気安く謝罪を行なうことが、どれだけ次代を危険に晒すことになるか、考えるキッカケとしてほしいものです。
日本人とユダヤ人 (角川文庫ソフィア)
(1971/09)
イザヤ・ベンダサンIsaiah Ben-Dasan
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(~前略/引用開始)
「朝鮮戦争は、日米の資本家が(もうけるため)たくらんだものである」と平気でいう進歩的文化人がいる。
ああ何と無神経な人よ。
そして世間知らずのお坊っちゃんよ。
「日本人自身もそれを認めている」となったら一体どうなるのだ。
その言葉が、あなたの子をアウシュヴィッツに送らないとだれが保証してくれよう。
これに加えて絶対に忘れてはならないことがある。
朝鮮人は口を開けば、日本人は朝鮮戦争で今日の繁栄をきずいたという。
この言葉が事実であろうと、なかろうと、安易に聞き流してはいけない。
もちろん私は、必ずしもそれだけが原因とは思わないが、朝鮮人にはそう見えるのである。
「われわれが三十八度線で死闘して、日本をも守ってやったのに、日本人はそのわれわれの犠牲の上で、自分だけがぬくぬくともうけやがった」という考え方である。
たとえこれが事実であっても、これは日本の責任ではないし、日本が何か不当なことをしたのでもない。
だが全く同じことを、第一次世界大戦の後に、ドイツのユダヤ人もいわれたのだ。
「われわれが西部戦線で死闘していた間、あいつらは銃後にあって、われわれに守られてぬくぬくともうけやがった」。
ユダヤ人は確かにそういう位置にいた。
そしてその多くは商人であって戦後のインフレにも強かった。
しかし戦争を起したのはカイゼルとドイツの首脳であってユダヤ人はこれには責任はない。
しかし、戦争に際して、ユダヤ人だけが何か不当なことをしたように言われ、それが次第に拡大され、ついには、もうけるためユダヤ人が戦争を起したように非難され、それがアウシュヴィッツにつづくのである。
前述の文化人さんよ。
自分の子のためにも、このことを忘れないでほしい。
(~中略~)
もちろん政治天才の日本人が政治低能のユダヤ人のようなへまはやるまい。
またユダヤ人のもっていなかったもの、すなわち自らの政府と強大な武力をもっている。
しかし一方、かつては民衆の暴動であったものが、今や、一国の政府の行動として起される時代にもなっている。
すなわち政府が先頭に立って、ある人種の全財産を没収し、その人種の全員を国外に放逐しても、たいしてニュースにもならない時代にもなってきた。
従って、全地球的な規模において、日本人が、今、どういう位置にあるのか、いろいろと考えさせられるのは、私だけではあるまい。
(後略~/引用終了)
【引用元:しのびよる日本人への迫害/日本人とユダヤ人/P194~】
ベンダサンが指摘するように、日本人はユダヤ人と違って、自らの政府と武力を備えています。
そういう点では、ただちに迫害を受ける立場にいるわけではないかもしれない。
しかしながら、日本政府の保護を受けられない場所があるとしたら?
そこに日本人がいたとしたらどうなるでしょうか。
2005年に中国各地で起こった反日暴動を思い出してもらえれば、およそ想像ができるのではないでしょうか。
あれは、日本政府(と中国政府)が存在したから、あの程度で済んだのであって、日本政府が存在していなければ、中国政府は見て見ぬふりを続けたかもしれません。
しかし、中国政府が今後も安定的に存在しうるとは限りません。
中国は豊かになりつつも、貧富の格差が極大化しつつあり、反政府暴動が起こる可能性が高まっています。
反政府暴動が起きたとき、在中の日本人の保護は出来なくなる可能性が大きい。
かといって、日本が自衛隊を現地に送るわけもいかない。
ちょっと考えてみただけでも、21世紀の現在においても、そのようなリスクがあるわけです。
相手の言い分を反論せずに受け入れてしまうことが、どれだけ相手の迫害に大義名分を与えてしまうか。
そうしたことに、無頓着のまま、誠実に謝罪すれば許してもらえると考えている世間知らずのお坊ちゃん共が、まだまだ日本には存在していることを、今回の菅談話と通じて改めて痛感した次第です。
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◆いい加減「日本は悪くない」論をぶつのはやめましょう。事実の認定のみで争うべし!
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