■ 自動昇格争いに参戦した徳島ヴォルティスJ2は残り4試合になった。昇格争いと残留争いはどちらも熾烈を極めるが11月2日(土)に行われた22位のFC岐阜と5位の徳島の試合はアウェイの徳島が7対0で大勝。自動昇格に向けて大きな勝ち点「3」を獲得した。前半25分にDFヨルディ・バイスのFKで先制に成功すると前半30分にはMF杉本竜のゴールで追加点を奪った。さらに前半38分にはMF岩尾、前半40分にはFW河田がPKを決めて4対0と大量リードを奪った。
手を緩めない徳島は後半18分にFW河田が決めて5点目。後半20分にはMF野村直のゴールで6点目を奪った。さらに後半45分には古巣対決となる途中出場のFW押谷がミドルシュートを決めて7点目を奪った。試合前の時点で2位の大宮との差が「3」だった徳島は勝ち点「67」に到達した。秋以降は柏・山形・横浜FC・大宮の上位4チームを中心に回っていたJ2の自動昇格争いに徳島が本格的に参入して来た。
大量点を奪って勝利したことで得失点差を一気に稼ぐことが出来たのは大きい。試合前の時点で得失点差は「+12」だったが「+19」になった。38節を終えた時点での得失点差は山形が「+23」、横浜FCが「+20」、大宮が「+18」。当面のライバルとなる3チームと同じくらいの得失点差になった。上位チームの勝ち点は大接近していることを考えるととてつもなく大きな意味を持つ7点差での勝利となった。
これで徳島は12試合負けなしとなった。ここ12試合の成績は9勝3分け。12試合で29得点なので圧倒的な強さを見せている。今、J2の22クラブの中で最も勢いに乗っているチームと言える。残り3節の対戦カードは横浜FC(H)→東京V(A)→山口(H)になる。次の40節の横浜FC戦(H)が大一番となるのは言うまでもないところである。大一番をホームで戦えるのは大きい。「大逆転での自動昇格の可能性」が出て来た。
■ FC岐阜にとってはつらい試合徳島にとっては最高の結果になったが対照的にFC岐阜にとってはツライ試合になった。徳島は得失点差を稼ぐ必要があったので4対0になった後も全く手を緩めなかった。このくらいのスコアで前半を折り返した場合、後半はスローペースになってほとんどスコアが動かないケースは多いが最後までフルパワーで徳島は戦ったのでFC岐阜は大量失点で敗れることになった。クラブ史に残る惨敗になったと言える。
徳島の7ゴールというのはクラブ新記録になる。過去最多は2009年の愛媛FC戦(H)、2009年の熊本戦(H)、2017年の山形戦(A)、2019年のFC琉球戦(H)の6ゴールになる。7点差以上での勝利は当然のことながら初めてになる。一方、FC岐阜の7失点というのは2008年の広島戦(A)、2011年の湘南戦(H)に次いでクラブ史上3度目になる。過去最多は2013年のG大阪戦(H)の8失点になる。7失点以上は4度目になる。
記録的な試合になったがFC岐阜は「J2の残留争いの大一番だった鹿児島戦(A)から中2日」だった。この試合は0対0で迎えた後半のアディショナルタイムにFWルカオに決勝ゴールを許して0対1で敗れた。20位の鹿児島との差が「3」から「6」に広がって自力でのJ2残留がかなり難しくなる痛恨の敗戦を喫したが気持ちの整理が付いていなかったのだろう。大量失点を喫してJ2残留はさらに厳しい状況になった。
絶好調の徳島が相手なので難しい試合になることは容易に予想できたが前半25分にFKで失点。これでプランは大きく崩れてしまった。3失点目と4失点目はPKだったがスタメンに抜擢されたCBのDF北谷がいくつか失点に絡んでしまった。中2日で、しかも、死闘の後なので、メンバーを大きく変えても良かったが基本はそのまま。唯一、DF竹田忠を外してDF北谷をスタメンに抜擢したが裏目に出てしまった。
■ 賢明な選択だった。同じ日に引き分けた鹿児島が勝ち点「1」を加えたのでその差は「7」に広がった。残り3試合で「7差」というのは絶望的である。ただ、1試合消化が少ない栃木SCとは同じ勝ち点「30」なので「FC岐阜が21位に上がって、かつ、藤枝MYFCがJ3で2位以内に入った場合」は降格を回避することが出来る。冷静に考えると(他力にはなるが)まだ十分にJ2残留のチャンスは残されている。ただ、ムードは最悪である。
降格圏回避は絶望的になったので試合後は選手たちに激しいブーイングが浴びせられても不思議はない状況だったが殺伐とした雰囲気にはならなかった。「ブーイングをする人は全くいなかった。」というわけではないと思うが大半のFC岐阜のサポーターからは温かい声援が送られた。残り3試合を全勝したとしても20位に浮上できる可能性はあまり高くないがFC岐阜の監督や選手は声援に応えないといけない。
思うような結果を残せなかったときにファンやサポーターが選手に向かってブーイングをすることはサッカー独特の慣習になる。マナー違反を犯した選手がブーイングをされるケースは他のスポーツでも多々ある。バスケの試合で相手チームのフリースローのときにブーイングが起こるのはデフォルトになっているが(相手選手ではなくて)味方選手に対して大きなブーイングが起こる競技というのはサッカーくらいである。
そういう類のブーイングに関しては賛否両論あると思うが個人的には叱咤激励の意味でのブーイングはアリだと思う。惨敗を喫したにも関わらず、試合後に選手に向かって黄色い声援が飛ぶ環境というのは何よりも選手のためにならない。「ぬるま湯」とも表現できるが、今回、大半のFC岐阜のサポーターがブーイングを浴びせるのではなくて声援を送ることを選択したのは良かったと思う。賢明な選択だったと言える。
「ブーイングをする気力すら無かった。」というサポーターもいたとは思うが、ここまで土俵際まで追いこまれてしまったらサポーターに出来ることは選手たちを信じることくらいである。そして、先の鹿児島戦も今回の徳島戦も結果は出なかったがFC岐阜のイレブンは精一杯戦っている。「何とかしたい。」という思いが空回りしている面もあるが頑張っていることは少なくともサポーターには伝わっているのだろう。
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