
物語は、編集者のベルリオーズと詩人のイワンが不思議な外国人と出会うところから始まります。その外国人・ヴォランドは、ベルリオーズの死を予言します。そしてベルリオーズは、その予言通りに悲惨な死を遂げるのでした。
なぜヴォランドにはベルリオーズの未来がわかったのか!? それは何と、彼が人間ではなく、悪魔だったからなのでした。
作品のタイトルは、巨匠とマルガリータとなっていますが、この作品の主人公はヴォランドとその仲間たちといってもいいくらい彼らは好き放題に暴れ回ります。彼らの魔術のもたらした結果に、モスクワ中が大混乱に陥ります。
そして、主役のはずの巨匠はなかなか登場しません。(^^; なんと、巨匠が登場するのは、お話が始まって200ページほど経過してからでした。(笑)
さらに、マルガリータに至っては、本格的に活躍するのは第2部に入ってからでした。
この作品を読み終えての感想は、とにかく不思議な作品でした。第1部では、ヴォランドたち悪魔が人々を混乱させる様子が描かれます。そんな彼らの活躍は、まるでちょっとしたSF小説のようです。何しろ悪魔ですから、魔力を使ってどんな不可能も可能になってしまいます。ここまで無敵の登場人物も、ちょっと珍しいと思います。
そして、第2部ではマルガリータが悪魔のパーティーに参加する様子と、精神病院に収容された巨匠の救出が描かれました。そして何と、最終的に巨匠とマルガリータは、悪魔によって救われることになるのでした!
この物語がややこしいのは、モスクワを舞台にした物語と平行して、巨匠が書いたキリストとポンティウス・ピラトゥスの物語が挿入されます。キリストが磔刑にされた経緯、そしてそれを指示したポンティウス・ピラトゥスの苦悩が描かれます。
とにかく長く、何でもありの物語でしたので、読み終えるのに時間がかかりました。内容的には、ソ連時代の体制批判といった側面も感じられましたが、破天荒で幻想的な物語としても充分に楽しめる作品だと思います。
最終更新日 : 2022-10-30