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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

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2020.08
24
CM:5
TB:0
13:06
Category : 未分類
 「安全保障でアメリカの特定の大学に行って帰ってきてすぐにテニュアを得たやつの主張って『日米同盟は大事』だけで何の新しい発見もないので読む価値ないよね」(大意)といった文章を金曜日に国会図書館で読んだ。

 白井聡『戦後政治を終わらせる -永続敗戦の、その先へ』(NHK出版、2016年)の一節である。買い落としていたので帰りしなに本屋を回って見つけて買った。

 アメリカにおける国際関係論とはどういう学問なのか。これは「アメリカの国益を最大化するためにはどうするべきかを考える学問」と明快に定義されています。[中略]日本人がアメリカに行って、この分野で学位を取り、当地の人脈を作り、そして帰国後に日本の大学や研究機関で職を得て、講義や教育、あるいは政府の政策に助言をしたりする。[中略]
 なぜわれわれが、国際政治学者の本を見るとき、学歴経歴から見るのか、察しがつくでしょう。[中略]つまりある国際政治学者のアメリカ滞在歴が長く、帰国後にあっという間に良いポストに就職しているというような場合、その著書の主張は「日米同盟は永遠に続くべきである」というものであると、見当がつくのです。そのような結論ありきで書かれた書物に、当然知的緊張はありません。(白井,pp.104-105)


 まあ顔が浮かぶよね。

 故人なら岡崎久彦さん。まあこの人はそれっぽく扱われていたけど書いてあること読むと「日米同盟は永遠に続くべきである」(白井)しかない。なんでそうなるのか、その部分をよく読むとまずは宗教的確信でしかなかった。

 生きている有象無象もいくらでも挙げられるね。国際政治とか安全保障とか自称している方々で、経歴にジョージタウン大学とかハドソン研究所が入っているあたり。だいたい就職先も似たようなものになっている。

 その中身もまあ「日米同盟は永遠に続くべきである」(白井)の亜流しかない。最近だとファイブアイズだのインテリジェンスだのといったアレだし香港や台湾問題で「法の支配」の陣営がみたいなアレかね。日本にとってその選択は得なのかどうか境界線上で微妙な部分なんだけどなぜか連中はガン推ししているあれだ。

 まあ身過ぎ世過ぎなんだろう。「日米同盟永遠論に与すれば得点が得られる」とみている。だから「「ファイブアイズは『日米同盟永遠論に寄与する』ように見えるからたぶん正解で賛成」なんだろうねえ。あるいは宗教的確信かね。

 ちなみに、あの連中はどこぞで安全保障政策の実務やっている連中にはあんまし信用はされていない。生きている有象無象についても「この経歴ってテニュアのための職業訓練だからねえ」と一蹴されている。何故か安全保障分野だけはテニュア獲得の実績がある日本の大学・大学院を出ていて、その後がジョージタウンとハドソンだとね。*

 ただ、現状では風見鶏的に利用はしている様子である。日本政治が永続敗戦論(この言葉も左っぽいから連中で使う人はいないけど)的構造にあって政権との方向性から影響力がある。だから政策にはその方向の力がかかっている。だからそれを利用するんだみたいな感じね。


* 「あの大学系統の安全保障の人って『コーネルとかフランス東洋学院でアジアの地域研究しました』みたいな人っていないよね、世間の大学で国際関係とかでテニュアとる本筋ってそっちなのに」みたいな話をしたことを覚えている

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No title

「ぼくは博士後期課程に行けなかった無能だけど
プライドだけは高いのでテニュア持ちの大学人が妬ましいです」
まで読んだ

白井聡さんは好きじゃないとこもあるけども(バラク・オバマの広島訪問を茶番扱いしてるとことか)、ツイッターで元2chコテハンな右よりミリタリーオタクのみなさんが「トランプ大統領は無能に見せかけた大傑物!そんなトランプと真っ先に仲良くなった安倍総理は名宰相!媚中反日の文在寅は金正恩との会談を頭越しにされてザマぁ!習近平もアメリカに露骨に敵対されてお先真っ暗でザマぁ!」みたくはしゃいでるのを見ると、アメリカの外交学の仕込みは着実に根付いてるなと思わされます

No title

初めてコメントさせていただきます。
Yahoo!ニュースや軍事研究の記事を興味深く拝見させて貰ってます。
そこで気になったことがあります。最近だったと思いますが、潜水艦の探知についての記事を出されていたと思います。おもしろかったので覚えていたのですが、YouTubeで
記事の表現を変えただけの動画がありました。許可されていたのでしたら何もないですが、出典が書かれていなかったと思うので一応ご連絡させていただきました。

No title

度々すみません。著者名はありませんでしたが、
記事を出した会社の名前は書かれていました。
申し訳ございません

千年遅れの「事大主義」

お邪魔します。
 かつて朝鮮半島では新羅・百済・高句麗の三国が争っていましたが、最弱の新羅が唐の軍門に下る事で朝鮮半島を統一しました。当初は「(唐と)まともに戦えば勝ち目は無いが、それでも言いなりにはなるまい。」といった気概があったのですが、それでも服属が「当たり前」になっていきました。事大主義は「"大"でないものを"大"と見誤る」「"大"が"大"でなくなる」「"大"が複数になる」といった場合に限界を露呈しますが、近代に入った朝鮮半島は正しくそうなりました。
 日本はアメリカにコテンパンに叩きのめされる事で、朝鮮半島に千年遅れて「事大主義」に目覚めたのではないかと思われます。先に述べた事大主義の限界など自覚していないでしょう。また近代以前の東アジアに於ける朝貢外交は中国にすれば「野蛮人どもには"餌"を与えておけば襲ったりはしない」だったのではないかとも思われます。地続きの朝鮮半島には軍を出しても、そうでない琉球が薩摩に侵攻された際に助けなかったばかりか朝貢も「10年に1度」に減らしたそうですから。日本も近い将来「自分の事だけで精一杯」になったアメリカから同様に扱われるのではないかと思ったりもします。