2016年5月22日(日)
今日は朝10:00から、中洲大洋にてMET LIVE を鑑賞。
ドニゼッティの 【ロベルト・デヴェリュー】
MET初演と言うくらいだから、当然私も初見!
『W・三角関係』のありきたりのストーリーだが、その内の一人が 英国の初代・エリザベス女王 と言う処がスキャンダラス!
タイトル・ロールの「ロベルト・デヴェリュー」は、英国軍の隊長。
役名: エリザベッタ(左) ・ ロベルト・デヴェリュー(右)
配役: ソンドラ・ラドヴァノフスキー(左)・マシュー・ポレンザーニ(右)
エリザベス女王は、彼を寵愛しているが、彼は親友・ノッティンガム公爵の妻 サラと相思相愛(話しの展開では肉体関係までには至っていないらしい)。
役名: ロベルト・デヴェリュー(左) ・ サラ(右)
配役: マシュー・ポレンザーニ(左)・エリーナ・ガランチャ(右)
「ロベルト・デヴェリュー」を巡る 『W・三角関係』という話し。
舞台装置の大きな転換は無く、この装置の扉が開閉したりするだけ。
サラを演じるエリーナ・ガランチャは、最初の一声で判るほど上手い! 如何にもメゾ・ソプラノと云う声質だが、アルトのような太い声から ソプラノのような澄み切った高い声まで自在にこなす!
役名: サラ(左) ・ ノッティンガム公爵(右)
配役: エリーナ・ガランチャ(左)・マリウシュ・クヴィエチェン(右)
老いた(69才の役柄とか)エリザベス女王を演じるソンドラ・ラドヴァノフスキーも 消え入るようなpp(ピアニッシモ)でのハイトーン(超高音)から、迫力あるハイトーン まで自在に使い分ける凄技! その上、恐ろしい表現では、コントラルトのような太く重い声も自在!
老けメイクだが、実年齢は他の主役たちと同年輩(47歳)とのこと。
Sondra Radvanovsky
男声陣も上手いのだが、この女声陣二人に圧倒されている!
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ドニゼッティ《ロベルト・デヴェリュー》視聴 MET LIVE 公式サイト - 2016年5月13日金曜日
MET LIVE 公式サイトによる作品紹介
ドニゼッティ作曲 【ロベルト・デヴェリュー】 (Donizetti : 原題:Roberto Devereux)
上映期間:2016年5月21日(土)〜5月27日(金)
指揮:マウリツィオ・ベニーニ 演出:デイヴィッド・マクヴィカー 出演:ソンドラ・ラドヴァノフスキー、エリーナ・ガランチャ、 マシュー・ポレンザーニ、マリウシュ・クヴィエチェン 上映時間 :3時間4分(休憩1回) [ MET上演日 2016年4月16日 ] 言語:イタリア語
【ストーリー】 反逆罪に問われた若い恋人は、密かに人妻と愛し合っていた! 嫉妬する老女王エリザベスの復讐とは? 英国史上もっとも有名な女王の悲恋を音楽化した傑作が、堂々のMET初演!《アンナ・ボレーナ》、《マリア・ストゥアルダ》に続く「チューダー朝女王三部作」の完結編だ。 大型ソプラノS・ラドヴァノフスキー、花形メゾのE・ガランチャと贅沢なキャストはさすがMET。 三部作全てを手がけるD・マクヴィカーのスタイリッシュな演出も楽しみだ。
16世紀のロンドン。 女王エリザベス(オペラではエリザベッタ)は、アイルランドの反乱を鎮めるために恋人ロベルト・デヴェリューを派遣するが、デヴェリューは命令に反して反乱軍と和解し、反逆罪で捕らえられてしまう。 エリザベスは彼を助けようとするが、デヴェリューは以前の恋人で、女王の命令でノッティンガム公爵に嫁いだサラとよりを戻していた。 2人はこのままでは危険だと別れを決意するが、恋人の心変わりを知った女王は激怒し・・・。
********* こちらは、MET LIVE の後はいつも来る 中洲大洋すぐ横の 「利花苑」
で食べた 今日の昼御飯 「キーマカレー」
肉の出自を示す、 「利花苑」 入り口手前の掲示
確認してから、ここで食べるかどうか判断できて良心的。
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【今日の運動】 今日の、スポーツクラブ 【ESTA】 での運動は・・・ 無し エスタ温泉に入浴。 歩数計 : 9,100 歩
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ヨーロッパ史上最も有名な女王の悲劇を超名舞台で!《ロベルト・デヴェリュー》みどころ MET LIVE 公式サイト:加藤浩子(音楽評論家) - 5月12日
ヨーロッパ史上でもっとも有名な女王といえば、イギリス(正確にはイングランド)のエリザベス1世(1533−1603)ではないだろうか。イングランドの女王としては先代の異母姉メアリー1世に次いで2人目だが、メアリー1世がカトリックを弾圧して反発を買うなど失政を繰り返したのに対し、エリザベスはさまざまな面で慎重に事を運び、45年の治世を維持して名君と称された。生涯独身を通した「処女王」としても知られる。
ドニゼッティの《ロベルト・デヴェリュー》は、女王の最後の恋人だったとされるエセックス伯爵ロバート・デヴルーとエリザベスの葛藤を描いたオペラ。エリザベスは33歳年下の美男子だったロバートを寵愛し、地位や財産を与えたが、甘えたロバートは無謀なアイルランド侵攻を企てて失敗し、女王に冷たくされると逆恨みして反乱を起こした。反逆者には厳しかったエリザベスは躊躇なくロバートを捕え、処刑する。 オペラではロベルト(ロバート)が捕らわれてから処刑までが描かれるが、本作で強調されるのは、「女性」としてのエリザベッタ(エリザベス)の苦しみだ。ロベルトは女王から心が離れ、ノッティンガム公爵夫人サラと相思相愛という設定。サラも以前からロベルトを愛していたが、女王の命令で公爵に嫁いだ。ロベルトの新恋人の存在を知った女王は嫉妬のあまり死刑執行書に署名するが、処刑が実行されたことを知って狂乱する。
物語からお分かりのように、本作は題名役よりエリザベッタが重要なプリマドンナ・オペラだ。ドニゼッティの「テューダー朝三部作」〜他の2作は《アンナ・ボレーナ》《マリア・ストゥルダ》〜はいずれもプリマドンナ・オペラだが、《ロベルト》は3作のなかでも一番プリマの負担が大きな作品でもある。
エリザベッタ役S・ラドヴァノフスキーは、この難役を見事にこなした。今シーズンのMETで他の2作でも主役を務め、三部作をすべて歌う快挙をなしとげたラドヴァノフスキーは、本作の名演で歴史に残るソプラノとなったのではないだろうか。ヴェルディを得意とする彼女は、いわゆるベルカント・ソプラノより声が劇的で表現の幅が広く、スケール感がある。それでいて高音も完璧なのだから唖然とするしかない。終演後のカーテンコールでは瞬時で客席が総立ちになり、ラドヴァノスフキーも感極まって涙ぐんでいた。サラ役のE・ガランチャの声と姿の美しさ、豊かな表現力も別格の域。ロベルト役のM・ポレンザーニは優柔不断な男性を、共感をもって演じ、公爵役のM・クヴィエチェンはノーブルかつ情熱を込めた演唱で喝采を得ていた。ベルカントのスペシャリストであるM・ベニーニの指揮も鮮やかで推進力に溢れ、第2幕幕切れの大コンチェルタート(※注)では、音楽の渦に飲み込まれる快感が味わえた。
さて、本作は歴史劇だけに、演出はとくに気になるところ。MET初演(快挙!)というなじみのない作品であることを考えれば、なおさら時代考証をきちんとした舞台で観たいと思うだろう。今回のD・マクヴィカーの演出は理想的だった。時代通りの豪華なコスチューム(肖像画でも有名なエリザベスの豪華衣装は見もの!)、重厚な装置に加え、舞台の周囲に「観客」を配し、劇中劇という趣向を取ったのだ。冒頭場面がエリザベスの葬儀の場面のように見えるのも印象的。単なるコスチュームプレイに終わらせず、演出家の気概を見せた。 MET初演の知られざる名作の、すべてにおいて理想的な上演。これは、本作の上演史のみならず、METの上演史にもページを割かれるべき歴史的名演である。
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