謎のサブマシン

謎のサブマシン
 
 

 
画像のサブマシン、一見するとバンダイ模型のゼンマイプラモに見えるのですが……
 
 
 

実際は箱絵を流用したミニプラモです。
しかし箱をよく見ると、番組ロゴが断ち切れていたり妙に余白が大きいなど、なにかおかしな印象を受けます。
 

しかもバンダイの社名表記がどこにもありません。どうやら無版権商品のようです。
 

中身はランナー2枚で構成されたサブマシンのミニプラモです。
 

このパーツはバンダイ模型が1977年に発売したミニプラモ4点セット(参照)に含まれたサブマシンと同じです。
 

こちらがバンダイ製のオリジナルパーツ。単品売りは確認されていません。
 

両者を比較すると、版権表示の有無やパーツナンバーの数字の書体が異なります。
無版権品は正規パーツを型取りして制作されているようです。
 
 

 

箱の側面はすべて正規品のコピーでまかなわれています。「ゼンマイで走ります」などの表記もそのままです。
 

箱裏の組み立て図は4点セットのコピー。デザインもそのままのため不自然に余白が大きく、組み立ての手順を示す「」は意味不明になっています。
 

1970年代後半にはキャラクター分野のコピー商品はほぼ淘汰され、むしろ「○○っぽい」というのを売りにしたモドキ商品の方が主流でした。
しかも77年は熱狂的なスーパーカーブームの年で、キャラクタープラモは大きく売り上げを落としています。
同年の大鉄人17やダンガードAのプラモデルは主役ロボット以外は大量に売れ残り、現在でもデッドストックを目にします。
 
そんな状況下、なぜわざわざサブマシンのコピーを作ったりしたのか理解に苦しみます。
せっかく金型を起こすなら、危険を冒してサブマシンをコピーするよりランボルギーニカウンタックやポルシェ930ターボを作った方がはるかに売れたはずなのに。
また、コピーされたのはサブマシンだけだったのかも不明です。仮にゼンマイプラモの発売されていないシグコンタンクがコピーされていたとしたら、その箱絵はどうなっていたのか?
 
この時代には珍しいコピー商品で、謎は尽きません。
 

トミーのイデオン その4

トミーのイデオン その4
 
本放送当時、トミー以外のメーカーから発売されたイデオン玩具を補足しておきます。
 
 
ダイヤ合金
 

トミーのイデオン合金よりやや大きいチープトイ。メーカー不明ですが、箱には逆三角形の中にの字の商標があります。
ひざの位置が高すぎてバランスが不自然なようです。
 

ボディと脚部は一体成型の合金パーツで、可動は腕のみです。
 

腹部から円盤のようなパーツを飛ばすギミックが特徴で、箱にはイデオンへリンガーと記載されています。
 

頭部アップ。モニター状の部分が横に長い形状は劇中のイデオンとは別ものに見えます。
 

ダイヤ合金には箱デザインのみ変更したイデオンジュピターという品名のバージョンも存在するようです。
またDXバラエティーセットとして消しゴム人形やベーゴマ、銃などとのセット販売もありました。
 

ハリケーンイデオン
 

メーカー不明の23cmほどのソフト人形、パンチ発射ギミックのある腕部はプラ製です。
画像の現物はパンチ欠損のジャンク品のためスクランブル合体セットのパンチで代用しています。
ダイヤ合金と同様に円盤状のパーツを飛ばすのが特徴です。
 
ソフトビニールパーツは上・下半身のみで頭部・脚部は一体成型です。
生産時の抜きの都合か、足の甲が極端に短く造形されているのが気になります。
 

頭部アップ。やはりマスクが大きくモニター部が小さい、イメージの異なる形状になっています。アンテナは太すぎてまるで角のようです。イデオ・ノバ機首部の塗装が省略されているのも残念。
なお、ウェブで見つけた画像によると箱にはダイヤ合金と同じメーカーの商標があるようですが、現物未見のため詳細不明です。
 

ソフト人形(中)
 

同時期のキングザウルスシリーズ(ポピー)などに近いサイズのソフト人形。ブリスターパックで販売され、メーカーはビート
造形はやや荒い印象で、腕を横に開いたポーズが独特です。
画像の個体は左腰部に大きな凹みがありますが、出版物の掲載例も同じ状態に見えるので金型に問題があったようです。
 

肩には穴があり、別パーツの付属品が付いていたようです。画像の現物ではブリスターが壊れて紛失されていたため詳細不明です。
 

頭部アップ。こうなるとイデオンというより謎の宇宙人という感じでしょうか。
 

ソフト人形(小)
 

ヘッダー付き・袋入りで販売されたビート製のミニソフト人形。
上半身は丁寧に塗装されており、手首が別パーツになっているなどこのサイズとしては手のかかったつくりになっています。造形の質も高く良い印象です。
 

頭部アップ。ソフト人形の中では最も映像イメージに近い形状ですが、やはりマスク部が大きくアゴのラインが造形されていないのが残念です。 
 

 

放送当時のイデオンの玩具としては、このほか消しゴム人形などの駄玩具系のものやトミーオリジナルの秘密基地、光線銃なども存在しています。
 

 
アニメロボットの関連玩具について、出版物などで取り上げられるのはプラモデルと大箱合金セットが多く、その他の周辺玩具について資料がまとめられているのはマジンガーシリーズとガンダム、マクロスくらいでしょうか。
 
イデオンと同様にここ数年で30周年を迎える作品は多いので、この機会にプラトイやソフト人形についても資料が充実することを願っています。
 
[ 2010/10/28 21:30 ] 合金 合金 | TB(0) | CM(2)

トミーのイデオン その3

トミーのイデオン その3
 
 
スクランブル合体セット
 
スクランブル合体セットはポピーのプラデラなどに相当するプラ玩具で、簡易ギミックながら合体を再現しています。
 

Aメカのイデオ・デルタ形態。両腕をつなぐ金属フレームがそのまま露出しており、映像本編とは大きくイメージが異なります。
合体時は機首・キャノン砲・翼部は取りはずして両腕を左右に移動します。
ソル・アンバー形態は想定されていませんが、一応それらしき形にもできます。
 

イデオ・ノバはソル・バニアーとの折衷のような状態です。腹部にはスライド伸縮ギミックあり。
ミサイルランチャーとラジエターをはずして合体します。
 

イデオ・バスタもソル・コンバーとの折衷状態です。脚部は伸縮せず、合体時は翼を収納するのみ。
 

イデオンに合体。かなりプラの弾性に頼った構造で、無理やり押し込む部分もあります。
形状は奇跡合体よりも良好ですが、質感がチープなため合金玩具のような充実感はありません。
 

腕は可動、パンチは発射します。胴部のゲージが造形されていないのは残念。 
 

頭部アップ。形状解釈が独特で、イデオンとは言いがたい印象です。
 

イデオン合金 イデオンDX
 
このころトミーの合金玩具は、コセイドンならマントル合金、タンサー5ならタンサー合金というように個別にシリーズ名が付けられていました。イデオンはそのままイデオン合金となっています。
 

イデオンDXは一般的なスタンダード合金サイズです。頭と腕以外は合金製で重量感があり、全体に丁寧なつくりです。
 

各部の形状解釈はなかなかいいのですが脚が短いのが残念。
 

可動は良好でパンチも発射します。各部のゲージがクリアパーツになっているのも美点です。
足の甲が妙に長いのがイデオン合金の特徴です。
 

ボディ上面は別パーツでイデオ・ノバの機首部がきちんと再現されています。肩からミサイルを発射できるのは本編通りでナイスな機能です。
 

奇跡合体とはデザインの異なる剣が付属します。
 

さらに両肩にはキャノン砲、イデオン・ガンを思わせる波動ビーム砲も装備。ビーム砲はミサイルを発射します。
 

頭部アップ。マスク部分が大きすぎる上、アゴのラインが造形されていないためにおかしな顔になっています。
アオリ気味で描かれた全身設定の絵ではアゴが明確に描かれていない(見えない)ので、それを参考にしたのでしょうか?
 

イデオン合金
 
イデオン合金としてはスタンダード扱いですが、ミニ合金という感じです。
 

パンチが大きいのが気になるもののサイズを考えれば十分な完成度です。合金パーツは胴体のみ。
 

スタンダード合金とはいえ、実際はほとんどミクロマンサイズ。
 

各部はスムーズに可動、このサイズでパンチも発射します。
 

ボディ上面はシールで再現。丁寧なつくりに好感が持てます。
 

DXと同じデザインの剣が付属。
 

頭部アップ。このサイズにしてゲージが透明パーツになっているのがすごい。
アゴのラインはやはり造形されていません。
 
 
 

トミーのイデオン玩具の中で、イデオン合金2種は製品としての完成度が非常に高いです。
この技術力に、造形的なセンスが加味されれば最高だったのですが…
 


 
次回はトミーと同時期に他社から発売されたイデオン玩具を補足します。
[ 2010/10/25 02:33 ] 合金 合金 | TB(0) | CM(0)

第2回発掘調査

ジョイントモデルの成り立ちをまとめるにあたり、モデルボーグの現物画像を提示したいと考えています。
そこで前回に続き発売当時組み立てたジャンク品を捜索してみたのですが、今回も発見できませんでした。
モデルボーグのグレートマジンガーや合体マシンマッハバロンなど、現存している筈なのですがどうしても見つかりません。
 
ただし他のものはいろいろと出て来たので、本項で少し紹介します。
なお、画像の組み済み品はいずれも発売当時につくって長期間しまい込まれていたものですので、見苦しい部分はご容赦下さい。

電動 大鉄人17
 


 

電動ワンセブンの塗装完成品。
腕は可動、頭部はバネで射出します。変形時には腹部パーツを取り外します。
 

変形のため脚の裏は素抜けになっています。一体化された両足に内蔵の動力部でモーター走行するギミックで、歩行ではありません。
 
 

飛行・要塞ワンセブンに変形。付属のサブマシン・シグコンジェットをカタパルトから発射できますが、今回は見つからず。最上部のアンテナは欠損しています。
 
 
未来ロボダルタニアス 初版
 

 

合体ギミックを再現したモデル、塗装完成品。ベラリオスの尾はポリパーツのため塗装できません。
アトラウス胸部のシールが欠損しています。
 

ダルタニアス形態。ベラリオス前脚は合体用パーツに付け替えます。
いくつかの余剰パーツはあるもののギミック再現度は高く、よくできています。本格的にポリパーツを導入したキャラクタープラモとしてもターニングポイントとなった存在です。
 
 
電動マジンガーZ用ホバーパイルダー
 

電動マジンガーZを取り上げた際に見つからなかったパイルダーのパーツが出てきました。当時塗装したままの状態です。
 

三十数年ぶりに、パイルダーオン!
 

オリジナル状態に一歩近づきました。
 
 
コスモゼロ・ブラックタイガー
 

劇場版公開の1977年生産のコスモゼロ。顔なしバンダイマークなので小松崎茂氏箱絵の再版としては後期分です。
 
     
こちらはブラシ画の再版ブラックタイガー。小松崎箱での再版は無かったようです。
 

それぞれの未塗装組み立て品。コスモゼロはこのあと箱絵がブラシ画に変わった際にキャノピーはノーマルクリア、翼端パーツはイエローに変更されました。
 
 
その他いろいろ
 

アオシマのミニ合体カウンタック。A-5号が無いためウイングパーツはA-8号のままです。
 

電動リモコンのニューゴッドフェニックス。走行時は専用の動力パーツに乗せる構造で、バリドリーンやダンガードAに似たギミックです。
 

デラックス変身セットの箱側面画像、前回みくに文具さまからご要望のあったものです。
あまり状態が良くないですが…
 


 
そのほか合金ものなどもいくつか発掘したので、いずれ取り上げられたらと考えています。
モデルボーグについては発掘は無理かもしれないので別の方法も検討します。
 
 
[ 2010/10/23 00:59 ] 暫定 | TB(0) | CM(7)

トミーのイデオン その2

トミーのイデオン その2
 
 
奇跡合体イデオン
 
奇跡合体はトミーのイデオン主力玩具です。大箱セットとイデオデルタ・イデオノバ・イデオバスタの各単品売りがありました。
 

Aメカ通常形態のソル・アンバー。モチーフは装甲車だったそうです。
 

戦闘形態イデオ・デルタ。機首と垂直翼以外は「ミラクルチェンジ」します。
 

合体形態。頭部アンテナは伸縮します。
頭部と両腕をつなぐフレームが再現されていないのが難点です。
 

Bメカ通常形態ソル・バニアー。モチーフはタンクローリー。
 

戦闘形態イデオ・ノバ。ボタンひとつで各部が開きます。
 

合体形態。機首部を取りはずすのみで、両側面の展開などは再現されていません。
 

Cメカ通常形態ソル・コンバー。通園バスがモチーフ。
 

戦闘形態イデオ・バスタ。ワンプッシュで脚部が豪快に伸長・回転しますが、形状の再現性は低いです。
 

合体形態は、基本的に機首部を取り外すのみ。
 

合体時にはボディの形状バランスの悪さが目に付きます。
肘はバネ仕掛けになっているため曲げても固定できず、可動は肩の回転のみです。
 

イデオ・ノバの機首部はまったく再現されておらず、ボディ上部は面構成すら放棄されて素抜け状態になっており、印象度を低下させています。
 

作品の設定とは無関係な剣が付属。パーツはサウンドフラッシャーと共用されているので、2本持たせてイデオン・ソード?を再現。
 

頭部アップ。全体に丸すぎることとトサカ部分の高さが足りないのが気になりますが、当時の玩具の中では良好な部類のようです。
 

サウンドフラッシャーイデオン
 
サウンドフラッシャーは奇跡合体に次ぐ主力玩具で、CMも製作されています。
 

人型ロボットとしてのバランスは良好。脚部の曲面などはアニメの設定を再現していて好感が持てます。
ただしイデオン独自の、ヒーローロボとは異なる「異形の巨人」という雰囲気は弱まってしまった感じです。
 

胸部両脇が開いてミサイルを発射。
 

足のカッター?も発射できます。
 

奇跡合体と同じ剣が付属。可動部はロボット玩具として標準的なものですが、簡易クリックによって角度が制限されるため、思い通りのポーズは取りにくいです。
 

ノバの機首部には塗装が欲しかったところ。
 

 

頭部、ボディの発光状態。同時に電子音が鳴り響きます。イデオンゲージが発光しないのは残念。
 

頭部アップ。モニター状の部分が小さめで青くないのが気になりますが、当時の玩具の中では最も良い形状です。アンテナが後方に向けて角度が付いているのもサウンドフラッシャーのみでした。
 


 
(続きます)
 
[ 2010/10/18 23:15 ] 合金 合金 | TB(0) | CM(1)

トミーのイデオン その1

トミーのイデオン その1
 
 

 
伝説巨神イデオンの本放送時、主要な玩具はメインスポンサーのトミーから発売されました。
トミーにはトミカに代表されるような堅実な一般玩具のイメージが強いですが、第一次怪獣ブームの1967年、ャイアントロボの商品化で男児向けキャラクター玩具に本格参入しています。
 
 

変身ブームの1972年には、ヒーローの登場しない異色番組緊急指令10・4-10・10の商品化権を獲得し、隊員のソフト人形やオートバイのプラ玩具を発売しました。
画像の隊員ソフトはジャンク品でヘルメットは欠品、銃とホルスターは適当な代用品です。
 
 

1975年にはオリジナルヒーロー玩具スーパーガイゴローを発売します。
変身サイボーグの影響が濃厚ながら、製品自体は堅実なつくりで好感の持てるものでした。
 

ただし発売当時には変身サイボーグの展開は終了しつつあり、遅きに失した感は否めません。
また、サイボーグの自在な可動や超合金・ミクロマンなどの精密感を体験済みの子供にはトミーのゴローは大味なものに感じられてしまい、人気は得られなかったようです。
1970年代は男児玩具が急速に進化していた時代でした。
 
 

その後トミーは、1976年放送・円谷プロ制作の実写とアニメの合成による新機軸作品恐竜探検隊ボーンフリーのメインスポンサーとなり、玩具を展開します。画像は当時のてれびくん(小学館)の懸賞ページより。
ボーンフリーの玩具は安定した人気だったようで、この路線は東京12チャンネルに放送枠を変更して1977年に恐竜大戦争アイゼンボーグ、78年に完全実写の恐竜戦隊コセイドンと継続しました。
 
1979年は制作会社が日本サンライズに変更になり、再び実写・アニメの合成手法の科学冒険隊タンサー5が放送されています。
トミーはタンサー5の合金玩具において、バネの力をボタンひとつで解放してマシンを変形させるミラクルチェンジというシステムを開発して好評だったようです。
 
 

そして1980年、タンサー5の終了から一ヶ月後に放送開始されたのが伝説巨神イデオンです。
放送枠は異なりますがトミーにとってイデオンはタンサー5の後継作品と位置づけることができます。
このころ、ザンボット3で合金玩具に参入したクローバーが2年ほどで急成長しており、それを知ったトミーが「うちもサンライズのロボットアニメで儲けよう」と考えたのがイデオンの企画要因のひとつだったようです。
 

イデオンの設定は各マシンが通常・戦闘・合体の三形態に変形したうえで人型ロボットにもなるというきわめて複雑なもので、二次元的な矛盾も多く含まれていました。
そのうえ前作で好評だったミラクルチェンジの導入を前提に玩具が開発されたため、主力商品の奇跡合体イデオンは形状・ギミックともに劇中イメージとはかけ離れたものになってしまいました。
その他の大半の玩具もイデオンの独特な魅力を再現するには至っておらず、売れ行きはよくなかったようです。
 
結局イデオンは39話で打ち切りとなり、その後劇場版が公開されるというガンダムと同じ道程を辿りました。
ただし劇場版公開時にはトミーの玩具は再版されていないようです。
 
 

 
その後のトミーは、1983年に倒産したクローバーの後を受けてダンバイン後半の主役メカビルバインの合金玩具2種を発売しています。画像のデラックスビルバインは箱にトミーの企業ロゴすら無く、「発売元 株式会社トミー」と活字表記されているのみで、発売時の混乱状況が想像されます。
翌84年にはレンズマンを展開したもののヒットには至らず、以降は自社オリジナルのメカ生体ゾイドなどを中心とした展開になったようです。
 
 
(続きます)
[ 2010/10/17 21:19 ] 合金 合金 | TB(0) | CM(0)