オンラインアイデンティティについて
2011年3月10日木曜日
[本記事は、Google Public Policy Blog にGoogle の Director of Privacy, Product and Engineering である Alma Whitten が投稿した The freedom to be who you want to be...と Google Social Web Blog に Product Manager の Greg Marra が投稿した Decide what the world sees when it searches for you を翻訳・再構成したものです-山崎]
「インターネット上では、誰もあなたが犬だとは思わないだろう」というピーター スタイナーの風刺画は冗談で描かれたものかもしれません。しかし、中東や北アフリカ地域での最近の出来事が示すように、彼の指摘したことはとても重大なことでした。ウェブが発展し、ユーザーはどこにいてもブログ記事を投稿したり、友人や家族と写真を共有したり、目にした出来事をオンラインで放送したりすることができるようになりました。そんな中、アイデンティティの問題がますます重要になってきたのです。
Google のサービスを利用するとき、ユーザーの皆さんがどのように名乗るか(あるいは名乗らないか)、その色々な方法について Google は考えてきました。本人証明が役に立つサービスもあれば、本人証明が必要とされる場合もありますし、逆に本人証明が任意でもよかったり、不要だったりもします。属性(attribution)はとても重要です。しかし、仮名や匿名という手段も文化の一部を担っており、それにはきちんとした理由があるのです。
Google のサービスでは無記名、仮名、記名の 3 つに対応しています。各々のモードには、各々のユーザーベネフィットがあります。
無記名: 自分の実名や仮名に結びつけることなく、オンラインの活動をしたい時がときどきあるでしょう。たとえば、医療関係について調べるときや、特別な方への素敵なプレゼントを探すときなどです。このようなときは、Google Account にログインしなくても(あるいはサインアップすらしたことがなくても)、Google のサービスを利用することができます。サービスを提供する上で、IP アドレスやクッキーのような情報は必要になりますが、ログアウトしている場合はそれらの情報を個人のアカウントにリンクすることはありません。
仮名(ハンドルネーム): 仮名のおかげで人々はネット上で自由に自己表現を行うことができるようになったことからもわかる通り、仮名はインターネットの大きな利点の 1 つです。仮名を使う人は、物理的に危険な状態にあるのかもしれませんし、何かの助けを求めているのかもしれません。また、自分について知られたくない状況にある場合もあるでしょう。そんな事情がある場合、一貫したアイデンティティをもつことは必要かもしれませんが、オフラインの本人とは結びつかないものである必要があるでしょう。YouTube への動画のアップロードや、Blogger への投稿は仮名を使うことができます。
記名: 人と情報を共有するときに、相手に自分が何者なのかを知ってもらいたいということはよくあると思います。 Google Checkout などのいくつかの製品が、このような身元確認に依存しており、サービスを利用するためには、利用者自身が身元を明らかにすることが必要です。 身元を明らかにすることが、しないことに比べてより望ましい場合もあるでしょう。たとえば、あなたが地域社会活動のプロジェクトに参加したいと思ったとき「オンラインで見たこの人達が、本当にコミュニティのメンバーであるとどうやって知ればよいのだろう?」と考えることがあるかもしれません。
なりたい自分になれる(オンラインアイデンティティをコントロールできる)という自由をユーザーに提供するのと同じぐらい重要なのは、Google のサービスを利用する時に自分がどのモードにいるのかを正確に知ることができるようにすることです。そこで最近、Google では多くのサービスで、これを明確に示すために、ページの一番上にあるナビゲーションバーを変更しました。各サービスを使うときに、ページの右上に、どのアカウントでログインしているか(もしくはしていないか)を見ることができます。
Google では、ユーザーの皆さんに対して更に透明性を高めるため、他の方法も検討しています。Google が提供する製品の中には、そのサービスが何の為に作られたのかによって、これらの 3 つのモードのうち 1 つか 2 つのモードのみに適している物もあります。ただし、 Google はこれら 3 つのモードすべてが Google のサービスにある、と考えています。
一例ですが、先日リニューアルされた Google Profiles は、自分の名前で検索されたときに何が表示されるか、自分にとってどんな情報が重要でハイライトしたいのか、自分について何を知ってもらいたいのかを自分がコントロールすることができるサービスです。この Google Profiles はウェブ上に情報を公開し、現実の人とつながるために設計されたサービスですので、実世界でよく使っている名前を使って頂くようお願いしています。