スカイゼルの前・後面。青い頭部は違和感があります。
背中のキーパーツは文字通り鍵のような形状です。パーツ数は少なく全10個。
ポーズは比較的つけやすいです。
グランゼルの発売は確認されていません。2体そろえば遊びの幅が広がったはずで、惜しいところです。
カゲスターの前・後面。頭部は撮影用スーツより小さく細い印象。
マントの下にスカイゼルと同様のキーパーツがあります。
マントの重さで重心が後にいくので、立たせるにはコツがいります。
ジョイントパズルは以上の4種しか確認されていません。
ガイキングとコンバトラーVについてはジョイントパズルと並行して従来通りのミニプラモも50~80円くらいで販売されていました。
「ジョイントパズル」と前年度の「パズルモ」は廉価プラモの新機軸商品でしたが、75・76年度のみで展開を終えています。
バンダイ模型の廉価プラモは、このあと78年度の「宇宙戦艦ヤマト・メカコレクション」で新たな段階に入ります。
ジョイントパズルのガイキングとコンバトラーVです。
ガイキングの前・後。頭部が大きめで子どもっぽい体型です。
股関節はソフト人形のように回転するだけなのであまりポーズはつけられません。ひざのジョイントパーツの効果も薄い印象。
肘は単純なはめ込みなのでちょっとゆるめです。
カウンタークロスははずせますが手に持たせたりはできません。頭部はなかなかカッチリした彫刻で、マスクのスリットも再現されています。
コンバトラーVの前面・後面。画像は「コンバイン・ベース」の付属版なので彩色済み部分があります。単品売り版は背面のバトルタンク部は成形色の白のままだったと思われます。
<追記>単品売り版については
こちら。
基本的にガイキングと同じ構造ですが、コンバトラーの方がポーズはつけやすいです。
キーパーツはバトルタンク部になっており、ジョイントモデルに似た構造です。
肩関節内部はなぜか棒状の造型で、肩を回転させることはできません(画像向かって左がコンバトラー、右はガイキング)。
ジョイントモデルとの比較。バトルクラフトが大きめなのは共通です。
同時に開発されたと思われる2大ロボですがプロポーションはかなり異なっています。
見た目はガイキングの方がまとまりがいいですが、手にしたときの取り回しの良さはコンバトラーが勝っている印象です。
ジョイントパズルはバンダイ模型が1976年度に発売した廉価プラモデルシリーズです。
サイズはジョイントモデルの半分ほどで、梱包形態やロゴデザインはジョイントモデルによく似ています。
価格は100円程度だったと思われます。
ひざ関節に黒の改良型ハトメジョイントが使用されており、ジョイントモデルの縮小版という感じです。
特定のキーパーツ(ガイキングならバックシュレッダー)の着脱で分解可能な立体パズルのような構造になっています。
これは1975年度に展開されていた「パズルモ」という廉価プラモシリーズを継承した特徴で、ジョイントパズルは「パズルモ+ジョイントモデル」という要素で成立しています。「パズルモ」については別項で詳しく取り上げています。
カートン箱の印刷からガイキング・コンバトラーV・スカイゼル・カゲスターの4種の発売が確認できます。ただし画像の箱の中身はすべてカゲスターでした。
箱の上面には吊り下げに対応するベロ部分が付いています。
コンバトラーVは箱入り単品が入手できていないのでそれ以外の3種を紹介します。
完成品状態でトレイに入っており、他に同梱品はありません。
カゲスターのマントのみはめ込みが必要です。
コンバトラーVは単品売りの他、「コンバイン・ベース」というプラモデルに同梱されています。
「コンバイン・ベース」にはボールジョイントも使用されておりジョイントモデルのシリーズ品と考えることもできるので、いずれ詳しく取り上げます。
コンバイン・ベース付属版は一部塗装済みです。単品版は他の3種と同様に未塗装でした。
4種のなかで、単品売りのコンバトラーは入手が難しい状況のようです。
ジョイントパズルのような廉価で多色成型のプラモデルの場合、生産用の金型を商品毎に作るのではなく個々の商品の同色パーツを一つの金型にまとめて彫っていた可能性があります。
その場合すべての商品の生産数は同じになりますが、コンバトラーだけは単品用とコンバインベース用に振り分けられたため、はじめから単品での流通数が少なかったのではないかと考えられます。
ジョイントパズルの外見はジョイントモデルの縮小版といった趣ですが、股関節にジョイントパーツが使われていないため、ポーズ付けの幅は広くはありません。
次回は個々のジョイントパズルを詳しく取り上げます。
バンダイ模型から1975-77年に発売されたジョイントモデル、8種10商品はすべて紹介しました。
「設定重視の形状」と「関節可動」の両立は、ロボット玩具としてはジョイントモデルが初めて実現した特長です。
一方「多色成型」と「接着剤不要」という要素はジョイントモデル以前からキャラクタープラモデルの分野でさまざまに試みられています。
今後は「多色成型」「接着剤不要」のキャラクタープラモについて、どのようにジョイントモデルにつながっていくのか考える予定です。
同時にジョイントモデルの関連商品やジョイントモデルと同じ構造を持つロボット玩具なども紹介していきます。
次回の更新ではジョイントモデルの廉価版姉妹品「ジョイントパズル」を取り上げます。
1976・77年度発売のジョイントモデルはジョイントパーツがボールジョイントに変更されています。
特にガイキングとダンガードAは可動範囲が広いので、肩や足首を改良すれば現行品としても遜色ない水準になりそうです。
ハトメジョイントからボールジョイントへの変更は画期的な進化でしたが、変更の理由はなんだったのでしょうか。
ハトメジョイント最後のグレンダイザーは75年12月頃、ボールジョイント最初のガイキングは76年8月頃の発売です。この間になにがあったのか?
ロボットキャラクター商品の分野で思い起こされるのは、タカラの「マグネロボット・鋼鉄ジーグ」の発売です。
磁石と金属球を用いた斬新な脱着・可動機構「マグネモ」システムを導入したこの商品は、75年の年末商戦に向けて発売されるや爆発的なヒットとなりました。
「マグネモ」はロボット玩具としては「超合金」と競合する強力なライバル商品となりましたが、「設定通りの形状」「自在な関節可動」という要素はジョイントモデルとも共通しています。
球状関節によるマグネモの可動はハトメジョイントのジョイントモデルをはるかに越えていました。
マグネモに触発され、それとは異なる球状関節としてボールジョイントが開発されたのかもしれません。
ガイキングなどに同梱されたパンフレットではボールジョイントの説明に「patent.p」の表記があります。
ジョイントモデルがマグネモに影響されたという証拠はありませんが、発売や開発の時期からして「全く影響が無かった」と考える方が不自然に思えます。
マグネモの「磁石の使用」という要素に影響されたのがポピニカ・コンバトラーVであり、「球状関節」に影響されたのがジョイントモデルだった、と考えてもあまり的はずれでないように思います。
蛇足ですが、マグネモに影響されたと思われる製品は他社にもあります。
画像はタカトク「ガッシン」シリーズの超神ビビューンです。
「ガッシン」の関節構造は磁石無しのマグネモといった感じです。形状はボールジョイントに近いですが、かなりアバウトな造りです。
材質はプラスチックですがブーツ部のみ金属で自立性を高めています。
可動性は悪くありません。
造型自体をリアルにして、腰・上腕・足首に可動軸を追加すればより魅力的な人形になりそうです。
「ガッシン」シリーズは他にぐるぐるメダマン、円盤戦争バンキッド、快傑ズバットが商品化されていました。
ジョイントモデル第10弾、大鉄人17(ワンセブン)です。
製品番号と価格/8635-600、発売/1977年7月?
ダンガードにあった「接着剤は不要」という表記がなくなりましたが、どちらの商品も「しっかり組み立てたい場合はジョイントパーツに接着剤を少量付けるように」という指示があるだけです。
付属のパンフレットはジョイントモデルのものでなく、キャラクター自体を紹介する内容です。ビス・ナットの数が説明書の表記より少ないですが、ひざ部分に組済みで同梱されているためのようです。
金属パーツの袋には黒い輪ゴムが入っていたはずですが、劣化で崩壊しています。白いランナーにはダンガード用のパーツも同時に成型されていた可能性があります。
ビスモデル専用のドライバーはトレイの右肩パーツ部分に入っていました。
パンフレット外面。電動ワンセブンは腹部が四段の試作品です。
プロポーションは良好ですが色彩再現はいまひとつの感じ。ジョイントパーツは肘にしか使用されていません。
膝と足首の「17」のマーキングはデザイン画に準じています。
なお、画像のステッカーはレプリカを使用しています。
主翼はビスで背中のパーツに取り付けます。ビスには経時劣化が見られます。
ワンセブンの目はディスプレイの変化が印象的ですが、残念なことに単なる黄色のシールになっています。
足裏にはタイヤがあります。要塞・飛行形態時のコロ走行用と思われます。
下半身は変形のための可動しかしないのでポーズの幅は限られています。
足の甲の突起は本来3つですが、下の2つは抜きの関係で一体化されてしまっています。
胴体内部。主翼は輪ゴムで固定されます。本来は黒い輪ゴムですが、画像では市販品で代用しています。
頭部を差し込む構造は76年度製品と同じです。
下半身は表面ディテールに無関係にビス穴が開けられ、美観を損ねています。
主翼は尾翼のわずかなでっぱりに引っかけて固定するため、ちょっと触れただけですぐに開いてしまいます。
変形開始。腕を腹部に内蔵する機構は再現されていません。
要塞ワンセブン・飛行ワンセブン。パンチを取り外す指示は説明書にはありません。
尾翼は固定パーツで、変形は省略されています。
超合金との比較。同じ変形ギミックを採用したために可動範囲もほぼ同じになっており、「自在なポーズ付け」というジョイントモデルの売りは消えてしまいました。
ギミックや質感、彩色では超合金の方が優れているので、ジョイントモデルは「超合金の廉価な代用品」のような存在になってしまいました。
これ以降、ロボットヒーローは合金玩具化を前提としてデザイン・ギミックの複雑さが増していくため、各パーツをジョイントでつなぐという単純な構造では再現に限界があったと思われます。
例えばレオパルドンやダルタニアスが魅力あるジョイントモデルになったとは考えにくいです。
ワンセブンを最後にジョイントモデルが休止されたのは仕方のないことかもしれません。
77年の二大ロボ。ワンセブンは従来のジョイントモデルのサイズですが、ダンガードは大型化しています。
なお、コン-バトラーVの後継作品ボルテスVはジョイントモデル化されませんでしたが、5つのメカの合体を再現した「ビスモデル」が同価格帯(600円)で発売されています。
これは後のガンプラ1/100シリーズにつながり、現在のマスターグレードシリーズまで続くラインの原点となりました。
ジョイントモデル第9弾、ダンガードAです。
製品番号と価格/8578-600、発売/1977年7月?
「ビスモデル」というカテゴリー名も表記され、600円になりました。
ランナーパーツは翼と頭部・足首関連。白いパーツはランナーから切り取られた状態で同梱されていますが、金型自体はジョイントモデルワンセブンのランナーに彫られていた可能性があります。
金属パーツの袋に張り付けてあるのは専用のドライバーです。
トレイに並んだ状態はこれまでのジョイントモデルと大差ありませんが、ムク成型パーツは頭部と腕部、太股のみ。
ほとんどのパーツになんらかの組み立て工程が必要になっており「ジョイントパーツでつなぐだけで完成」という特徴は形骸化しています。
プロポーションと色彩の再現は良好です。背中が平板なのはサテライザー形態時に下半身パーツをはめ込むため。なお、画像のステッカーはレプリカを使用しています。
ステッカー張り付け前の状態では胸部のビス穴が目立ちます。
頭部の銀と赤は塗装済み、腹部のメタルシールは貼り付け済み。
背中にはナットが露出しています。腰部は分離しますが可動はしません。
ガードランチャーは頭部ごと分離するようになっています。コクピットの変形は簡易的に角度変更のみ可能。
首の基部はボールジョイントに近い構造です。
足首の可動部を組んでから脚をビス止めします。
足裏にはタイヤがありますが、サテライザー時に使用するわけではないので設置理由はよくわかりません。
可動範囲は広く、ガイキングと同程度にポーズ付けの幅があります。
主翼は折りたたみ可能ですが、きちんと背中に収まるわけではないので効果はいまひとつ。
サテライザー形態。説明書ではガードランチャーコクピットの角度変更やテレポーションパンチの取り外しは指示されていません。
パンチを取ると印象が良くなります。足首パーツがやや大きく感じられます。
側面。ガードランチャー部にダンガードの顔が付いているのがわかります。
当時のバンダイ模型は非変形のサテライザー(予価1000円)の発売も予告していましたが、実現されませんでした。
ジョイントモデルダンガードAは従来通りの形状再現・関節可動に加えて変形も実現し、それらの要素をバランス良くまとめています。ジョイントモデル後期の傑作です。
変形ギミック実現のためか、サイズはこれまでより大型化しています。
サイズ比較の画像は次回掲載予定です。