1998-99年にバンプレストが展開したゲーム用景品「スーパーロボット大戦アクションロボ」。
塩ビ素材ムク成型のパーツをハトメ型のジョイントでつないでおり、初期のジョイントモデルによく似た構造です。
彩色版・単色版・クリア版・クリア彩色版などさまざまなタイプがあります。
改良型ハトメジョイントとアクションロボのジョイントパーツの比較。
外形は球状ですが可動はハトメタイプと同様です。
ゲッタードラゴンのアクションロボ彩色版とジョイントモデル。
アクションロボはプロポーション抜群、頭部の造型も実にかっこよく近年のドラゴン立体物ではベストのひとつだと思います。
変形途中を再現するイメージパーツが付属しました。
ライディーン彩色版とジョイントモデル。
ジョイントパーツの向きの調整にクセがありますが、造型は素晴らしいのでポーズが決まるといい感じです。腰の突起はゴッドバード変形パーツを付けるためのものですが、パーツが行方不明で画像を用意できませんでした。
ガイキング彩色版とジョイントモデル。
アクションロボはボリュームのある造型で、脚部以外は強化型ガイキングのイメージに近いです。パート1-3に分離可能、ミラクルドリルを装備できます。
コン-バトラーVクリア彩色版とジョイントモデル。
プロポーションはいまひとつですが、ポーズは付けやすい感じです。
マジンガーZクリア彩色版とグレートマジンガー彩色版。
Zは細身でボディがボリューム不足の印象。アイアンカッターが付属します。
グレートはドラゴン同様すばらしい造型です。
ボルテスVとダイターン3の彩色版。
ボルテスは緻密な造型ですがジョイントパーツ周辺に空間ができてしまうのが惜しい。超電磁コマが付属。ダイターンは膝にジョイントパーツが使用されていないためあまりポーズがつけられません。
真ゲッター1彩色版。
当時は関節可動の真ゲッターの立体物として貴重な存在でした。やや小振りなのが残念ですが、かっこいい造型です。
アクションロボシリーズは他にゲッター1、ダンクーガなどもありました。
全体的な特徴として、塩ビという材質の重さをジョイントパーツが支えきれずポーズの固定にはやや難があります。またジョイントパーツの差し込みと各パーツのバランス合わせには微妙な部分もあり、思い通りのポーズをとらせるには慣れが必要かもしれません。
しかし造型や付属パーツのアイディアには素晴らしい部分も多く、ゲーム用景品としての商品化ではもったいないと感じます。
特にゲッタードラゴンやグレートマジンガーなどは同一原型できちんとプラ成型されればかなり魅力的な玩具になった可能性があり、塩ビ製の景品には収まりきらない完成度に達しています。
1984年にサンセイから発売されたガリアン。ゴーグと同じ「1/100スケールジョイントモデル」です。
内装は発泡スチロール。ジョイントパーツはダンバイン、ゴーグと同様のハトメ型です。
造形的にはやや重厚さが不足している感じ。肘や膝のシルエットが細いのも印象を弱くしているようです。
手首は差し込みのみで可動軸はありません。頭部はかなり小さく造型はいまひとつ。
足首パーツはやはり金属で、変形時の走行のためかタイヤが付いています。
右画像はジョイントパーツと改良型ハトメジョイントの比較。
画像上からクローバーのダンバイン、タカラのゴーグ、サンセイのガリアンのジョイントパーツ。
軸の太さや金属部に若干の違いはありますが、ほぼ同じパーツです。もしかすると汎用の同一パーツで、仕入れ時期の違いで微妙な差異が発生しているだけなのかもしれません。
股関節を横に広げにくい弱点はゴーグと共通しています。
全体のパーツ構成やジョイントパーツから考えるとゴーグとガリアンのジョイントモデルは同じ現場で開発されたのかもしれません。
メインスポンサーのタカラはガリアンではプラモデルの発売のみでした。サンセイというメーカーがタカラの系列会社だったとすればゴーグとの共通性も納得できますが、真相は不明です。
実は造形的にはゴーグとダンバインの方が近い印象を受けるので、このあたりの事情はよくわかりません。
飛行型へ変形可能。なお、ジョイントガリアンにはパーツを改修・追加してアサルトガリアンの分離・合体を再現した「DX」も存在しています。
こちらはゴム製ザウエルとの2体セットで、未確認ですがザウエルにもジョイントパーツが使われているようです。
このセットはウェブで画像を公開している方がいらっしゃるようなので検索すればすぐに見つかります。
ジョイントガイキングと。ほぼ同サイズですがガリアンはやや厚みが不足している感じです。
1/100スケールの2大ロボ。かなり身長差があるのがわかります。
1984年にタカラから発売された巨神ゴーグです。
ダンバインと同様のハトメ型ジョイントを使用しており、商品名は「ジョイントモデル」になっています。
主要パーツはトレイに並べられておりバンダイ模型のジョイントモデルに近い印象です。
流麗なデザインをよく再現しています。材質は主にABSで足首部のみ金属です。
180ミリ砲が付属しますがなぜか手に持たせることができません。
ジョイント構造はダンバインと同じですが装甲が重なり合うデザインのため可動範囲は広くはありません。
改良型ハトメジョイントと比較したジョイントパーツ。ダンバインのものとほぼ同じですが、同一パーツの流用とは断言できないようです。
造型はサイズを考えると充分な完成度です。主人公のフィギュアが付属しますが、台座部分が大きすぎてゴーグの頭部に立たせられないのは設計上のミスでしょうか。
平手とパンチが交換可能。
股関節を横に開くことがほとんどできず、腰も可動しないため大胆なポーズがとれません。
形状が魅力的なだけに設計がいまひとつなのが残念です。
タカラは同じ1/100スケールのプラモデルや1/48スケールのDX玩具、ジャンボマシンダーのような巨大人形、リモコン、時計内蔵などさまざまな形でゴーグを商品化しました。
1983年にクローバーから発売されたダンバインです。
ハトメ状のジョイントパーツを使用しているので「ジョイントダンバイン」と通称されることもあるようですが、箱や説明書には特定の商品名は記載されていないようです。
画像はブリスターの内装です。
やや腕が長めですが、たいへんかっこいい造型です。多様な解釈が可能な頭部もうまくまとめられています。
材質は主にABSです。
羽と胸部装甲はクリアパーツで再現。ショウ・ザマのフィギュアを格納できます。羽は4枚欲しかったところです。
使用されているジョイントパーツは改良型ハトメジョイントに近いサイズで、差し込み部分は短めです。
ジョイントパーツは差し込み部で回転できるのでさまざまなポーズがとれます。
色分けはややさびしいですが、説明書ではプラモデル用塗料での塗装が推奨されています。本品は模型店経路でも流通していました。
ユーザーの塗装が前提になっているのは、ガンプラブームを経ての発売だったことを考えると不自然ではありません。
クローバーはガンプラブーム時にホビー色の強い「レプリキャストモデル・ビグザム」やかつての合金玩具をキット状態にしたガンダムを発売しています。
81年の「最強ロボ ダイオージャ」ではアオシマとは別に独自のプラモデルを発売していました。
後半の主役メカ「ビルバイン」との比較。
ダンバイン放映中にクローバーが倒産したためビルバインの玩具はトミーが販売しました。小サイズのものには無版権品が多く出回っているようですが、画像はトミー製の正規品です。
ウイングキャリバーに変形したビルバインとダンバインの組み合わせ。
こんな状態にするとクローバーらしさが感じられるかもしれません。
ジョイントガイキングとの比較。手にした印象はほぼ同サイズに感じられます。
製造タカラ・発売サンゼンの「合体パズル 鋼鉄ジーグ」。
画像の個体は痛みがはげしいですが、ブリスターパックで販売された廉価玩具です。
ジョイントモデルのグレンダイザーやガイキングと同じ頃販売されていたと思われるプラ製可動人形。台紙イラストは前村教綱氏。
造型・サイズ・色調などからマグネモ・ジーグのヒットを受けてそれを参考に開発された製品のようです。
肩・腰・脚などはなぜかエッジの立った平面で構成されています。
ナックルボンバーやミサイル状のスピンストームの発射はマグネモと同じです。
マグネモに似た分離状態。膝と肘がボールジョイント状の関節になっています。股関節と足首が単なる差し込みのためあまりポーズは付けられません。
首と肩ははめ合わせ式で回転可動。
付属パーツは色・形状ともマグネモに酷似しています。マッハドリルは先端部のみで本体は付属しません。
マグネモの廉価版という雰囲気ですが可動性は今ひとつ。
股関節が回転のみなのが主な原因で、肘・膝の球状関節もあまり効果を発揮していません。
サンゼンという会社は他に「フライング鋼鉄ジーグ」「ひみつ武器付き鋼鉄ジーグ」などのギミック内蔵玩具を発売しており、「合体パズル」の台紙絵は「ひみつ武器付き」と共用しています。
本品はジョイントモデルと直接の関係はないですが、ほぼ同時期に
パーツ毎に分解できる商品構成
関節可動に意義を見出しボールジョイント状の関節を模索している
といった要素を展開しているのでここで取り上げてみました。