上から目線で綴る2013NHK杯ペア・男女SP観戦記
チケットは北側2階のB席。つまり、私は選手達の演技を上から見下ろす形で観戦したのです。
暑かったなあ、昼間は。厚着をしていたのでなおさら。しかし、夜はさすがに寒かった。
会場の西隅を行くと、そこはNHK実況席。八木沼さんがいました。やはり美人です。しかし、テレビ実況での解説は荒川さんだったんですね。八木沼さんは何の役割だったのかな?スタジオ解説でしょうか。
ペア。観客の入りは未だ7割くらいか。
髙橋 成美 / 木原 龍一組の演技について何を言っても仕方ありません。よくここまで仕上げて来たものだと、そういう感動がありました。会場からも暖かい拍手に包まれていました。
隋文静(ウェンジン・スイ)/ 韩聪(ツォン・ハン)組は、高橋大輔選手がかつて使用した「道」を演じました。音楽に合わせた動きが匠で非常に惹きつけられました。ペアに強い国からはしっかりと後継者が育つんですね。若くして既にこんなに完成されているとすれば、将来はどこまで強くなるのか想像を絶します。
今や向かうところ敵なし。余裕綽々。威風堂々。天下御免の二人旅を行くタチアナ・ボロソジャル / マキシム・トランコフ組。モノ凄い存在感。ペアではたいていの女性が小柄ですが、彼女は大柄で目立ちます。それでなくても大姉御的で目立つ風貌です。「仮面舞踏会」ですので、まるでアイスダンスを見るかのような趣きすら感じました。リンクが狭く感じる程のスケールと迫力。演技終了後、私の周りの観客から「とても良いものを見せてもらったネ~」と感嘆の声がしきり。
男子シングル。会場はほぼ満員。
リッポン選手は4ルッツ以外の4回転も跳ぶのね^^;。彼はやや不安のある3Aさえクリアーすれば、3-3はほぼ鉄壁だし、スケートもスピンも綺麗なので高得点は出ますね。
アーロン君はせっかく4回転サルコウを跳んでも、コンボのセカンドが2回転になれば4回転のメリットは消滅することを知らないのかしら?そんなわけないか。無理してコンボにせず、3-3にすれば良いのにと思うが。ジャンプが売りなだけに、ジャンプで取りこぼしたら勝機はありません。プログラムはつまらない。
ロシアの二人の選手も当り前のように4回転を決めますが、如何せんプログラム全体の印象が薄い。これはガチンスキー選手やコフトゥン選手にも言える。同じロシアでも女子ではあれだけ個性溢れるプログラムが見られるのに、どうして男子はこう無個性なプログラムばかりなんだろう?プルシェンコ選手を例外として。
アボット選手の演技が終わると、「カッコイイわね」と陶酔した女性観客のつぶやきが聞こえて来ました。私もそう思いました。滑りがひと味もふた味も違います。滑る姿が凛々しい。
織田選手ですが、一見成功したかに見えた4Tは回転不足っぽいと私は思いました。いつもの織田選手らしく無いランディングでしたし。会場のスクリーンのスーパースローを見て益々そう思いました。80点台前半の得点に会場からは「え~~ッ!?」と不満の声が。私が見抜くくらいなんだから、会場のファンも分からないかしらね?
ところが意外にも、テレビ解説の本田さんも織田選手自身も、しっかり跳べたと思っていたんですね。得点が出るまで時間がかかったのも、3人のテクニカルパネルの間で4Tの判定を巡る論議があったからなのでしょう。たまに、マグレで一人の素人の目が正解の場合もあるんです(^O^)。ともあれ、このプログラムは織田選手に実に良く似合っていると改めて思いました。フリーで4T2本決めてくれ。
無良選手はジャンプよりもステップシークエンスに私は魅了されました。躍動感とパワー溢れる素晴らしいステップだったと思います。身体全体を大きく使い、スケートも良く滑っていたと思います。その割にはさほど高いGOEは貰えませんでしたが。。
フェルナンデス選手は織田選手と同様、コミカルなプログラムが似合いますね。他の選手には見られないユニークな動作が随所にあり、足先が器用です。ヒョロっとした彼の体型が可笑しみを増す効果をもたらします。こういうところは実に楽しいです。
高橋選手は2011年NHK杯で90点台を出したSPと並ぶ会心の演技でした。5点の差はそのまま4Tの有る無しの差ですね。私の隣の席にいた女の子は感極まり、「ダイスケ・バナータオル」で顔を覆いながら泣いていました。
「味は、人なり。ダシは、芸なり。」という言葉があります。まさにこの言葉通りの高橋選手の演技でした。超一流のシェフによる最高級の料理を味わった気分です。これが見れただけでチケット代3000円を遥かに超す儲けになりました。
私は高橋選手の演技は大好きですが、いわゆる熱烈な大輔ファン、すなわちデーオタでは無いので、会場を埋め尽くしたファンによる大狂騒曲は正直なところ苦手であり、持て余します。滅多に見られない名演技で受けた感激の余韻をしみじみと味わいたい方ですので。
もちろん、スター歌手のファンのように大騒ぎしながら感激に酔い痴れるのも有りです。私は例えば「レ・ミゼラブル」のような素晴らしい映画を見て感激した時のように、静かに酔い痴れたい。静かに感動に浸りたい。今回の高橋選手の名演を静かに振り返るのも貴重なひと時なのだ。胸が熱くなったと思いきや、あの異常なまでの狂騒曲でこみ上げた涙もすーっと引いてしまいました。ま、愚痴です(^_^;)
女子シングル。
皆さん、仲良くミスの連発でしたね。
唯一人、ノーミスだったマルケイ選手の演技と、両腕を振り上げて喜ぶ純な姿は「キラリ、好印象」でした。というのも、率直に言えば私はマルケイ選手の演技はあまり好きな方ではなかったからです。今回、生観戦でこのSPを見てイメージが変わりました。柔らかさと優しさに満ちた素敵なプログラムです。身勝手なファンによる独りよがりな感想です。
シニアデビューの宮原選手。さぞかし緊張したであろう初戦ですが、頑張りました。素人なりに課題がいくつもあると感じますが、長い目で見て応援しよう。
3-3ですが、3ルッツだけでなく、セカンドの3Tも回転不足でしょう?宮原選手本人もそんなコメントを残しています。これが「回り切っている」のであれば、織田選手の4Tが回転不足を取られるのは不釣り合いです。
鈴木選手のSPは名作です。高橋選手と同じく、「味は、人なり。ダシは、芸なり。」そのままの名演技。ここまで来るとジャンプでのミスなど、どうでもいいです。もちろん、曲のアレンジの絶妙さも後押ししていると思いますが、それを活かしきる技量が無ければしょせんはネコに小判です。
最後はバックスクラッチスピンで盛り上げて終わるという古典的なやり方も、鈴木選手の場合は少しも陳腐ではなく、むしろ、新鮮な趣きすらします。
浅田選手は3Aでまた両足着氷、オーバーターンをしました。しかし、跳ぶ形は出来ているし回り切っていますので、同じミスでも昨季までとは根本的に違います。クリーンな3Aがいくつも決まる所まで来ていると思います。
70点台を連発する浅田選手を見ますと、SPにおける3Aの威力の大きさを実感します。浅田選手がSPで3Aを跳び続けることで、近い将来、他の女子選手が3Aを跳ぶようになると良いなあと思います。
SPでは3つ目のジャンプで3Loー2Loを予定構成にしたのでしょうか?ハイリスクなやり方と思うが。最初の3Fでコンボにすれば、単独になった時のリカバリーが可能です。しかし、最後にコンボを予定してミスったら大減点です。どうなんでしょうね。それに、アメリカ大会でもそうでしたが、SPでの3Loー2Loは高さがあまり無く質が良くありません。
ところで、浅田選手の「ノクターン」ですが、僭越覚悟で率直に言えば、テレビで見た時ほどの感銘を受けませんでした。どうしてだろう。3Aがクリーンに決まらなかった為か。それとも、やや遠い2階B席から見た為かな?しかし、高橋選手や鈴木選手の演技には感激したのに。
解説で荒川さんが「3Aという難しいジャンプがプログラムに入っていて(かつ、それが遂行出来れば)、演技構成点の上でもプラスになります」くらいのことをはっきり言っていましたね。やはり、そうか。。
鈴木選手のPCSが8点台後半になる為には、3-3をしっかり決めることも必要なのでしょう。
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2013.11.09 | | コメント(55) | トラックバック(1) | フィギュアスケート・大会