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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

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2016.06
25
CM:1
TB:0
12:21
Category : 未分類
■ 何を主張したいか不明瞭

 村井友秀さんも、いつも何を主張したいのかが不明瞭である。

 村井さんがウェブの産経に「中国と『戦争』すればこうなる…尖閣守る日米同盟と『核の傘』」を発表しているのだが。日中の領土争いが衝突に至ったらどうなるかといった問題提起と、村井さんが展開する趣旨と間がピタリとはまらない。

 尖閣は、未確定の領土争いに過ぎない。そこからのエスカレーションを説くにしても、核兵器にもっていく点や、話の抽象度の上げ方が突飛すぎる。核戦略屋さんを除けば「核兵器は神話のようなもの」だ。相手が相手の国を滅ぼすような戦争を考える、あるいは相手の核戦力を直接潰すような話をしないかぎりは、意味がないのであまり取り上げない

 この点、自分が知っていること、自分が言いたいことだけを構造なく羅列する感じとでもいったものか。1年前ほどの『外交』でも村井さんの記事は大抵そう。「中国は敵が弱ければ戦う国 」と、ピントのずれた宿命論的な主張を連発していた。

 村井さんが与えられたテーマと合致した話ができないことを窺わせるものとしては、書評もある。

 通常、書評は評価すべき本について従来書からの進歩点、新しい発見を評価し、それでいてなお「あるべきものがない点」を指摘し、今後の展望を述べるといったフォーマットがある。

 だが、村井さんは書評については、目次の引き写しをやり「この本は面白い」程度しか述べていないことがある。

■ 書評は目次転載

 具体的には『防衛学研究』の書評が全くそれであった。茅原郁夫さんの本『中国軍事大国の原点』を村井さんが紹介するものである。

 その構造を提示すると、次のとおりである。文面そのものについての指摘は趣旨ではないので文面はぼかしてある
村井さんの独特書評
『防衛学研究』47号より

 導入部と赤字を付したのはとしたのは、話の端緒であり世間話の延長のようなものだ。これが全体70行のうち24行を占めている。

 目次部と赤字をつけた部分が目次転載部である。これは全体70行中の21行を占めている。目次そのものが20行、さらにその前に「本書の構成は以下のとおりとなっている」(村井)があるため、合計21行となる。

 あとがき部の8行は、茅原さんの本の「あとがき」から抜き出した6行、「[このように]研究は楽しいものだ」(村井)といった2行を足したもの。

 ついでに言えば、赤書けの後ろの2行も「若い研究者にオススメです」(村井:大意)といったもので意味はない。

 つまり、70行中の55行が転載ほかでできているということだ。 よくもリジェクトされなかったものだ。


■ 新しい発見の指摘がない

 また、村井さんの書評には茅原さんの本に関する新しい主張や新発見といったキモもまったく呈示していない。普通はそれまでの先行研究での理解を出し、そこからの新主張、新発見がこれだとやって、正誤あっても評価するのが書評のやり方だが、それはない。

 それでいて、自身のネトウヨ主張と合わない場所だけを呈示し不満を示している。目次引用部のあと、あとがき要約部の前にある部分がそれだ。「14章で茅原さんがオーソドックスな『解放軍=事実上の国軍』の理解を示したが、ボクの主張の『党の軍隊としての中国軍怖い、超怖い』がない」(村井:大意)といったものである。

 村井さんが『正論』『歴史通』等で主張するいつもの中国異質論、中国脅威論の焼き直しをここでもしているだけということだ。ついでだが、中国宿敵論も商売ではなく地なのだろう。ネトウヨ雑誌でもない『外交』や『東亜』でもネトウヨ作文をしているあたりから、まずは間違いはなさそうである。


■ 消印所沢さんの書評と大差なし

 まずは、あらすじを書く小学生の読書感想文のようなものだ。産経系でネトウヨ向けのアジテーションを書いているとこうなるのだろう。

 まあ、昔あったBk1の消印所沢さんの書評と大差ないものだ。「何ページ中、何ページが役に立った」と書いていたアレだ。所沢さんはオーソドックスな書評をご存じなく、中身について「どういった点で評価できる/できない」を示すこともご本人には荷が重くてできない。だから「面白いページがこれだけあったよ」と数だけ示したといったもの。それを「書評でござい」としていたアレと同じものだろう。



*    村井友秀「中国と『戦争』すればこうなる…尖閣守る日米同盟と『核の傘』」『産経ニュース』(産経新聞,2016.6.17)http://www.sankei.com/column/news/160617/clm1606170006-n1.html

**   村井友秀「文献紹介 茅原郁生著『中国軍事大国の原点 -鄧小平軍事改革の研究』」『防衛学研究』47号(日本防衛協会,2012.9)

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No title

昔、バランス・オブ・パワーという、米ソ冷戦をテーマにしたパソコンゲームがありましたが、その世界観そっくりですね。
超大国のどちらかが政情不安定な国に圧力掛けて、他方が圧力をかけ返す。緊張関係が限度を超えると核戦争でゲームオーバー。どこで引くかの駆け引きを楽しむという。
しかし、学者がこんなゲーム脳で良いんでしょうか?