の表記を勝手に変更していることへの抗議の手紙を書いているからです。秋聲は明治30年代以降、代作・翻案を含め数多くの長篇小説を新聞雑誌に連載し、大正時代には通俗小説の連載を同時に何本も抱えていたので、作品を勝手にいじられて苦々しい思いをした経験が多々あったのではないでしょうか。
04-18 23:56
新しい読者層である一般大衆や女性を対象にしていることもあり、却って用字・行送りまで事細かに指示しないと、勝手に用字用語を読みやすく変更されたり適当に改段されたりする、という事情があったでしょう。というのは、大正11年に、通俗小説『二つの道』の掲載紙である東京日日新聞に、漢字や仮名
04-18 23:46
秋聲は、用字やルビに非常に細かく気を遣う人で、書きっぱなしと決めつけるのは間違っています。古くは『少華族』のように、単行本化に際して徹底的に手を入れている場合もあります。しかしこの場合は、「真摯さ」というよりも、純文学作品と比較すると、通俗長篇の場合は、掲載紙(誌)が大正以降の
04-18 23:46
秋聲独特の用法だが、〈手容〉に〈てつき〉とルビを振り、欄外に〈突ニアラズ〉と用字に注意をうながすなど細かく気を配っている」
「さらに、行アキや別行の指定も自ら書き入れて指示」しているということで、小林氏はそれを通俗小説だからといって手を抜かない真摯さだと指摘しています。 確かに
04-18 20:14
は〈あらじよたい〉でも〈あらせたい〉でもなく〈しんしよたい〉と振られている。さらに本文中に二ヶ所ある〈新世帯〉もいずれも〈しんしよたい〉である。あるいは〈数奇(さつき)〉は欄外に〈数(すう)ニアラズ数(さつ)ナリ〉と念押しの指示をしている。また、〈目容〉を〈めつき〉と読ませるのが
04-18 20:11
徳田秋聲全集第33巻『闇の花』の小林修氏による解説に面白い報告があるので紹介します。秋聲の通俗小説『闇の花』は、原稿用紙762枚分の自筆原稿が石川近代文学館に保存されていて、「原稿はほぼ総ルビに近い程度に秋聲自身の文字でルビが振られており、(中略)たとえば第十一回の章題「新世帯」
04-18 20:10
秋聲宛字集
恁麼(こんな)
這麼(こんな)
那麼(あんな)
那様(そんな)
甚麼(どんな・どう)
這度(こんど)
加旃(それに)
万望(どうぞ)
有繋(さすが)以上、主に明治時代に使用していた宛字です。意味は若干ずれますが、其儘の表記で現代中国語で通用するものもあります。
04-18 01:20
Author:亀井麻美
kamei asami
德田秋聲,徳田秋声,德田秋声
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