投稿日:2008-02-27 Wed
英語はフランス語よりもアルファベットの省略が好きかもしれない。たとえばテレビがそうだ。英語ではTV と省略される。フランス語では前にも書いたが、télé と言う。télé は「遠」を表す接頭語だから、フランス人は「遠」というだけでテレビを意味していることになる。その点、日本語の「テレビ」のほうが、内容を明快に示しているようだ。というのは、「テレビ」は television(フランス語も同じだが télévision)と綴る、vision(視)に「遠」の接頭語が付いた合成語だから、単語の切れ目が tele と vision の間にあるのは当然として、vi と sion で切ることもそれほど無理がない。しかもvi だけで「視」を予想させるから、テレビ televi. になれば必要十分な情報量を持つからだ。
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投稿日:2008-02-22 Fri
昨日、かつて使用していたフロッピー・ディスクを整理していたら、8年前の日誌が出て来ました。題して「ハムスター日誌」。我が家が初めてペットを飼ったとき、なんだかハムスターになった気分でつけた日記です。捨てるのも惜しいので、恥ずかしながら、ここに連載します。『ハムスター日誌』
1. ぼくがシピオンさんの家にもらわれたこと
ぼくがこの家に来たのは、ひとがゴールデン・ウイークと呼んでいる五月の初めだった。その日はまったく目の回るような忙しさだった。小学生の女の子と一緒に車の後ろの座席に乗せられ、えんえんとどこかに向かっていった。

ぼくの写真
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投稿日:2008-02-18 Mon
バソコンは英語で言うと PC ということになるだろう。なんの実体も喚起しないアルファベットの頭文字とは寂しい気がするが、いつも使っている人にとっては、そんなことはないのだろうか。この「PC」、最近日本語でも使われつつあるが、どちらかと言うと書き言葉のような気がする。会話で「君のPCはなに?」というよりは「君のパソコンはなに?」と言っている。しかしメールなどでは「僕のPCが壊れてね」というように書かれている。このアルファベットの頭文字「PC」が、英語圏の人のように Personal Computer の「PC」ではなくて、「paso con」とローマ字で書いたときの頭文字ならばおもしろいのだが・・・
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投稿日:2008-02-17 Sun
2月17日(日)晴今日もピピ・カカ夫婦がやって来た。

「さあ、食事にしましょう」「うん、食べよう」会話する夫婦メジロ

食欲旺盛だ。同時に餌をついばむ夫婦メジロ
やっと、ピピ・カカのツーショットが撮れた。夫婦とはいえ、意外と一緒に食事をしないものだ。
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投稿日:2008-02-15 Fri
パリ旅行の際、必ず行くところがある。「カルナヴァレ美術館」「フナック fnac」「BHV」「ジョルジュ・ブラッサンス公園の古本市(土・日の午前中)」「蚤の市」、無料の日に当たれば(毎月第一日曜日)ルーヴル美術館だ。
かつての貴族街、マレー地区の「カルナヴァレ美術館」は、ルネッサンス様式の美しい館だ。もとは「ケルヌヴォワ Kernevoy」夫人の名前を冠していたのだが、音がなまり、Carnavalet 館となったらしい。だから、直感的に浮かぶ「カーニヴァル carnaval」とはなんの関係もない。この館が有名になったのは、もちろん美しい外観内観もさることながら、なんといっても17世紀にセヴィニェ Sévigné 侯爵夫人がここに住み、サロン文学の花を咲かせたことによる。

カルナヴァレ美術館「閨房」18世紀

セヴィニェ侯爵夫人
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投稿日:2008-02-14 Thu
2月14日(木)快晴、風聖バレンタインの今日もピピ・カカ夫婦はやってきて、ミカンを食べていた。彼らにとっては、チョコレートよりもミカンだ。夫婦並んだところを写真に撮りたいのだが、なかなかひとところで一緒にならない。
ヒヨドリの姿が今日は見えない。彼にも名前をつけなくては、と思っているのだが。
さきほど、ぼんやりと19世紀パリの年表を見ていたら、次のような項目に目が止まった。
1857年 グザヴィエ・リュエル Xavier Ruel による「BHV (Bazar de l’Hôtel de Ville)」の創設・・・公然とカフェで喫煙する習慣の普及。『パリのカフェ史』の著者が次のように書く。「葉巻とパイプ、蔓延す」
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投稿日:2008-02-11 Mon
話がだいぶそれてしまった。ワンルーム・マンションのことだった。こういうひと部屋のマンションをフランスでは、「スチュディオ studio」と呼んでいる。原語を見ればお分かりのように、英語や日本語ではこれは「スタジオ」で、マンションとはほど遠い、仕事場、放送室のことだ(フランスのスチュディオにもスタジオの意味もあるが)。「アパマン情報」という雑誌があるが、あれはきっと「アパート・マンション」の省略語にちがいない。まさか「アパルトマン」の縮小ではないだろう。だが、アパートが死語になれば元の意味が分からなくなるかもしれない。アパートが前回にあげた「半ドン」並みの死語になるにはまだまだ相当の時間がかかるとは思うが。
ところで、この縮小語というのが日本の外来語受容史の中で独特の位置を占めている。時代の流れとともに、情報をなるべく短い時間に大量に送る必要に迫られれば、どうしても縮小・省略語が多用されることになる。
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投稿日:2008-02-10 Sun
2月10日(日)夕べの雪で白くおおわれた餌台にミカンを置き、枝にパンを刺した。もう慣れたもので、すぐにヒヨドリが飛んで来て、枝に舞い降り、パンをついばんだ。このヒヨドリ、いつものだろうな、まだ名前がない。

ヒヨドリ
すると、後を追って来たかのようにピピ・カカ夫妻が餌台に降り立った。今度はミカンだけでなく、パンのかけらもついばんでいる。
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投稿日:2008-02-07 Thu
2月7日(木)今朝もメジロ君がやって来た。しかも、部屋からなるたけ大きく写真におさめようと、窓の近くにミカンを置いといたのだが、そこにやって来た。さあっ、シャッター・チャンス。

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投稿日:2008-02-06 Wed
だから、アバルトマンはあくまで集合住宅の中の各住居を指し示す語で、その集合住宅の建物全体を意味していない。マンションなどの建物をフランス語で「イムーブル immeuble」 と言う。この言葉に対応する日本語がない。日本では「アパート」「マンション」が二重の意味を持って獅子奮迅の活躍をしている。つまり、「家の前にマンションが建った」と言うときの「マンション」は immeuble の意味で、「5千万でマンションを買った」時の「マンション」はアパルトマンの意味だ。マンションをアパートに置き換えても同じだ。断っておくが「ビル」とは違う。ビルは建物の意で集合住宅とは限らない。
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投稿日:2008-02-06 Wed
さてだいぶ横道にそれてしまった。軌道修正しよう。また、定着したかどうかわからないので上に挙げなかったが、バブル時代の不動産屋さんが物件を豪華に示すために用いた「メゾン maison 家」「ヴィラ villa 豪華な別荘」「シャトー château 城」というフランス語もおもしろい。これを僕は言葉のインフレーションと呼んでいる。どんどん言葉だけ豪華になる現象だ。
これは社名だが、「セ´ザール César カエサルのこと」という、ご丁寧にアクサン記号までカタカナ表記にほどこした会社まで現れた。しかしもっとビックリしたのは、建売り住宅のことを「プレタメゾン」と和製フランス語を使って売り出したことだ。もちろん高級既製服「プレタポルテ」のノリだろうが、この言葉のインフレにはバブル時代の凄さが感じられる。prêt à porter とは「着る(porter)用意のできた→既製服」の意味だが、prêt à maison となるとどうなるのか。
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投稿日:2008-02-06 Wed
2月6日(水)ついに、ついに待ちに待ったことが起こった。昨年暮れに作った餌台にメジロのつがいが舞い降りて、餌をついばんだのだ。
さあ大変!!!
カメラ、三脚をあわてて設置する。なにしろ、小さなメジロだから、ズームでとらなければ見えない。こんな写真になった。

白い目がかわいい(拡大するとわかります)
今日はいいことあるかな。
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投稿日:2008-02-05 Tue
それではフランス語から日本語になった外来語はどんなものがあるだろうか。この問いかけを時々学生たちにすることがある。すると、かえって来る答えはだいたい最近入ってきた新米外来語に限られる。たとえば、「パティシエ」「コンシエルジュ」「ショコラ」などなどだ。このような新参ものの外来語は以前からあった外来語と壮絶な戦いをする場合がある。
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投稿日:2008-02-04 Mon
前回、スウドクについての記事の注で外来語のこと、特に –ing 形の乱用のことに少し触れた。やたら外来語を使う文章や会話になじめないし、なじみたくないというのが本音だ。可能ならば日本語で表現した方がいいと思っている。そういう意味で、僕はひどく保守的かもしれない。そうは言っても、言葉は生き物、いろいろな影響を受けながら成長(変化)していくものだ。ここでは外来語をあれこれ考えたい。
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投稿日:2008-02-03 Sun
2月3日(日)節分の今朝、眠気まなこを窓外に向けると、雪だった。そう言えば、いやに家の回りがシーンとしていた。積雪で支障をきたす方もいらっしゃるだろうが、やはり、たまの雪はうれしい。
郵便箱の朝刊を取りにいくと、隣に植えてある南天の木が重そうに頭(こうべ)をたれていた。南天と雪は絶妙の風景だ(赤い実が残っていれば最高だが、残念ながら・・・)。だから雪の日の朝刊取りの役目は誰にも譲れない。
南天の赤はすでになくなっていたが、紅梅は節分にふさわしく、けなげに咲いていた。あまりにも有名な嵐雪の次の句は、先週の朝刊に載っていたと思う。

「梅一輪一輪ほどの暖かさ」(嵐雪)
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投稿日:2008-02-02 Sat
2月1日(金)今日から2月、何か楽しいことはないかな、と新聞(毎日)の社会面を見たら、ビックリ仰天。見開きの下方に、壮観と言ってもいいほどずらずらと並んでいる。こんな紙面、ちょっと記憶がないぞ。多分、他の新聞もそうだろう。
食品会社の詫び状のことだ。「お詫びとお知らせ」という題目で、「株式会社ニチロ」「日本生活協同連合会」「カネテツデリカフーズ株式会社」「株式会社 加ト吉」が、「お詫びと商品回収のお知らせ」というので「味の素冷凍食品株式会社」が、ずらずらと文章を並べている。「江崎グリコ株式会社」は、必要ないと思ったのか、「お詫び」をけずって、ただ「自主回収のお知らせ」だけだ。
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