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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

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2010.09
14
CM:7
TB:0
18:49
 戦車愛のあまり、海空自衛隊無能論まで発展したJSF氏への反論です。
 一番信じられないのは、ノウハウは必要ないと言い切っているところですね。

> ノウハウなんて要らないですよ。何も難しくありません。

 無知は怖いですね。船舶運用一つとっても、上陸戦そのものを理解していないことがよく示されています。唖然とするしかありません。日米英の上陸戦への試行錯誤を知らないのでしょう。

 JSF氏の議論は、結局は10式戦車が必要というところから逆引きしています。だから、話がドンドンおかしくなるのです。結局、今回の『隅田金属ぼるじひ社さん揚陸RORO編』にしても、理由をこさえて上陸する部隊を増やしただけの話です。揚がったところで補給も受けられない全滅予定部隊に過ぎません。
 その上陸船団が日本まで無傷で辿りつけるのかについては、従来の無根拠な2割ルールを「2~3割」と割増して繰り返しているだけです。この2~3割という数字ですが、これだけ海没すれば上陸は相当難しい。無人島でも上陸するのでなければ、上陸断念も検討される数字でしょう。

 さらに、例によってどれだけの規模の船団が、どこに向かうのかも示せていません。
 具体性に欠けるのがJSF氏の空論の特徴です。具体的な話をすれば、上陸ができないことが明らかになってしまうから、したくてもできないのです。

 JSF氏は商船を上陸戦に使えると言って(氏は、最初のうちは港湾に商船を突っ込ませるつもりだったのです)上陸戦力を水増していますが、護衛艦艇は増えません。
 周辺国は日本近海でのエアカバーを確保できません。日本側がJADGEシステムの支援を受けられるのに対して、周辺国にはまともなAWACSもない。しかも本土から遠く離れて残燃料を考慮しながらの戦いになるわけです。周辺国は日本の近くでは圧倒的な航空優勢を保つことはできません。
 その状況下で、上陸船団の損害が2~3割というのは妙な話です。10隻の上陸船団が来たとして2~3隻の損害で済むとも思えない。氏は陸上目標への航空攻撃の効果を出してすり替えようとしていますが、地物に隠れ、陣地にこもれる陸戦と、遮るもののない海上では全然条件は異なります。オルモック輸送では輸送船が全滅した例もあります。そういった見たくない事実には全く眼を向けないのが、「ゆとり」の証拠でしょう。
 逆に周辺国の能力から言って100隻単位の船団は組めない。船舶は、上陸戦の役には立たない商船や漁船を水増しして増やせたとしても、護衛艦艇が全然足りません。懐かしの上海型の類やFAC(M)にすぎない紅稗も投入するのか、あるいは商船に携SAMでも持たせた船舶砲兵風でも乗せるのでしょう。まず効果は期待できない。

 また、上陸海岸近くに辿りつけたとしても、絶対的な航空優勢を確立しないと上陸戦は不可能です。JSF氏は上陸戦の戦例を(バックグランドについては何も考慮せず)云々するのが好きなようですから、ウェーク島攻略での上陸失敗の例を挙げればよいでしょう。たとえ少数機であっても、航空攻撃があった場合、上陸作業には移れません。
 それほど甘甘な上陸作戦を行うこともありえませんが、さらにその直後に港湾奪取して、そのまま利用できると考えているのは、脱構築された意味での「ゆとり」です。

 閉塞船で封鎖された対処策を思いつかなかったのでしょう。『福岡港、北九州港なんて閉塞するのに何十隻必要なのか・・・』とうそぶいていますが、中国(まず戦争になる可能性もないですけど)大陸本土からのエアカバーが届かない玄界灘方面に上陸を行うことはありません。そもそも上陸適地は限られる。防備しなければならない港湾は殆どありません。
 逆に、串木野港に老朽船(鉄鋼価格だけ、タダ同然です)を沈めた(爆薬も要りませんね)としたら、どうやって排除するのでしょうね。戦闘状態の中、2週間以上かけてサルベージをしたとしても、その頃には補給を受けられない上陸部隊は駆逐されているでしょう。


 そもそも港に入れない前提は覆せないのに、その先は色々考えたようですね。
>「タグボートで押し続けて固定」
>「取り合えず杭を打って簡易ピットを作る」
>「簡易ピットで繋いでいる間に頑丈なピットを作る」
>「スパッド付きのプッシャーバージ船を連れて来て簡易埠頭とする」

 本当に思いつきでしょう
(1)タグボートの数と輸送所要は? まさか自航させるのですか?
(2)杭打ち機と杭はどこから運ぶのでしょう?
(3)しがらみのない簡易ピッドに把駐力は期待できませんよ?
(4)スパッズ台船を何Ktで押していくのですか? 船団についてこれませんよ


 さらに、JSF氏は内水用・沿岸用・外洋用の船の区別もついていません。そもそも波浪やウネリの影響を無視しています。
 例示したプッシャー・パージですが、ぜんぶ内水・沿岸用です。好天を選ばないと熊野灘を越えられないような船です。東京湾フェリーと同じで風が吹けばすぐに止まります。東京湾フェリーで上陸作戦をやろうとする。しかもそのまま外洋に出すというところが無知の証明でしょう。
 また、人民解放軍海軍陸戦隊の水陸両用車両のへん水にしても、JSF氏は「沖合です」といいながらも、動画には波もウネリも風もないことに気づいていない。そこにあるものに気づいても、そこにないものには気づいていないのです。ここが氏の限界です。

 いずれにせよ、この程度の上陸戦力で周辺国が対日戦を挑むこともありません。JSF氏の戦車賛美のための空論なのです。

 大きい部分から言えば、ロシアも中国も、日本本土侵攻の意志も能力もないわけです。日本とロシア・中国では、離島の所属を争ってはいるものの、それ以外の領土については互いに尊重しあう関係です。さらにその能力を見れば、日本本土を侵攻できるものではありません。なるほど、陸軍力は強力かもしれませんが、その海空軍力は日本に対して劣勢です。日本の沿岸で制空権も制海権も握れません。上陸戦には圧倒的な海空戦力のカバーが必要ですが、中露両国にはその能力もありません。

 その上、日米安保条約もあります。なぜかJSF氏は日本が単独で中国、ロシアと対決する構図を作っていますが、日本国内には在日米軍が存在しています。日米安保が発動しないというのは、あまりにも都合のよすぎる設定です。

 加えて、強力な海上自衛隊と、本土防衛に特化した航空自衛隊の存在を無視しています。周辺国は日本に攻め込むことはできないのです。万が一もないにせよ、上陸に成功しても補給が続かない、そして陸続と増援を受ける日本の陸上戦力との絶望的な戦いでいずれは消えてしまう。全滅予定部隊でしかないのです。

 日本の強力な海空戦力と米海空軍戦力を敵に回すのです、上陸は成功することは考えられません。よしんば万が一に成功しても、それは全滅予定部隊にすぎません。先は見えているのです。それを知りつつ日本本土侵攻を行うことはありえません。
 それを考えれば、日本側の戦車は質を問われないのです。上陸適地の海岸の背後にいればなんでも良いのです。

Comment

非公開コメント

No title

お宅の頭の中では海は永遠に天候不順なのか?

新型戦車不要論者の一人として、ここ1ヶ月大変興味深く見させていただいております。

新型戦車不要論者の一人として、ここ1ヶ月間大変興味深く見させていただいております。

私は隅田金属、JFS両氏程の素晴らしい知識があるわけでも無く、ただ兵器が好きなだけなので見ていることしかできないわけではありますが……


ロシアのイリューシン-76輸送機など輸送型だけでなく様々なバリエーションの機体があり色々な国で運用されている大好きな兵器の一つなので、新型戦車の次は新型輸送機などの記事を見てみたいなぁと思いました(笑)

遠くから応援しています!

No title

防御側(日本)の戦車の質は問われないって・・・
あなたバカすぎ(笑)

Re: No title

 戦車はあれば充分ですからね。圧倒的な海軍力、強力な空自を考慮すれば、持っていれば充分でしょう。
M4でも相手には脅威でしょう。それを撃破できる装備を持ってこなければならない。
3インチ砲って水上目標にもそこそこ使えるし、軽装甲なら容易に撃破できるでしょうね。

 最新鋭戦車がなければならないという思い込みこそ…あまり考えていない証拠でしょう。

> 防御側(日本)の戦車の質は問われないって・・・
> あなたバカすぎ(笑)

Re: No title

 逆に、いつも好天なんでしょうか?
 それはあまりにも甘い甘いお汁粉設定ですよ。

> お宅の頭の中では海は永遠に天候不順なのか?

No title

今何気に読み返したら、10式戦車と90式戦車の差どころではないですね、JSF氏が同一視する外洋航行船舶と内水船の違いって。つくづく氏は悪い意味で兵器バカでしかないんだなと。
彼らに理解できるような言い方にするとすれば、セスナ172とC-130(あるいは民間機ならエアバスA330)を同列に論じるようなもの、とでも言えばいいんでしょうか。