2010年2月13日(土)
現在ツアー中の劇団「四季」ミュージカル【はだかの王様】に関連して、 劇団「四季」公式ブログに 寺山修司の台本について解説があったので、 引用します。
1964年に最初の公演が行われた作品で、寺山修司氏がまだ劇団「天井桟敷」を 立ち上げる前のことだったそうです。
劇団「四季」公式ブログ
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先月に全国ツアーへと出発したミュージカル『はだかの王様』。 「はだかの王様(原題:「皇帝の新しい服」)」と言えば、デンマークの童話作家アンデルセンが作った物語です。幼いころ、あなたも読み聞かせてもらったのではないでしょうか。
劇団四季が今、日本中の子どもたちにお届けしているこのミュージカルは、あの懐かしい本の世界をさらにユーモアたっぷりに描き、リズム良い歌とダンスを織り混ぜ舞台へと立体化させたものです。 台本を書いたのは寺山修司。詩人に小説家に演出家、映画監督に評論家などいくつもの顔を持ち、そしてあらゆるジャンルにおいてその才能を多分に発揮した芸術家です。 ミュージカル『はだかの王様』の中に散りばめられた寺山流のユーモアとは――? それを探るためにまず台本を1ページめくってみると、さっそく心がくすぐられる寺山らしい“ことば遊び”が見えてきました。
『はだかの王様』の上演台本
1ページ目に記されているのは登場人物の一覧表。
主人公「王様」に続いて「王妃 パジャママ」と書かれています。その隣は「王女 サテン」。続いて「王女の恋人 デニム」「外務大臣 モモヒキ」「内務大臣 ステテコ」「戦争大臣 ブルーマー」・・・。 その後も「ペテン師 スリップ」「ペテン師 スリッパ」など、洋服や衣裳の素材をもじった名前が続きます。
アンデルセンの原作には、登場人物の名前は特別記されていません。しかし寺山はすべてのキャラクターに個性豊かな名前を与えるとともに、一人ひとりの役どころを詳細に描きました。 例えば大臣のステテコとモモヒキ。ふたりはいつも一緒にいて、今はもう老人ですが元々は幼馴染。家来の中でも特に王様に忠実で、王様がいつも気分良く衣裳を着ていられるように、巧みな褒め言葉を送ります。 そんな彼らは見えない洋服を「見える」と嘘をついてしまいますが、一度ついた嘘を今さら撤回できない、でも「見える」と言っているうちに段々見えてきたような気がしてくる・・・。そんな揺れ動くふたりの心理、大人ならきっと分かってしまうのではないでしょうか。 寺山がこうして新しい命を吹き込んだキャラクターたちは、皆、愛嬌があり、童話の世界とはひと味もふた味も違う人間らしさがにじみ出ています。 また彼らが発するセリフの中にも多くの寺山イズムを見ることができます。
ステテコとモモヒキが王女サテンに衣裳の進行具合を尋ねられた時。 「どう?どんなふう?」「色は?」「失敗しそうな気配はないの?」「もっと話してくれないの?」と詰め寄るサテンに衣裳が見えないふたりは、こうはぐらかします。 ステテコ 「何しろ私は夢の途中だもんで・・・」 モモヒキ 「夢の中に人を待たしているんでございますよ」
と、こんな風になんともおしゃれで気の利いた言い訳を言いながら、その場から逃げ去るのです。 それから物語の最後。 「やっぱり見えないものは見えないのさ」と勝ち誇ったように宣言する子どものホックに対して、老人のアップリケはこう指摘します。
「でもねえ、ホック。あの幸福ってやつは見えないものなんだからね」
このアップリケのセリフにより、「真実を伝える勇気」を説いている原作のメッセージから、「本当の幸せとは」という、さらに大きなテーマを観る者に問うのです。
しかし、寺山が本の中に仕掛けた斬新なアイディアで最も大きいことと言えば、芝居の進行役、アップリケとホックの存在でしょう。
劇団四季の俳優に、寺山修司を良く知る人物がいます。現在『人間になりたがった猫』でスワガード役に出演中の牧野公昭は、四季に入団する以前に寺山修司が主宰した劇団「天井桟敷」に所属。 牧野は『はだかの王様』について、“寺山らしさ”が最も色濃く表れているのが、お客様を舞台に参加させたことだと話します。 芝居が始まる前に、物語の進行役であるアップリケとホックが登場して客席に向かって「幕をあけよう」という歌を教え、その歌を舞台と客席みんなで歌うことで芝居が始まるのです。
そしてお客様を舞台に参加させるのは物語の終盤にも。アンデルセンの原作では、小さな子どもが「王様ははだかだ」と叫ぶとありますが、寺山はこのセリフを客席の子どもたちに言わせました。そのために第2幕の始めに、アップリケとホックが「王様ははだかだ」の歌を客席に教えるひとコマがあります。
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【はだかの王様】 公式サイト
【はだかの王様】 公式ブログ
【公演スケジュール】 (クリックで拡大します。 上下2分割となっています。)
上のスケジュールには、学校貸切公演は入っていなくて、実際にはもっと混み合った 日程での公演(昼・夜公演もあるとのこと)を劇団員は、こなしているそうです。
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