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石田明生

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『小娘アネット』
 スウェーデンの民話学者アンナ・ビルイッタ・ルース女史は、今はやりの言葉で言えばまさに民話学のレジェンドと言えるでしょう。山室静氏の著『世界のシンデレラ物語』(新潮選書)を参考にして、女史の研究のさわりだけ見せてもらいましょう。
 彼女は世界中のシンデレラ話のモチーフを調べ上げて、ABCに分けていて、Bを典型的なシンデレラ話としています。そのモチーフは大体次のようです。
1. 継母といじめ
2. 超自然的援助者(母の霊、母代りの妖精、聖母)
3. 王子との出会いと靴もしくは指輪の持ち主探し
4. 結婚
5. 継母とその娘たちの処分
これから紹介しようとしているフランス、ブルゴーニュの民話は、ルース女子によると、A型に属するもので、B型になる以前の素朴なストーリーとなっています。
1. 継母といじめ
2. 超自然的な援助者と食料を与える動物(雄牛・牝牛、羊など)
3. 動物の殺害とその動物の内臓などの埋葬とそこから生える木
4. その木の果実を摘めることが花嫁の条件
5. 結婚
ちなみに、AとBの複合体もあるそうで、山室氏によれば、AとBが時代とともに合体したと言うよりもむしろその逆で、別れて純化し、B型ができたのではないかと、女史の説を紹介しています。
 最後にタイプC型は、主人公が男性となるもので、日本の『灰坊』が挙げられていますが、女史は日本の民話は参考にしていないとも述べております。

・・・小娘アネット・・・

 昔、十五歳で母親を亡くした娘がおりました。父親は翌年、ある寡婦と再婚しましたが、彼女には三人の娘がおりました。この三人ときたら仕事も手伝いもなにもせず家でぶらぶらしておりました。一方、小娘のアネットは一日中外に出て羊の番をしていました。夕方家に帰ると、休む間もなく皿洗いをさせられました。お皿を汚したのはアネットでないにも関わらずです。というのも、娘は決してお皿で食べさせてもらえなかったからです。毎朝ポケットにちっぽけなパンのかけらを入れて出かけ、家に戻らず、野原で食べていたからです。継母が丸パンから切り分けてくれた分はほんのわずかでしたので、哀れな娘はいつもお腹をすかしていました。

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翻訳 | 11:34:04 | Trackback(0) | Comments(0)
シャルル・ペローの「サンドリヨン」
 フランスの文学作品として最も有名なのは、なんと言ってもシャルル・ペローの『サンドリヨン・・・または小さなガラスの靴』ではないでしょうか。日本ではディズニーのアニメから輸入されたためか「サンドリヨン」の英語名「シンデレラ」で親しまれています。いずれにしても、意味は「灰かぶり娘」です。しかし、「シンデレラ」の作品は人口に膾炙していても、作者のペローを知っている人は、筆者の知る限り、悲しいほど限られています。それはとても残念です。なぜなら、世界中にいわゆる民話として「シンデレラもの」が普及している中で、ご存知のようにあれほどファンタジーあふれる美しい作品に仕上げたのはペローの『シンデレラ』以外にはないからです。

Charles ペロー
バリの中心、テュイルリー庭園内にあるペロー像・・・右下にいるのは「長靴を履いた猫」


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文学雑感 | 17:11:16 | Trackback(0) | Comments(0)
毎日新聞、経済面
 ずっと以前から(40年くらい前から)毎日新聞を取っている。休刊日以外は毎朝新聞を読むのが楽しみの一つだ。料理の紹介から、投書欄、スポーツ面から将棋欄、連載小説まで、可能な限りつぶさに読んでいる。が、ある一面だけはほとんどすっ飛ばしてしまう面がある。恥ずかしいことに、それは経済面だ。本当は経済のこと、諸会社のことを知らねばいけないのだろうが、株価の欄とともにどうしてもなじめない。株のことなど僕の生活の範疇にないくらいだ。だから、一生貧しいのかもしれない。
 ところが、今朝いつものように新聞を開いてみたら、驚いたことに経済面が見当たらない。第2面第3面の次は大抵経済面なのだが、「総合」という面が来ていて、次に国際面となっている。経済面がないのだ。もともと関心のない面だからなくてもどうでもいいのだが、ないとなると気になる。はて、いつからないのだろう。さっそく、昨日以前の新聞の山を調べてみると、5月3日からなくなっていた。どうしてだろう。新型コロナの蔓延、その結果の緊急事態宣言、自粛、経済活動縮小からきているのだろうか。
 不思議なことだ。
 どこかに理由を掲載しているのだろうか。

付記 今朝の朝刊・・・経済面が復活(5月8日)

日常スケッチ | 09:15:18 | Trackback(0) | Comments(0)