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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

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2018.01
22
CM:9
TB:0
12:51
Category : 未分類
 松浦晋也さんは社会とか経済とかの話をしない。その御仁が「エネルギー問題だから、国際情勢から政治から科学から技術から……すべてを勘案して安定供給を継続する方策を探るしかない」(松浦)とおっしゃるのは不思議なものだ。

 これは原発問題に関しての一連の発言だ。下の3節の2つ目は11年の発言だが、それも1月21日に再提示されている。

松浦晋也‏ @ShinyaMatsuura
産経の書くことなのでもの凄くさっ引いて読まねばならないが、広瀬氏が「東京F1事故により壊滅する https://www.amazon.co.jp/dp/4478066760/ 」とした自説を釈明する気がないことは理解した。 作家、広瀬隆氏、原子力規制委の更田豊志委員長を「人殺し」と罵倒! 産経
19:05 - 2018年1月20日
https://twitter.com/ShinyaMatsuura/status/954912770557800448

松浦晋也‏ @ShinyaMatsuura
ファッションでも気分でもない、持続する反原発の動きを作りたいなら、原子力発電に関する科学と技術、そして歴史を、多くの人が理解し、「では、どうやったら原発なしで経済を回せるのか」と考えていく必要がある。まずは事実を徹底的にネットの明るみに出す必要がある。私はそう考えている。
23:50 - 2011年3月30日
https://twitter.com/ShinyaMatsuura/status/53348319119937536

松浦晋也‏ @ShinyaMatsuura
これ地震直後の2011年3月31日にtweetしているのだが、今もあまり付け加えることないなあ。結局エネルギー問題だから、国際情勢から政治から科学から技術から……すべてを勘案して安定供給を継続する方策を探るしかない。トリチウム水放出程度で揉めているようじゃ先行き暗い。もちろん広瀬隆氏は論外。
19:13 - 2018年1月20日
https://twitter.com/ShinyaMatsuura/status/954914945082118144



■ 2011年3月末でもこのエネルギー認識

 注目すべきは11年3月30日ころにぼんやりした発言をしていることだ。

 そもそも11年頃ではまず石炭、そして天然ガスでどうにかなるだろうと考えられていた。石炭は以前から200年分以上の鉱床があるとされていた。石油価格上昇から探床・開発が始まっていた天然ガスも探せば探すほど増えていた。

 そこで原子力がなければ困ると言い出すあたりはズレている。オイル・ピーク・アウトが流行ったのはその5年近く前だ。10年代はその呪縛は薄れている。11年でもズレているし18年に至っては現状認識はどのようになっているか怪しいものだ。

反原発の動きを作りたいなら、原子力発電に関する科学と技術、そして歴史を、多くの人が理解し、「では、どうやったら原発なしで経済を回せるのか」と考えていく必要がある。(2011年3月30日:松浦)

結局エネルギー問題だから、国際情勢から政治から科学から技術から……すべてを勘案して安定供給を継続する方策を探るしかない。[原子力発電で]トリチウム水放出程度で揉めているようじゃ先行き暗い。(2018年1月20日:松浦)


 そもそもエネルギー供給について松浦さんは発言したことはない。石油、石炭、天然ガスの見通しについて言及したことはない。

 特に社会や経済の側面コスト、埋蔵量、消費量、輸送コスト、投資、国際開発のいずれも述べたことはない。


■ 権威の言うことが正解な松浦さん

 なによりも原子力行政や現場を一切疑わないことだ。松浦さんはいまも昔も権威、行政側や企業側の言うことを正解だと見る。そこに批判的な視点はない。存在する正解を探す態度でしかない。

 当時、原発で何が起きているかは東電は隠していた。11年3月末は非常事態が発生して2週間立っている。だが、従来とは違い状況にあること。東電や原子力行政のやっていることは失敗していることは明らかであった。

 だが、それに科学ライター連は言及した例は見たことはない。これは航空宇宙系ライターも同じだ。例えば最初の最初から「メルトダウンはないダス」から徹頭徹尾ボンクラな発言を繰り返していた。

 それは今でも続く。2017年にもなって松浦さんは発電コスト把握ができていないのは驚くべきだ。
松浦晋也‏ @ShinyaMatsuura
内燃機関から電動モーターに動力を移行しても、充電用の電気を火力発電で得ていたらあまり意味ないのだよな。大型施設での発電だから熱効率は上がるが、送電や電圧変換での損失もあるし。 ドイツは燃焼エンジン車を禁止すべきでない=ガブリエル外相
https://twitter.com/ShinyaMatsuura/status/910089611187068929
松浦晋也‏ @ShinyaMatsuura
実のところ原子力発電所を定常運転することで生じる、夜間の余剰電力でEVを充電するのが温室効果ガス排出を減らすという意味でも、エネルギー効率の高い社会を作るという意味でも、合理的なのだ。
https://twitter.com/ShinyaMatsuura/status/910090510655569923

経済的に原子力が選好されない理由を全く理解できていない。天然ガス発電が低コストであり原子力は高コストである。だから前者が選ばれることがわかっていない。


■ 科学への偏愛だけで批判的に読めない

 ヨイショするのも経済性ではないのだろう。

 おそらくは「ロケットで宇宙に行くのに必要だから原子力は正義」だといった素朴な発想の反映ではないかと疑うものだ。

 例えばこのような発言だ。
松浦晋也‏ @ShinyaMatsuura
あと、なによりも原子力は人類が太陽系空間に出て行くためには必須。そっちに技術開発の力を少しでも振り向けてほしい。
https://twitter.com/ShinyaMatsuura/status/835430337010253824


 要は、そこに特にヒコーキやロケットに代表される科学への執着がある。

 そして執着である。やはりこれも客観性は欠くし批判精神はない。


■ ロケット予想屋もどうせ外す

 その点で松浦さんはロケットでも誤るだろう。

 ロケット予想屋としては筋悪を応援しすぎている。その時は科学ダイスキなコドモ大人に受けるだろうが、予想屋として長い目でみるとまず外す。

 まずはISTのMOMOやらその応援組織「なつのロケット団」ヨイショで失敗すると見ている。なぜなら今後の見通しが暗いことは全く見えていない。あるいは見ていて何も言わないためだ。

 キューブサット打上げでISTが生き残る見込みはない。打上げは急速にコモディディ化している分野だ。世界で1-2社しか生き残らない。アメリカのロケットラボやら中国のワンスペースやらが勝てばあとは不要だ。似たような技術でどうこうなるわけではない。同じ出目がないにしても、まだカムイのほうが新機軸がある。

 そもそも寄付を受けてロケットを打ち上げる構造もおかしい。事業なら出資を求めるものだからだ。その点で真剣味がないのだ。その段階で花火的な打上げ興行事業であり、継続性のある会社事業ではない。しかも出資を求めるために「なつのロケット団」という広告塔まで作っている。このあたり何かの商売に似ていることに気づくものだ。

 イプシロンやSS-520も生き残る見込みはない。イプシロンやベガはインドのPSLVさらにはファルコン9の再利用型にコストで勝てない。それよりも小型のロケットは今後市場放出されるミニットマンの転用型に負けるし、将来的に北朝鮮問題が安定化してノドンが市場されれば止めが刺される。そもそもSS-520は前回も失敗している。

 H-3もいずれは倒れる。コスト半額や納期は、どうせ作っている当の本人たちも信用していない。成功してもスペースXやULAの再利用型に負ける。新エンジンもどうなるかだ。商売の見通しとしてアマゾン(創業者)のBE-4と三菱のLE-9どっちが信頼性、コスト、性能、納期で信用できるかといえば、アマゾンのほうだろう。アニマルスピリッツが違いするぎる。


■ 外したあとでどう振る舞うのかね

 このあたり、松浦さんのヨイショが将来的にどうなるかは見ものだ。

 失敗寸前までは成功するかのように持ち上げ続けるだろう。

 問題はその後だ。もし、失敗時には何も無かったかのように口を噤んだとすれば、それは批判されるべき態度である。それでは予想屋と変わらない。競輪場で自信満面でコンサルティング業務として紙切れを売っていながらレースが始まるとそそくさと居なくなるアレと同じだということだ。

Comment

非公開コメント

No title

「原発を定常運転することで生じる夜間の余剰電力でEVを充電すれば、温室効果ガス(≒CO2)排出が減らせる」って松浦さんはツイートしてますが、こんな見解もあります。

> 火力に対する原子力の優位性を論証するためのCO2排出に関する比較も、事実に基づいているとは言い難い。東電傘下の企業に勤務するエネルギー濃縮の専門家は、「原子力は投下エネルギーの8割強が濃縮工程に偏っている。石油火力のCO2排出量が原子力より多いといっても、それは多分15~16%程度」という。「8割強」という数字には、核廃棄物の処理と保管に要するエネルギー分は含まれていない。
http://president.jp/articles/-/1279?page=2

これが事実なら、原発よりも天然ガス複合火力を推進した方がCO2排出量削減につながるのでは?天然ガス火力はガチで石油火力よりCO2排出量が少ないので。
http://www.fepc.or.jp/nuclear/state/riyuu/co2/sw_index_01/

No title

科学は宗教であるというのは間違いですけど、こういう人たちには当てはまるんでしょうね。
批判精神を忘れたら科学とは言えないでしょうに。

No title

そういえば兵頭二十八って人がSS-520ロケットを転用して護衛艦/潜水艦搭載型弾道ミサイルを開発するアイデアを出していましたけど、科学技術偏愛主義の方たちは、国産ロケットを軍事転用しちゃった場合や、まかり間違って日本が核武装しちゃった場合は「日本の核武装は非現実」という主張を維持し続けるのか興味があります

No title

しかしこの科学ライター氏、
介護問題については非常にリアルで的確なことを書くんですよねえ……
実体験に即したものごとの強さを感じるとともに、
原発やロケットで振り回すご論の空疎な感じにも気付かされて
あまりの差になんだかもの悲しいものも感じてしまうのですよ

Re: No title

抽象的に考えらんないんですよ、宇宙開発には技術面の他に投資面の世界があるけど技術の世界から出られない
ヒコーキの話をさせても技術的に上に行く話しかできない。経済性やら経営やらの観点は全然ない

あるいは、与えられた目標、ゴールへの行き方しか考えられない
その目標が正しいか、その目標への投資が他の政策の効用と比較して妥当か考えられないのでしょう


> しかしこの科学ライター氏、
> 介護問題については非常にリアルで的確なことを書くんですよねえ……
> 実体験に即したものごとの強さを感じるとともに、
> 原発やロケットで振り回すご論の空疎な感じにも気付かされて
> あまりの差になんだかもの悲しいものも感じてしまうのですよ

No title

「原発で働いてる人達の生活はどうなる」
とリアルに人生シミュレーションしてみせる連中が、他方で身勝手な推進論を唱えるのと一緒ですね。

まぁ、それまでの仕事が無くなる恐怖については分からなくもないです。原子力に限らず、ネットには他人の仕事を潰すことに快感を覚える残酷な人も沢山いますからね。緑川だむみたいなネトウヨには特に。

しかし、311からもう7年近いのです。
311前は色々優遇もされて個人資産は結構なものが形成されてる筈なのです。特に電力のプロパーの待遇は破格であり、即配置転換orリストラでも良い位なのです。

残ってる業界人も、この間に身の振り方を考えて貰わないと同情票も来なくなりますよね。私の場合、正直、若狭の原発銀座の住民にそんな同情もう要らんわと思ってますから。

No title

北海道のロケットの件は、技術的特筆性のなさ、商業打ち上げとしての採算性のなさはおっしゃる通りながら、商売としては成り立つ目はあると思います。

彼らがやっているのはつまるところ、打ち上げ事業ではなく打ち上げを目玉とした興行で、打ち上げ自体は売を打つ口実、人を集める看板でしかないのです。

商売の仕組みとしては、むしろ花火大会やらのイベントに近いので、「花火」がある程度の水準であれば、それが世界水準でどうか、というのは実は問題にならないのです。

もちろん、興行でのガマの油売りの口上のようなもので、見世物がいかに素晴らしいかは喧伝するわけですが、それが方便なのは売を打つ側もそれに祝儀のつもりで金を落とす側も承知でやっているのです。

例えば、興行を打つという形であれば、頻繁に興行を打っては利益を上げられないわけで、頻繁な商業ロケット打ち上げによるロケット単体での黒字化、などは不可能なわけですが、それは承知で方便を使っているわけです。

北海道の件の特色は、興行で商売するというビジネスモデルにしたために、ロケット自体は大したものである必要がなく、趣味のロケット製造、趣味のロケット発射を趣味者らが続けられる、という座組にしたところです。

これはロケット製造者らの技術力的にも、趣味的にも合致した話で、寄付だの何だのというのも、そういう志の具合を考えれば、不自然な話ではないのです。

Re: No title

カムイの方は真面目だなあとおもうのですが

一般的な世界のマイクロロケットの話をすると、詐欺っぺえのもあると思いますよ
目を引いて投資を集めて使って破綻みたいなヤツ、広告塔にロケットマニアが好きな有名人を挙げるだろうなあと
特にSF系は世界共通でマヌケが多いから、日本で言うコクラノミコンの詐欺みたいな奴に作家連がまた引っかかるんじゃないかと
もちろん、アメリカや中国やインドでそういう詐欺があるんじゃないかなあという話です、ハイ


> 北海道のロケットの件は、技術的特筆性のなさ、商業打ち上げとしての採算性のなさはおっしゃる通りながら、商売としては成り立つ目はあると思います。
>
> 彼らがやっているのはつまるところ、打ち上げ事業ではなく打ち上げを目玉とした興行で、打ち上げ自体は売を打つ口実、人を集める看板でしかないのです。
>
> 商売の仕組みとしては、むしろ花火大会やらのイベントに近いので、「花火」がある程度の水準であれば、それが世界水準でどうか、というのは実は問題にならないのです。
>
> もちろん、興行でのガマの油売りの口上のようなもので、見世物がいかに素晴らしいかは喧伝するわけですが、それが方便なのは売を打つ側もそれに祝儀のつもりで金を落とす側も承知でやっているのです。
>
> 例えば、興行を打つという形であれば、頻繁に興行を打っては利益を上げられないわけで、頻繁な商業ロケット打ち上げによるロケット単体での黒字化、などは不可能なわけですが、それは承知で方便を使っているわけです。
>
> 北海道の件の特色は、興行で商売するというビジネスモデルにしたために、ロケット自体は大したものである必要がなく、趣味のロケット製造、趣味のロケット発射を趣味者らが続けられる、という座組にしたところです。
>
> これはロケット製造者らの技術力的にも、趣味的にも合致した話で、寄付だの何だのというのも、そういう志の具合を考えれば、不自然な話ではないのです。

広瀬隆氏よりも

お邪魔します。
 自分は河野太郎氏が通販生活で述べていた「自分が反対するのは危険だからではない。核廃棄物の最終処分手段が確立していないからだ。」(後商業ベースでのプルトニウム転換も)という事に納得がいきました(「トイレの無いマンション」とか言われていましたし)。「危険」と言うと推進派に「結論ありきで言っているのだろう。」と強弁する余地を与えますが、「核廃棄物の最終処分手段が未だ確立していない」と言えば、推進派は「それを確立して見せる」しかありません。今の人類の力でそれが可能かどうかではあるでしょうが。河野太郎氏は「それらの質問に対し関係者は『頑張ります』とか言わず、しかもそれが通ってしまった。」とも言っていましたが(返済の計画に対して「頑張ります」としか言わない人間に、金融機関は金を貸すのだろうか)、それでたどり着いたのが現状ではないかと。最後はお得意の「一億総懺悔(皆が悪かった=特定の誰かが悪いのではない)」で終わるのではないかと思われます。尤も河野太郎氏は太陽光発電の買取を主張されていましたが、自分は自然エネルギーにはそれ程期待できないというか、それに適した使い方を考える必要があると思っています。