つなぎ更新です。
このところ興味ある出版物がいろいろ出ていたので、それらについての感想などを書いておきます。
アオシマ合体ロボット&合体マシンボックスアート展図録。
展示会自体にもなんとか足を運ぶことができました。
中でも梶田達二氏による2000円版タイガーシャークの原画は1メートルを超える巨大サイズで、これを見られただけで行った甲斐がありました(^^
ただし梶田氏によるアトランジャー関連の原画はこれ1枚のみだったのは残念です。
キービジュアルになっている1000円版アトランジャーなどは原画の撮影素材しか現存していないみたいですね。
原画にはそれぞれの作家名が表示されていたので、後期ミニ合体マシンやポケットパワーなどの多くが根本桂助氏と岡崎甫雄氏によるものと初めて知ることができました。
ただしこの作家名表示に気になる部分があります。
これは再版マイティーバード箱絵ですが、なぜか梶田達二1975となっていて初版箱絵の扱いになっています。
念のため初版はこちらです。
再版箱絵は2001年のアオシマプラモの世界(竹書房)で明示されており、明らかな事実誤認です。
再版は絵のタッチが梶田氏とは異なっており、おそらく根本氏か岡崎氏が描かれたように見えます。
こちらのレッドホークは今道英治氏とされていますが、今道氏が描かれた単行本表紙イラストなどと比較するとまったくタッチが異なっています。
本体だけでなく背景の宇宙や惑星などからも、自分には梶田氏が描かれたように見えます。
このゴダイガーは梶田氏とされていますが、ブラシを多用する画風やスジ彫りディテールなどが合体ロボットニューアトランジャーに酷似しており、岡崎氏の描かれたものに見えます。
今回の展示は美術館で正式に催すものとは性格が異なることから、学芸員などは関わっていないのではないかと思われます。
原画の作家表示に当たって、誰がどのような根拠で判断しているのかが気になります。
展示会終了後にアオシマによる合体マシン新展開が発表されていますが、過去の遺産に価値を見出して利用するなら、先達の仕事を正確に理解しようと努めるのは最低限の礼儀ではないでしょうか。
ダンバインプラモ特集のホビージャパンヴィンテージvol.3。
自分では1:24ダンバインしか作ったことがないので、詳細な素組み紹介記事で初めて知ることが多々ありました。
バンダイ模型側設計者への取材がないのは残念ですが、そろそろそうした取材は難しい状況になってきているのでしょうか。
特集では1ページだけクローバーの玩具についても紹介されているのですが、1:58ダンバインがショウの人形を乗せられるというのは事実誤認です。
上の画像の通り、1:58にはそうしたギミックはありません。
また、なぜかセブン製のチープトイを詳細に紹介している一方で画像のクローバー版フックトイに触れられていないのはバランスに問題があると思います。
このフックトイにはスケール表示はありません。
このページではクローバーのダンバインを「スケール玩具でありながらいろいろと惜しい」というような総括をしているのですが、あまり説得力を感じません。
たしかにフックトイ以外の玩具にはスケール表示があるし、初期のクローバー広報写真ではバイストンウェル風のディオラマが作られています。
しかしそのディオラマにはスケール違いの玩具も普通に並べられていることから、本来のディオラマというより「いつもの商品写真の背景をディオラマっぽくしてみた」程度の意味しか持たないとも考えられます。
商品展開も「SF FANTASY FIGURE」と銘打ってはいるものの、いつも通りの「基本体・デラックス・廉価版」というラインに流行りのスケール表示を付けただけと考えたほうが実質に近いように思えます。
それに造形的にも可動面でも画期的な完成度の1:60ダンバイン(通称ジョイントダンバイン)について、「簡易キット式」としか説明せず画像掲載もないというのは手を抜きすぎではないでしょうか。
このライターさんは最近のフィギュア王でザ☆ウルトラマンや東映スパイダーマンの特集ですばらしい仕事をされているのですが、今回はどうしてこういうことに…
以前紹介した講談社のテレビマガジン完全復刻コレクションマジンガーZも無事発売されました。
原本の単色ページの裏写りの修復などに手間取って発売延期になったこと、本の綴じ目部分はスキャンできないので別途撮影したことなどが
編集者の談話で語られています。
時間をかけて丁寧に作業されただけの価値のある本になっていると思います。
とはいえ当時の読者の一人としては気になる点もいくつかあります。
まず全体の構成ですが、最初は基本的に原本一冊ごとに再録記事が収録されていて時系列順に楽しめるのですが、マジンガーズクラブ発足以降の単色ページはすべて巻末にまとめられてしまっています。
その弊害で、このページは本来カラーなのに単色での再録になっています。
これが当時のテレマガ該当ページです。
おそらくこれはカラーと単色で紙質を変更するための措置で、むしろ前半の単色ページがイレギュラーな扱いなのだろうと想像しますが、やはりすべてを時系列順に掲載してほしかったです。
紙質へのこだわりも本書の売りのひとつにされていましたが、率直に言って単色ページも厚紙も当時と同じには出来ないだろうし、同じにしたら保存性に問題が出ることになりそうです。
カラーページも本来なら薄いグラビア紙と厚めのマット紙の2種がありますが、その違いの再現は無視されています。
中途半端なこだわりで掲載順が乱れたり綴じ込み付録が別添になるくらいなら、すべて同じ紙質でいいから完全に時系列収録にして、そのページがテレマガ何年何月号の記事なのかを体感できるような構成にしてほしいです。
今後グレートやダイザーを題材とした続刊があるなら、一考していただけないでしょうか…
また、画像データ作成が丁寧になされたことはいいのですが、当時のテレマガと比較するとすべてのページが少し小さくなっているようです。
綴じ目部分がスキャン不可能で数ミリ足りないのはしかたないですが、なぜかページ上部が数ミリ断ち切られており、その分下部に余白が生じています。
ページによってはその余白を画像のように反転データで埋めており、文字まで反転されているのがバレていて興醒めです。
ページ表記も、あらたにおおげさなデザインにせず、当時の表記の数字だけを変えれば問題ないのではないでしょうか。
おそらく多人数での作業のためか全体の色調が統一されておらず、特に前半に明度を上げすぎて白っぽく飛び気味のページが散見されるのも気になります。
古い雑誌ページの再録としては、ちびっこ広告図案帳(オークラ出版)という良書が20年以上前に存在しています。
現在はそれよりはるかに技術進歩しているのですから、もしも続刊があるなら、さらなる充実を期待したいです。
このところ、どうも「詰めの甘さ」が気になって素直に楽しめないケースが続いています。
そろそろ「病膏肓に入る」なのでしょうか……(^^;
画像のマジンガーズクラブ会員証は当時から持っているものです。
本来はビニールコーティングされていたのですが、そのビニールが汚れて破れてしまうので何ヶ月後かに剥がしてしまいました。
錆びたりしないかちょっと心配だったのですが、今のところピカピカのままです。
このカードはポピー製とのことで、さすがです(^^
[ 2020/05/17 21:27 ]
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当ブログは、もともとはバンダイ模型が1975~77年に発売した関節可動ロボットプラモデル「ジョイントモデル」についての情報をまとめておこうと始めたものです。
最近はすっかり何のブログかわからない状態になっておりますが(^^;
今回はひさしぶりにジョイントモデルについて、これまで触れていなかった周辺情報を落穂拾い的に取り上げておきます。
まずは訂正です。
オレンジ色のジョイントパーツが使用された
初期グレンダイザーについて、付属シールが紙製と記述していましたが実際はビニールというかポリ?のような材質でした。
一見するとツヤツヤにコーティングされた紙のように見えるし、現物は使用せずコピーを使っていたのでわかりませんでした。
画像の個体は近年組み済み状態で入手したもので、シールの位置を直そうとして初めて紙でないことに気付きました……我ながら目がフシアナ(汗
なお、入手時には「もしかしてギザなしジョイントの最初期版かも?」と期待しましたが残念ながらギザありの改良ジョイント版でした……無念。
徳間書店アニメージュ1981年4月号に掲載されたジョイントモデル紹介記事。
ジョイントモデルを「ガンプラの元祖」と位置づけたのはこの記事が最初と思われ、文中にある通りこの後ジョイントモデルは4種が白色成型で再版されました。
この号ではガンプラを中心としたキャラクタープラモデルが特集されており、バンダイ模型が全面的に協力しているようで、掲載品はどうやらバンダイ内部に保管されていた見本品を撮影しているように見えます。
中でもジョイント・ダンガードAは超合金と同様に胸部左右が赤く塗装されており、こうした個体は当時の広告などで見たことがありません。
こちらは翌1982年1月に発売されたアニメージュ増刊アニメ・プラモ・マニュアル。
アオシマの300円アニメスケールイデオンの改造作例に、再版されていたジョイントモデルのボールジョイントが流用されています。制作は酒井正氏。
当時「こんなカッコイイイデオンが発売されないかな~」と思っていました(^^
現在の目で見ても魅力的です。
「酒井正」というのは、たしか草刈氏の筆名だったような…?
記事の文中に「ボールジョイントだけのためにジョイントモデルを購入するのはもったいないが」というような記述があります。
このころはまだ、模型用マテリアルとしてのボールジョイント商品化など想像もできないという時代でした。
文化産業新聞社エンターテイン・キャラ通に1998年ころ掲載されたジョイントモデル紹介記事。
キャラ通プラモ探検隊という連載の第3回目です。
記事の切り取りだけが手元に残っているので掲載の号数はわかりません(^^;
レイアップというデザイン会社が資料協力しており、白黒ながら発売当時の広報用写真が掲載されていて貴重です。
この頃はまだネットオークションなどが無かったので、現物の入手が相当に困難だったためこうした写真に頼らざるを得ない面もあったのかもしれません。
当時はフィギュアブームでしたが、過去玩具についての情報発掘・共有はまだ始まったばかりという状況でした。
そうした情報不足の中で、なかなか詳しい内容の記述になっています。
これは同じ連載の第2回に掲載されたガイキングの試作写真。
大きい方は電動版、小さいのがジョイントモデルです。
まだジョイントパーツが使用されておらず、足裏に車輪が付いているのが注目されます。
キャラ通はフィギュアブームのころに大型模型店や家電量販店ホビーコーナーなどでよく目にしました。
ほとんど白黒で薄いのに価格は600円くらいで、ビニールパックされて中が見えないことも多く、購入はなかなかたいへんでした。「プラモ探検隊」の連載は第13回まで確認しています。
その後のキャラ通は、平成ライダーシリーズの出演俳優などを多く取り上げる誌面に変わって2003年ころまで継続していたようです。
最後はみくに文具様の私家版「第14回静岡見本市&国際玩具見本市会場写真集」より、ジョイント・ゲッタードラゴンの試作箱。
デザイン的な情報量の少なさから、展示専用に作られたダミーではないかと想像しています。
中のトレイのパーツ配置も製品版とは異なっており、なぜかふとももパーツは赤成型になっているようです。
見本市では数多くの塗装済み完成品が展示されているので、パーツの成型色は適当でも問題はなかったのかもしれません。
このほか、バンダイ出版課が発行していた模型雑誌B-CLUBでも、ジョイントモデル紹介記事が掲載されたことがあったようです。
掲載誌の号数など、詳細をご存知の方はご教示いただけると幸いです<(_ _)>
アオシマのミニ合体マシン・合体ロボットムサシと、エヴォリューショントイのダイナマイトアクションGKの2体を並べて、トリプル・ムサシ!
向かって左は以前も掲載した未塗装レジンキット版、右は昨年マシンとセット販売された塗装済み完成品版です。
ディテールなどはキット版は500円合体マシン同梱品に、完成版は100円ミニ合体マシンに合わせているようです。
オリジナルムサシは腕・脚の付け根が曲がらない構造なので、自在にポーズをつけられるダイナマイトアクションでの商品化はうれしかったです。
とはいえ、本物と比べてみると気になる部分もいろいろあって…
これがアオシマのムサシ。
こちらはダイナマイト~完成版。
腹部の凸凹ディテールがなぜかテキトーな処理に改悪されています。
頭部はかなり印象が異なるうえ、面出しがいい加減で表面がとろけたような状態になってしまっています。
ムサシは合体巨艦ヤマトのブリッジを構成するロボなので、頭部は戦艦の艦橋付近の要素を取り入れたデザインになっています。
眼の側面が格子状になっているのは窓の意匠でしょうし、アンテナ先端はレーダーのように湾曲した形状です。
ダイナマイト~はキット・完成品ともにこうした要素をまったく拾っていません。
ひざのディテールも、アオシマでは段差になっている部分がただのスジ彫りに簡略化されています。
こうしたメジャーでないキャラクターを商品化するのだから、メーカー内部にもこれらを好きな人間はいるのだと思います。
なのにどうしてこういういい加減なことをするのでしょうか。
なぜ、せっかくの機会をきちんと活かして納得できる物を作ろうとしないのでしょうか……残念です。
アオシマのムサシは画像のような部品不足のジャンク状態で入手した物です。
経年の汚れもあったので分解して洗剤を溶かしたお湯に浸け置きし、やわらかめの歯ブラシで洗浄しました。
欠品している頭頂部と足首は手持ちの未組み品のダブリ分から供出。
腕のマシンはダブリが無いので迷いましたが、もういい齢なのだから、この機会に思い切って手を着けてしまいました…
まぁ、いいか(^^;
なお、発売当時からムサシの広告写真はどれも棒立ちなのが気になっていましたが、現物を手にして納得しました。
実はひじ・ひざともにパーツ構成は曲がるようになっているのですが、デザイン上、その上から別パーツをかぶせることになるので結果的にほとんど動かなくなってしまうのです。
上画像のムサシは左半身のみかぶせパーツをはずしてみた状態で、ここまで動くとかなり印象が変わると思います。
むしろかぶせパーツは無い方が、子供も遊びやすくてよかったんじゃないかな~