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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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2010.10
24
CM:0
TB:0
23:01
Category : ミリタリー
『日本戦争経済の崩壊』の巻末資料より。
 TNT生産に関する項目だが、アメリカの生産性は日本の27倍高いことになっている。
 逆に見れば、日本がアメリカよりも27倍ほど割の合わない生産をしていたということになる。細部を見ても、原材料歩留、生産時間、ラインあたり生産量の全てにおいて日本はアメリカに劣る。これは科学技術の水準よりも、非効率な、非科学的で硬直した生産体制を漫然と放置した結果ではないか。

 日本では日華事変期より、生産量を確保が最優先だった。このため旧式の生産設備を廃止せず、原始的な設備に強制して集めた徴用工をあてがい生産させていた。経済性で立ち行かない分にも、国は補助を出し、或いは人件費を負担して生産させる。
 このような環境では、努力しなくても儲かる。このため経営者はなにも努力しない。

 石橋湛山が指摘しているとおり、軍国主義・全体主義下の日本では、経営者がアニマルスピリットを喪失している。経営者は、ただノルマだけを達成することを考える。あるいは、官僚機構から受注を取ることだけに努力する。
 製品の質は問われないから、歩留まりなんて関係ない。生産に必要な資源は労働力まで国家が融通してくれるし、買取価格も原価計算だから、コスト削減について何も努力しない。労働者にも、「非常時」という言葉を押し付ければ何でも言うことを聞くはずだから、そのモチベーションも待遇も何も考えない。

 これはソ連計画経済の失敗と同じ構図ではないか。生産上の隘路も、経済構造そのものの偏りも一杯あったのだろうが、なによりも特に生産意欲が全然刺激されていない。
 日本の低労働生産性は、ソ連末期の労働意欲低下と同根だろう。日本の徴用工もソ連の国営工場労働者も、ノルマをこなしたところで報償も達成感もない。だからモチベーションが湧かない。
 なによりも経営者が問題視しないところが癌なのだろう。低労働生産性が改善されないまま、非効率な生産体制が存続してしまうのだろう。

(MIXI日記2009年01月07日より)