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一知半解なれども一筆言上

山本七平マンセーブログ。不定期更新。

「日本の友好/世界の友好」~その違いとは?~

最近、某所で捕鯨問題について議論したり、また、ガザ紛争を巡る議論を見たりしていて、つくづく思うのが、多くの日本人の考える相互理解とか、友好とかが世界のそれと全く違うのではないか…ということ。

今日は、そのことについて、『日本人と「日本病」について (文春文庫)』の中から山本七平岸田秀が対談で端的に説明している箇所を引用していきます。

■「断章取義」

岸田 ぼくはずっと以前から山本さんのご本はほとんど読んでいるつもりなんてすが、そうして感じたことは、そのお考えが、あるいは失礼かもしれませんが、ぼくの考えていることときわめて共通する点がある、という気がしたんです。

つまり、日本人は自分の行動を規定している規範というか、原理というか、そういうものに対して無自覚的である。

そして、意識していないがゆえに、太平洋戦争をその典型として、他民族と接したときにいろいろな摩擦が起こってくるわけですね。

その問題を解決するためには、まず、自分たちを真に動かしているものを意識化すること、知ることであるということを、山本さんはあちこちで述べていらっしゃるわけです。

この考え方というのは、実は、私のほうの仕事である精神分析そのものなんですね。

山本さんは日本の現代史の数々の局面を分析するのに、「空気」という言葉を用いておられるわけで、その発想にぼくが「共同幻想」と呼ぶところのものと大きな共通性を感じました。

一度お会いして日本人論と日本の近代史の分析について、大いにお互いの考えをぶつけ合ってみたかったんです。今日ははからずもこういう機会が持てて、非常に喜んでおります。


山本 それはどうも、光栄です。

岸田 神経症の患者は、一応ちゃんと主観的動機というものを持っていて、意識面ではさまざまな正当化を行っているんです。ただし、それは彼を真に動かしているものとは達う

これは一神経症患者にとどまらず、人間の集団というか、民族についても言えるんですね。

そもそも人間の精神発達の過程でいうと、まずはじめは自閉的、自己中心的なんです。
すべて自分を中心にして世界は回っていると思っている。

この自己中心性から脱却するには、他者との衝突しかないんですね。他者と衝突することによってはじめて、自分の見方が普遍的なものではなくて自分にしか通用しないんだということがわかってくる。

これなくして精神発達はあり得ないんです。

これは個人についてだけではなく、国家という集団についても言えるのであって、日本の鎖国というのは、一種の幼児期だった。

その期間中も長崎でオランダとつき合っていたとはいっても、あれは言わばこっちの勝手になるつき合いで、やめようと思えばいつでもやめることができる。

これでは本当の意味の他者との衝突は起こってこないわけで、国家的なレベルで日本が自己中心的だった時代なんでしょうね。


山本 そうですね。

岸田 ただ、他者との衝突というのはで両刃の剣なんでしてね、それが全然なければ精神は発達しないけれども、あまりにも強い衝突が起こると、こっちの人格が混乱しちゃう。

ペリーの来航は実はそのひど過ぎるショックだった。
そこで日本人の精神構造が狂ったんじゃないか、というのがぼくの考えなんです。

たとえば、家の中で両親に可愛がられて何一つ不自由なく育つ。下男、下女がいたといってもそれは他人じゃない。ところが、ある時突然、両親が死に、家が破産して、冷たい世間に放り出された。

さてどうしたらいいかわからない、と一生懸命にあがいたのが、明治以来の日本なんじゃないか。


山本 ええ。たしかに日本は文化的な衝突というものを最も経験していない国です。それがなぜか、こうも巧みに近代化らしきことができてしまったところが、実に不思議ですね。

たとえば、仏教が来たといっても、都合のいいところしか取り入れてない。
儒教にしても、さかんに唱えるわりに本格的儒教体制をつくる気はない。
革命をやって、日本を解体して、ちゃんと科挙の試験をして士大夫を作るという気はないんですね。

徳川時代の町人学者の行き方は「断章取義」と言われています。
章を断って義を取る、つまり原典の文脈をバラバラにして、自分に必要なものだけを取るんですね。

石田梅巌(一六八五~一七四四、江戸中期石門心学の祖)などはその典型で、彼は町人で商家の一番頭で権威がありませんから、聖人の教えにこうあるという形で表現する。

いわば、自分の体系を聖人の片言隻句の引用ですべてつないでしまう
原典は仏教だろうと儒教だろうとかまわんわけで、これはつまり思想を取り入れたということではなく、表現を採用して権威化したに過ぎないんです。

そのため真の思想的対決には決してならない。

面白いことに朱子学の受容もそうなんです。
確かに朱子の正統論は日本に大きな影響を与えて、これから天皇の絶対化が生まれてくる。
同時に浅見絅斎(一六五二~一七一一江戸中期の朱子学者)の『靖献遺言(※)』のようなそれに基づく個人の絶対的規範もできる。

(※註)…中国思想の殉教者の殉教記録および遺言集。収録されているのは屈原『離騒懐沙賦』、諸葛亮『出師表』、陶淵明『読史述夷斉章』、顔真卿『移蔡帖』、文天祥『衣帯中賛』、謝枋得『初到建寧賦詩』、劉因『燕歌行』、方孝儒『絶命辞』

しかしその両者を組織的体系的につなぐことはせず、それに基づく新しい体制に関しては全く考えていないわけです。

明治以降も大体においてそうでしてね、今度は朱子学的天皇絶対と個人の絶対的規範はそのままにして、その中間に西欧の組織を入れてしまう。

いわば和魂洋才と称して、才だけもらっておく。
これが伝統的な手法なんですよ。

いまの日本のキリスト教会にしても、「断章取義」です。
聖書の思想体系は問題にせずに、自分たちの精神構造に合う句だけをもってきて組み立ててしまう。

そうでないなら、たとえば旧約聖書の「列王妃」と『資治通鑑』の歴史観の異同などは最も気になる問題のはずです。

今度、私は、説教集などで、聖書からの引用の実態を調べてみようと思うんです。
どういうところだけ引用しているか。

それによって日本のキリスト教会を通じて、その精神構造がどうなっているか、逆にわかるでしょう。

で、私は冗談に、日本文化は「サザエ」である、というんです。
中は背骨なしでグチャグチャしてていいんです。外をきちんと閉じておき、必要に応じて蓋を少しあける。

ヨーロッパ人は脊椎動物ですから、日本人には背骨(バックボーン)がない、という。
確かにそうでしょう。

そのかわり貝がちゃんとある。(笑)

外部を固めて何物も入れず、時折ちょっと口を開けて、必要なものだけ取る。
これをずっとやってきた。

だから、自分はこうであるということが、外へ行くと言えなくなるんですよ。
貝のように口をつぐむか、「相手の立場に立って」となっても「自分の立場に立って」がない

したがって、対決はしない。

だが、徳川時代の尊皇イデオロギストは必ずしもそうでないです。
やはりペリー・ショックの影響は大きいでしょうね。

対決ということを誰もが反射的にいやがる。

ところが、たとえばエルサレムなんていう所は、「相手の立場に立って」といえる場所がなくなるんですよ。三大宗教のどの立場に立っても、ほかの二つから文句が出るでしょう。

岸田 なるほど。

山本 この前テレビでエルサレムを紹介するときに、結局、三大宗教共通の聖所であるという言い方で押し通しちゃったけれども、こんな妙な話はない。

三方から文句がきても不思議はないんでしてね。だいたい彼らは自分の立場を明確に主張してくる。
イスラムはイスラムの、ユダヤはユダヤの立場をね。

だから、つくづく思いましたが、ああいうところへ行って論争しても、これは勝てない

「相手の立場に立つ」人間が一種の内心の決意を経て土俵にのぼるのと、なんらの決意もなく、当然の状態を当然のままで出てくるのとでは、勝負になりませんよ。

日本の対外的な摩擦は、すべてこの問題を抱えているんです。

岸田 結局、他人との友好的な協調のあり方が違うんですね。

山本 違うんです。

岸田 日本人は、自分の主体的判断をお互いに捨ててというか、横にのけておいて仲よくやれば、対決も葛藤もないんだという、一つのフィクションの上に立っている

一方、向こうではお互いに自己を最大限に主張し合って、その主張の間に共通一致点を見出すことが双方の協力友好の基礎ですよね。

友好ということの意味が日本とは初めから違う

だから、日本人が自我を捨てることを前提とした日本的やり方で仲よくしようと思っても、向こうは仲よくなってくれない

日本人が自我を捨てたって、向こうは自我を捨ててはくれませんからね。
すると、日本人の方では、こっちは自我を捨てて譲歩しているのに、おまえは少しも歩み寄ってこないと腹を立てる。

向こうに言わせれば、そこで日本人がなぜ腹を立てるのかがわからない。


山本 そこなんです。「双方互譲の精神をもって」と新聞の社説なんかではよく出ていますね。
しかし、譲れば相手が一歩踏み出して来る社会では、双方徹底的な自己主張をして妥協点を見つける以外にない

いわば、実にしんどい対話が必要になる。これがわかっていないんです。

(後略~)

【引用元:日本人と「日本病」について/「断章取義」/P20~】


上記の対談の中で、非常に重要だと思ったのが次の二つ。

一つ目が、友好について。

日本人の考える友好のアプローチが、世界相手では通用しないということ。
それを、通用すると信じ込んでいること。
通用するとの思い込みが破れた際、裏切られたと感じて一方的に腹を立てること。

これは、戦前から現在に至るまで全然変っていないのではないでしょうか。

左翼の「対話重視」を訴えるナイーヴな主張に、それが通用するとの思い込みを感じてしまう。
ネット右翼の感情的な反発に、裏切られたという感情を感じてしまう。

いずれも、非常に日本人的なんだなぁ…と思いますね。

そして、二つ目が、「日本人が自らの行動規範を自覚していない」という指摘。

このことは、「戦前の反省」というものにも物凄く影響を与えているとおもう。
自らの行動規範を把握していないから、反省が頓珍漢なものになる。

「戦前の日本軍の残虐行為をあげつらう」とか、「9条に縋る」とかすることで反省につながると勘違いしているのも、この「自分たちを真に動かしているものを意識化すること、知ること」という行為を避けているからでしょう。

この点については、二人の対談でまた出てくるので、後日また詳しく紹介していくつもりですのでお楽しみに。


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コメント

mugiさん、sirokazeさん、
お二人のお気持ちもわからないでもありません。
ただ、お怒りになる理由はわかるのですが、そうだとしても、このコメント欄上で、これ以上冥王星さんを批難するのはもう止めにしませんか。

確かに冥王星さんの物言いや、作法には問題があるんじゃないか…とは思います。

ただ、正直申しまして私自身には、彼の論理が即間違っていると言い切るだけの判断能力がありません。
ですから、冥王星さんの態度や物言いはともかくとして、傾聴する部分もあるのではないだろうか…と考えている次第です。

所詮、ネットというのは、匿名であり、礼儀作法など無きも同然の世界。
仮にダブハンとか使われていたとしてもわからない以上、仕方のないことです。

それに匿名である以上、礼儀とか謝罪要求とかを追い求めることは難しいような気がします(そうは言っても、明らかな名誉毀損なら謝罪を要求すべきですが)。

青臭いことを言うようですが、ネット上において頼りにすべきは、自らの論理性と批判を受け入れる姿勢(コメント欄・トラバの開放)ではないでしょうか?

そして、mugiさんのご指摘にもありますように、判断は第三者に任せるしかないのではないでしょうか。

いろいろ言いたいことはあるとは思いますが、このコメント欄上においては、相手そのものへの批判はなるべくご遠慮いただきますよう、ご協力をお願いいたします。

  • 2009/03/08(日) 23:33:32 |
  • URL |
  • 一知半解 #f2BEFQoE
  • [編集]

一番感情論で突っ走る冥王星君

>>私自身への批難や批判は幾らでもしてもらって構いませんが、このコメント欄上で、他人への(主張そのものではなく個人攻撃的な)批判を展開されるのは、私にとっても気分が悪いですし、はっきり言って迷惑です。それにコメント欄が荒れる元にもなりますし。

 一知半解さん。
 それを冥王星君が分かっていれば、二度同じことを繰り返すなんてありえないんだがなあ。

 冥王星君は、コメントしなくてもいいから、他人が君をどう見ているのか、一回みておくべきだよ。
 はっきりいえば、君と君のお仲間以外、君の論がマトモだと思っている人間は一人もいないんでね。

http://srsa.jugem.jp/?eid=667

 一知半解さんの本文に書かれている、非常に自己中心的な見方しか冥王星君はしていない。
 だから、他人との衝突を理解していない。

 問題はさらに、その他人との衝突は、他人とで争えばいいのに、冥王星君の形勢が不利なため、第三者(一知半解さん)のところまでいって、やったという、アホをしたこと。
 そんな冥王星君は、自分で「論理的」だの「知性」だの書いているが、とても「論理的」ではないし、「知性」の欠片すらないと言わせてもらう。

 普通なら、そのことにはすぐに気付くべきであり、筋違いのことをしていることを、冥王星君は、一知半解さんにも、俺にもmugi氏にも詫びるべきなんだよ。

 それが普通の対応であり、論戦を張る上での大前提。

  • 2009/03/08(日) 12:51:27 |
  • URL |
  • sirokaze #-
  • [編集]

横レス、失礼致します

 sirokazeさんのブログでの「りとめんし」さんのコメントで初めて知ったのですが、冥王星というハンドルでオーマイニュースに盛んに書き込みをしていた人がいたそうです。そこで検索したら、面白いブログがヒット。ここでも冥王星氏が何度もコメするので揶揄され、こう書いていた。

「大丈夫だよ…経営者なもんで。木曜日は別な仕事があるので、お休みでーーす」(2008-05-15/18:30:35)
毎週木曜日は私の絵画教室で、生徒さんと楽しくやってますよ」(2008-05-15/21:29:49)
http://blog.goo.ne.jp/hiranohideki/e/0ff7f07450ff09b0611c714190d3e098

 その他にも都合が悪くなると忽然と姿を消し、説明責任など全くしていなかったことが知れる。参考文献名を他人のサイトからコピーしてきただけだったことも。かなり食わせ者そうで・・・

 上記ブログの管理人・平野秀樹氏は冥王星氏=渡辺良一(自称・画家)氏と見ていますが、北海道在住でオーマイニュースに「冥王星」のハンドルで投稿していた渡辺良一氏のHPやブログも検索したらありました。そうしたら1953年生まれの既婚者だそうです。こちらの「冥王星」氏とはまるで文体が違いますね。多重人格者や別人なら話は違いますが。
http://homepage2.nifty.com/nabe28/
http://artgaka.air-nifty.com/nabe/

所詮は匿名ネット、いくらでも虚偽やでっち上げ、成り済ましがまかり通る世界です。判断は読者の皆様に委ねましょう。
記事とは逸脱したコメントで、大変失礼致しました。

  • 2009/03/08(日) 12:18:46 |
  • URL |
  • mugi #xsUmrm7U
  • [編集]

>冥王星さんへ

レスが遅くなりました。

まあ、協調性については、大体指摘されているとおりだと私も思いますね。
ただ、協調性におけるマイナス面はそうでしょうが、プラス面も当然あるわけで、どうしたらそのマイナス面を抑制できるかという問題になるかと思います。

論証責任を求めるというのは、一つの対応策として有効でしょう。
ただ、そこで相手が答えなかったからといって、罵倒に走るのはどうかと思いますね。別に自分の反論はネット上で行なえる時代なのですから、自ブログで大いに反論すればいい話ではないでしょうか?
もちろん、これは相手がコメント・トラバを無条件に受け付ける前提での話ですけど。

ブログ上ならば、コメント欄を開放するなり、トラックバックを認めるなりするのが最低の対応だと思いますが、それすら出来ていないブログが多いのは確かに問題ですね。
批難すべきはこうした対応でしょう。

>ダライラマとオウム・山口組とチベットは世界規模で弊害を撒き散らす民族にも関わらず、無知な市民が国権を否定し、人権を叫ぶ滑稽な様子を識者の一人として嘲笑しに行きます。

これはまた冥王星さんにしては随分と感情的な物言いですなぁ。
世の中には絶対悪などありえないのに…。ちょっと一面的な見方過ぎやしませんか?

>ちなみに、この手の対談記事というのは、とても安っぽいケースが多い。

これも冥王星さんの主観に過ぎないのでは…。山本七平と岸田秀の対談の内容のどこが安っぽいのか具体的に指摘してもらわないとね、なんとも反論できません。


>カロンさん

英傑の日本史は、読んでいないのでそういった問題は知りませんでした。
どうして井沢氏は訂正しないのでしょうね。単なる誤記レベルの話みたいなのに…。

>つまり、専門家でもない人が知ったように語るのが、最近の右翼言論の基本体系ということでもあります。

それはそうかもしれませんが、これは右翼言論に限った話じゃないでしょう。
左翼言論(例えば本多勝一)なんか昔からそうでしたから、言論界全ての問題といえるのでは?

それはさておき、冥王星さんやカロンさんが問題視しているブルガリア研究室さんやmugiさんの件ですが、確かに貴方がたからしてみれば、彼らにそうした問題があるのかもしれませんが、わざわざ私のコメント欄上で彼らへの批難を展開するのは遠慮していただけませんか?

彼らは、そうした批判も受付できるようコメントもトラバも解放しています。実際、第三者にしてみれば、双方の意見を見比べることができる環境にある。

彼らの回答がなくとも、トラバを受け付けてくれていることで満足すべきなのが「大人の対応」ではないでしょうか。

私自身への批難や批判は幾らでもしてもらって構いませんが、このコメント欄上で、他人への(主張そのものではなく個人攻撃的な)批判を展開されるのは、私にとっても気分が悪いですし、はっきり言って迷惑です。それにコメント欄が荒れる元にもなりますし。

ご協力よろしくお願いします。

  • 2009/03/07(土) 22:19:49 |
  • URL |
  • 一知半解 #f2BEFQoE
  • [編集]

 管理人さんへ

返答が遅れました。すいません。
 井沢元彦さん・「英傑の日本史 上杉越後軍団編」 角川学芸出版さんの両者に、人名の妥当性について質問したのは私、カロンです。
 まだ出版社・井沢元彦両氏からの返答はありませんし、出版社には電話しても応対がない状態です。
 群馬県地域文化研究協議会(日本歴史学会傘下系)・上州戦国研究会会報において公式見解として紀要にも載せた話です。
 
 同著(英傑の日本史)には、他にも上州国人に関する記述の問題も指摘していまして、前記しました田村貞男・野口泰彦両氏と討論の最中でもあります。

 この部類のやりくちは井沢元彦氏が得意とすることなので、日常茶飯事として学会内では、放置する旨まで布告されています。
 歴史学会は井沢元彦さんが応対しないこと学会会員ではないこともあり、特段の対応ができないのが現状です。
 
 残念ながら、専門家でもない右派論陣の方々は体系的知識もないまま強弁する状況は、近年の一般傾向でありますし、反論に対して返答さえしない「やり逃げ」の手口は、今に始ったことではないと認識しております。冥王星さんが以前から論陣を張っている正論・voice・諸君などもその典型例。
つまり、専門家でもない人が知ったように語るのが、最近の右翼言論の基本体系ということでもあります。
 それでも懸命に討論を要請する識者が多くいますが、出回った出版物を回収する責任は著作者ではなく出版社でありますし、間違っていても「社会通念上許容される事実認識」という法的な考えもありますので、この部類の出版は「暴論しちゃったものが勝ち」です。

 よほど明確な事実の捏造・偽造もない限りは裁判では勝てませんし、新潮社・講談社・小学館などの大手出版社は最高裁まで争い、原告の裁判体力を奪う戦術に終始している状況です。

 「元寇」に関する井沢元彦さん・出版社さんへの質問もすでに4年以上の時間が経過していますが、返答なしです。
 こちらは冥王星さんの質問だったので、詳しくは知りませんが、
バラしても問題ないと思いますが冥王星さんは
 『慶祝札奇斯欽教授八十壽辰學術論文集』(聯合報文化基金會國學文獻館)を筆頭に中央アジア通史では海外出版が多々ありますし、井沢元彦さんよりも体系的モンゴル通史を知っていると思います。
(名前は調べようがないでしょうから、曝しても問題ないでしょう。共著ですし)

 ちなみに、Mugiさんの推奨されたサイトも井沢元彦さんと同じく反論してきません。
 冥王星さんの反論記事なので私はなんともできませんが。
 なにせ、ブルガリア研究室の室長さん曰く
・「冷戦時代に日本はソビエトに渡航できた」、
・十七条の憲法では「和をもって尊しとする」(貴ではない)
・「一度もない」といいながら、次の文章では「例外」を語りだすし、(論理矛盾)

井沢元彦さんと同じく反論しない方が都合いいことが解ります。間違いを認めないで済みますから。

 長くなりますが、井沢元彦さんだけではなくブルガリア研究所の室長さんの研究・見解の根源は、彼らが批判している識者などであることは多々あります。
 さすがにブルガリア研究所室長さんが、マルクス主義を批判しながらも、労働価値説で賃金を論じていたことには爆笑しました。
 当人が否定している立場の研究者の研究論文を基礎していているなんてのは、正直笑えない話です。
 その研究者の根本を否定しながら、その実際は、その研究者の論理を盗用している状況は、どうやっても矛盾としかいいようがないでしょう。
 そうやって批判されることも当人は知っているからこそ、反論しないことも理解していますが、人間的な良心があるなら、反論してきてほしいものだと思います。

 さて、これは冥王星さんの一文ですが
『「否定の否定が肯定になる」(ヘーゲル弁証法)という理解構造を悪用している』のが、井沢元彦さんと考えれば、至極分かりやすいです。
 「否定するもの(学会)を否定すれば正しい」ということはありませんが、そのような論法で正当化が図られていることも否定できないでしょう。
 マルクス主義的なものを批判する人間に限って、ヘーゲル弁証法を利用している滑稽な状況もまた深い矛盾とも言えます。
 
 大変長くなりましたが、いずれ冥王星さんからメールが来ると思いますので、その時はご連絡します。
 乱文失礼しました。

  • 2009/03/05(木) 16:17:31 |
  • URL |
  • カロン #-
  • [編集]

>自らの行動規範を把握していないから、反省が頓珍漢なものになる。

行動規範あるでしょ?「空気」って

「赤信号みんなで渡れば怖くない♪」

KYという批判にしたって同じこと。
協調性を美徳とする価値観は、集団ヒステリックを誘導し、暴走する。日本の歴史では多々ありますねぇ。
もっとも集団ヒスが市民革命に摩り替わった話もありますがw
もっとも、日本人の集団ヒスの象徴が、日露戦争から今に続いてるわけですw

協調性の前で、”悪い協調性”はありえない。
・みんな赤信号で渡っているから、俺も大丈夫!
・俺だけなんでスピード違反で捕まるの?他の車も・・・・・
・無礼講ということで泥酔しちゃってもOK。(そして、道路で嘔吐。掃除しない)
・年金・NHK受信料の未納者が多いんだってさ・・俺も払わないでいいかな・・・

協調性が全て善。周りと同じこと(=普通)が正しい

それが日本人の行動規範であり、価値基準。

一方、冥王星のような似非グローバリストが国際法の話しても、「国際法は法ではない」などというご都合主義な協調主義が働くのが日本なんだからw

 日本的に日本人は議論ができない。それは、言語体系として「比較」表現が明確ではないことが原因でもあるが、簡単に感情論・義理人情を持ち出すから、議論にならない。
 別に英語なら出来るとは言わないが、自分の意見に対する責任を持てない日本人が多いし、それがまかり通っているからこそ、日本は三流の政治国家と言われるんだろう。

 具体的に説明すれば、事実認識の是非論を行うことを避ける人間が日本人には多い。
 だから「ソースは?」と質問すると論証責任を放棄して持論へ展開しようとする。
持論の説明責任を負わないことなんて、日本人の一般傾向じゃないのかな?冥王星は追及されれば回答するけどw
 論証ソースがないにしても、それを補完する論理構築ができれば議論になりえるにも関わらず、事実確認をしない。
 ”疑う”ことを嫌悪しているからこそ、間違いを犯すのであって、疑うことを恥じる必要性はないのであるが・・・・日本人の体質といえばそうなのだろうが・・・

 もっとも、「周りが疑ってるから俺も・・・・」的なマインドは強いから、衆愚になりやすいでしょうがw

 まぁ、オイラは、チベット人が行ったブータン少数民族へのジェノサイドについて、UNHCR(国連難民高等弁務官)経由で研修させてもらえるのでありがたく、渡航させてもらいます。
 ダライラマとオウム・山口組とチベットは世界規模で弊害を撒き散らす民族にも関わらず、無知な市民が国権を否定し、人権を叫ぶ滑稽な様子を識者の一人として嘲笑しに行きます。
 もっとも、フェビアン協会の関係の業務もありますけどねw

 ちなみに、この手の対談記事というのは、とても安っぽいケースが多い。
 なにせ、お互いに対論する姿勢がないから、一定の協調性で話が進む。統一見解の前提で行われる議論ならば、日本人はなお更苦手とする部分。

  • 2009/03/02(月) 21:42:21 |
  • URL |
  • 冥王星 #f2BEFQoE
  • [編集]

カロンさんへ

>冥王星さんはOKらしいので、お任せします。

確認取っていただき済みませんでした。冥王星さんから頂いたコメント内容については、次のコメント欄に「冥王星さんの名前で再投稿する処置」をとらせていただきます。

>井沢元彦さんに群馬の武将「長野業正」という記述で喧嘩を売ったのは自分です。

喧嘩を売ったのは、冥王星さんが…ですか?それともカロンさん?

ちょっとどういう経緯でそのような武将について論争になったのか、第三者にはさっぱりわかりませんので何とも言えませんが、はっきりとした間違いなら、井沢氏も素直に認めるべきでしょうね。

私個人としては、もし井沢氏がそのような人物なら、人物としての評価はマイナス評価にします。

ただ、それでも井沢氏の主張そのものについて、認めるべき処は素直に認めますよ。私はね。

よく、イザヤ・ベンダサンや山本七平を取り上げると、偽ユダヤ人という批難が飛んできますが、私自身はイザヤ・ベンダサンが偽ユダヤ人だったとしても、その論理が正しければ、認めるにはやぶさかではありません。

私は、筋が通っていれば、誰が主張しようが構わないんですね。
どうも節操がない人間のようです(笑)

勿論、井沢氏が間違いを認めない人間だという批難をするのを止めようとは思いません。
どんどんブログで宣伝されればよろしいのではないでしょうか。

大事なのは、そうした相反する意見を第三者に提供して、判断してもらうことだと思います。

そして、もっとも憎むべきは、そうした異論を排除しようとする行為ではないでしょうか。

  • 2009/03/02(月) 21:38:52 |
  • URL |
  • 一知半解 #f2BEFQoE
  • [編集]

どうも・・カロンです。書き込みになりますが、コメントお疲れ様です

冥王星さんの指示がありまして、コメントさせてもらいます。
場所の適切さについて少し不安です。

管理人さんへ

冥王星さんはOKらしいので、お任せします。

ちなみに、Mugiさんの推奨した記事の批判記事を宣伝するように言われたので、曝しておきます。

http://self0507.blog52.fc2.com/blog-entry-991.html
記事内には、2つの明白な嘘がありましたが、Mugiさんは気づいていらっしゃるでしょうか?

個人的に、専門外の人が根拠なく妄言している状況を関心している人間は信用できません。
なぜ、専門でもない人が「知ったような」言い方で専門家の返答に反論もできずに堂々としているのでしょうか?

自分は思想は特段ありませんが、ここ最近、思想家は独善と「己の善意の押しつけ」と思えてなりません。
<hr>
井沢元彦さんに群馬の武将「長野業正」という記述で喧嘩を売ったのは自分です。

井沢元彦さんは「業政」と強弁していましたが
同じく誤用していた野口泰彦さん・田村貞男さんは誤用を認めました。
「関東幕注文」を筆頭に、子息や親族の送り名に「正」はあっても「政」はないなどの証拠を突き付けてお二人は簡単に間違いを認めてくれましたが、井沢元彦さんは返答なし。

一応、井沢元彦さんの著作出版元にも連絡しましたが、返答なしです。

なぜなんでしょうかね?元寇でも知り合いが出版元にクレームをしても返答なしだったそうです。
なんかこういう世の中はいい感じはしません。

  • 2009/03/01(日) 17:15:58 |
  • URL |
  • カロン #-
  • [編集]

mugiさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

リンク先、興味深く拝読させていただきました。特に、

>小生自身、このブログを、「日本人のブルガリアに関する知識を増大させる」ために書いているというのが、一つの大きな目的ではあるが、他方で、「相互理解のためとか、友好のため」とか、そういう甘ったれた感情に訴えて文章を書くつもりは更々無い。各国の国民にとっては、自国の運命こそが至上であり、他国の国民の運命ばかり心配している余裕は必ずしも無いのだし、他所の国に対して何時も「理解」を示せるとは限らない。それが国際政治における非情な側面だ。

との室長さんの主張には頷くところが大でした。こうした気構えが必要だと思います。

これからも、時々覗かせていただこうと思います。
ご紹介ありがとうございました。

  • 2009/02/24(火) 23:17:14 |
  • URL |
  • 一知半解 #f2BEFQoE
  • [編集]

相互理解

最近、私が見たブログ記事ですが、内容が素晴らしいので是非紹介したく、直リンを貼るのをお許し下さい。
http://79909040.at.webry.info/200902/article_2.html

「ブルガリア研究室」さんは海外生活が長く、特に共産主義時代のブルガリアで生活されたという貴重な体験の持ち主。アイルランドやハワイのような西側でも過ごされており、「相互理解」の本質を鋭く見抜いている。
 いくら海外生活が長くとも、その国のことをまるで分らない者もいますし、その類のブロガーも珍しくない。山本の言葉を借りれば、「外来思想の権威を笠に同胞を見下す”知識人”の小役人的表現」を駆使する愚かな学者もいる。
 しかし、この方のブログには共鳴するところが多く、とても参考になりますよ。特に共産主義圏の実態を描いた記事は圧巻。真の教養人とはこのような方でしょう。

  • 2009/02/22(日) 17:09:11 |
  • URL |
  • mugi #xsUmrm7U
  • [編集]

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一知半解

Author:一知半解
「一知半解知らずに劣れり」な自分ではありますが、「物言わぬは腹ふくるるわざなり」…と、かの兼好法師も仰っておりますので、ワタクシもブログでコソーリとモノ申します。
一知半解なるがゆえに、自らの言葉で恥を晒すのを控え、主に山本七平の言葉を借用しつつ書き綴ってゆきたいと思ふのでアリマス。宜しくメカドック!!
日々のツイートを集めた別館「一知半解なれども一筆言上」~半可通のひとり言~↓もよろしゅう。

http://yamamoto7hei.blog.fc2.com/

★★コメント欄運営方針★★
・基本的にどんなコメント(管理人批判も含め)でも一度は公開します。
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・管理人宛てのコメントには、出来る限り対応していきたいと思います。ただ、あまりにも多連投コメント及び悪質・粘質なコメントは放置する場合があります。
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・本人よりコメント削除要求があり、管理人から見て、明らかに事実無根の中傷・名誉毀損と判断した場合は警告の上、当該コメントを削除することがあります。

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