初期ジョイントモデルの仕様変更
ジョイントモデルのうち初期4種のゲッタードラゴン・ゲッターライガー・勇者ライディーン・グレンダイザーはハトメジョイントが使用されています。
これらはジョイントパーツとそれを納めるトレイの形状が途中で変更されており、仕様の異なるバリエーションが存在しています。
ゲッタードラゴンの代表例2種、それぞれ左下のジョイントパーツ部分がポイントです。 下の画像は匿名希望様に提供していただいたもの。
ゲッターライガー代表例、下の画像は究極プラモデル大全(白夜書房1999)より。
ライディーン代表例、上の画像は匿名希望様より。
グレンダイザー代表例、上は究極プラモデル大全より、下はウェブで拾った画像です(このタイプの画像は他では手に入らなかったので…)。
トレイの形状変更については以前の記事で破損をきっかけに変更したのではないか、梱包時の効率向上のためではないか、などの仮説を考えましたが、より真相に近いと思われる事情が浮かんできたのでまとめておきま
す。
きっかけはオレンジジョイントのグレンダイザーを入手したことでした。
この個体のジョイントパーツは画像のように6本用のトレイにむりやり8本が同梱されています。
2本は予備ということですが、なぜこのような措置がとられたのでしょうか。
以下は推測ですが、当時のバンダイ模型にジョイントパーツの破損や紛失による問い合わせが相応の件数寄せられていたのではないでしょうか。
私は当時、かなり早い時期にゲッタードラゴンを購入しました。まだライガーは発売されていなかったのでおそらく最初期生産品だったと思われますが、ジョイントパーツと本体の穴のはめ合わせの調整が不十分で苦労したのをよく憶えています。
ゆるい場合はジョイントの軸にテープなどを巻いて太らせればよいのですが、きついところは無理やり押し込んでしまい、パーツが抜けなくなって困りました(子供は何度も組んだりバラしたりしたいのです)。
がっちり刺さって抜けないジョイントパーツはペンチなどを使って引き抜きましたが、そんなことを何度もしているうちにいくつかのパーツがハトメ部分で壊れてしまいました。
当時はメーカーに問い合わせるような知恵はありませんでしたが、同様の経験をしたユーザーの中にはバンダイ模型に問い合わせた人もそれなりに存在したのではないでしょうか。
また、問屋や小売店などからもこうした情報がバンダイ模型に伝えられていたかもしれません。
(ちなみに当時はまだパーツ単位での販売制度はありませんでした)
こうしたユーザーの反応もあって、ジョイントパーツを抜き差しが容易なギザ付きの構造に改良し、予備のジョイントパーツ2本の追加同梱のためにトレイ形状が変更されたのではないかと想像されます。
1本づつの個別収納トレイではギザなし・ギザ付き両方のジョイントパーツの同梱が確認されているのに対し、一括収納トレイではギザ付きジョイントパーツしか確認されないのはこうした変更事情によるものと考えられます。
ただし、こちらの画像のグレンダイザーは水色ジョイントパーツなのでオレンジバージョンよりもあとに生産されたものですが、予備の2本は同梱されていません。
こうした個体も少なくないようなので、仕様の変更はある時点を境に徹底されたというものではなく対応可能な生産現場から徐々に進んでいったのかもしれません。
また、このような個体の場合は予備2本はトレイの裏側に別途入っていた可能性も考えられます(白色成形の再版ではそのようになっています)。
なお、ジョイントパーツはギザ付きに改良された際に軸部分の溝が両側につけられるようになりましたが、これに関連してひとつ疑問が出てきました。
ギザなしジョイントは軸の片側にしか溝が彫られていないので、本体側の出っ張りは上腕と前腕で互い違いになります。画像はゲッタードラゴンの左腕。
ところがグレンダイザーではこの出っ張りが同じ側に彫られているため、ギザなしジョイントでは前腕の向きが反対になってしまうのです。
はじめは肩パーツの同梱間違いかとも考えましたがそれではつじつまが合いません。
つまりグレンダイザーを画像のように正しい状態に組むには、肩か腕のパーツを金型修正するか、ジョイントパーツの軸の両側に溝を彫るか、いずれかの対処が必要になります。
ジョイントパーツがギザ付きに変更された際に溝が両側に付いたのはこのような事情によるものだったようです。
あるいは、そもそも溝を増やす必要に迫られたのが先で、ついでにギザ付きにしたのかもしれません。
いずれにしてもギザなしの初期型ジョイントが同梱されたグレンダイザーはすべて腕の向きが逆になる不良品仕様だった可能性があるようです。
当時購入したご経験のある方は情報をお寄せいただけると幸いです。
なお、白色成形の再販グレンダイザーの箱にはオレンジのギザなしジョイントを使用した見本写真が掲載されています。
この個体の腕は正常な状態ですが、この時点でも本体の金型は修正されていないので、見本品には手を加えて腕の向きを合わせているのだと思われます。