- 2024 . 11 «
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
- 7
- 8
- 9
- 10
- 11
- 12
- 13
- 14
- 15
- 16
- 17
- 18
- 19
- 20
- 21
- 22
- 23
- 24
- 25
- 26
- 27
- 28
- 29
- 30
- 31
- » 2025 . 01
Category : 未分類
外務省が東シナ海ガス田で中国に抗議しているのだが。
・ 中間線の向こう
・ 中間線から2km程度は離隔
・ 日本側から採掘できない
といった理由により、力のある主張とはならない。中国を追い詰めるものではなく、国際社会にアピールできるものともならないだろう。
外務省は1日、WEBで「中国による東シナ海での一方的資源開発の現状」 を公表した。それについて日経は「中国ガス田開発、今年3基が進行 外務省が写真公開し抗議」で、「第8基」「第11基」「第12基」の進捗に抗議するものと解説している。
■ 中間線の向こう
だが、抗議にはさしたる力はない。
なぜなら採掘は日中中間線の向こうで行われているためだ。
もちろん、東シナ海EEZの分割について日中の同意はない。
だが、現在の中間線は日本主張であり、採掘リグ建設はその中国側で実施されている。この点、日本側は「建てるな」と口を挟める立場にない。
これは南シナ海の岩礁埋立とは異なる。
南シナ海でのEEZは係争中である。その岩礁や海面がどこに帰属するかでもめている。そこに工作物を置いた場合は、係争国は文句をいう筋合いにある。
だが、東シナ海はそうではない。日中いずれの主張にせよ中国側EEZに含まれるだろう海面で行われているためだ。これは東シナ海不審船事件で、日本側が引き揚げに中国側同意を取り付けたことからも分かるだろう。
つまり「中国側が工作物を設置できる海で、中国側が工作物を設置した」という話に留まる。この点で、抗議してもその効果は小さいといえる。
■ 離隔距離の確保
さらに、中国側もそれなりに離隔距離を確保している点で、抗議は力を持ち難くなる。
今回の「第8基」でも、中間線から5kmは離れている。「第9基」から「第11基」は中間線から西に20km程度離れているとされる。おそらく意図的に距離表示のない外務省の地図でみても「第98基」は中間線からその三割は離隔している。7km程度は西に離れている。もちろん「第11基」「第12基」は20km以上離隔している。
果たして、中間線から5kmも離れたガス田について地下盗掘を言い立てることは、妥当だろうか?
ちなみに、かつての日本も境界ギリギリでの行動はしている。戦後日本漁業が盛んなときには中国領海(当時は海洋新秩序の前の話)ギリギリに近づき、地元漁民が話しにならないほどの大型装備で漁業を行っていた。エネルギーでも終戦まで北緯50度線に寄って、ソ連と石油採掘を競っていた。
この点でも、抗議の筋としてよろしいものではないように見える。
■ 日本側は採掘していない
最後に、日本側が採掘していない点である。日本はストロー効果について文句をつけているが、実際に日本は採掘していないし、経済性から採掘できる見込みもない。
東シナ海天然ガスは、日本にとっては経済的には存在しないのと同じである。
コスト割れは必至である。採掘・輸送の設備投資は高コストであり、しかも大規模なガス田ではないためスケールメリットも見込めない。かつての原油価格高に引っ張られた天然ガス価格高騰の時分でも、採掘は非現実的と言われていた。シェール革命やその後の原油安により、天然ガス価格が記録的な安値になった今日では、東シナ海ガス田は無価値も同然である。
そのため、日本には利用する見込みはない。そこに投資するくらいなら、サハリンに投資するなり北米や豪州からLNGを買ったほうが良い。
つまりは、利用実績がなく、利用の見込みもない天然資源についての抗議である。しかも中国は境界線の反対側で離隔距離をとっての採掘している。そこに文句をつける形となっているのである。
現実的な実害がない点も、抗議としてはさほどに力を持たないということだ。
■ 国民感情の抑制
以上が、日本側抗議の筋悪な理由である。
だが、抗議といった形にするかはともかく、中国側に露骨な開発を抑制を求める必要はある。
東シナ海ガス田の採掘進捗は、国民感情の爆発につながる可能性が高いためだ。中国のガス田開発が進むと日本国民の対中感情が悪化する。それにより政府が影響を受け、あるいは民間の暴発により日中関係を無意味に悪化させる見込みも高い。そうなれば中国の国民感情も悪化し、同様に政府が影響を受け、民間暴発につながるといったスパイラルに落ち込んでしまう。
■ 互いの国民を上手く騙すべき
その点、日本外務省も中国外交部も、問題コントロールのためそれぞれが自国民を上手く誤魔化す必要がある。
一番良いのは、中間線からの離隔距離を決めることだ。今ある採掘リグの中で、中間線に最も近い櫓との距離に合わせ、「ストロー効果の混乱を避けるため、中間線から○kmは離隔すること」とでも決めるといったものだ。それであれば中国には実害はないので飲むし、日本も面子は立つ。
あるいは、中間線至近の「白樺」、「樫」、「第三」の場所を替えさせてもよい。日本側が撤去費用と新設費用を持ち、遠いところに新しいリグを3つ作らせる解決法もある。「能力が上がった分は、日本と折半」とでもしておけば、「投資である」と日本国民を納得させやすい。
これらの方法で問題が解決したといった印象をつければ、日本の国民感情も収まり、それによる中国国民感情の反発も避けることができるだろう。
・ 中間線の向こう
・ 中間線から2km程度は離隔
・ 日本側から採掘できない
といった理由により、力のある主張とはならない。中国を追い詰めるものではなく、国際社会にアピールできるものともならないだろう。
外務省は1日、WEBで「中国による東シナ海での一方的資源開発の現状」 を公表した。それについて日経は「中国ガス田開発、今年3基が進行 外務省が写真公開し抗議」で、「第8基」「第11基」「第12基」の進捗に抗議するものと解説している。
■ 中間線の向こう
だが、抗議にはさしたる力はない。
なぜなら採掘は日中中間線の向こうで行われているためだ。
もちろん、東シナ海EEZの分割について日中の同意はない。
だが、現在の中間線は日本主張であり、採掘リグ建設はその中国側で実施されている。この点、日本側は「建てるな」と口を挟める立場にない。
これは南シナ海の岩礁埋立とは異なる。
南シナ海でのEEZは係争中である。その岩礁や海面がどこに帰属するかでもめている。そこに工作物を置いた場合は、係争国は文句をいう筋合いにある。
だが、東シナ海はそうではない。日中いずれの主張にせよ中国側EEZに含まれるだろう海面で行われているためだ。これは東シナ海不審船事件で、日本側が引き揚げに中国側同意を取り付けたことからも分かるだろう。
つまり「中国側が工作物を設置できる海で、中国側が工作物を設置した」という話に留まる。この点で、抗議してもその効果は小さいといえる。
■ 離隔距離の確保
さらに、中国側もそれなりに離隔距離を確保している点で、抗議は力を持ち難くなる。
今回の「第8基」でも、中間線から5kmは離れている。「第9基」から「第11基」は中間線から西に20km程度離れているとされる。おそらく意図的に距離表示のない外務省の地図でみても「第98基」は中間線からその三割は離隔している。7km程度は西に離れている。もちろん「第11基」「第12基」は20km以上離隔している。
果たして、中間線から5kmも離れたガス田について地下盗掘を言い立てることは、妥当だろうか?
ちなみに、かつての日本も境界ギリギリでの行動はしている。戦後日本漁業が盛んなときには中国領海(当時は海洋新秩序の前の話)ギリギリに近づき、地元漁民が話しにならないほどの大型装備で漁業を行っていた。エネルギーでも終戦まで北緯50度線に寄って、ソ連と石油採掘を競っていた。
この点でも、抗議の筋としてよろしいものではないように見える。
■ 日本側は採掘していない
最後に、日本側が採掘していない点である。日本はストロー効果について文句をつけているが、実際に日本は採掘していないし、経済性から採掘できる見込みもない。
東シナ海天然ガスは、日本にとっては経済的には存在しないのと同じである。
コスト割れは必至である。採掘・輸送の設備投資は高コストであり、しかも大規模なガス田ではないためスケールメリットも見込めない。かつての原油価格高に引っ張られた天然ガス価格高騰の時分でも、採掘は非現実的と言われていた。シェール革命やその後の原油安により、天然ガス価格が記録的な安値になった今日では、東シナ海ガス田は無価値も同然である。
そのため、日本には利用する見込みはない。そこに投資するくらいなら、サハリンに投資するなり北米や豪州からLNGを買ったほうが良い。
つまりは、利用実績がなく、利用の見込みもない天然資源についての抗議である。しかも中国は境界線の反対側で離隔距離をとっての採掘している。そこに文句をつける形となっているのである。
現実的な実害がない点も、抗議としてはさほどに力を持たないということだ。
■ 国民感情の抑制
以上が、日本側抗議の筋悪な理由である。
だが、抗議といった形にするかはともかく、中国側に露骨な開発を抑制を求める必要はある。
東シナ海ガス田の採掘進捗は、国民感情の爆発につながる可能性が高いためだ。中国のガス田開発が進むと日本国民の対中感情が悪化する。それにより政府が影響を受け、あるいは民間の暴発により日中関係を無意味に悪化させる見込みも高い。そうなれば中国の国民感情も悪化し、同様に政府が影響を受け、民間暴発につながるといったスパイラルに落ち込んでしまう。
■ 互いの国民を上手く騙すべき
その点、日本外務省も中国外交部も、問題コントロールのためそれぞれが自国民を上手く誤魔化す必要がある。
一番良いのは、中間線からの離隔距離を決めることだ。今ある採掘リグの中で、中間線に最も近い櫓との距離に合わせ、「ストロー効果の混乱を避けるため、中間線から○kmは離隔すること」とでも決めるといったものだ。それであれば中国には実害はないので飲むし、日本も面子は立つ。
あるいは、中間線至近の「白樺」、「樫」、「第三」の場所を替えさせてもよい。日本側が撤去費用と新設費用を持ち、遠いところに新しいリグを3つ作らせる解決法もある。「能力が上がった分は、日本と折半」とでもしておけば、「投資である」と日本国民を納得させやすい。
これらの方法で問題が解決したといった印象をつければ、日本の国民感情も収まり、それによる中国国民感情の反発も避けることができるだろう。
Trackback
Comment