【安田理央の「アダルトカルチャーの今と未来」】(112) 違法アップロードサイトによる“挑発的なアピール”
AVの違法アップロードサイトとして知られる『MissAV』が今年1月に突如、閉鎖されました。法的手続きによってドメインの没収が行なわれたとのことでした。しかし、その後、MissAVはドメインを変えて復活。しかもトップ画面には、こんなメッセージが表示されていたのです。「Iさん(※原文では女優名)への感謝の気持ちを込めて、MissAVではIさんの動画を広告なしでご覧いただけます!」。
MissAVは違法アップロード動画の再生前に広告を流し、その収益で運営されているサイトのようなのですが、超人気AV女優であるIさんの作品だけ広告を外して再生できるようにするというのです。何故Iさんが狙い撃ちされてしまったのかといえば、MissAVのドメインを没収したというメッセージ画面には当初、Iさんの顔写真が掲載され、“JAV海賊版対策プロジェクト(※カバーガール:I)”というクレジットが表記されていたのです。つまり、Iさんに逆恨み的な嫌がらせ攻撃に出たというわけです。
しかも、「1000万人が『MissAVが帰ってきた!』とSNSに投稿されれば、MissAVはすべての広告を削除します!」等という挑発的なメッセージまで書かれています。現在はドメイン没収の画面からはIさんの画像は削除されていますが、MissAV側のトップ画面は今でもそのままです。
4月に入ると、再びMissAVへのアクセスが制限されます。今度はこんな画面が表示されるようになります。「このサイトは、児童への著しい権利侵害である児童ポルノを掲載しているサイトと判定され、児童ポルノアドレスリストに掲載されているためブロックされました」。このメッセージ画面には“一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会”とクレジットされています。
『インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA)』は、児童ポルノ画像等の違法コンテンツの流通を防止することを目的に2011年に発足した団体で、プロバイダー事業者や検索エンジン事業者等によって運営されています。つまり、MissAVはICSAに有害サイトとして指定され、日本からのアクセスをブロックされたというわけです。
これでいよいよMissAVも終わりかと思いきや、日本からのアクセスが制限されているだけで、サイト自体は存在し、VPNやミラーサイトを利用すれば見られてしまう等、結局はいたちごっこになってしまっているのが現状です。そして、たとえMissAVが完全に閉鎖されたとしても、他にもこうしたサイトは数多く存在している為、状況は変わらないでしょう。DVDから配信へと移行が進んだ日本のAV業界において、違法アップロードは以前にも増して大きな問題となり、業界に大ダメージを与えているのです。
安田理央(やすだ・りお) フリーライター。1967年、埼玉県生まれ。雑誌編集者やコピーライターを経て、1994年からフリーに。著書に『AV女優、のち』(角川新書)・『ヘアヌードの誕生 芸術と猥褻のはざまで陰毛は揺れる』(イーストプレス)・『日本AV全史』(ケンエレブックス)等。
2025年5月5日号掲載
MissAVは違法アップロード動画の再生前に広告を流し、その収益で運営されているサイトのようなのですが、超人気AV女優であるIさんの作品だけ広告を外して再生できるようにするというのです。何故Iさんが狙い撃ちされてしまったのかといえば、MissAVのドメインを没収したというメッセージ画面には当初、Iさんの顔写真が掲載され、“JAV海賊版対策プロジェクト(※カバーガール:I)”というクレジットが表記されていたのです。つまり、Iさんに逆恨み的な嫌がらせ攻撃に出たというわけです。
しかも、「1000万人が『MissAVが帰ってきた!』とSNSに投稿されれば、MissAVはすべての広告を削除します!」等という挑発的なメッセージまで書かれています。現在はドメイン没収の画面からはIさんの画像は削除されていますが、MissAV側のトップ画面は今でもそのままです。
4月に入ると、再びMissAVへのアクセスが制限されます。今度はこんな画面が表示されるようになります。「このサイトは、児童への著しい権利侵害である児童ポルノを掲載しているサイトと判定され、児童ポルノアドレスリストに掲載されているためブロックされました」。このメッセージ画面には“一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会”とクレジットされています。
『インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA)』は、児童ポルノ画像等の違法コンテンツの流通を防止することを目的に2011年に発足した団体で、プロバイダー事業者や検索エンジン事業者等によって運営されています。つまり、MissAVはICSAに有害サイトとして指定され、日本からのアクセスをブロックされたというわけです。
これでいよいよMissAVも終わりかと思いきや、日本からのアクセスが制限されているだけで、サイト自体は存在し、VPNやミラーサイトを利用すれば見られてしまう等、結局はいたちごっこになってしまっているのが現状です。そして、たとえMissAVが完全に閉鎖されたとしても、他にもこうしたサイトは数多く存在している為、状況は変わらないでしょう。DVDから配信へと移行が進んだ日本のAV業界において、違法アップロードは以前にも増して大きな問題となり、業界に大ダメージを与えているのです。
安田理央(やすだ・りお) フリーライター。1967年、埼玉県生まれ。雑誌編集者やコピーライターを経て、1994年からフリーに。著書に『AV女優、のち』(角川新書)・『ヘアヌードの誕生 芸術と猥褻のはざまで陰毛は揺れる』(イーストプレス)・『日本AV全史』(ケンエレブックス)等。
