2013年1月22日(火)
生徒がつける“先生の通信簿”
来年度から大阪府で始まる勤務評定を生徒が行うと云う “斬新な” 制度。
この来年度というのが2013年4月から始まる来年度なのか、その翌年かは
良く解りませんが、それは兎も角として・・・
大阪府下の公立のすべての小中学校・高校で実施される予定 とのこと。
教員の能力評価を生徒によるアンケートの得点で判定 しようというものらしい。
教頭や校長が個人の好き嫌いで一面的な判断をするよりはマシに見えるかも
知れないが、果たして生徒に対する教育的効果はどうなのか?
また、教師が生徒に迎合する教え方や内容を深めるより人気取り的授業を行う
ようになるのではないか? 等、さまざまな問題が話題になっている。
先日、NHK 【クローズアップ現代】 が、この問題を真正面から取り上げた。
良い番組構成であったと思う。<2013年1月15日(火)放送>
そこでは、大阪府で実施されたモデル校での状況と、これとは対照的な成果を
あげている鳥取県にある町立岩美中学校の経験が報告されていた。
生徒がつける“先生の通信簿” NHK総合【クローズアップ現代】 - 2013年1月15日(火)放送
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長いのだが、そこから敢えて一部引用すると・・・
モデル校となった大阪府立久米田高校の事例
今回のアンケートの導入にあたり細川先生は、ある悩みに突き当たりました。 期末テストの問題作りです。 これまでは生徒の実力を把握するため入試レベルの難問を出題していましたが、評価のことを考え二の足を踏んでいました。
教師 細川太郎さん 「これもしめっちゃ簡単やったら、自分のアンケートも点数高くなるかなとか。」 「そういう現実が実際に始まってしまえば、気持ちが揺らいでしまう。 (最低評価が)あと1回でアウトですってなったら、気持ちはぶれてしまいますよね。」
生活指導を担当する体育の濱田哲也先生です。 これまで社会の常識を厳しく教えてきましたが、生徒にとってはちょっと煙たい存在です。
教師 濱田哲也さん 「それ(評価)があるからと言って二の足を踏んでいても、ちゃんと正しいこと、間違ってることを子どもたちに伝えないといけませんから。 適正な評価がなかなか難しいことは確かなので。」
大澤校長は、生徒会のメンバーに意見を聞くことにしました。 しかし、そこで出た意見は意外なものでした。
府立高校校長 大澤宣彦さん 「もしそれ(評価)が先生の給与を決めたり…給与を決めるというのは先生をランク付けしてしまうということになるんやけど、そういうことに使われるとしたらどう思う。」
生徒会メンバー 「先生にも家庭とかありますし、そういうのに影響するのはちょっとよろしくないんじゃないかなと。」 「先生自身にしても、給与のためならという感じになってしまいがちだと思うんで。」 生徒たちから上がったのは先生の心情や生活を心配する声ばかり。
府立高校校長 大澤宣彦さん 「積極的にそういうこと(評価)に関わることを嫌がっているというか。 学校として押し付けることになれば、それはそれで教育的に効果があるのか。 子どもたちの成長において役に立つのか、非常に疑問に思いました。」 鳥取県にある町立岩美中学校の事例
校長の戸田倫弘先生です。 学力テストの成績が県内最下位だった岩美中学校を、4年間でトップクラスに押し上げました。 学力向上の鍵を握ったのは、戸田校長が導入した学期ごとに行う生徒へのアンケートでした。
この中学校のアンケートは授業だけではありません。 学校行事の満足度クラスの人間関係など、学校生活全般について50項目を超えます。 教科については、質問は2つ。 「授業は楽しいか」、「先生は、よく分かるように教えてくれるか」。 生徒は、4段階で評価します。
岩美中学校校長 戸田倫弘さん 「生徒たちが私たちを評価している。 その評価をもとに、私たちがしっかりと話し合いをして改善策を考えて、また新たな実践に結び付けていく。」
アンケートの結果は教師全員で受け止め改善に結び付けます。 データの中から生徒が抱える不満や困っていることを見つけ出し、その原因と対策について考えるのです。
アンケートの結果を受けて、神波先生(英語)の授業力を上げるための取り組みが始まりました。 まず、英語科の同僚3人が神波先生の授業を見学。 問題点を探し出します。 その後の検討会議では、生徒にもっと考えさせるべきではないかという意見が出ました。
次に、神波先生はほかの先生の授業を見学します。 教科は数学です。 楽しいよりも、よく分かるという評価が常に高い先生です。 見学のあと、生徒に考えさせるコツを教えてくれました。
数学教師 「秘けつが分かった?」
教師 神波真梨子さん 「秘けつ?」
数学教師 「考えさせる時間が長いから。 俺、答え言ってないんだよね。 英語でもそういうのができたらおもしろいかもしれない。」
教師 神波真梨子さん 「自分一人では限界があるので、別の教科であったり他の先生の授業を見ることで、また新しい視点ができる。 今回はいいきっかけになりました。」
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大阪府・市(すなわち橋下徹)の考え方は、生徒に評価させて2回悪い評価の教員は首にするという方向ですが、岩見中学校の場合は生徒のアンケートを参考に校長のイニシャチブで教員同士が切磋琢磨し全体の教育力レベルを上げてゆくという方向で、全く異なります。
それが、良く解ったドキュメンタリーでした。
取材・調査して適切に編集し解説したNHKの皆さまの努力にエールを送ります。
また、評価に関するポイントまで公開された教師の皆さまに方に敬意を表します。
是非、生徒がつける“先生の通信簿” を
御覧ください。 番組が殆ど丸ごと活字に起こされています。
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