バンダイ・ガシャポンのインテグレートモデル・マジンガーZを1973年発売のバンダイ模型・電動マジンガーZと並べました。47年という歳月の重みを感じられるでしょうか…
インテグレートモデルの構造は、やはりテレビマガジン1973年11月号の画報記事「マジンガーZ完成のひみつ」(関口猪一郎画)を連想させて、その意味で魅力的です。
バンダイ模型が1975年に発売した
モデルボーグの遠い子孫と位置付けることもできそうです。
ヒビ割れデザインはあまり好みでないのですが、このモデルの場合は「建造途中で完成間近のマジンガー」みたいに勝手に脳内変換して受け入れました(^^
胸像という形態もダイナミックロボにはよくマッチしている印象です。
修理/電動マジンガーZ
バンダイ模型が初めて開発した人間型キャラクターロボットのプラモデルは、1973年発売のモーター歩行・電動マジンガーZです。
ジョイントモデルの成り立ちを考える上では原点に位置する存在なのでぜひ現物画像を提示したいのですが、再販が無いため現在では入手困難になっています。
やむを得ず、放送当時に購入・組み立てした個体を倉庫から発掘することにしました。
これが発掘された状態。
パイルダーは行方不明、胸部放熱板は破損、内部機構は失われて外装パーツだけがかろうじて現存していました。このパーツを修理してある程度見られる状態にしてみます。
パーツ表面は筆塗りした厚い塗膜に覆われてひび割れや凹凸が目立ちます。
ラッカー系の薄め液で塗膜を溶かそうとしましたがほとんど歯が立たず、しかたないので耐水ペーパーで表面を整えつつある程度まで塗料を落として再塗装することにします。
次に胸部放熱板の新造。
当時の完成見本写真(アニメージュ1981年4月号に掲載)を拡大コピーして型紙を作ります。
加工の容易なPP発泡シートという素材を型紙に合わせて切り出し、塗装しました。
両面接着シートで本体に取り付けています。
パイルダーのパーツは見つからないのでとりあえず代用品を探します。
変身サイボーグ用のパーツも検討しましたが、ガシャポンHG・スーパーロボット大全集のパイルダーが近いサイズだったのでそれらしく手を加えてみました。
代用品なのでかなりいい加減な工作で、本物より少し小さめです。
追記……パイルダーのオリジナルパーツが見つかりました(
こちら)。
塗装は主に缶スプレーを使用。かかと部の蓋は欠損しています。
各パーツは瞬間接着剤で点止めした程度なので合わせ目は残ったままです。
塗り分けパターンは当時のカタログなどに掲載された完成見本品を参考にしています。
電動マジンガーZは独特な体型のため設定通りに塗装しても違和感が生じるように思えたのでプラモとしておなじみの配色を選択しました。
足の前面のリベットは今井科学の鉄人28号を連想させます。設計担当者は同じ方だったそうです。
左の足裏パーツは欠損していたのでPP発泡シートでそれらしく再現しています。
肩とボディの接触部分には滑り止めとして小さなゴムシートを貼り込みました。
肩部内蔵のスプリングのテンションで腕の位置を固定できます。
頭部ディテール。目やマスクの周囲は面分割があいまいな印象。
本来はパイルダー底面に付いた突起を頭部に差し込むことで通電する構造です。
右後頭部の丸い部分はパイルダーを結ぶ糸を通すための穴でしたが、ラッカー塗料の塗膜でふさがっています。
ロケットパンチ発射機構は失われています。
発射ボタンになっている細いプラパーツの弾性に依存した構造なので、もともと壊れやすいものでした。
いろいろと中途半端な部分がありますが、参考として画像提示できる程度の状態にはなりました。
電動マジンガーZはパイルダーによる起動とロケットパンチという特徴はあるものの、それ以外は今井科学が1960年に発売した電動鉄人28号にそっくりです。
バンダイ模型のマジンガーZというロボットへの取り組みは昭和30年代的な感覚に終始しており、それは翌年のゲッターロボにも引き継がれます。
バンダイ模型が人間型キャラクターロボットのプラモデル化で新たな模索を始めるのはグレートマジンガーが登場してからのことになります。