美研 スケールモデル怪獣 3
美研のスケールモデル怪獣、初期12種紹介の続きです。
ケムラー
1/410スケール、体長約80ミリ。設定は35メートルなので少し小さめです。
頭部、特に顔が大きく手足が短い造形のため迫力不足の印象があります。
背面。尻尾の先も一応それらしく再現されています。
甲羅を開いた状態のケムラーの立体物は当時は貴重でした。
甲羅は差し込み式の別パーツで取り外し可能です。
頭部アップ。はみ出した白目の塗装が、大きすぎる眼の印象をさらに補強してしまっているようです。
このシリーズの造形をよく観察すると、ウルトラマン・レッドキング・ゴルドンなどの緻密なものと、バルタン星人・ペスター・ケムラーのような大雑把なものに大別出来そうな気がします。
もしかすると担当の原型師が2人だったのかもしれません。
テレスドン
1/750スケールなので体長80ミリになる筈ですが、高さだと約70ミリ、長さは約120ミリという謎のサイズ。
造形は緻密でリアルなシルエットです。
背中のディテールも正確、尻尾は長めで迫力があります。
塗装は色を載せるのでなく凹部に墨入れするようなパターンになっており、『スケールモデル』の面目躍如といったところ。
頭部アップ。劇中通りの青い眼が再現されているのですが、白目部分が無いために目つきの鋭さが感じられないのは残念。
ちょっとウルトラファイト版のようにも見えます。
ただし、青の単色でなく白でハイライトを表現しているのはこの時代の玩具としては画期的です。
同時期のブルマァクミニソフト(再版)との比較。
ミニソフトも腕のいい原型師が担当していますが、やはり玩具的で上品な仕上がりです。
対して美研は極めて模型的なアプローチでリアルさを追求していることがよくわかります。
ゴルドン
1/540スケール、約128ミリ。少し大きめのサイズです。
金色を感じさせる成型素材が効果を挙げています。
ウルトラ怪獣手帳掲載の側面写真にそっくりなシルエットを持つリアル造形。
背中の突起や折れ曲がった後脚などもよく再現されています。
頭部アップ、角が大きめです。
眼の塗装はやはりハイライトを表現しています。
こちらは未開封の個体。成型色や塗装パターンは同じです。
STマークの導入初期だったのか、おなじみの白地に赤丸の図案とは異なっています。
バンダイのガシャポンHGシリーズとの比較、ほぼ同サイズです。
さすがに細部の精密さは及びませんが、30年ほどの年代の開きを考えれば十分リアルな造形だったと思えます。
メフィラス星人
1/800スケール、約75ミリ。設定は2~60メートルなので最大時に忠実なサイズです。
造形・色彩とも本編イメージをよく再現していますが、形状はやや緻密さに欠けるように感じられます。
頭部アップ。複数のマスクを併用した塗り分けが見事です。
画像の個体はあまり状態が良くないですが、眼のハイライトも狡猾さを表現しているようで好印象です。
(続きます)
美研 スケールモデル怪獣 2
美研のスケールモデル怪獣、第1弾12種を個別に紹介します。
ウルトラマン
1/470スケール、高さ約85ミリ。設定身長40メートルなのでサイズはほぼ正確です。
プロポーションはやや脚が短く、映像イメージのスマートなウルトラマンとは少し印象が異なります。
拳を握った腕のポーズもウルトラマンらしくありませんが、前後割りの金型で一発成型される制約上しかたのない面もあるようです。
足裏に版権表示の刻印がありますが、ひと文字1ミリくらいの小さなものなので見逃してしまいそうです。
頭部アップ、悪くない造形です。
ただ、同時期のブルマァク製帰ってきたウルトラマンのソフト人形ではスタンダードや大サイズの頭部造形がかなりシャープでかっこいいものだったので、それらに比べると美研製はちょっと印象が弱いようです。
なお画像のような乳白色成型は初期生産分のようで、後期分では銀色成型に変更されています。
バルタン星人
1/625スケール、高さ約80ミリ。設定では2~50メートルなので最大時の身長を元にスケール換算しているようです。
プロポーションはやはり脚が短く、子供のような体型です。
ディテールの彫刻があまり明確でなく、画像の個体は彩色状態もよくないので全体にハッキリしない印象。
頭部アップ。眼の黄色がずれてしまっているのがなんとも印象度を下げています。
バルタンの色彩は複雑なので当時の量産体制ではきちんと再現するのは無理があったと思われますが、もう少し状態の良い個体を見てみたいです。
レッドキング
1/560スケール、高さ約73ミリ。身長45メートルとするとちょっと小さめです。
首がやや短いのと太目の腕を振り上げたポーズのせいで、上半身にスマートさが感じられないのが残念。
塗装は本来もっと金色に近かったと思われますが、経時変化で緑青が出てしまうようです。
尻尾の長さはちょうどいい感じです。
頭部アップ。大きな黒目は多々良島の初代レッドキングを連想させます。
レッドキングは売れ行きが良かったのか、中古での発見率が高いようです。
塗装には微妙な個体差があるようにも見えますが経時変化を考えると判断は難しいところ。
もともと金色は塗料の定着が弱い傾向があるようなので、状態の良い個体は見つかりにくいのかもしれません。
ペスター
1/770スケール、高さ約68ミリ。身長50メートルとすると少しサイズオーバーです。
シルエットが個性的なのでよく似ていますが、頭部が大きめのようです。
背面もイメージ通り。円谷プロ撮影の三面写真を参考に造形しているようです。
頭部アップ。サイズが小さいせいかやや立体感が甘いようです。
手持ちの3体を並べてみると、中央の個体のみやや彩色が異なっているようです。
サイズも左右の2体よりわずかに小さくなっていますが、これが経時変化なのか、金型自体が異なっていたのかは判断が難しいところです。
こちらは怪獣・ヒーローお宝鑑定カタログ1998年版(朝日ソノラマ)掲載の新品状態のペスター。
台紙側面に文字が無いので初期生産分と思われます。背中側で固定するために専用の台紙が使用されていたようです。
(続きます)