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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

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2013.03
15
CM:0
TB:0
13:00
Category : ナショナリズム
 ミリタリー・バランスの最新刊が出たとのこと。高価になってしまい、そう使うわけでもなし、個人で買うものでもなくなったからね。昔は和訳3500円とかだったのだけれども。

 その総括部分で「北朝鮮は今年中に韓国に対して挑発的な攻撃を行う可能性が高い」※とのこと。

 だが、挑発的攻撃をやったからといって、半島情勢がどう変わるということもないのではないか。

 南北は昔から緊張と緩和を繰り返している。冷戦が終わるまで、南北は緊張、冷戦終結から緩和というわけでもない。例えば、冷戦期の1972年日中国交回復のあたりで南北平和統一に関する共同声明※※ とか出ている。また、冷戦終結以降でも、潜水艇による浸透や砲撃、艦艇攻撃も行われている。

 挑発的攻撃があっても、いつもの緊張と緩和のサイクルに収まる程度の変調である。朝鮮戦争のような南北熱戦には至らないだろう。

 まず、北朝鮮に全面戦争を起こすメリットはない。今の北朝鮮は体制維持を目的としている。韓国・西側に飲み込まれないように努力している。この状況で、ボロ負け確定の南進を行う選択肢はない。

 韓国も、今のところは北進を望まない。北朝鮮を屈服させることはできるが、その過程では喪うものが多すぎる。優先すべきは経済的に厳しい状況の打開である。

 挑発的攻撃があっても韓国の政策は変わらない。専門家の木宮先生(己は先生の「朝鮮半島研究」を履修したよ)が言っている§ ように、北朝鮮を国際政治の常識内に引き込むことは変わらない。木宮先生は「大統領選挙に韓国の政治外交の行方」で次のように述べている。
[右派左派を問わず韓国の政権は]北朝鮮の対応に応じて、一方で関与を強めてから、北朝鮮を南北関係の枠内に引き込み、北朝鮮の行動をある一定の範囲に統制する[しかない]
木宮正史「大統領選挙に韓国の政治外交の行方」『東亜』(霞山会,2013.2)pp.30-37
実際に韓国にが取れるオプションはこれだけだろう。他に現実的な策はない。

 仮に挑発的攻撃があっても、南北関係は変わらない。南北とも採用可能な行動は、ここ40年の緊張と緩和で動いた範囲に収まる。北にしても、エスカレーションの結果として、継続的な局地戦となるような挑発はできない。

 北の経済力や兵站では、泥沼の局地戦を持続させることはできない。おそらく、68年の青瓦台襲撃のようなこともできない。

 南も、挑発があっても、南北関係を対立時代に戻すつもりもない。韓国の目的は、南北関係を安定化させることにある。北朝鮮をそこから追い出すような選択はしない。挑発的攻撃の結果、韓国が北朝鮮への態度を強硬にするにしても、右派にいい顔をする程度の、国内政治を向いた味付け程度に過ぎない。



※ 「北朝鮮、今年中に韓国に挑発攻撃か 英シンクタンク発表」(2013.3.15,AFP)http://www.afpbb.com/article/politics/2933994/10438307 からの孫引き

※※ 「平和的に南北統一」『朝日新聞』(1972.7.4,朝日新聞)夕刊,p.1

§ 木宮正史「大統領選挙に韓国の政治外交の行方」『東亜』(霞山会,2013.2)pp.30-37

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