大晦日に名句を
●忘年会
月まぶし忘年会を脱れ出て 相馬遷子
この俳句は良いよなあ。。。
ワカル。私も中途で抜け出したくなりますもの。
会社の忘年会に「イヤイヤ」参加した人間の気持ちが滲み出ています。忘年とは一年をしみじみ振り返り語り合うことに本当の趣きがあります。それが、「飲めや歌えや」ではトテモトテモ。。。
「脱れ出て」には俳句に求められる諧謔性もありますね。思わず、ニンマリしてしまいます。
喧騒な酒興の場をそっと逃れ外に出ると、あらッ、月がいやに眩しく見えます。嗚呼、今年も色々あったなあ。。。と、そこで初めてしみじみと去り行く一年を思い出す。。。。。
やはり、名句と思います。
●年惜しむ
雨だれの大きなたまの年惜しむ 安住敦
鎌倉の円覚寺の山門前で詠んだ句とのこと。
山門の大きな軒先から落ちる雨だれのたまの大きさに新鮮な感動を覚える。大きなたまを凝視していると去り行く一年への思いも大きく膨らむ。。。嗚呼、もう間もなく一年が終わるのか。。。
●除夜の鐘
おろかなる犬吠えてをり除夜の鐘 山口青邨
目に浮かぶようです。
救急車や消防車のサイレンが聞えると、「ワオ~、ワオ~」と鳴き出す犬が近所にいます。
鐘の音を聞きながら、しみじみと年の移りを思っていると、犬がやかましく吠えたのでぶち壊しになった。しかし、「おろかなる犬」とブツブツ文句を言う俺は、煩悩を除去する除夜の鐘の恩恵を受けることはなさそうだ。。。
旅にしていづかたよりぞ除夜の鐘 福田蓼汀
この句を見ると思いだす。京都駅近くのホテルで早朝に目を覚ますと、お寺の鐘の音が聞えて来たことを。どこのお寺の鐘かしら?そして、じっと耳を澄まして次の鐘の音が鳴るのを待ったことを。
これが一人旅の宿で聞く除夜の鐘であればなおのことであろう。「いづかたよりぞ」…この強い表現に作者の様々な感慨が凝縮されていますね。
本年は拙ブログにお付き合い頂き、ありがとうございましたm(__)m
では、みなさま、よいお年を!
2016.12.31 | | コメント(2) | トラックバック(0) | 戯けたライフ