■ 神戸の試合はいつも大盛況「Jリーグの銀河系軍団」と言われる神戸は23節を終えた時点では思うような結果は出ていない。オフにMF山口蛍とDF西大伍という日本代表クラスの実力を持つ選手を獲得して、「VIPトリオ」と言われる3人の中ではMFイニエスタとFWダビド・ビジャは大きな存在感を発揮しているが、最終ラインが安定せずにビルドアップのときの軽率なミスから失点をするケースが多い点が足を引っ張る形になっている。
元・ウルグアイ代表のスター選手のFWフォルランを獲得した2014年のC大阪など過去にもビッグスターを獲得したチームは高確率で低迷しているので今シーズンの神戸に対しても懐疑的な見方をする人は多かったが、それでもここまで結果が出ない状況を予想できた人は少ないだろう。残留争いに巻き込まれているので「一刻でも早く残留争いから抜け出すこと」が目標になる。早く安全圏と言える勝ち点に到達したい。
「期待外れ」という声はあるが動員の部分での貢献度は高い。「神戸を観たい。」というよりは「MFイニエスタを観たい。」という人が多いのだと思うが、ホーム戦の平均観客動員数は21,342人。クラブ史上最高は2018年の21,630人になるがそれと同じくらいである。ちなみに近年のノエビアスタジアムの試合で最多の入場者数を記録したのはMFイニエスタのJリーグデビュー戦となった2018年の湘南戦(H)になる。
この試合は26,603人の動員を記録している。「ノエビアスタジアムの収容人数は28,569人」と言われているが緩衝地帯を設けると26,603人くらいが今のMAXなのだろう。今シーズンの動員数の最少は7節の広島戦(H)の17,708人。21,000人に満たなかった試合もちょうど半分の5試合あることを考えると「全試合で大入り満員」というわけではなさそうだが、「それでもフィーバーは続いている。」と言えるだろう。
■ アウェイ戦の平均観客動員数は31,003人ホーム戦の観客動員数もクラブ史上最高レベルになるが今シーズンの神戸の凄まじいのは「ホーム戦の観客動員数」ではなくて「アウェイ戦の観客動員数」である。ここまでホーム戦が10試合、アウェイ戦が12試合となるが、アウェイ12試合の平均観客動員数は驚異の31,003人となる。リーグ2位となる鹿島は24,627人であることを考えると「神戸のアウェイ動員力は突出している。」と言うしかないレベルである。
J1の平均観客動員数が過去最高記録を更新するのは確実な情勢になっているがアウェイ戦の平均観客動員数は1位が神戸、2位が鹿島、3位が浦和、4位が川崎F、5位がFC東京、6位が磐田となる。一方、ワースト1位は湘南で15,554人となる。「アウェイの横浜FM戦やアウェイのFC東京戦を消化していない。」というのも大きな理由の1つになるがJ1最多の神戸と比較すると湘南はほぼ半分の動員数になる。
2019年のJ1全体の平均観客動員数が21,122人であることを考えると「今シーズンの神戸のアウェイ戦の31,003人という数字」がとんでもない数字であることは一目瞭然である。J1の平均観客動員数の大幅な増加に神戸ならびにMFイニエスタが大きく貢献しているのは間違いないが実は「神戸の試合(ホーム戦:10試合、アウェイ戦:12試合)を除いたJ1の平均観客動員数」も20,436人なので大台をクリアしている。
■ 過去最多となるのは2007年の浦和レッズ「神戸人気やイニエスタ人気に頼り切った数字ではない。」というのは注目すべき点になる。「Jリーグ人気の復活」を主張する人が出てきてもおかしく状況になっているが今シーズンの神戸のアウェイ戦の平均観客動員数は、表1のとおり、18チーム制になった2005年以降では2番目に多い数字になる。歴代1位は2007年の浦和で31,507人。3万人を超えているのは2007年の浦和と2019年の神戸の2チームのみとなる。
2007年というとJリーグのクラブとして初めて浦和がアジアを制した記念すべきシーズンになるがこの時の浦和もスター軍団だった。優良助っ人のFWワシントンとMFポンテの2人が攻撃陣をリードして、最終ラインにはDF闘莉王が君臨。中盤にはMF長谷部がいて、控えにはMF小野伸もいた。MF三都主アレサンドロはザルツブルクでプレーしていた時期なので不在だったがスーパースターが目白押しだった。
この年の浦和のホーム戦の観客動員数は46,667人になる。これはJリーグ史上でも翌年の浦和が記録した47,609人に次いで歴代2位となる。このあたりの時期の浦和の人気や注目度は突出していたが今シーズンの神戸はそれに匹敵するレベルである。ちなみに2005年~2018年のJ1で「年間のアウェイ戦の平均観客動員数の1位が浦和ではなかったケース」は2014年のC大阪と2018年の神戸の2例のみとなる。
表1. アウェイ戦の平均観客動員数のランキング (2005年-2019年)
順位 | クラブ名 | 年度 | 平均動員数 |
1 | 浦和レッズ | 2007年 | 31,507 |
2 | ヴィッセル神戸 | 2019年 | 31,003 |
3 | 浦和レッズ | 2005年 | 28,456 |
4 | 浦和レッズ | 2009年 | 27,827 |
5 | 浦和レッズ | 2008年 | 27,600 |
6 | 浦和レッズ | 2006年 | 26,825 |
7 | 浦和レッズ | 2013年 | 24,792 |
8 | 鹿島アントラーズ | 2019年 | 24,627 |
9 | 浦和レッズ | 2017年 | 24,593 |
10 | 浦和レッズ | 2019年 | 24,257 |
11 | ジュビロ磐田 | 2005年 | 23,956 |
12 | セレッソ大阪 | 2014年 | 23,782 |
13 | 浦和レッズ | 2010年 | 23,767 |
14 | 浦和レッズ | 2012年 | 23,646 |
15 | ガンバ大阪 | 2006年 | 23,560 |
16 | 鹿島アントラーズ | 2017年 | 23,417 |
17 | 川崎フロンターレ | 2019年 | 23,073 |
18 | 横浜Fマリノス | 2005年 | 23,064 |
19 | 鹿島アントラーズ | 2005年 | 22,851 |
20 | 鹿島アントラーズ | 2010年 | 22,733 |
21 | ガンバ大阪 | 2005年 | 22,731 |
22 | ガンバ大阪 | 2008年 | 22,703 |
23 | 浦和レッズ | 2016年 | 22,575 |
24 | ガンバ大阪 | 2009年 | 22,536 |
25 | 鹿島アントラーズ | 2008年 | 22,467 |
26 | ガンバ大阪 | 2016年 | 22,326 |
27 | FC東京 | 2019年 | 22,187 |
28 | ガンバ大阪 | 2010年 | 22,176 |
29 | 川崎フロンターレ | 2016年 | 22,124 |
30 | 浦和レッズ | 2014年 | 22,038 |
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