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観劇レビュー&旅行記

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映画 【新宿インシデント】

2009年5月18日(月)

 この映画を見たのは、ゴールデンウィーク冒頭・5月1日の、
何でも1000円で見られるファーストデイスペシャルである。
 そうでないと、この手の映画は見なかっただろう。
 以下は、感想と言うよりは、「こういう映画も見た」 という記録に過ぎない。

 中国と日本のマフィアの抗争に巻き込まれる新宿の中国人コミュニティを描いた
いわば『ヤクザ映画』である。

SinjukuIncident003.jpg

 ジャッキー・チェンが主役であるが、この映画の中では 『スーパーヒーロー』
でもなく、カンフーの達人でも無い。

 恋人を追って新宿に来たうだつの上がらない気の小さい中年男を演じている。

 彼が頼った「中国人コミュニティ」自体はマフィアとの関係がない、零細な飲食店などで
生き繋いでいる貧しくも心優しい人々である。

 その中年男が、マフィアの抗争に巻き込まれてゆく中で次第に強くなってゆく
という、まあ、ありそうなストーリー展開だった。

 私的には、いわゆる「ヤクザ映画」としか見られず、中でも中国マフィアの暴力の
凄まじさをこれでもかこれでもか!と見せて行くので、これでは新宿繁華街から
逃げて行く人々(来客)が増えるのではないかと思ってしまった。

 また、「中国人は野蛮である」との偏見を映画の観客に与えるのではないかと危惧する。

 それほど、凄惨な描かれ方をしているのである。
映画の観客は、これが新宿の裏社会の本当の姿だと思うだろうし、私もそう思った。

 新宿だけに限ったことでは無いのだろうが、東京に行っても新宿歌舞伎町界隈には近寄るまいと思うのは私だけだろうか・・・


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裁判員制度の問題点をえぐった特別ドラマ 【家族】 

2009年5月18日(月)

裁判員制度特別ドラマ 【家族】 
  その時あなたは死刑宣告できますか?


 が、今終わった。

サブタイトルは、
 【認知症老女殺人事件容疑者の自白は事実?
    マスコミ報道が事実?裁判員はどうする?」】


ドラマは、始まって間もなくから、『裁判員制度』 の重大な問題点を次々と明らかにする。

① 争点整理
 まず、取り上げられたのは、裁判官・検察官・弁護人によって行われる『争点整理』である。
 これは、裁判員の負担を減らすという口実で、裁判員が評定する事実を事件の極一部に限定してしまうというものである。
 ドラマでは、「強盗殺人」を認めてしまっている被告の
 【『殺意』があったかなかっただけを裁判員が判定する】というもので、
 その被告が真犯人なのか?
 犯行の動機は何か?
  など、事件の根幹については、裁判員の判断を求めない。
 と言うものである。

SaibaninDrama-gallery5b.jpg
  (公判廷終了後、裁判官と裁判員が協議するが、裁判長が強引に指導する)

② 裁判長による強引な運営
 次に、①にも通じるものだが、『争点整理』として専門家が定めた『争点』以外の疑問点を問い質そうとする裁判員の質問をさえぎり、「それは裁判員が判断する内容ではない。」とした。

③ 裁判員の質問内容に枠を嵌める
 検察官が裁判員が行っている質問に異議を述べ「裁判員は、検察官か弁護人のような質問をしている」と、強弁する。 裁判員は、検察官や弁護人が事前に調整した『争点整理』を超える質問をしてはいけないような考えである。
 これに対して 「これでは、一般人の常識を裁判に反映するという裁判員制度の精神に反するのではないか」と裁判員が異議を申し立てたのは当然である。

SaibaninDrama-gallery4b.jpg
  (公判廷では、裁判官と裁判員は並んでいるが、自由な質問は許されない)

④ 裁判官・検察官・弁護人の敷いたレールの上を走らされただけか?
 ドラマの中で、裁判の協議の終盤になっても裁判長が強引に裁判指導をするので、裁判員から「レールの上を走らされただけか?」という発言が出される。
 そして、別の裁判員からは、「裁判結果が後で問題になった時に、市民の裁判員も入って決めたこと、と責任回避をするためではないか」とズバリと発言する。

 他にも幾つも問題点を抉り出していたが、このように、このドラマは「裁判員制度」が持つ重大な欠陥を明確に炙り出した点で時機を得た立派なドラマであった。

俳優陣も好演

 被告役の笹野高史さん、被害者の息子を演じた西村雅彦さんの適切な演技(単なる熱演と言うものではない抑えた演技)もこのドラマの重さを伝える大切な役割を果たしていた。

谷口みな子(大塚寧々)のようには、積極的な発言は実際には難しい

 裁判員の一人を演じた大塚寧々さんの役柄としての奮闘振りも特筆する内容ではあるが、余程肝の据わった且つ何らかの社会的活動をやっているような人でないと、裁判長の強引な裁判指導に抗して、あそこまで積極的に発言できる人は居ないと思う。
 ドラマの中の描き方では、谷口みな子 (大塚寧々) は、裁判長の『裁判指導』に「納得できない」と発言し、裁判長の制止も振り切って、裁判長や検察官、弁護人を圧倒する迫力(しかし、落ち着いた抑えた質問の仕方)で裁判を取り仕切っていたようにも見えたが、有り得ないことだと思う。
 他の5名の裁判員も、初めは投げやりな態度の人もいたが、谷口みな子の勇気ある態度に接して行く中で、この裁判員裁判の異常さを積極的に指摘するようになってくる。

 “一般人”の裁判員では、裁判長によるドラマのような裁判指導があれば、黙ってしまうであろう。
そこは、裁判員制度の問題を浮き立たせるためのドラマならではの演出と言うことができる。

SaibaninDrama-gallery2b.jpg
  (谷口みな子 [大塚寧々] は、自ら感じた疑問を質問するが度々の妨害に会う)

裁判員の職業配置

 ドラマでの裁判員の職業も良く考えられた選定であった。
喩え法律で決められた制度による休暇であっても、何日も休めば解雇されかねない「非正規労働者」、リストラを業務として行わざるを得ない管理職、介護するべき親を抱えてながら仕事もこなしている女性など、それぞれの裁判員制度に対するスタンスの大きな違いも含めて絶妙な配置である。

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