これは、日の丸・君が代強制問題について、強制反対の立場から書かれたブログ記事のリンク集なのですが、幾つか拝見していてどうにも違和感を感じてしまったので、今日はそのことについて書いて行きたいと思います。
この問題についての私のスタンスというのは、以下過去記事↓を読んでもらえばわかると思います。
・”当たり屋”してまで表現の自由を守る教師の皆さんへ
・”内心の自由”を「手段」として利用する人たち
・日の丸・君が代を問題にする人々と、かつての元号廃止論者の類似性
・日の丸・君が代「強制」反対を叫ぶ者たちのどこがおかしいのか考えてみた。
今こうやって自分の過去記事を読み返してみると、かなり恥ずかしいものがありますね。かなり感情丸出しですごく攻撃的だし…orz
今でも、彼ら強制反対派に対しては嫌悪感を抱いていないといったら嘘になりますが、彼らの気持ちや主張についてはわからなくもありません。
ただ、やっぱり彼らの主張には、大きな誤解というか認識間違いがあると思うので以下、指摘していこうと思います。
彼らの記事を眺めていて多かったのは、「なぜ、強制しようとするのか?」という疑問や反発でした。
確かに、学校の式典時だけを見てみれば、強制というのが当てはまるように見えるのですが、強制する側も強制したがっているのは、「式典時」だけであって、いつ如何なる場所でも強制しようとしているわけではないのは、賛否いずれの側も認めるところだと思います。
強制に反対する人たちは、この強制自体を問題視し、「思想・信条の自由」と絡めてこの問題に反対しますが、この点が一番の「勘違い」だと思います。
これはおそらく「思想・信条の自由」に係わる問題ではありません。
なぜなら、本当に思想・信条の自由を規制しようとするならば、「式典時」だけを問題視するということは有り得ないからです。
したがって、強制しようとする側には、全く「思想・信条の自由」を侵したという「意識」は皆無でしょう。
(逆に強制されると受け止める側は、百パーセント「思想・信条の自由」を侵されたと感じるでしょう。賛否の間に、物凄い認識のギャップがあるわけです。)
では、なぜ強制しようとするのか?
これは、もともと日本の教育のあり方に原因を求めることができると思います。
例えば、江戸時代の新井白石の「教えて治にいたる」という言葉や、石田梅巌の「形は直に心なりと知るべし」という言葉があります。
また、「守・破・離」という言葉にもあるように、日本の教育というのは、まず「形」から入ります。
なによりも「形」重視なんですね。
ですから、強制を反対する人の中には、「偽物の愛国心」だとか「形だけの愛国心」だという批判をする人もいるわけですが、これは当然のことで仕方のないことなのです。とりあえず「形」から入ることが大事なのですから。
そうした「形」から入るという教育を受けることで、自然と集団になじんでいく。
日本人というのは、口ではなんと言おうと個人主義で行動しておらず、「和」を基にした集団主義の行動原理で動いています。
この辺りの説明については、岸田秀と山本七平の対談を参考にしてもらえば、よく理解してもらえると思うので、以下過去記事↓を参照してください。
・日本人の組織とは?
さて、そのような日本の教育の在り方を当然と考える人たちから、強制反対派の方々の主張を見てみると、ワガママ言っているようにしか見えない。
個人主義が、単なる利己主義に見えてしまうわけです。
そして、その行為が、組織の「和」を乱し、組織やコミュニティを損なうものと受け止める。
大多数の日本人は「形」から入る教育を当然視していますから、強制反対派の主張に反発します。
そしてそのことを、強制反対派の人間は、「右傾化」や「戦前回帰」だと受け止めてしまう。
誤解が誤解を呼んでいるようなものかも知れません。
しかしながら、今まで述べたように、これは「教育のあり方」から発した誤解であって、「思想・信条・内心の自由」の問題ではないことは明らかです。
ましてや、右傾化とか戦前回帰と受け止めることは明らかに間違いで、単なる「利己主義」に対する反発と見るのが妥当でしょう。
結局のところ、私が強制反対派の人たちにお願いしたいのは、「強制」自体を問題視するのではなく、「形」重視の教育のあり方が原因なのだということに気付いて欲しいということですね。
そして、問題視するならばそうした教育方法であって、強制そのものではないということを理解しない限り、この問題はいつまでたっても堂々巡りに終わるのではないでしょうか?
現状のままでは、多分、強制反対派の意見というのは、反発を招くだけの結果に終わるんじゃないかと思います。
【追伸】
以前はこうした視点に気付かず、感情的に攻撃的に鬱憤を晴らすような記事を書いていたのですが、なぜなのか自分で解釈できるようになった今では、昔ほど強制反対派に対する反発を感じなくなりました
これも、そうした視点に気付かせてくれた山本七平や岸田秀のおかげですね。
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