正月7日は、午前中「歌舞伎座」第一部。夜は「新ばし 笹田」へ。
コロナ感染もあって年末までの外食予定は全てキャンセルしてしまったのだが、年明け7日までには全快しているだろうし、旨いものを食べたいなという事で、去年中に入れた「笹田」の予約はそのままにしてあったのだ。
早めの時間に入店して笹田ご夫妻にご挨拶。年末はコロナでおとなしく自宅に居たというと驚かれる。昨今の景気など聞きながら、羽前白梅を貰って始めてもらう。店は6日から今年の営業を始めたそうだが、魚河岸にはまだまだ魚が揃っていないとの事。寿司屋もまだ開いてないものなあ。
最初は小さな器で供される京風の白味噌雑煮。500円玉くらいの小さな餅や海老芋が入っている。器の蓋を取るとパラリと振られた削りたてカツオ節の良い香りが立ち上がる。嗅覚障害が出なくて良かった。白味噌はとても濃厚な旨味。
越前ガニのほぐし身が小さな器で。越前ガニは12月に入ってから値が跳ね上がったのだとか。香箱ガニも随分な値段になったらしい。年が明ければ少しは落ち着くというのだが。
お酒は「醸し人 九平治」に変更。トラフグの白子焼きは香ばしい香り、皮はパリッとして中身は濃厚な旨味がトロリ。実に美味なり。フグの白子は年明けからどんどん大きくなってくる。
合鴨のローストを薄切りにして。辛子は2種類添える。今年は帰省していないし、正月らしい正月ではなかったから、お節の一品みたいな感じで結構ですな。
定番の、壬生菜と油揚げの炊き合わせも、胡麻がアクセントで香りよく、何時もながらほっとする味。しかし家庭の鍋一丁では簡単にこの味は出ない。
お造りは、鯛 マグロ、アジ。鯛は皮目を湯霜にしたものと皮なし両方。鯛は身肉と皮目に上質の旨味がある。マグロは気仙沼。サラリとした旨味。天草根付きのアジは小型だがよく脂が乗っている。
お椀はクエと湯葉。出汁の香り良し。クエは年末に入れて寝かせたものと思うが、雑味なく実に淡白な軽い旨味。湯葉は、ああこれが湯葉だったと感じる大豆の香りと風味がする。
焼き物は、琵琶湖産もろこの山椒焼き。淡水の池によく居る小魚であるが、中骨を綺麗に取って焼き上げると実に野趣あふれる香ばしい香り。身肉は白身で癖がなくあっさり。山椒が効いている。
煮物は、これまたこの店の冬の名物、京野菜のおでん。鳥皮に自家製のさつま揚げ、半熟のうずら卵、聖護院大根、海老芋、京人参。どれも出汁を含んでこっくりと炊きあわされて同じ器の中でハーモニーを奏でる。前の場所で店を出した時から定番の冬のメニュー。冬には実に旨い。
ここでほうじ茶が出て食事に、「七草粥とご飯とどちらにしますか」と聞かれる。どちらも良いなと考えあぐねていると、「半分ずつ両方お出ししましょうか」との事なので両方貰う事に。笹田はいつも客の心を見計らっている。
春の七草粥は正月の疲れた胃を休める効能があるというが、米の甘味と七草、そして調味は塩だけで実に滋味深い粥になる。笹田氏も大好きなのだとか。七草もそんな大量ではなく、上品に香りと苦味つけに入っているだけ。微妙な塩加減が絶妙尾なんだろうなあ。
お新香にワサビ漬け、牛肉の佃煮、ちりめん山椒、赤出汁で炊き立てのご飯も一膳。お粥もいいけれど、炊き立てつやつやのご飯も最高だ。
煎茶が出て最後の甘味はこれも定番の冷製の白玉ぜんざい。甘いものは食さないが、これは甘さよりも豆の旨味を感じる逸品。
年末から正月にかけロクな物を食していなかったので胃もびっくりしたんじゃないかな。何から何まで旨かった。キャビアだフォアグラだトリュフなど、和食として珍奇な素材を料理に持ち込むケレンは一切ない。ご主人の人柄が出た真面目な料理。素晴らしかった。
笹田ご夫妻の見送りを受けて店を去る。去年は鮎も鱧も松茸もすっ飛ばしてしまったが、今年はもっと来なければ。
コロナ感染もあって年末までの外食予定は全てキャンセルしてしまったのだが、年明け7日までには全快しているだろうし、旨いものを食べたいなという事で、去年中に入れた「笹田」の予約はそのままにしてあったのだ。
早めの時間に入店して笹田ご夫妻にご挨拶。年末はコロナでおとなしく自宅に居たというと驚かれる。昨今の景気など聞きながら、羽前白梅を貰って始めてもらう。店は6日から今年の営業を始めたそうだが、魚河岸にはまだまだ魚が揃っていないとの事。寿司屋もまだ開いてないものなあ。
最初は小さな器で供される京風の白味噌雑煮。500円玉くらいの小さな餅や海老芋が入っている。器の蓋を取るとパラリと振られた削りたてカツオ節の良い香りが立ち上がる。嗅覚障害が出なくて良かった。白味噌はとても濃厚な旨味。
越前ガニのほぐし身が小さな器で。越前ガニは12月に入ってから値が跳ね上がったのだとか。香箱ガニも随分な値段になったらしい。年が明ければ少しは落ち着くというのだが。
お酒は「醸し人 九平治」に変更。トラフグの白子焼きは香ばしい香り、皮はパリッとして中身は濃厚な旨味がトロリ。実に美味なり。フグの白子は年明けからどんどん大きくなってくる。
合鴨のローストを薄切りにして。辛子は2種類添える。今年は帰省していないし、正月らしい正月ではなかったから、お節の一品みたいな感じで結構ですな。
定番の、壬生菜と油揚げの炊き合わせも、胡麻がアクセントで香りよく、何時もながらほっとする味。しかし家庭の鍋一丁では簡単にこの味は出ない。
お造りは、鯛 マグロ、アジ。鯛は皮目を湯霜にしたものと皮なし両方。鯛は身肉と皮目に上質の旨味がある。マグロは気仙沼。サラリとした旨味。天草根付きのアジは小型だがよく脂が乗っている。
お椀はクエと湯葉。出汁の香り良し。クエは年末に入れて寝かせたものと思うが、雑味なく実に淡白な軽い旨味。湯葉は、ああこれが湯葉だったと感じる大豆の香りと風味がする。
焼き物は、琵琶湖産もろこの山椒焼き。淡水の池によく居る小魚であるが、中骨を綺麗に取って焼き上げると実に野趣あふれる香ばしい香り。身肉は白身で癖がなくあっさり。山椒が効いている。
煮物は、これまたこの店の冬の名物、京野菜のおでん。鳥皮に自家製のさつま揚げ、半熟のうずら卵、聖護院大根、海老芋、京人参。どれも出汁を含んでこっくりと炊きあわされて同じ器の中でハーモニーを奏でる。前の場所で店を出した時から定番の冬のメニュー。冬には実に旨い。
ここでほうじ茶が出て食事に、「七草粥とご飯とどちらにしますか」と聞かれる。どちらも良いなと考えあぐねていると、「半分ずつ両方お出ししましょうか」との事なので両方貰う事に。笹田はいつも客の心を見計らっている。
春の七草粥は正月の疲れた胃を休める効能があるというが、米の甘味と七草、そして調味は塩だけで実に滋味深い粥になる。笹田氏も大好きなのだとか。七草もそんな大量ではなく、上品に香りと苦味つけに入っているだけ。微妙な塩加減が絶妙尾なんだろうなあ。
お新香にワサビ漬け、牛肉の佃煮、ちりめん山椒、赤出汁で炊き立てのご飯も一膳。お粥もいいけれど、炊き立てつやつやのご飯も最高だ。
煎茶が出て最後の甘味はこれも定番の冷製の白玉ぜんざい。甘いものは食さないが、これは甘さよりも豆の旨味を感じる逸品。
年末から正月にかけロクな物を食していなかったので胃もびっくりしたんじゃないかな。何から何まで旨かった。キャビアだフォアグラだトリュフなど、和食として珍奇な素材を料理に持ち込むケレンは一切ない。ご主人の人柄が出た真面目な料理。素晴らしかった。
笹田ご夫妻の見送りを受けて店を去る。去年は鮎も鱧も松茸もすっ飛ばしてしまったが、今年はもっと来なければ。