近年通販サイトなどで見かける、米国MEGO(ミゴ)社のウルトラマンフィギュア。
画像はその広報写真です。
独特なシルエットと8インチという大きさが気になります。
これは、もしや……?
8インチサイズのミゴ社可動素体は、ウルトラマンレオ放送の1974年に三浦トーイのアクションレオに、79年にはポピーのテレビヒーローシリーズに採用されています。
今回のウルトラマンは、これらと同じ素体が使用されているのでは?
(画像のレオはビームランプ・カラータイマー・腹部シールを自作したジャンクです)
現物を入手してみると、まさにテレビヒーローなどと同じサイズ・仕様でした。
帰ってきたミゴトラマン!
内蔵素体は同型では無いようですが、基本構造やプロポーションはほぼ同じです。
2020年代の発売なのに、ポピーと大差無い完成度なのは味わい深いです…(^^;
ブーツのディテールもほぼ同じ。
ミゴとしては意図した復刻なのでしょうか。
ブーツを脱がせるとポーズをつけやすくなり、印象がよくなります。
かつては日本の玩具会社から素体提供の依頼を受けていたミゴが、直接ウルトラマンの商品化に乗り出したという事実にはある種の感慨があります。
ウルトラマンという作品・キャラクターはもともとグローバル展開できるポテンシャルを持っていたということでしょう。
制作会社の経営方針や海外展開があまりにずさんだったために無用なゴタゴタで時間を空費することになりましたが、ようやく本来あるべき状況に回復しつつあるという感じでしょうか。
なお、テレビヒーローのウルトラマンとセブンはスーツの劣化・崩壊が不可避です。
手元のウルトラマンも、いよいよスーツ表面の崩壊が始まりました…
むしろ今までよくもってくれた、と感謝すべきでしょうね(^^;
手元のテレビヒーローセブンはスーツがすでにボロボロです。
ミゴのフィギュアはセブンも発売されているから、スーツを着せ替えてみようかな~
この種のキャラクター可動人形の完成度は、内蔵素体に大きく左右されます。
モンダイはソタイなのです。
これは放送当時に発売されたDXアクション・ウルトラマンダイナ。
久しぶりの変身サイボーグタイプのヒーロー人形で大いに期待したのですが、残念ながら微妙な出来でした。
このダイナの可動素体は、こち亀フィギュアを流用・改修したものでした。
美しいプロポーションが必須のウルトラヒーローにゴリラ体形の両津の素体を流用するとは、なにを考えているのでしょう…
企業にとって経費節減は至上命題なのでしょうが、そろばん勘定ばかりが優先されると愚挙につながります。
ダイナに続いてウルトラマンとセブンの試作品も公開されていましたが、当然ながら未発売に終わりました。
その数年後にバンダイは究極のウルトラマンフィギュアを標榜して「ウルトラの星計画」シリーズを発売します。
初期のガンプラMGと同様にHJ誌と連動し、マスク原型は海洋堂が担当することもアピールされました。
当初は当然初代ウルトラマンが前提でしたが、商品化第1弾はなぜかティガに決まりました。
ティガ自体は素晴らしい出来でよかったのですが、第2弾のウルトラマンCタイプにはティガの素体がそのまま流用されてしまい、どうにも残念な出来に…
しかもウルフェスに合わせて急遽Bタイプも発売され、こちらは海洋堂とのコラボは行われないなど、グダグダな展開で終わりました。
邪推するなら、第1弾を初代ウルトラマンにして古谷敏氏の体型を再現した素体を作ってしまうと他のヒーローに流用できないから、あえて最初はティガにして汎用的な素体を作ったのではないかと思えてしまいます。
この時、ちゃんと古谷氏に合わせた素体を作っていれば文字通り究極のウルトラマンフィギュアが実現していたかもしれないのに、本当に残念でした。
その後はメディコムトイのリアルアクションヒーローズでもウルトラフィギュアが展開されました。
ウルトラマンはA・B・C各タイプが素材やディテールを変えながらリニューアル版やVer.2など多数発売されましたが、肝心の素体がいつもの流用なので完成度の向上は望めませんでした。
近年の可動フィギュアはウルトラ超合金やウルトラ・アクトなどでパーツ分割を表面に露出するスタイルが試行され、現在はフィギュアーツが主流になっているようです。
この場合、可動構造自体が素体に相当します。
シン・ウルトラマンでは6インチサイズのフィギュアがバンダイ・メディコム・スリーゼロの3社で競作されましたが、どれも悪くなく大同小異の印象でした。
画像はスリーゼロの12インチ版ですが、構造自体は6インチとほぼ同じです。
ウルトラマンの人形を手にしたらスペシウム光線のポーズをとらせたくなりますが、このかたちをきれいに決めるのは難しいです。
自分でやってみるとわかりますが、スペシウムポーズでは右肩はほぼ定位置ですが左肩はかなり上がり、かつ左腕付け根が前に移動します。
人体の複雑な骨格・筋肉で実現されるこの動きは、現状の可動フィギュアでは再現できません。
結果的に左肩がほぼ定位置のまま腕だけを十字にすることになるため、人体としてありえない、ちょっと気持ち悪いシルエットになってしまいます。
同様に飛行ポーズにも問題があります。
ウルトラマンのように前方に両腕を伸ばすポーズをとると、腕の付け根は左右とも前へ移動します。
フィギュアではこれが再現できないので、腕が妙に短くなってしまいどうにもカッコワルイです…
6インチだとさほど気になりませんが12インチではかなり目立ちます。
この肩・腕の付け根の動きは技術的には実現可能でしょうが、フィギュアーツのようなパーツ分割露出型ではきびしそうに思います。
こうした動きの可能な素体を内蔵した、スーツタイプのウルトラマンフィギュアが実現してほしいと願っています。
MAX FACTORYのマジンガーZ彩色済みソフビキットが出て来ました。
発売は90年代前半ころだった気がします。
発掘されたのはアフロダイ・ガラダ・ダブラスの3体だけで肝心のZは行方知れず。
引越しの時に見た記憶はあるので、どこかにあるはずなのですが…
説明書とヘッダーも残っていました。
実際は未組み立てのパーツ状態での販売です。
説明書ではすべてのパーツが接着指示されていますが、画像の個体は部分的には接着しないで簡易可動するように組み立てています。
当時はソフビキット黎明期でもあり仕様には未成熟な部分が見られます。
それでも、彩色済みというのは魅力的でした。
キングダンとグロッサムも気になったけど、造形アレンジが好みでないのでスルーしたような…?
主役不在では様にならないので超合金魂の革進マジンガーと並べてみました。
革進マジンガーは構造・造形ともよく練られていて出来がいいのですが、なぜか眼の形状だけがおかしな印象です。
眼の左右幅が広すぎて、特にアオリで見るとにやけた表情のように見えてしまいます。
なぜ目尻をこんなに長くするのか……?
羽根マジンガー完成形のひとつである前期オープニング作画と比較すると、違いは歴然です。
羽根氏の描かれたマジンガーZ設定画の中に、革進マジンガーとそっくりな横顔の絵があるようです。
どうも革進マジンガーはこの絵を再現する方向で造形されたようで、その結果が妙に長い目尻になってしまったようです。
設定画は「横顔を描くときはこんな感じで」という絵としての指針であって、立体的な整合性を重視したものではありません。
特定の1枚の再現に固執してトータルなキャラクターイメージから離れてしまうのであれば、本末転倒です。
年末に発売される50周年版DX魂も、頭部の造形は革進マジンガーのデータを拡大・流用しているようで同じ形状になっているように見えます。
頭部と腕を新造しても他の部位は旧DX魂のままでは木に竹を接いだようで、キメラのような状態になっています。
業界最大手企業の作る高価格帯商品なのだから、もうちょっと「本気」になってほしい、というのは高望みでしょうか。
2022年になりました。
昨春の引越し時の荷物整理がなかなか進まなくて、現状では系統立てた内容の投稿は難しい感じになっています。
それでもくだらない話題はポツポツ投稿していくつもりですので、本年もよろしくお願いいたします。
画像はオオツカ企画ハイパーヒーローのタイガージョーとライオン丸です。
寅というとタイガージョーかタイガーセブンというPプロ勢くらいしか思い浮かばなかったのですが、考えてみればウル寅(トラ)をネタにする手もあったな~
バンダイ製フィギュアーツのサイクロン号をふたつ並べてみました。
実際の劇中ではこうした場面は存在しません(^^;
旧1号とサイクロン号。
一方こちらのタイプはなぜか「改造サイクロン」と呼ばれていますが、この呼称にはどうも違和感があります。
本来、本郷の常用バイクがライダーへの変身と同時に変形してフルカウルになったものがサイクロン号です(画像は天田製カードゲームより、以下同)。
旧1号編では変形過程をていねいに描写して見せています。
ただし実際の撮影においては激しいバイクアクションやジャンプなどはフルカウルマシンでは不可能なため、そうした場面のみ例外的に変形前のバイクを使っています。
ライダーマスクに通常用とアクション用があるのと同様に「アクション用」として本郷バイクを使っているわけです。
基本はあくまでフルカウルマシンが「サイクロン号」です。
そして主演俳優交代による2号編突入に伴い、人気・視聴率向上のために第1クールでの問題点をもろもろ見直すことになって「変身ポーズ」が導入されます。
この時点でバイクは変身の道具としては不要になったため、本郷の常用マシンは一文字には受け継がれていません。
作品中で、一文字の変身と同時にバイクもサイクロンに変形していると思わせる場面も存在しているものの以前のようにその過程が描写されることは無く、バイクの車種も一定ではなかったようです。
本郷バイクは以後はもっぱら「アクション用サイクロン」としてのみ使われるようになり、見た目の違和感軽減のため前部・後部にカウルが追加されたようです(仮に軽装サイクロンとします)。
本編中では起伏の少ない平地ではフルカウル、荒地でのショッカーバイクとのアクションやジャンプでは軽装型というようにカット単位で明確に使い分けています。
サイクロンの基本形はあくまでフルカウルマシンであり、軽装型は撮影上の都合で部分的に使われているだけです。
作品中で一台のマシンとして演出されているのだから、軽装型だけを取り出して「改造サイクロン」と呼ぶのはナンセンスです。
おそらくは、写真で見ると明確に別ものであることや桜島ロケを最後にフルカウルタイプが使われなくなったことを理由に、ムック編集者などが勝手に「改造サイクロン」と名付けたのが一般化しているのでしょうが…
どうしてもそう呼びたいなら、せめてフルカウルタイプが完全に使われなくなって以降の話数に限定しないと矛盾が残りますね。
第4クール冒頭の桜島ロケでは1号が復活、ダブルライダー共演が実現しました。
桜島1号は平地ではフルカウル、荒地では軽装型と2種のサイクロンを使い分けています。
このロケ時には二人のライダーと2台のサイクロンが並走する場面も撮影されましたが、残念ながらカットされています。
画像はたのしい幼稚園1972年3月号(講談社)より。
この時点ではフルカウルと軽装型、それぞれ1台しかなかったようですね。
2台のサイクロンの並走は劇場版仮面ライダー対ショッカーで実現します。
このころから、撮影時のアクション性を優先してサイクロン=軽装型という認識になったようです。
続いて登場した新1号は軽装サイクロンのみを乗用。
ニューマシン・新サイクロン号は当初からアクション性を考慮したデザインになりました。
画像のフィギュアーツ版はフロントカウル下部の塗り分けが実写と異なる印象で残念…
南紀ロケでは新2号の軽装サイクロンとの並走が実現しました。
その後はフロント部分のペイントを変更してよりシャープな印象に。
終盤には2台目が新造され、ショッカーライダー用として使われた後に新2号のマシンになりました。
この2台はストロンガー最終話でのライダーマシン集合場面まで使用されたようです。
フィギュアーツのおかげでサイクロンとライダーのさまざまな組み合わせを実現できるようになりました。
でもライダー自体は、やはり変身サイボーグのように「素体+衣装」で再現してほしいという思いがあります。