しかしながら、インターネットでいろいろ日本の戦争責任や特亜との歴史問題に触れているうちに、自分が戦前の日本について、ろくな知識がないことを痛感するようになったわけでして。
私が学校で習った歴史教育はと言えば、今でいえば自虐史観と言われるもので、当時はあまり深く考えずに、日本も随分悪いことしていたんだなぁと思っていただけでしたが、それでも、日本だけが悪かったのか?という疑問は常に頭の隅にあったなぁ。
その程度の知識で、いわゆるネット右翼の「日本は悪くない」史観に触れたものですから、結構その時はそれなりに衝撃を受けましたね。今まで受けていた歴史教育は何だったのか?と。
かといって、ネット右翼の歴史観をまるきり信用しているわけではありません。むろん、左翼の歴史観に比べれば妥当性はあると思われるものの、戦前の日本が酷いことを行った事実はあると思ってますので。
ただ、左右両方の主張を見ていて、左は日本軍の悪行を強調するばかり、右はそれを否定してばかりしているような気がしてなりませんでした。
そこで、まず自分自身が、戦前や戦中の資料を勉強しなければならないと思い、アマゾンで書評をみていたところ、山本七平の著作が、非常に評価が高いことに気づいて、高校生以来久しぶりに彼の著作を読んでみたわけです。
そこで読んだのが、主に次の4冊。
「私の中の日本軍」
私の中の日本軍 (上) (文春文庫 (306‐1)) (1983/01) 山本 七平 商品詳細を見る |
「ある異常体験者の偏見」
ある異常体験者の偏見 (文春文庫) (1988/08) 山本 七平 商品詳細を見る |
「日本はなぜ敗れるのか」
日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21) (2004/03) 山本 七平 商品詳細を見る |
「一下級将校の見た帝国陸軍」
一下級将校の見た帝国陸軍 (文春文庫) (1987/08) 山本 七平 商品詳細を見る |
これらの本を読んで、今まで、左翼(右翼も含む)の言動について、自分が感じていたもののどう表現していいか分からなかったことを、山本七平が見事にわかりやすく分析・批評しているのには、ある種の感動すらおぼえました。目からうろこが落ちたといっても過言ではありません。
彼の著作を読んでいてとにかく感じたのは、
・日本陸軍下級将校としてフィリピンのジャングルを彷徨い、戦犯収容所に収容されたという苦難の経験に裏打ちされた「説得力の強さ」。
・今に至るまではびこる日本軍への誤解や偏見により、戦争の実態が歪められている事への「憤り」や「危機感」。
・分析する際に徹底的に行われた「緻密な論理構成」や「思考の跡」。
・自己も信じない基準を平気で他人に強要する人びとへの「怒り」。
そういったものが読んでいると、ひしひしと伝わってきます。
彼の分析を通して、改めて左翼の人びとを見てみると、おかしなことに「戦前の軍国主義を支持・礼讃した人びと」といろんな点で共通項が浮かび上がってきます。いわば、戦前軍国主義を信奉した人が、戦後は一転して日本国憲法を信奉している不気味さとでもいうのでしょうか。
まあ、私がこう書いていても、山本七平を読んだことのない方はわからないと思います。今後、そういったことについて、このブログ上で、彼の記述を引用しながら紹介していこうと考えていますのでご期待ください。
さて、最後に、山本七平に対する批判について触れておきましょう。
当然のことですが、こうした山本七平の的を得たご指摘に怒っているのが、完膚なきまでにその正体を暴かれ、論破されてしまった左翼の方々。今現在に至るまで、山本七平に対する誹謗中傷を見かけることができます。
特に多いのが、「日本人とユダヤ人」について、ユダヤ人と偽って書いたことに対する非難と、その記述内容の間違い等を指摘して、山本七平のことを嘘吐きとかペテン師呼ばわりするケースですね。
実際、私も過去に村野瀬さんのブログ「村野瀬玲奈の秘書課広報室」のコメント欄上で、慰安婦問題を巡って以下↓の警句を「日本人とユダヤ人」から引用したところ、Apemanさんという方と、この警句を巡って議論する羽目になったことがありました。
私とApemanさんとのその時の議論について興味のある方は、彼のブログ「Apes! Not Monkeys! はてな別館」の下記URL↓を参照してください。 (我ながらかなり泥試合を演じてます。反省デス…orz)「朝鮮戦争は、日米の資本家が(もうけるため)たくらんだものである」と平気でいう進歩的文化人がいる。ああ何と無神経な人よ。そして世間知らずのお坊っちゃんよ。「日本人自身もそれを認めている」となったら一体どうなるのだ。その言葉が、あなたの子をアウシュヴィッツに送らないとだれが保証してくれよう。
これに加えて絶対に忘れてはならないことがある。朝鮮人は口を開けば、日本人は朝鮮戦争で今日の繁栄をきずいたという。この言葉が事実であろうと、なかろうと、安易に聞き流してはいけない。
【日本人とユダヤ人/しのびよる日本人への迫害の章より引用】
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20071208/p1#c1197993103
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20080105/p5
彼と議論している時も、とにかく山本七平の主張は否定してやる!という強烈な意思を感じたものです。そういう態度を彼らがとるのは、やはり彼ら左翼にとって、山本七平という人物は都合の悪い存在であるからではないかと私は推測しているのですがね。
とりあえず今日はこの辺で。ではまた。
FC2ブログランキングにコソーリと参加中!
「ポチっとな」プリーズ!
- 関連記事
-
- 「私の責任=責任解除」論③どうして日本は中国問題で失敗を繰り返すのか (2008/04/29)
- 「私の責任=責任解除」論②「ごめんなさい」と言わない奴が叩かれる日本社会 (2008/04/19)
- 「私の責任=責任解除」論① (2008/04/14)
- 言霊(コトダマ)②「なぜ日本人は契約下手なのか」 (2008/04/09)
- あんな謝罪で感動するなんて・・・ (2008/04/02)
- 左翼の方(右翼の方も)、戦争を語るのも結構ですが、せめてこれを読んでネ。 (2008/03/16)
- 私が山本七平(-左翼に嫌われた男-)に惚れ込んでいる理由 (2008/03/14)
- 食糧安保に鈍感すぎないか? (2008/02/20)
- とりあえず山本七平先生のご紹介でも (2008/02/16)