Google Maps Platform を初めて使用される場合、まずはマップ上にマーカーを置いてみた人も多いのではないでしょうか。多くの場合、それが Google が持つ現実世界の知見を活用し、世界中のあらゆる場所においてユーザー向けの臨場感あふれる便利なマップ エクスペリエンスの構築を実現するための第一歩となったりします。ユースケースや業界の違い、ウェブ向けなのかモバイル向けなのかにかかわらず、多くの場合、マーカーがマップベースのエクスペリエンスの中核となっています。
デベロッパー コミュニティから数多く寄せられる要望が、簡単に使用できる高度なマーカー機能でした。このたび、Google Maps Platform チームは皆様の要望にお応えすべく、Maps JavaScript API 用の「高度なマーカー」のプレビュー版をリリースいたします。これにより、高度にカスタマイズされ高速に動作するマーカーの作成が可能となり、上質なユーザー エクスペリエンスの提供、ブランドの紹介、時間とリソースの節約が実現します。
Directions API と Distance Matrix API はこの 10 年以上、A 地点から B 地点までの人やものの移動ルートをすばやく効率的に決定できるよう支援してきました。また、Google はここ数年間、運送業界や物流業界の最大手企業と密接に連携し、モビリティ サービスを通じて、カスタマー エクスペリエンスや配送業務の大規模な改善を支援してきました。Google Maps Platform チームは多くのご要望に応えて、これらの高度なルーティング機能の大半を、利用可能な国のすべての Google Maps Platform デベロッパーに提供しています。
今回、新しい Routes API のプレビュー リリースを発表しました。これは、Directions API と Distance Matrix API の拡張バージョンであり、両 API を 1 つのサービスに統合することで、より有益で柔軟なルートをユーザーに提供できるようになります。
新しい Routes API は、ビジネスにおいて重要な役割を果たしている Directions API と Distance Matrix API の基本機能に基づいて構築されています。たとえば、リアルタイムの交通量を包括的に反映する最新のルートや、複数の出発地と目的地を組み合わせた行列計算から算出される距離や到着予定時刻などです。さらに、より有益で柔軟なルートを提供し、到着予想時刻の精度を向上するために、次のような高度な新機能も備えています。
世界の多くの地域では、配達からライドシェアリング、日常の移動に至るまで、二輪車が最も一般的な交通手段となっています。新しい Routes API では、二輪車向けのルートや距離行列の計算をリクエストでき、有料道路、高速道路、フェリーの回避、自動車が通れない道を通るルートなど、さまざまな要素が考慮されます。(利用可能な地域はこちらでご確認ください)
二輪車(オートバイ)用ルートと通行料金データの例
通行料金の計算
新しい Routes API では、お客様やお客様のユーザーに重大な経済的影響を与える可能性のある新しい重要なデータ、つまり通行料金の計算にもアクセスできるようになりました。方向と距離行列の両方のリクエストにおいて、通行料金の計算をリクエストし、十分な情報に基づいて時間と費用のトレードオフに関する決定を下せるようになりました。通行料金データでは、車両の種類(EV、ハイブリッドなど)や通行券の種類が考慮されて、ルートの費用がより正確に計算されます。(利用可能な地域はこちらでご確認ください)
通行料金データを使ったルートの例
交通量とポリライン機能の改善
交通量は、消費者にとっても企業にとっても、ルーティングの決定に影響を与える最大の要因の 1 つです。新しい Routes API では、ルート計算で現在の交通量と過去の交通量のどちらを考慮するかを指定できます。また、交通量やポリラインの品質と遅延の間のトレードオフをコントロールすることもできます。
新しい Routes API では、アプリのパフォーマンスを向上するための追加オプションが導入されています。Routes API は、既存の Directions API と Distance Matrix API よりさらにパフォーマンスが高く、総合的な精度と遅延の短縮との間のトレードオフを可能にする機能を備えています。フィールド マスキングを使用すると、API レスポンスで返されるフィールド(到着予定時刻、メートル単位の距離、交通状況など)を選択できます。これにより、レスポンスのペイロードのサイズを抑えてレスポンスを簡素化することができ、簡単に処理できるようになります。
よりスマートかつ柔軟な経由地点(ウェイポイント)で到着予想時刻の精度を向上
新しい Routes API では、よりスマートになったウェイポイントにより、到着予想時刻の精度も向上しています。ルート内の経由地点では、その地点を通過するか停止するかの指定ができるようになり、移動時間の計算がより正確になります。トンネルや高速道路など、停車が安全でない場所にユーザーが誘導されるのを回避できるため、これは特に送迎のユースケースに有効です。さらに、道路のどちら側が適切かをウェイポイントに指定したり、経由地点ごとに車両の現在の進行方向や適切な進行方向を指定できるため、送迎などの際に適切なルート案内が行えます。
停車すると危険なトンネル内でドライバーを停車させるルートの例
トンネルから離れた近くの脇道でドライバーを停車させる中間ウェイポイントの代表的な例
Routes API では、距離行列リクエストの出発地と目的地の数を増やし、出発地と目的地の各上限(25 個)を排除しました。最大で合計 625 個の要素が返されるように設定できるため、柔軟性が大幅に向上しています。
Routes API は現在プレビュー版のみが提供されており、この期間中のご利用に対してユーザーに課金されることはありません。料金の詳細については、Routes API の一般提供開始時にお知らせします。既存の Directions API と Distance Matrix API の価格に変更はなく、料金ページでご確認いただけます。
ユーザー エクスペリエンスの向上を図っている場合も、現実世界に関する Google の情報を基に、ビジネスにおいてより多くの情報に基づいた正確な意思決定を下すことを目指している場合も、これらの API は、さまざまなユースケースを解決するために必要な機能とパフォーマンスを提供するよう構築されています。
Google Maps Platform では、デベロッパーの皆様が革新的な地理空間情報を活用したサービス構築が行えるよう、便利な新機能の継続的な開発や提供に努めています。たとえば、一般ユーザーが毎日使用している Google マップの最新のイノベーションを API として提供したり、ご要望の多い機能をプラットフォームに追加しています。このたび、新しい Routes API で「環境に優しいルート選択」の提供を開始することを発表致します。Google マップのユーザーアプリですでに利用することができる環境に優しいルート選択を使用すると、燃料消費を抑えるように最適化されたルートを選択できます。さらに、世界中のデベロッパーから多くの要望が寄せられた、高度なルート選択、地図のカスタマイズ、住所確認などの新機能も発表します。これらの新機能を使用すると、アカウントの登録時や決済時にユーザーの住所を確認したり、より有益で柔軟なルートをドライバーに提供したり、高度にカスタマイズされたマーカーを作成できるため、ユーザー エクスペリエンスが向上し、業務効率が高まります。
より有益かつ柔軟な、環境に優しいルートの提示
Google はここ数年間、運送業界や物流業界の最大手企業と密接に連携し、モビリティ サービスを通じて、カスタマー エクスペリエンスや配送業務の大規模な改善を支援してきました。このたび多数のご要望にお応えして、これらの高度なルート選択機能の多くを、環境に優しいルート選択とともに、利用可能な国のすべての Google Maps Platform デベロッパー向けにリリースいたします。
今回、さらに、新しい Routes API のプレビュー リリースを発表します。これは、Directions API と Distance Matrix API のパフォーマンスを最適化したバージョンであり、デベロッパーはより有益で柔軟なルートをユーザーに提供できるようになります。
新しい Routes API は、ビジネスにおいて重要な役割を果たしている Directions API と Distance Matrix API の基本機能に基づいて構築されています。たとえば、リアルタイムの交通量を反映する最新のルートや、複数の出発地と目的地を組み合わせた複雑な行列計算から算出される距離や到着予定時刻などの機能です。さらに、より有益で柔軟なルートを提供し、到着予想時刻の精度を向上するために、次のような高度な新機能も備えています。
デフォルトの赤いピンをコード内で簡単にカスタマイズする機能と、SVG 要素と HTML 要素を使用してカスタム マーカーを作成する機能は、いずれもデベロッパーからの要望が特に多かった機能です。このたび、このオプションを備えた Maps JavaScript API 用の「高度なマーカー」のプレビュー リリースを発表いたします。
高度なマーカーを使用すると、Google マップの赤いピンを簡単にカスタマイズできます。デフォルトのピンの色、背景、アイコン、枠線をコードで直接変更でき、画像は必要ありません。SVG を直接的にサポートしているため、ブランドのロゴなどの画像を使用してカスタム マーカーを作成できます。また、CSS を最大限に活用して、ユーザーの操作に反応する HTML 要素を使用したカスタム マーカーを作成できます。たとえば、不動産業の場合は、ユーザーの操作に応じて住宅価格を表示するマーカーを作成できます。高度なマーカーを使うと、作業効率も向上します。読み込みが速くなり、パンやズームがよりスムーズになるうえ、豊富な種類のマーカーを高速で読み込んでお使いいただけます。
カスタム HTML 要素を使用して作成された高度なマーカーのサンプル
高度なマーカーは、最近プレビュー リリースしたデータドリブンのスタイル設定と同様に、Maps JavaScript API 用 Dynamic Maps に組み込まれており、クラウドベースのマップのスタイル設定に最新の機能として追加されています。JavaScript 用の高度なマーカーは、数週間後にプレビュー版の提供が開始される予定です。登録すると最新情報を受け取ることができます。
Google は、デベロッパーの皆様が Google Maps Platform を使用して構築する、現実世界を体現したクリエイティブで革新的な地理空間サービスから、絶えず新しい着想をいただいています。今後も皆様からのフィードバックに耳を傾け、優れた体験を実現するために必要な機能を提供できるよう、尽力してまいります。新しい機能の提供開始に関する最新情報を受け取るには、こちらからご登録ください。皆様が構築されるサービスを楽しみにしております。
1 Baymard: "Have an address validator"(住所確認ツールを利用する)
Google Maps Platform に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。ご質問やはページ右上の「お問い合わせ」より承っております。
Intelligent Tracking Prevention(ITP)ブラウザでの One Tap
iOS と macOS
macOS サポートの追加
Android
認証済み電話番号
ID プロバイダである私たちは、操作にユーザーの明確な同意を織り込みつつ、ユーザーの Google アカウントを活用して、デベロッパーに追加のユーザーデータをシームレスに提供できるようにする作業を進めています。電話番号がアカウント管理の重要な要素であることは承知しています。この点は、モバイルファーストのマーケットにあるユーザーにとっても、ID 認証や 2 要素認証の必要性が高まっているデベロッパーにとっても言えることです。
Android デバイスでは、デベロッパー側から、Google アカウントに紐付けられた認証済み電話番号を共有することを登録フローの一環としてユーザーにリクエストできるようになります。デベロッパーからは、SMS 認証でユーザーを保護するには大きなコストが必要だという声が寄せられています。今回、デベロッパーは簡単にユーザーに電話番号をリクエストできるようになります。この電話番号は Google が検証を済ませているものです。これにより、オンボーディング プロセス全体で SMS のコストを削減できます。
デベロッパーがユーザーの電話番号をリクエストするもう 1 つの方法は、Android デバイスで新しい Phone Number Hint API を使うことです。デベロッパーが Phone Number Hint API を呼び出すと、ユーザーはデバイスの SIM カードの電話番号を共有できます。これは、登録やログインのフローとは関係なく利用できます。この API には追加のパーミッションは不要なので、ネイティブ Android API を呼び出す方法よりもお勧めです。デベロッパーは時間と作業量を減らすことができます。Phone Number Hint API は、ユーザーが Google アカウントにログインしていなくても利用できます。Google アカウントに情報が保存されることもありません。
ウェブ
ITP ブラウザの One Tap
ITP(Intelligent Tracking Prevention)ブラウザでは、サードパーティ Cookie の利用が制限されるので、ウェブでユーザーがトラッキングされることはありません。今回、iOS 版の Safari、Firefox、Chrome などの ITP ブラウザで、GIS One Tap が利用できるようになります。これにより、ユーザーとデベロッパーの両方のために、複数のプラットフォームで一貫したワンタップ操作を実現します。デベロッパーは、次のようなさまざまな理由で One Tap の利用を好んでいます。
ユーザーのコンバージョンの増加
業界をリードするセキュリティ
パスワード管理に伴うリスクの削減
専用のログインページや登録ページにリダイレクトせずにログインや登録を実現
パーソナライズしたプロンプトによる重複アカウントの削減と再訪ユーザーの自動ログイン
ITP ブラウザでの One Tap の UX は、次のようなウェルカム ページから始まります。
ユーザーが続行することを選ぶと、ポップアップ ウィンドウが開きます。ポップアップ ウィンドウの UX は、標準の One Tap ユーザー エクスペリエンスと同じです。
この新機能は、One Tap を有効にしているすべてのデベロッパーを対象に、2022 年 10 月 12 日にデフォルトとしてロールアウトされる予定です。さっそく ITP ブラウザで One Tap のサポートを始めたい方や、デフォルトのサポートをオプトアウトしたい方は、ドキュメントをご覧ください。
iOS と macOS
macOS プラットフォーム拡張
この数年間で Apple のエコシステムは拡大し、多くの異なるプラットフォーム(iOS、iPadOS、macOS、tvOS、watchOS)が含まれるようになりました。そこで、Apple エコシステムのサポート拡大に向けて、iOS と macOS 向け Google ログインの一環として、macOS サポートをリリースします。これにより、ネイティブ macOS アプリで中核的な GIS 操作(認証、認可、トークンの保存)がサポートされるようになります。
サポートの終了
サポートの終了予定
GIS ライブラリで利用できる新機能に加えて、今後のサポートの終了予定についてもお知らせします。
Android での Smart Lock for Passwords のサポート終了
ウェブサイト向け Google ログインのサポート終了
Smart Lock for Passwords のサポート終了
Smart Lock for Passwords Android SDK のサポートが終了します。この機能は、パスワードの保存と取得、ID トークンのリクエスト、ログインヒントの取得をします。GIS ライブラリでは、Smart Lock for Passwords のすべての機能を利用できます。すべてのデベロッパーの皆さんには、新しい機能用に GIS ライブラリを使うことをお勧めします。既存の統合機能の Smart Lock for Passwords トラフィックは、デフォルトで GIS ライブラリにリダイレクトされます。デベロッパーによる変更作業は必要ありません。
デベロッパーによる Google マップの基本地図のスタイル設定とカスタマイズを可能にする継続的な取り組みの一環として、この度、Maps SDK for Android 向けの高度なポリラインのスタイル設定の提供を開始することを発表します。この機能は、現在 Google が提供しているポリライン機能の上に構築されています。デベロッパーはこの機能を使って、地図上に表示される定型の線を作成できます。こうした定型の線は、経路、パレードルート、通行止めなどの情報を表すためによく使用されます。ポリラインは、Google Maps Platform のデベロッパーが、ユーザー向けに地図をカスタマイズする際に最もよく使う機能の一つです。
Chrome は、ウェブサイトとの間で安全な接続を確立する作業の一環として、証明書が「認証局」(CA)と呼ばれる信頼できる機関によって発行されたものであることを検証します。Chrome やユーザーのローカル設定が認識していない CA が発行した証明書が使われると、ユーザーに警告ページやエラーページが表示される場合があります。
ルートストアは「トラストストア」とも呼ばれ、信頼できる認証局についての情報をオペレーティング システムやアプリケーションに提供します。Chrome Root Store には一連のルート CA 証明書が含まれており、Chrome はデフォルトの状態でその一連の証明書を信頼します。
ルート プログラムは、対応するルートストアの管理に必要な要件やセキュリティ審査の機能を定めるためのガバナンス構造です。Chrome Root Program の責任者は、Chrome セキュリティ チームのメンバーです。Chrome Root Store に含める CA の最小要件を定めたプログラム ポリシーは、こちらで公開されています。
Chrome でこの変更をする理由
これまでの Chrome では、Chrome が実行されているプラットフォームが提供するルートストアと証明書検証プロセスを使っていました。しかし、Chrome Root Store に移行して、さまざまなプラットフォーム上の Chrome が信頼する CA を標準化し、Chrome Certificate Verifier を使って一貫した証明書検証を行えば、ユーザーやデベロッパーの体験の一貫性が向上します。
私たちは CA の所有者と連携して、次世代の Web PKI の定義と運用に向かおうとしています。今後のビジョンには、信頼性が高くアジャイルな最新の目的主導型 PKI によって自動化、簡素化、安全性強化を進めることなどが含まれています。Chrome Root Program とそれに対応するポリシーは、このような目的を実現できるように構築しています。