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石田明生

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2023年年初め
1月1日(日) 快晴
 ゆったりとした遅い朝食後、初詣に出かける。喪中にある者神社は良しとせず、例年の氷川神社を避けて、近くの薬王院という寺に向かった。歩いて15分のところにあり、長くこの地に住んで、横目で見ながらお参りしたことはなかった。
 年寄りて祈りはひとつ初詣 (毎年いろいろなことを祈っていたが、ひとつだけ「病気を抱えるのは仕方ないが、元気でいたい」と祈った。それでも虫が良すぎるか。
 元日から店を開いているスーパーに立ち寄り、焼き豆腐、春菊などすき焼きの具を買い、帰途につく。
 快晴の空も、靄がかかっていたのか、富士山の姿はかすかに見えただけだった。
 すき焼きは、ニューイヤー・コンサートを見ながらいただいた。今年の演目は、ほとんどヨハンの弟ヨーゼフの作品を演奏していたが、それはコンサート始まって以来のことらしい。とはいえ、「青きドナウ」と「ラデツキー」はアンコールでしっかりと演奏された。
 我が家恒例の百人一首は、さんざんな目にあった。たった、25枚しか取れなかったのだ。多分過去最低の記録となっただろう。これも人生、あとのあまりない人は勝負にこだわらなくなるものだ。

1月2日(月) 快晴
 昨日もそうだったが、早起きの習慣は変わることがない。今朝は朝食前に、芥川全集(岩波書店)の第5巻を手に取り、「一茶句集の後に」と二篇の短編小説を読んだ。

「一茶の句境未この醍醐を知らず。予の慊焉たる所以なり。」(p.303)

 これは、芭蕉との比較の末(注)、生まれた感想だと述べている。さもあらん。

注) 名月や池をめぐりて夜もすがら(芭蕉) に対して、一茶の「名月や江戸のやつらが何知って」を比べている。

 俳句の好みは人それぞれだが、彼(芥川)は己が句作りを「悲にあらず、喜にあらず、人天相合する處、油然として湧く事雲の如き、無常の法味を嘗めんが為なり」と言い放つ。
 誠に、軽佻浮薄にて駄句を弄んでいる我が身が恥ずかしい。人の器は年月にあらず、とあらためて納得するに至る。それでも、「法味」とは縁のない句を今日もひねり出している。凡夫の悲しさか。


日常スケッチ | 22:25:55 | Trackback(0) | Comments(0)