常識が改革・改善を妨げる時
世界経済フォーラム(WEF)が2021年3月31日公表した「ジェンダーギャップ(男女格差)リポート」で、日本は156カ国中120位だった。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言で「大騒ぎ」になり、海外からも批判が相次いだこともあり「ジェンダーギャップ」に関心が強まっている。特に、政治や経済における日本人女性の進出が著しく遅れている。企業で主要ポストについている女性は極めて少ない。
ちなみに、2006年は日本は80位だった。そこから日本が退化したのではなく、日本より下位だった国々が改善して行った結果、日本が取り残されてしまった、というのが真相らしい。
・森会長が辞任した後、新たな会長は女性にすべきだ、との意見が出た。これに対し、「常識派」からは、「女性とか男性とかではなく、あくまで会長職に相応しい人材を選ぶべきだ」との意見が出た。
女性の国会議員を増やす為に、フランスや韓国等のように「クオータ制度」を取り入れ、一定数の女性を議員にするよう改革すべきだ、との意見に対しても「常識派」は同様に、無理に女性議員を増やせば議員の質が低下する。あくまで議員に相応しい人がなるべきだ、と言う。
さらには、女性の側がもっと勉強し、意識を高めるように努力しなければだめだ、とも言う。
一見、ごもっともな意見だ。
しかし、この常識派の「ごもっともな意見」こそが、日本のジェンダーギャップの改善を妨げる主要因と思う。そんなことを言っている限り物事は進まないのだ。
思い切った改善をする為には大胆さも必要だ。意識改善よりもシステム&環境を変える方が先だ。唯物論ではないが、まさしく、存在が意識を変えるのだ。
・オリンピックの開会式のアイデアを出す段階で、ある肥満女性タレントをブタにたとえるアイデアを出したのはケシカランとて、企画の責任者が辞任した。※
これも、常識派は「(採用されなかった)アイデアぐらいで叩かれ、辞任に追い込まれるなんて行き過ぎだ。これでは萎縮して自由なアイデアが出なくなる」と言う。
しかし、こういうことを「許している限り」、ジェンダーギャップは改善されない。
なんせ、セクハラ問題についてすら、一部の男性や女性から、「セクハラ罪という犯罪は無い」「ハニートラップという可能性もある」「油断した女性にも問題がある」等、居直った主張がまかり通る現実がある。
・JRの通勤電車に「女性専用車両」を設けると、一部の保守的な男性から、「これは男性に対する逆差別だ。だったら男性専用車両もあってしかるべきだ」と言う。
これは、アメリカで黒人を保護するような法律・ルールを設置すると、一部の白人から「白人への逆差別だ」と言うのと同じだ。しかし、これらの主張には、長い歴史の重みへの眼差しが欠けている。
長い間、ずっと男性や白人は「美味しい思い」をして来たのである。それが、黒人や女性が少しばかり「美味しい思い?」をしたからといって、それが何だというのだ。
過去の歴史を紐解けば、そこには女性たちの悲鳴が聞こえて来る。今、男性が少しばかり悲鳴を上げたからといって、それが何だというのだ。
・思えば、明治維新も戦後の民主化大改革も、主に欧米からの「外圧」「強制」「恐怖」があったからこそなされた。日本自らの意思だけでは出来なかった。
日本のジェンダーギャップも欧米からの批判を受けている。
しかし、ジェンダーギャップくらい日本だけの力で改善しないと情けない。
選択的夫婦別姓ですら反対が強く、なかなか実現出来ない日本は情けない。
・「常識」「文化・伝統」を尊重するのは当然だ。が、しばしばそれらは「権威化」する。権威化した常識や文化は時として障害物になり得る。
人に迷惑をかけることは悪いことだ、これは常識だ、と言う。
しかし、人に一切迷惑をかけないで何かを成し得ることってあるのだろうか?
※
後日、かの女性タレントは、「私自身はこの体型で幸せです。」と言ったそうだ。
本当だろうか?もしかして、営業用に「言わされた」のではないか。
特異体質・病気・中高年等の理由で肥満しているのはやむを得ない。
が、若くて健康的な人が肥満になってしまって幸せなハズが無い。
身体に良くないことは明らか。
世界の企業では肥満な人は採用しない、とする例もあるとか。何故なら、肥満は自己管理能力の欠如を示すものだし、健康上の理由で問題を起こす可能性が高いと見るからだ。
つまり、仕事の能力が低いと言うのだろう。
幸い、かの女性タレントは「肥満」も「売り」にして人気を博しているようだから、
ある意味、恵まれているのかもしれない。
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2021.04.14 | | コメント(4) | トラックバック(0) | 政治・社会