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経済なんでも研究会
経済学では計れない トランプ政策
2024-07-23-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ インフレ対策は石油・ガスの増産だけ = アメリカでは、トランプ前大統領の返り咲き説が有力となった。一発の銃弾がトランプ陣営の結束を固める一方で、民主党はバイデン大統領が撤退するなど準備の遅れが鮮明になったからである。株式市場などは、すでにトランプ経済政策を買い始めた。その政策はどこから見てもインフレ加速型。株価は上がるに違いないと期待を寄せる。トランプ氏は大統領候補の受諾演説で「壊滅的なインフレを直ちに終わらせる」と公言したが、これまでに明らかとなった経済政策の内容から見ると、インフレはむしろ加速してしまいそう。

まずは減税。所得税の最高税率を39.6%から37%に引き下げる。また全納税者を対象に、基礎控除を2倍に増額する。次に輸入関税。すべての輸入品に原則10%の税率引き上げ。中国製品については60%超の引き上げ。さらに住宅ローンなどの金利を引き下げる。これらの措置が実行されれば、アメリカの国内物価が上昇圧力を受けることは間違いない。

加えて不法移民の徹底的な規制。トランプ氏は「大統領に就任した即日、国境を閉鎖する」と断言している。いまアメリカも少子・高齢化で労働力は不足する傾向。移民の流入で、なんとか不足を補っている状態だ。したがって厳しく移民を規制すれば、人件費が上がってインフレが進む。唯一のインフレ対策は、国内の石油や天然ガスの増産を図ることだけ。バイデン政権は環境保護の観点から生産の増加を規制してきたが、これを撤廃する。

トランプ氏はまた「いまのドル高は、アメリカの企業にとっては大惨事だ」とも述べて、日本円や中国元の安値を強く批判した。しかしアメリカでインフレが進行すれば、ドル高が解消する保証はなくなる。こうした状況のなかで、トランプ氏は本当に種々の公約を実行に移すのだろうか。経済学者はみんな首をかしげている。大統領選挙までまだ100日もあるというのに、こんな問題が真剣に議論されているのも、不思議な現象だ。

        ≪23日の日経平均 = 下げ -4.61円≫

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ

       
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