「取り合えず杭を打って簡易ピットを作る」
>「簡易ピットで繋いでいる間に頑丈なピットを作る」
>「スパッド付きのプッシャーバージ船を連れて来て簡易埠頭とする」

 本当に思いつきでしょう
(1)タグボートの数と輸送所要は? まさか自航させるのですか?
(2)杭打ち機と杭はどこから運ぶのでしょう?
(3)しがらみのない簡易ピッドに把駐力は期待できませんよ?
(4)スパッズ台船を何Ktで押していくのですか? 船団についてこれませんよ


 さらに、JSF氏は内水用・沿岸用・外洋用の船の区別もついていません。そもそも波浪やウネリの影響を無視しています。
 例示したプッシャー・パージですが、ぜんぶ内水・沿岸用です。好天を選ばないと熊野灘を越えられないような船です。東京湾フェリーと同じで風が吹けばすぐに止まります。東京湾フェリーで上陸作戦をやろうとする。しかもそのまま外洋に出すというところが無知の証明でしょう。
 また、人民解放軍海軍陸戦隊の水陸両用車両のへん水にしても、JSF氏は「沖合です」といいながらも、動画には波もウネリも風もないことに気づいていない。そこにあるものに気づいても、そこにないものには気づいていないのです。ここが氏の限界です。

 いずれにせよ、この程度の上陸戦力で周辺国が対日戦を挑むこともありません。JSF氏の戦車賛美のための空論なのです。

 大きい部分から言えば、ロシアも中国も、日本本土侵攻の意志も能力もないわけです。日本とロシア・中国では、離島の所属を争ってはいるものの、それ以外の領土については互いに尊重しあう関係です。さらにその能力を見れば、日本本土を侵攻できるものではありません。なるほど、陸軍力は強力かもしれませんが、その海空軍力は日本に対して劣勢です。日本の沿岸で制空権も制海権も握れません。上陸戦には圧倒的な海空戦力のカバーが必要ですが、中露両国にはその能力もありません。

 その上、日米安保条約もあります。なぜかJSF氏は日本が単独で中国、ロシアと対決する構図を作っていますが、日本国内には在日米軍が存在しています。日米安保が発動しないというのは、あまりにも都合のよすぎる設定です。

 加えて、強力な海上自衛隊と、本土防衛に特化した航空自衛隊の存在を無視しています。周辺国は日本に攻め込むことはできないのです。万が一もないにせよ、上陸に成功しても補給が続かない、そして陸続と増援を受ける日本の陸上戦力との絶望的な戦いでいずれは消えてしまう。全滅予定部隊でしかないのです。

 日本の強力な海空戦力と米海空軍戦力を敵に回すのです、上陸は成功することは考えられません。よしんば万が一に成功しても、それは全滅予定部隊にすぎません。先は見えているのです。それを知りつつ日本本土侵攻を行うことはありえません。
 それを考えれば、日本側の戦車は質を問われないのです。上陸適地の海岸の背後にいればなんでも良いのです。
2010.09
01
CM:1
TB:1
20:07
 買っていない人に騒がれるというのも不本意なのですが。
 結局、今回の新刊の内容は

a 性能の向上は限定的
b 10式でできて、90式にできないことは、ない
c 本土防衛なら74式で充分
d 周辺国に日本に攻めこむ能力はない(せいぜい2~3ケ大隊)
e 日本の外洋戦力は圧倒的
f 本土防衛は戦争中でも2線級部隊の片手間仕事、専用の新戦車はいらない
g 陸自の本土防衛は、かつての対米戦を基準にした「本土防衛」ではないのか?

 となっています。

 この『必要なのか新戦車』という題に、JSF氏は「戦車無用論」の臭いを嗅ぎつけて、その内容も読まずに、批判しているのです。

 従来のJSF氏の言説と対立するa、bについては、耐え難いものを感じたのでしょう。反論するため、「新戦車が必要」という結論に持って行こうとした。
「周辺国の戦車は強力である。旧式戦車では対抗できない。だからそれよりも偉い新戦車が必要である。」こんなところでしょう。

 でも、周辺国の戦車は日本本土に現れる可能性はありません。だから従来の戦車でも困りません。(それが私のc、d、eなのですが) 
 それではJSF氏は困ってしまう。
 氏はa、bについては、微細なスペックデータを並べて反論できるのでしょう。しかしc、d、eについては事実をどうにかしないとa、bの反論自体が無意味になってしまう。
 結果としてJSF氏はc、d、eについて非現実的な条件や想定をこねくり回したわけです。

 曰く「商船で敵前上陸は可能」、「日本港湾を直接侵攻」、「海空自衛隊では上陸船団を叩けない」…等々。
 でも、商船での敵前上陸は自殺行為。気象海象の影響を受けやすく、時間もかかり、泊地も限定される。敵前で商船から上陸用舟艇をおろし、網や階段で兵員を移し、クレーン(最近の商船にはついていない)で重量物を移す。一回に運べる量も少ないから、それを延々何往復もする。海岸では各個撃破されますね。

 港湾の直接侵攻にしても、それは一六バクチが過ぎますね。ある程度水深を持っていて、岸壁長があるような港湾は防備の対象となります。さらに、いざ取られる時には湾内に沈船を置き(準備も、廃船に穴あけて木栓差しておけばOK)、ガントリークレーン以下の荷役機械・タグボート等の入港支援機材にガソリンでもかけて火をつけてしまえばよい。別に日本がそこの港湾を使いたいわけではない。相手に使わせなければそれでよいでしょう。

 海空自衛隊の軽視、JSF氏周辺が取り上げる「20%ルール」ですが、まずヘンです。上陸船団の撃破率についても、そもそも周辺国では大した規模の船団は組んで来ません。都市伝説の20%ルール、10隻の船団だと2隻しか沈められないのに、1000隻だと200隻も沈められる。その珍ルールに従っても、2割も沈んだら大混乱でしょう。それが泊地に集まって、チマチマ上陸作業をやる商船に付き合うのです。またそこを叩けば2割も叩けるでしょう。帰り道で2割叩けるでしょう…1往復で6割撃破です。

 新戦車への批判に対抗するために、ここらへんの非現実的な条件が、いかに可能であるかを力説したのが
『何故か◯◯◯◯演習の想定に拒否反応を示す隅田金属ぼるじひ社』(週刊オブイェクト)※伏字は隅田金属による
です。そこで引き合いに出した例ですが、結局は
> 近年の温暖化により北極海航路が確立された場合、ロシア海軍主力の北方艦隊が極東に回航して来る可能性があります。
レベルなんですよね。

 なんでこんな無理な批判をしなければいけないか。やっぱりJSF氏はネットスターであり続ける為には、自転車操業が止まるのを避けなければならないのでしょうね。『隅田金属ぼるじひ社レッテル妄想編』(週刊オブイェクト)でも、ネットスター指向や自転車操業そのものには否定していないみたいです。

 あ、あと
『隅田金属ぼるじひ社レッテル妄想編』(週刊オブイェクト)
 なんですが

> 私はこれを笑い飛ばせましたが

 笑い飛ばせたなら、それでいいのではないでしょうか。
 私の人格が疑われるようが、第三者にどう見られようが、それはJSF氏が心配する必要はないでしょう。
 逆に、JSF氏が、自身の戦車愛をどのような形で納得付けようとしているのか、それを聞いてみたいものです。
2010.08
28
CM:0
TB:1
11:02
『05式水陸両用戦車は通常の3倍のスピードです』への反論です。
また『何故か◯◯◯◯演習の想定に拒否反応を示す隅田金属ぼるじひ社』伏字は隅田金属による)への反論でもあります。

> 05式水陸両用戦車
 なるほど、20kt出るわけですか。中国の人も立派な水陸両用戦車を作ったわけですね。でも、毎秒10m/sです。左右への転舵も敏捷でないでしょう。加減速も緩慢でしょう。水上目標としてそれほど攻撃が困難なものではない。

 さらに、その火力にしても、命中率はともかく、結局はT-72以下でしょう。前に述べたように、数が問題です。運ぶ手段が問題です。個々の戦車の性能は問題ではない。

> 海岸線付近での戦車戦は過去の戦史に幾つか例が有ります。ノルマンディー、シチリア、ビアク、サイパン、硫黄島、占守島などです。

 戦車と戦車が戦ったかもしれない。しかし、戦闘の主役は歩兵ですね。防御側は堅固な陣地によって粘り強く抵抗する。戦車はその陣地を潰すための兵器としての運用が優先されている。上陸戦側の戦車の役割はそちらでしょう。JSF氏が挙げた戦場でも、戦車vs戦車は刺身のツマのようなものです。


> 素直に謝罪し訂正して下さい。

 これが、JSF氏の攻撃性の現れです。自己の勝利の演出のために「読者を誤らせた」と言い寄り「謝罪」を要求します。
 海軍歩兵/海軍陸戦隊/海兵隊の兵員の素養は高い。また予算は潤沢かもしれない。しかし、最新鋭の戦車はすべて陸軍から配備されている。陸軍に一巡してから海軍に来る。特に誤りとは考えない。


> 同人誌の方は冬コミで訂正を入れるか、自分のサイト上で記述間違いを公表し、購入者への注意を促して下さい。

 JSF氏は準備委員会でもない。準備委員会でも各サークルの編集権には介入しない。著作権に違反したわけでもない。わいせつ図画にあたる表現をしたわけではない。
 私のサークルで本を買ってくれる人は、私の本に約500円の価値があると考えて買っている。その内容についても、その人が判断すれば良いだけの話です。

 しかも、しかもJSF氏は、私の本を読まないで判断している。それは妥当ではない。
 この謝罪要求の裏には、JSF氏が自身と同一視している戦車への侮辱を謝罪しろという心理もあるのでしょう。氏にとっての戦車の憧れは、原始的な心理であるペニ・ス願望なのです。セクシャル・シンボルへの執着なのでしょう。だから「ボク=戦車に謝罪しろ」と言い寄ってくるのです。

 いずれにせよ、JSF氏の議論には「上陸戦は戦車で決まる」という奇妙な方向性があります。これは「戦車が役に立たないと、JSF氏自身の存在価値が示せない」ことに起因するのでしょう。ですから、戦車が必要というシチュエーションを作るために奇妙な作為を行っている。これこそが「素直に謝罪し訂正して下さい」あるいは「自分のサイト上で記述間違いを公表し、購入者への注意を促して下さい」でしょう。
 別に私は、勝利を続けることによって「無敵魔王」の称号を得る必要もない。また「@obiekt_JP 私がそちらに寄稿してもいいです。」(WEBRONZAのツイッター、12:44 PM Aug 26th)とか「◯◯さん、安全保障で記事を書くときには相談に乗りますよ」(かみぽこ政治学 http://plaza.rakuten.co.jp/kingofartscentre/diary/201005250000/)と原稿依頼のための権威だてが欲しいわけでもないですから、謝罪は求めませんけれども。



 また、上陸戦そのものの前提条件をも弄っている。それも戦車を上陸させないことには議論をJSF氏自身の権威向上に使うことができないからでしょう。

 JSF氏は、まず周辺国の揚陸戦能力不足を直視しないために、不自然な作為をしています。まず、周辺国が、戦車を日本に揚げるために必要な揚陸艦能力を直視することを避けるために商船による上陸戦というファンタジーを主張しているのです。それは揚陸艦の存在意義の否定でしょう。
 日米英の揚陸艦開発の歴史は、商船による敵前上陸が不可能であることの証左でもある。氏は戦車の装甲にこだわるのに、それを脆弱な商船に乗せることに不思議を感じていないのでしょうか。さらに長時間の沖荷役(最低でも1日仕事、ヘタをすれば3日仕事です)で日本側の攻撃に晒すことが許せるのでしょうか。
 商船の直接港湾侵攻についても同じです。成功例がほとんどないので、ドイツのノルウェー侵攻を例示していますが、上陸はしばしば大損害を受けている。あの戦いも、ドイツが勝ったのではなく、英国軍は本土防衛のために引き揚げただけです。

 いずれにせよ、JSF氏の上陸戦への想定・発言は、大きく誤っています。その最大の誤りが商船の上陸戦使用です。氏は戦車についてのミクロの問題をとりあげますが、上陸戦そのものを知らないのでしょう。
 あるいは、海軍力についても知らないのかもしれない。強力な海軍力をもつ島国には、どのような強大な陸軍力を持つ国であっても侵攻することはできない。 戦車では外洋艦隊を排除できないのです。

 周辺国の戦車の質がどれほど優れていたとしても、結局、日本に上がることはできません。周辺国の海軍力、空軍力では、日本の海空戦力、加えて米海空軍戦力を排除することはできないからです。
 JSF氏は意図的に、海空自衛隊と米海軍の存在を無視してもいます。そうしないと相手国の戦車が日本に現れないためです。考慮した場合、周辺国の上陸船団では日米の妨害により、上陸戦に持ち込むこともできないのです。
 都市伝説の「上陸戦2割ルール」ですが、これは相手が10隻でも2隻しか沈められない。相手が1000隻くれば200隻沈められるという不思議ルールです。何の意味もありません。周辺国の海軍力・揚陸艦の規模から言っても、日本近海に出てくることはできない。

 海上自衛隊は東アジア最大の外洋海軍であり、外洋域での敵上陸船団の行動を阻害するでしょう。海自の海洋哨戒能力は、常に船団の行動を把握します。哨戒機部隊は、エアカバーのない船団を自由に攻撃できます。水上艦部隊は、エアカバーの弱いところであれば、海洋使用を拒否できます。
 つまり上陸船団は、集結すら難しく、日本近海にでてくるのも難しいのです。

 航空自衛隊は防空に特化した組織です。日本周辺での相手側航空機の行動を抑圧するでしょう。要撃機はJADGE、AWACSの要撃管制の支援を受けます。また、拠点防空であればSAMの存在も強力です。日本周辺での相手側航空機の行動を許さないでしょう。
 また、空自は、諸外国では海軍航空隊の仕事である対艦攻撃も実施します。支援戦闘機は、日本近海で船団を任意に攻撃できます。船団は上陸泊地にたどり着くことも難しい。仮にたどり着いても、商船による長時間の上陸作業などは不可能です。

 在日米軍は、海空自衛隊よりも大きな自由度を持ちます。空母機動部隊や米空軍は、航空基地を襲うでしょう。相手側の港湾そのものを襲うでしょう。航空機雷で封鎖することもできるでしょう。

 どう考えても、日米の前には日本本土を侵攻することは不可能なのです。しかし、JSF氏はそれをネジ曲げて上陸できたところからの話だけをします。

 さらに上陸側・防御側の戦車同士が衝突する状況だけを説明しています。そしてその質についてだけを語るのです。これは不思議な状況です。上陸側は戦車以外とも戦わなければなりませんし、防御側も戦車以外も倒さないとなりません。上陸した海岸では、戦車vs戦車という情景はむしろ少ないでしょう。戦車以外vs戦車以外、戦車vs戦車以外が戦いの過半です。さらに、防御側は上がった敵を倒すよりも、上がる前に沈めようとするでしょう。

 上陸戦・対上陸戦(そもそも起きない)を「上陸側戦車vs防御側戦車」に収斂させる。これは「戦車が役に立たないと、自分の存在価値が示せない」ための作為です。結局は、新戦車云々ではなく、JSF氏が自分の存在価値を示すための話だということです。






-----------------追記 21時00分-----------------

JSF氏 様

 どうも意味が通じないと思っていましたが
訳文の間違いを発見しました。よろしければ御参考に

『05式水陸両用戦車は通常の3倍のスピードです』

>水上では10ノットもでないでしょうね。(これは隅田金属記事からの引用)
(略)
>いえ、その3倍の速度が出ます。
(略)
>水上速度可达30-40公里/小时(中文から)

 これ、kmとマイルを間違えていませんか?いや、中文から40km/h≒20ktなのに変だなと
まあ、私も「毎秒10m/s」なんて書きましたし、間違いは誰にもある話。それで鬼の首を取ったつもりにはなりませんが。


あとは、ポリシーだと思いますけど。

「 @tareyuu 君はスミギンやらオータンみたいに資料の読み間違いはしないだろうし、貯め込んだ軍事知識が私の1000倍はあるから何でも出来るだろう?
30分前 Echofonから tareyuu宛」(JSF氏ツイッター)

「 こりゃ隅金さんに「数字」を提示しても無意味だな。彼には数字を理解する能力が無い。 約5時間前 Echofonから 」(同 上)

「 毎秒が二重になってる。単位が分かってねーんだな。駄目だこりゃ。→「毎秒10m/s」 約5時間前 Echofonから 」(同 上)
2010.08
27
CM:4
TB:0
23:32
 『戦車は水田を突破可能』についての反論ですね。
 なんでも、JSF氏は10式戦車でなければならない理由を忘れています。

 それはともかく私のブログ記事では、水田の他にも「対戦車崖のような3面張り河川や用水路も巡らされている。都市化も進んでいる。」のだけれどもね。3面貼り河川や用水路は障害になるでしょう。通過不能となることもあるでしょう。都市はさけるしかないでしょう。

 まあ、水田は障害になるか、ならないかであれば「障害となる」でしょう。好き好んで水田を走らないでしょう。

> 当時は田んぼに「乾田」と「水田」と「沼田」という区別がありましたが、今では乾田(稲を育成する時だけ水を溜める)化が進んで、当時の区分でいう「水田」は殆どが姿を消しています。

 「重湿地じゃなくて軽湿地」ですかね。
 だから戦車が必要、それならば、それが10式である必要には全然つながらないですね。74式でもM4シャーマンでもよいでしょう。
 下で引用したように、防者云々の意味に錯覚しているとすれば、戦術上の要求の程度によるでしょうけど、氾濫を起こして障害度を向上させればいいでしょう。仮に通れても、やっと通れるような地耐力の低い水田を、砲火を浴びながらズーット進んでいくことはできない。

> そもそも敵が農閑期に攻めて来たら乾田は湿地ではない

 障害としたいところに水を入れればいいのではないかと。

 いずれにせよ、戦車はあってもいいけれども、それが10式である必要には全然つながらないですね。74式でもM4シャーマンでも走れますね。
 なんにしても相手は大した数はこない。内陸侵攻どころか、着上陸もできないという話にJSF氏は有効な説明をしていない。

 これも「新戦車はいらない」「必要なのか新戦車」の中に、戦車無用論の臭いを感じて、条件反射でしてしまった批判でしょうね。従来の「戦車無用論」批判の手法をそのまま使っただけで、結局はそれが10式戦車でなければならない理由はどこにもない。

 これはJSF氏の、単純な反「戦車無用論」性を示しているのですよ。戦車愛のあまり、戦車への肯定バイアスのあまり、10式戦車でなけれなならない理由を示すのを忘れてしまっているのです。ミクロをみてマクロをみない良い例でしょう。あるいは、正確に間違える人?でしょうか。
2010.08
25
CM:13
TB:0
17:13
JSF氏・オブイェクトへの反論を通じて

 JSF氏のツイッターを拝見すると、氏は、日本征服に必要な数の強襲揚陸艦を、未成・買取・買収可能を含めてかき集めているらしい。

 しかし、それであっても、日本の一地方を一時的に占拠することができるだけだろう。ロシア極東部(何故、ロシアであるかは不明であるが)の経済力・輸送能力では上陸部隊に補給を行うことは困難だからだ。このような限定的な侵攻をロシアがする必要はない。

 他にも、対日侵攻が難しく、事実上断念しなければならない要素はいくらでも挙げられる。
 オホーツク海の冬季結氷、夏の濃霧、低気圧の墓場と行った条件も挙げられるだろう。海空自衛隊の存在も挙げられるだろう。日米安保の存在も挙げられるだろう。日本の経済力の戦時転用も挙げられるだろう。
 さらに商船を上陸戦に参加させた(これは不可能だ)としても、ロシアが保有する商船の数も問題になるだろう。商船に積むのLCMの数も問題になるだろう。商船のクレーンの能力も問題になるだろう。揚陸艦・商船の根拠地となる港湾の位置、荷役や鉄道や道路、船舶修理設備の能力も問題になるだろう。護衛艦艇や掃海能力も問題にできるだろう。ロシア極東部の太平洋依存も問題にできるだろう。
 最終的には、ロシアは日本を屈服させることはできない。日本に全滅予定部隊を送り込むことしかできないのだ。

 なぜJSF氏がここまで執着するのか?
 それはJSF氏・オブイェクトの自転車操業体質と、氏とその信者の「ペニ・ス」願望に起因するプリミティブな戦車愛が挙げられるだろう。

 論議での「勝利」への執着は、今までのJSF氏・オブイェクトの行動方針から説明できるだろう。JSF氏は勝ち続けることによってネットスターの地位を確保した。その地位を保つためには、これからも勝負を挑み、勝ち続けなければならない。氏はいままでも、相手に信者をけしかけることによって「勝利」を演出してきた。この手法は、信者の信心が足りなくなると通用しなくなる。氏は勝利し続けなければ、または敗北を喫することがあれば、その「勝利」を演出するマシーンを喪ってしまうのだ。つまりは自転車操業なのである。この構造があるかぎり、JSF氏・オブイェクトはいつかは倒れることになるだろう。

 戦車への執着は、やはり「ペニ・ス」願望なのだろう。JSF氏の心のなかでは、まず戦車もつセクシャル・シンボリズムへの憧憬がある。おそらく、今回の新戦車も氏の男性・器と同一視しており、それに対する批判は自己の肉体を、ペニ・スを傷つけられるという心理が働いているのだろう。それによって過剰な防衛反応を、戦車不要論や新戦車への懐疑を必死になって否定するのだろう。
 なお、このセクシャル・シンボリズムに対して卑猥であるといった批判をするものは、ペニ・ス願望という言葉に過剰に反応しているだけなのだろう。中学生がカタカナ語に男性・器や女性・器の名称を見つけて騒ぐようなものである。
 さらに言えば、戦車や大砲への憧憬、ペニ・ス願望は私にもある。例えば、ホンモノのFRONT誌で見た大砲の写真は、私にとってのドリームである。男性・性を掻き立て、興奮を呼び起こすものである。JSF氏やその信者も同じだろう。
 ただ、それでは戦車の真の必要性を語ることはできないだろう。日本にとっての戦車の勝ちや新戦車の必要性について、JSF氏やその信者には、戦車のもつセクシャル・シンボリズムを離れた冷静な議論をすべきだろう。