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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

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2013.03
17
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13:00
Category : 昭和の新聞
 中国が全面抗日に踏み切った上海事変前後の新聞読んだのが。当時の日本側観測は尽く的外れになっている。「蒋介石は負けると権威を失う、だから戦争に踏み切れない」とか「南京が陥落したので蒋の権威は低下している。実際に、国民政府の中で汪精衛がフラフラしている」日本側はそう見ている。

 しかし実際のところ、蒋介石は日本と戦う度に名声と権力はパワーアップしている。家近亮子さんが『蒋介石の外交戦略と日中戦争』で主張していることだが、蒋介石は日本と戦うことで強力になる。対日戦が負け戦であることは関係がない。対日戦を決意したことと、日本との戦闘を続けていることで、国民政府での権力集中を実現している。同時に国際社会での名声も挙げている。最後には連合国の巨頭にもなれた。戦後は国際連合の常任理事国になっている。

 問題は、国民党への中国国民支持がアレだった点だね。地方での土豪支配や地主支配、末端の腐敗で共産党に負けたわけだ。

 しかし、中国人民による、蒋介石自体への支持はなかなかのものだった。負け戦でも抗日を続ける限り、国民支持は続いたというわけだ。

 とはいえ、蒋介石も最初から「負け戦でも」とは考えていない。上海事変は勝てると踏んでいた様子である。

 東北や華北では日本軍に勝てないが、長江デルタなら日本軍に勝てる可能性は高い。東北や華北には、中国側に輸送も生産力もない。しかも日本側が有利になる運動戦の余地も大きい。しかし、長江デルタであれば、輸送力も生産力も高く、運動戦の余地も小さくできる。

 中国側にとって上海事変は、勝てると踏んで行った決戦なわけだ。長江デルタなら大兵力の運用可能で、力押しすれば勝てると踏んだのだろう。南京から上海にかけての長江デルタは開発が進んでいる。人口稠密な経済先進地帯であり、交通網や生産能力も高い。中国も全国から大兵力を集中できるし、兵站問題も深刻ではない。

 日本も決戦に乗らざるを得ない。なんせ、上海租界は日本にとっても核心的利益である。どうでもいい華北、ほぼ同じ時期にホットだった天津あたりとは比べ物にならないほど重要だったわけだからねえ。

 このあたり、蒋さんがどう決心したかは、今のところ筆写しかできない蒋介石日記が刊行されれば分かるんだろうけど。

 新聞でのオマケ発見としては、北支の陣中で還暦寸前の中佐がいるという記事があった。陸士13期で、現役の同期は前陸相の大将1人だけという話。ナショナリズムに目覚めた中国人の抵抗を「日露戦争よりキツイね」と評していたよ。まあ、日華事変は気楽な戦争ではないということだ。

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