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経済なんでも研究会
財務省の策謀 : 軽減税率 (下)
2015-09-17-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 還付金か給付金かの大論争 = 財務省がチエをしぼった日本的軽減税率方式にも、多くの欠陥がある。最大の問題は、肝心の個人番号カードが行き渡らないこと。現在のマイナンバー普及計画では、17年4月時点で5000万枚、全人口の半分以下の枚数しか製造できない。また全国で8万の小売店舗に、カードの読み取り機が設置できるかも疑問だ。この点については、屋台や自動販売機、さらには出前の扱いをどうするか。といった微妙な問題もからんでくる。

また消費者は、常に個人番号カードを持ち歩かなければならなくなる。紛失や盗難、あるいは個人情報を盗まれる危険性も大きくなるわけだ。さらに2%分の税金を返してもらう場合、スマホやパソコンを使えない高齢者はどうしたらいいのか。考えるべき点は多い。要するにヨーロッパ方式の軽減税率は、業者と税務署の負担が大きい。反対に日本的軽減税率は、消費者側の負担が大きいと言うことができるだろう。

こうした両者の得失とは別に、財務省と公明党の間では哲学的な考え方の違いも深刻になっている。ヨーロッパ型の軽減税率を選挙公約に掲げた公明党は、財務省案を軽減税率とは認めない。あとで税金をすべて返すのではなく上限を設けるのだから、これは「給付金」だと断定する。これに対して財務省は、税金を返すのだから「還付金」だと応酬している。

最後に蛇足を付け加える。この公明党と財務省の哲学論争は、マスコミまでを巻き込んだ。特に新聞は最近しだいに公明党寄りか財務省寄りかを鮮明にし始めた。紙面でどちらかの言い分を、より大きく紹介するようになっている。早い話、公明党寄りの新聞は「給付金」、財務省寄りの新聞は「還付金」と書いているから、判別はすぐにできる。

      ≪16日の日経平均 = 上げ +145.12円≫

      ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ


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