これまで六商品のジョイントモデルを紹介しました。
コンバトラーVまではブログ開設前に画像を準備しておきましたが、残りの商品についてはこれから撮影と画像整理をします。ある程度まとまった時間が必要なので、紹介は少し先になると思います。予定としては
ガイキング・デラックス
コンバトラーV・デラックス
惑星ロボダンガードA
大鉄人17
以上の四商品を取り上げるつもりです。
ジョイントモデルのあとは姉妹品「ジョイントパズル」四種の紹介や、ジョイントモデルの発売に至る経緯について「モデルボーグ」「アオシマ合体マシン」なども視野に入れながら取り上げてみたいと考えています。
ジョイントモデル第六弾、コンバトラーVです。
製品番号と価格/8781-500、発売/76年9月?、使用ジョイント/ボールジョイント
トレイの色はコンバトラーから黄色になりました。
ジョイントモデルとしては初めて、ランナーパーツが同梱されています。
内容はバトルクラフトの接続部と車輪、タンクのキャタピラ、ボディ各部の赤い丸形パーツ、頭部の耳のようなパーツなど。説明書の組立指示も両面にわたっています。
デザインとギミックが複雑化したため、「ジョイントパーツで各部をつなぐだけで完成」という商品主旨は崩れつつあります。
アンケートハガキは専用で、設問もガイキングのものとは異なっています。
プロポーションはまずまず。バトルクラフトが大きめなのは分離ギミックを意識したためかもしれません。
ステッカーは額とマスク部、クラフト前面に貼ります。
頭部アンテナは塗装済み。
ボディに色分けが無いため、色彩の再現度は高くありません。
顔が赤い成型色のままなのも印象度を下げる要因となっているようです。
なお、白色成型の再版品は組み立てるとポロポロとパーツが取れてしまうことがありますが、初版品はカッチリした組み上がりです。
バトルクラフトは前側から合体します。ポピニカとは反対です。
右腕の内側にバンダイマークが大きくモールドされています。
背中のパーツとキャタピラを取り外し、組み替えると小さなバトルタンクになります。ボディはタンク部をはずすと腰が可動するようになります。
バトルクラフトの車輪はシャフトで回転します。左右の機体は凹型のパーツで接続可能です。
腰の可動を活かすとポーズの幅が広がりますが、足が大きいためガイキングほどの自由度はありません。
本体のパーツ構成はタンク部以外はガイキングと同じです。
製品バリエーション。
単体売りはアンテナの塗装色が濃い黄色、デラックス同梱品は明るい黄色です。ガイキングと同様のバリエーションですが、すべてにこのパターンが当てはまるかは不明です。
ジョイントコンバトラーV・デラックス。
ガイキング同様、F1マシンとアームパーツ同梱のセットです。
詳細はあらためて取り上げる予定です。
ジョイントモデル第五弾、ガイキングです。
ボールジョイント使用のモデルは「ニュージョイント」と表記されます。
製品番号と価格/8780-500、発売/76年8月?、使用ジョイント/ボールジョイント
バックシュレッダーはトレイの裏に入っています。シールはガイキングの口と魔竜ヘッドの目に貼るもの。アンケートハガキは専用品です。
パンフレットはコンバトラーと共用。
ボールジョイントはハトメジョイントのジョイントモデルにも使用可能と書いてありますが、軸が太くなっているので実際には流用は困難です。
ボールジョイントの採用で、ポーズの自由度は飛躍的に向上しています。
色彩の再現度もそこそこで、ガイキングの角と魔竜ヘッドの牙は塗装済みです。
特に股関節のボールジョイント化が効果的です。キックポーズでの自立も可能。
やや地味な造型ながら、バランスや立体感は良好でなかなかかっこいいガイキングです。
胸部のパーツ構成が変更され、腕を挟んでから頭部を差し込んで固定します。
マスク部にはスリットのモールドがありませんが、発売時期を考えると強化型としての造型ではないと思われます。付属のシールは上下幅が不足しており、貼るとややイメージが変わります。
超合金との比較。ジョイントモデルはポーズが豊かになりましたが、超合金は合体・変形ギミックの内蔵という方向へ進化しています。両者の違いはゲッタードラゴン以上に明確になりました。
製品バリエーション。
単品売りのものは角の塗装がオレンジがかった濃い黄色、下の画像のデラックスに同梱のものは明るい黄色になっています。
なお、試作品段階ではなぜか足裏にタイヤが付けられていたようです。
ジョイントガイキング・デラックスセット。
電動のオリジナルF1マシンと腕に取り付けるオリジナル武器パーツがセットされています。
この商品についてはあらためて詳しく取り上げる予定です。
ジョイントモデル第4弾、グレンダイザーです。
製品番号と価格/8779-500
発売/75年12月頃?
使用ジョイント/改良型ハトメジョイント水色
目に貼るための金シールが付属します。
パンフレットはダイザー専用のもので、ゼンマイスペイザーなどの関連プラモデルにも封入されたようです。
プロポーションはまずまずですが、おもちゃっぽい色彩は映像イメージとは遠く感じられます。
部品構成はドラゴンと同じです。
なお、画像の物は再版品のジョイントパーツを使用しています。
顔のモールドは面分割が未整理なため印象はいまひとつ。角の黄色、胸の赤は塗装済みです。
また、ダイザーのパーツを組み込むと画像のようにちょっとゴージャスなドラゴンが作れます。
ダイナミック系主役ロボ2体の比較。やや胸部が小さいドラゴンの弱点が、ダイザーで改善されているのがわかります。
製品バリエーション。
頭部パーツは水色成型とメッキ済みの2種が存在します。
また、オレンジの初期型ジョイントパーツが同梱されたものが初期生産分のようで、腹部シールが付属するなど一部仕様が異なるようです。
<追記>オレンジジョイントのグレンダイザーについて詳細記事を作りました。INDEXページのリンクからご覧下さい。
グレンダイザーまでの4体で、ハトメジョイントの使用は終わります。
76年度作品からは、より自在に動くボールジョイントの使用が始まります。
ジョイントモデル第三弾、勇者ライディーンです。
追記……より詳しい紹介記事を作成しました(
こちら)。
製品番号と価格/ ? -500
発売/75年10月頃?
使用ジョイント/初期型ハトメジョイント水色
未使用品が入手できず、画像はジャンク品です。
以下の画像は顔カバーと肩カバーを再販品から流用しています。
全体の色彩は再現されていますが、顔が赤成型色のままのため違和感が残ります。
頭頂部がやや大きめですが、スマートで独特なプロポーションはよく再現されています。
ゴッドゴーガンは残念ながら左腕と一体成型で固定です。
ゴッドバードの目がシールになっていますが、変形に伴う可動はなにもありません。
胴体は頭から腰まで一体化され、腰の可動はありません。2本のビスパーツで固定します。
今回使用しているライディーンは、個別に入手した二組のジャンク品を組み合わせたものです。この二組には製品バリエーションと思われる相違点があります。
脚部正面の赤ラインが向かって左は塗装済み、右はメタリックなシールです。ただし太もも部分の赤塗装はマジックで落描きしたようにも見えるので判断は難しいところです。
初版パーツの顔カバーは水色、肩カバーは赤の成型色と仮定して画像を加工してみました。
ライディーンの未使用品は出版物などにも掲載例は無いようで、箱の画像も見たことがありません。
情報をお持ちの方はお知らせいただけると幸いです。
ジョイントモデル第二弾、ゲッターライガーです。
製品番号と価格/8776-500
発売/75年9月頃?
使用ジョイント/初期型ハトメジョイント水色
ドラゴンと同様の同梱品に加え、目と口に貼るシールが付属しています。
スマートなイメージがよく再現されています。色彩は映像通りの再現は諦め、オリジナルな方向でまとめようとしている感じ。
なお、画像のジョイントパーツは再版グレンダイザーから流用した黒色の改良型ハトメジョイントを使用しています。
水色の初期型ハトメジョイントは、未使用品でも経時劣化で破損してしまう場合が少なくないようです。
足元が小さいため、自立は困難です。
ドラゴンとは異なり、腕のジョイントは横に曲げる角度で取り付けます。
残念ながらドリルアームはパーツ化されていません。
頭部は胸部パーツと一体で、可動はしません。
ウイングは背中の穴に差し込むかたちでしっかり固定されます。
頭部シール使用前、後。
目の彫刻はかなり立体的なので、シールを貼るのはちょっと無理があります。
製品バリエーション。
腕のパーツは画像のようにメッキ塗装済みのものとシール貼り付け済みのもの、2種が存在します。変更の時期などは不明です。
また、出版物の掲載例によると黒いジョイントパーツが同梱されたものもあったようです。
ジョイントモデル第一弾、ゲッタードラゴンです。
製品番号と価格/8775-500
発売/75年8月頃?
使用ジョイント/初期型ハトメジョイント水色
通常プラモデルはカラー印刷の上箱と印刷無しの下箱が使用されていますが、ジョイントモデルは一体型の箱が採用されています。大きなウインドウからトレイに並べられたパーツが見えて、模型というより玩具のイメージが強いです。
こうした梱包形態のプラモデルとしては今井科学が73年度に展開した「モデロック」シリーズ、アオシマが74年9月から発売していた「ミニモデル」シリーズなどが先行しています。ジョイントモデルや同じバンダイ模型の「モデルボーグ」「DXモデル」などの梱包はこれらの影響を受けている可能性があります。
パーツはトレイ上の物がすべてで、シールは貼り付け済み。塗装済みのパーツはありません。
付属のパンフレットはドラゴン・ライガー共通のものです。
プロポーションは良好ですが、やや胸部が小さく感じられます。
パーツは胸部以外はムク成型です。胸部パーツは、頭部を挟んだ状態でビス状のポリパーツを背中から射して固定します。
肩の穴はマッハウイング差し込み用ですが、ゆるくてすぐにはずれてしまいます。
頭部パーツはムク成型のワンパーツながらかなり良い形状。目と口にシールか塗装が欲しかったところです。
腰部ははめ合わせ式で、ライガーと共通なので組み替えて遊べます。
前年の「合体ジャンボマシンダー・ゲッターロボ」と同じです。
製品バリエーション。
向かって左(塗装されています)はマッハウイング用の穴が大きく、胸部パーツの前と後ろにまたがっています。右は穴の形状が変えられ、胸部前パーツの穴はふさがれています。
おそらく穴が大きい方が初期生産分で、マッハウイングの固定に問題があったため穴を小さく改良したのだと思われます。
これは発売当時に子どもが塗装したらしき個体です。
この状態だと、当時の感覚としてはまさに「本物そっくり」でした。
ゲッタードラゴンとゲッターライガーは完成見本の写真などは同時に公開されたようですが、発売自体はドラゴンが先行したことが当時の雑誌広告で確認できます(ライガーのみ「近日発売」となっている広告が存在します)。
ポセイドン商品化の企画があったのかは不明ですが、試作品などの写真は確認されていません。
本ブログは、1970年代のものを中心に男児向けキャラクター玩具を取り上げます。
使用する画像は基本的に手持ちの現物ですが、破損品などが含まれる場合があります。
そのような時はその旨明記いたしますのでご了承下さい。
また、入手困難なものなどは発売当時の雑誌広告やカタログの画像を使用することがあります。
当面は「ジョイントモデル」と周辺の事象を優先しますが、いずれはブルマァクのソフト人形などについても取り上げられたらと考えています。
よろしくお願いいたします。
追記
ヤフーブログからFC2に移管したため、古い投稿の文中リンクは無効になっています。
すべてを修正するのは現状では不可能ですので、恐縮ですが御了承下さい。
なにかご質問があれば対応いたします。
ジョイントモデルの各パーツはムク成型されており、それをジョイントパーツでつなぎ合わせて組み立てます。
ジョイントパーツは時期により3種あります。画像上から初期型ハトメジョイント、改良型ハトメジョイント、ボールジョイント。
ハトメジョイントの軸部分には溝が掘られていて、これをパーツ側の凸モールドに合わせて差し込みます。そのため横方向への回転はできません。
初期のハトメジョイントは抜き差しがきつい場合があったためか、軸にギザが付いた形に改良されました。
ボールジョイントは76年度商品から採用されます。形状通り自在に動き、可動範囲が大きく向上しました。
組み上げたゲッタードラゴン。肩や首にはジョイントが使用されていないので、現在の視点で見ればポーズ付けの範囲はかなり制限されています。
このジョイントモデルのどこが画期的だったのか、75年当時のキャラクター玩具の状況から考えてみます。
このころロボットプラモデルの主力は、①のようなモーター歩行商品でした。これは1960(昭和35)年に今井科学が発売した「鉄人28号」の機構を受け継いでおり、棒立ち状態での疑似歩行が特徴です。75年当時としても、形状・ギミックともにやや古さを感じさせるものでした。画像は雑誌広告に掲載された塗装済み完成品ですが、キット状態は濃い水色と赤の2色成型です。
②は標準サイズのソフトビニール人形です。怪獣の商品化には最適な形態ですが、ロボットヒーローとの相性は微妙なようです。色彩はよくイメージを再現していますが、形状・可動はいまひとつです。
③のジャンボマシンダーは、スマートで文句なくかっこいい形状です。色もかなり劇中イメージに近い。ただし「大きさ」そのものが売りの商品で、可動はソフト人形と同程度です。
④は変身サイボーグ・変身セット(画像はゲッター1。ドラゴンは発売されていません)。可動性能は素晴らしいのですが、そのためにロボットらしい形状は犠牲になっています。
そして当時の大ヒット商品、超合金です。金属を使用した本物の質感、パンチなどの発射ギミック、ある程度の関節可動まで備えており、ロボット玩具の頂点のひとつです。
ジョイントモデルと比較すると、形状は合金玩具としてかなりアレンジされているのがわかります。色彩の再現度は同じくらいでしょうか。
ポーズをつけると両者の違いがよりはっきりします。
当時の児童にとって超合金は憧れでしたが、なかなか買ってもらえない物でもありました。
ジョイントモデルの価格は500~600円で、少しがんばってお小遣いを貯めれば手の届く範囲です。
「本物そっくりで自由に動かせるロボットプラモがお小遣いで手に入る」のは、子どもにとって魅力的でした。
以上のような当時の状況を踏まえると、ギミックを捨てて形状と可動のみに特化したジョイントモデルが画期的な存在とされる意味が見えてくるように思います。
ではバンダイ模型はなぜ75年当時そのような商品を発売するに至ったのでしょうか。この点はまたあらためて取り上げてみたいと考えています。
ジョイントモデルは77年で終了しますが、80年から展開された「ベストメカコレクション」シリーズが「設定通りの形状」「各関節可動」という要素を受け継ぎます。
このシリーズから「ガンプラ」が生まれ、その人気と相乗してプラモデルの技術革新が進みました。
ジョイントモデルの「接着剤不要の組立」「ある程度色分け済み」という要素も、90年発売の「1/144HGガンダム」くらいから「スナップフィット」「イロプラ」というかたちでより完璧に実現されています。
次回からは個々のジョイントモデルを紹介していきます。
追記:画像②のソフト人形は後頭部の角が一本欠損しています。
画像③のジャンボマシンダーはSHOGUN WARRIORS版。各部のステッカーは自作したものです。
「ジョイントモデル」は、バンダイ模型(現バンダイホビー事業部)が1975-77年に発売していたロボットプラモデルシリーズです。
75年度 ゲッタードラゴン・ゲッターライガー・勇者ライディーン・UFOロボグレンダイザー
76年度 大空魔竜ガイキング・同デラックス・超電磁ロボコン-バトラーV・同デラックス
77年度 惑星ロボダンガードA・大鉄人17
以上の10商品が発売されました。
このシリーズで開発されたジョイントパーツを使用して、76年度に「ジョイントパズル」というミニプラモ4種や「コンバイン・ベース」という南原コネクション風の基地プラモも発売されています。
ジョイントモデルの特性は、映像作品の設定に忠実な形状と、各関節が可動することです。現在のキャラクタープラモ・玩具ではあたりまえのことですが、ロボットのキャラクター商品でこれを両立したのはジョイントモデルが初めてでした。
また接着剤不要の組立とカラフルな多色成型が導入され、それまでのプラモデルとは一線を画すものになっています。
プラモデルの歴史を考えるときに「ガンプラの源流」という位置づけで画期的なシリーズと紹介されることもあるようです。
本ブログではジョイントモデルの紹介とともに、その誕生に影響を与えたと思われる他社製品や、逆にジョイントモデルに影響されたと思しき商品などについても取り上げていきたいと考えています。
次回はジョイントモデルのなにが画期的だったのか、当時のキャラクター玩具の周辺状況を見ながらその意味を探ります。