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石田明生

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最近の映画五つ
Tout s’est bien passé 『すべてうまく行きますように』フランソワ・オゾン監督 (原題は過去形になっている「すべてうまくいった」)

Benedetta『ベネデッタ』ポール・ヴァーホーベン監督

Une belle course『パリタクシー』クリスチャン・カリオン監督 (原題は「たっぷりのタクシー料金」)

Ilusions perdues『幻滅』グザヴィエ・ジャノリ監督

Un beau matin『それでも私は生きて行く』ミア・ハンセン=ラヴ監督 (原題は「ある朝、ある日」の意)

 上にあげた映画は3月から昨日(5月12日)までに観た作品だ。共通しているのはすべてフランス語作品だったということだけ。Benedettaだけは、イタリアが舞台で、時代背景は中世。ある修道院に起こった(とされる)事件をもとに作られたそうだ。Ilusions perduesは有名なフランスの文豪バルザックの小説を映画化した作品。時代は19世紀初め、革命後の王政復古の頃で舞台はパリ。詩人として身を立てたいと田舎からやってきた青年ルシアンの野心と挫折の物語だ。
 残りの3作品はすべて現代、しかも現代がまさに直面している問題を一つは直球で、後の二つは変化球で表現している。Tout s’est bien passé 「すべてうまく行きますように」は、ズバリ「安楽死」の問題を取り上げている。監督(オゾン)がこの映画を作った後、かのジャン=リュック・ゴダールがまさにこの映画のようにスイスで安楽死を選んだのは記憶に新しい。マクロン大統領も、国家としてこの問題を取り上げる決心をしたと述べている。Une belle courseもUn beau matinも人生の最後という厳粛かつ重大な問題を扱っているのは同じだが、前者は軽やかに笑いを交えて描いているのに対し、後者は重心をその娘の生活に置きながら、認知症・高齢者施設の問題を描いている。どちらの映画もそれぞれの味わいがあり、佳作と言えるだろう。

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映画評 | 17:02:28 | Trackback(0) | Comments(0)